なぜそんなにTwitterに時間と労力をかけられたのか?答えは「暇だったから」である。
社員が増え会社が成長し、自分が現場に出る機会が減っていった。お陰で新しい挑戦に必要な時間ができたわけだ。Twitterを始めた当初はこれだけ沢山のひとにフォローしてもらえるとは思ってもみなかった。最初は何をツイートしてもいいねもリツイートもフォロワーも増えない無反応な日々が続いていたからだ。
この記事にはフォロワーの増やし方やバズるツイートの書き方なんて何一つ書いてない。
誤解しないで欲しいのは、フォロワーを増やすことを否定しているわけではない。応援してくれる、共感してくれるファンという意味でフォロワー数は一番わかりやすい指標の一つだからだ。ただそれ以上に大切なことがあることをわかっていないと、数を増やすことが目的になり本来の目的を見失い、外見は綺麗だが中身のないハリボテになってしまう。
恐らく自分はTwitter、Youtube、Tiktokと、日本中の経営者のなかでもSNSに相当の時間を費やしてきた人間だ。でも実は4年間発信を続けても、まだまだ手探りでやっている部分は多い。それでも多くの時間を費やし、一定の成果を出したからこそTwitterがなかなか上手くいかないひとたちに伝えられることがあると思う。
この記事ではブラックな社長こと西崎がTwitterを「何のために、何をやり、何が得られ、何を学んだか」これまでやってきたことをお話することで、あなたらしいTwitterとの向き合い方のヒントになればという想いでまとめてみようと思う。
Twitterをはじめたきっかけには営業の問い合わせを増やしたいとか、採用に繋げたいとか事業戦略を意識した要素はまったくなかった。以前に書いた「ビジョンとはなにか?」のブログにも書いた通り、2018年に会社の中期ビジョンを一新した際に「大阪で一番オモシロイ会社をつくる」というゴールの一つに「情熱大陸に出演する」というものがあった。
知名度もない、実績も足りないなかで、世間に対して会社のことをもっと知ってもらい実績も積み上げていこう。そんな理由から「よくわからんけど、とりあえずやってみるか」というラフな動機からのスタートだった。
会社として、経営者としてSNSを使って世間に発信をしていく上でいくつかの選択肢がある。Twitter、Instagram、Youtube(当時はまだTiktokは日本に上陸したばかりで利用している人は少なかった)などがそれだ。
この3つのうち、早々に選択肢から消えたのはYoutubeだった。
理由は「一番手間がかかる」から。今以上に企業がYoutubeで発信することに市民権のなかった時代。さらには動画の企画から撮影、編集とちゃんと作ろうと思うと少なくとも1人日以上の労力がかかる。それと比べてTwitterであれば140文字という文字だけで、Instagramであれば1枚の写真から発信ができる。時間にするとものの5分もあれば簡潔するのだからこのどちらかにすることを決めた。
最終的には写真を撮ることが得意じゃない、会社としてお客様のデザイン実績なんかはビジュアルで見せることができるが、それ以上にどんな想いで仕事と向き合っているのか、まだまだ勉強だらけの経営者として日々気づいたことや学んだことを文字で発信するほうが世間も興味を持ってくれるだろうという理由からTwitterを選んだ。
実際にTwitterを4年間やってみて、そしてInstagramも1年間くらい(全然向いてなくすぐ辞めてしまったが)やってみてわかったこと、それはSNSには向き不向きがあるということだ。特にビジネスに関する発信するのなら、業種というカテゴリーが最も大きく影響するなと感じる。
もしも自分が飲食店や美容室、アパレルブランドのオーナーだったなら、迷うことなくInstagramに全振りしていたと思う。提供するサービスがBtoC(一般消費者向けのサービス)かつ目に見える商品や物をサービスとして提供しているのであれば視覚的に訴求できるInstagramはとても効果的なプラットホームだと言える。
逆にうちのようなBtoB(法人向けサービス)の場合は、視覚的な情報発信として外に見せるものが顧客実績ぐらいしかない。SNSユーザーにとって情報の価値というメリットが提供しにくく、それであれば仕事で得た気づき学びを文字として発信する方がユーザーにとってのメリットは大きいだろうと判断した。
自分たちのサービスを鑑みて、ユーザーにとって価値のある情報を発信できるのはどちらか、という視点から自分たちにあったSNSを選ぶことも大切なことだと思う。
社長がTwitterをやるということに対して、周りの経営者からは反対意見のほうが圧倒的に多かった。いやむしろ反対意見というよりも、「お前なんでそんなことやってんの?」とか「炎上リスクも考えられないの?」とか「そんな暇あるなら経営に集中しろ!」など、むしろちょっと馬鹿にされながら笑われることの方が多かった。
それは当時からしたら当たり前の感覚だったのかもしれない。
今と比較するとTwitterで発信している経営者なんて極端に少なかったし、Youtubeで発信している経営者なんているの?ってぐらいのレベルだったがそんなことは一切気にならなかった。起業する時だってそうだ。周りから反対されたり、辞めとけと言われると、それは誰もやりたがらないことだからチャンスであると俄然ファイトがみなぎってくるタイプ。やってみて駄目なら次を考えればいい。SNSに限らず新しいことを始める時には大切な向き合い方だ。
結果的に先行者利益を取れたところはあるし、多分今まったく同じことを同じようにスタートさせても同様の成果を得ることは難しい。2022年現在、TwitterをはじめYoutubeでも経営者で発信するひとは格段に増えたし、面白い発信をするひとも増えた。競合他社ひしめくレッドオーシャンで戦うよりも、競合が少なかった当時にスタートを切れたことはアカウントを伸ばすことができた大きな要因だろう。
ではTwitterを運用する上で意識してやっていたことはなんだろうか?
過去を振り返りながら特に意識してやっていたことを一覧でまとめてみた。ざっとまとめたのが35項目。そのなかでもとりわけ重要な項目に★マークを記している。もちろん人それぞれやり方があるのですべての人が意識すべき項目だとは思わない。西崎の場合はここを意識しながらやったら成果に繋がったという視点で見てもらえるとありがたい。次項では特に重要だと感じた★マークに絞って解説していく。
「結局は数かよ」と思われるかもしれないが、結局はやっぱり数は重要である。数少ないとはいえ、経営者ですでに1万人以上のファンを持つアカウントがあった中、後発の自分が追い付くために必要なことは1日も早く同じツイート総量まで追いつくこと。本来経営者は忙しい。多くても1日5ツイート、10ツイートする経営者が稀なくらいだ。
シンプルに5倍、10倍の量をこなしてようやく先を走る経営者たちに近づけた。ただただそんな話である。これはTwitterに限らずYoutubeもそうだが、発信数とインプレッション数(発信が目に増える回数)は確実に比例する。沢山のひとの目に触れることで会社のことを知り、応援してもらえたり好きになってもらえたりする。
中にはバズツイートを連発して数を必要とせずともファンを増やす魅力や才能に溢れた凄いアカウントが彗星のごとく現れるが、そんな能力のない大阪の無名な経営者である自分が戦うためには「1日50ツイート以上する」というのはマストと据えていた。すべてのひとに50ツイートしろ、と言う気はさらさらないが、自分の可能な範囲で数を発信してみることでより多くのひとにあなたの声が届くようになるのは間違いない。
Twitterのアルゴリズムは公開されていないし、利用者視点から見ても定期的にアルゴリズムは変更されていることを体感する。Twitter社のパーパス(目的)をご存じだろうか?
We serve the public conversation. 「私たちは公正な会話を供給します」
彼らが目指すのは一方的な情報発信ではなく、Twitterを通した公正な会話、つまりコミュニケーションである。最近は特にこの傾向が強いと感じる。いいね数やリツイート数も大切だが、それ以上にどれだけユーザーと濃いコミュニケーションを取っているかがインプレッション数に大きく影響しているなと感じる。
★リプライ、引用RTは全返信(フォロワー1万人まで)
★リプライ、引用RTにいいねを押す(フォロワー10万人まで)
★引用RTはすべてRTする(フォロワー1万人まで)
自分の場合はアルゴリズムを意識してというよりは、反応がもらえることが嬉しかったりありがたかったりで、フォロワー1万人までリプライや引用RTに対して全返信をしていたし、引用RTはすべてRTでお返しするようにしていた。
申し訳ないことに今は通知が追い付かずに流れてしまい、すべてのリプライや引用RTなどを見ることができなかったりするが、気づいた時にはいいねなどのリアクションを返すようにしている。Twitter運用において発信することも大切だが、このユーザーコミュニケーションも同じくらい大切だということを覚えていた方がいい。
自分には経営者としての実績も経験もまだまだ足りない。ただTwitterをはじめたことで、自分の考えを発信し反応があることで気づきや学びを得られたり、多くのひととの出会いから新しい世界が拡がったりと、自分自身が成長できるツールだなというのは使い始めた当時から感じていた。
加えて日本中にいる凄い経営者を相手に、自分一人で戦ったところで太刀打ちできるわけがない。だったら全社員で発信し、みなで成長しながら運用すれば戦えるんじゃないか。そんな想いから社員たちにもTwitterでの発信をやって欲しくなった。
どうすれば全社員を巻き込みながらTwitter運用できるのか?
失敗した経験があるからわかるが、無理やりやらせるでは絶対に続かない。仮に最初は続いたとしても、次第に発信量は減っていき継続的に運用していくのは至難の技だ。組織が考えるべきは「やりたい」と思えるワクワクした環境を会社として準備できるか。ツイートがバズったら休暇が取れる「バズ休」という制度を作ったり、Twitterで発信するだけで給与と別に手当がもらえる「SNS手当」を導入したりした。結果、全社員がアカウントを持つに至るが社員の中にも当然温度差はある。
沢山ツイートする社員もいれば、ほとんどツイートしない社員もいる。自分は全然これでいいと思っている。SNSを頑張る社員はもちろん評価するし、SNSじゃなくても別のところで頑張る社員はそこで評価する。誰にでも向き不向きやなんてあるもんだ。自分の得意分野で戦ってくれるのが会社として最も生産性を担保できる。
Twitterで一番やってはいけないこと。それは外には立派なことを発信してるのに中身が全然伴っていないことだ。自分を偽ったり、大きく魅せたりすることは、現実とのギャップを生み一気にファンが離れる要因にもなる。これはブランディングとは?の記事でも書いたことだ。言葉と行動を一致させることができないと誰も応援なんてしてくれない。
自分たちもそうだが、必ずしもいま完璧である必要はない。ただ発信していることに近づく行動を一歩ずつでも見せていかなければ、ただのTwitterが上手いひとになってしまう。逆に自分に言い聞かせる発信をすることで、言ったからにはやるしかないと良いプレッシャーをかけてみるのもいいかもしれない。
発信はしたいが発信するネタがない。これもよく聞くSNS運用が止まってしまう理由の一つだ。仕事やプライベートを通じて喜怒哀楽の琴線に触れる瞬間があると思う。「これはいいことだな」とか、「これはやってはいかんやろ」とか、そんな日々の生活のなかで気持ちが動いた瞬間瞬間を切り抜いてツイートしてみよう。
心が動いたということは、誰かの心も動く可能性があるということ。ここにアンテナを張り巡らせるだけで、気づきや学びに敏感になり、思考を挟むことでより自分自身を高めてくれるはずだ。
ここでオススメしたいのがTwitterの下書きだ。経営者と会ったり、セミナーに参加したりするとそれだけで下書きが10個も20個も追加される。メモはすべてTwitterの下書きというくらいにフル活用している。時間がある時にその下書きを開いて編集すれば考える時間はなくなり、短時間で多くの発信に繋げることができる。ぜひ試してみて欲しい。
自分も社員も含めて、Twitterでは仕事のことでもプライベートなことでもなんでもツイートして良いというルールになっている。唯一やっては駄目なこととしているのが、「特定の個人を傷つけない」ということだ。
SNSをやっていると応援されることもあるが、逆に嫌なことや厳しいことを言われたりすることもある。時には言い返したくなる時もあるだろう。そんな時も特定の個人を傷つけるような暴言や、誹謗中傷は絶対にしないという取り決めがある。
世間に対して怒ったり、一般論に対して厳しい口調で糾弾するのはいい。ただ特定の個人を叩くような行為は会社のスタンスとして絶対にやめておこう、というのが自分たちのルールだ。
最も大切な意識、それが「継続」である。Twitterに限らずその他SNS運用で成功するための肝と言っても過言ではない。「どうしてそんなにフォロワーが多いのか?」よく聞かれるこの答えの本質は「辞めずに続けたから」でしかない。ツイートをはじめた当初に同じように発信をはじめた経営者が何人もいたがそのほとんどがもうTwitterすら開いていない。
気合と根性で辞めずに続けろ、ということが言いたいわけではない。「飽きるまで」とあるように、自分が面白くないなと思ったらすぐに辞めていい。大切なことはいかに飽きないように自分でコントロールするか。
最初はどんなツイートをしても0いいねとか、知り合いからの1いいねとか、独り言じゃねえかと思ったことが何度もある。どうやったらこんな状態からフォロワー1000人行くのかと思ったことも一度や二度じゃない。飽きないようアナリティクスを記録し、自分の数字を体重計のように記録し毎週毎週の成長を我が子のように楽しんだこともある。フォロワーさんに商品を用意して採用キャッチコピーを募集して盛り上がったこともある。常に刺激を与え続けることが継続の秘訣だと感じる。
Twitterで得られたことは大きく3つある。
1つ目は営業効率が格段に上がったということ。トゥモローゲートでは新規クライアントの70%がSNSで認知をいただいたお客様からの発注である。2018年以前は100%プッシュ型のテレアポ営業だったわけで、そこで削減できた営業工数をクライアントの企画やデザインに割り当てられることで、強い競合優位性に繋がっている。さらに対面した時の対応もまったく違う。これまでは一から会社のことを説明する必要があり、シャッターが閉まった状態からの営業だったのが、すでにトゥモローゲートのことを知ってくれてる、むしろ好きでいてくれてる状態からの営業スタートでは決定率がまるで変わってくる。
2つ目はSNSから採用に繋がったこと。今では採用の75%がSNSを通じて弊社のことを認知し問い合わせなり、社員の繋がりなりで人材を採用している。これまで求人広告媒体や人材紹介会社を使って一人当たり150万円~200万円ほどかけていたコストが0になるのは経営的にも非常に大きい。応募者の質という点でも、たまたま見つけての応募ではなく、トゥモローゲートのビジョンや価値観に共感してくれた仲間が集まってくれる。
3つ目は社員に対する理念共有だ。組織が大きくなるにつれて、社長が言っていることはどんどん薄くなっていく。Twitterを介して会社の方針や社長の考えを発信することで、いま会社がなぜ何をやろうとしているのかが伝播しやすくなる。逆に社員の発信を知ることで抱えている悩みや課題なんかも見えてくるし、Twitter上でのコミュニケーションを通じて相互理解にも繋がる。
Twitter運用においてこれまでやってきたことをざっとまとめてみた。4年間発信を続けて感じたことはフォロワー数以上にエンゲージメントが大切だということ。数だけを追い求め、中身が伴わないような運用からはなにも生まれない。
数以上に質が求められる。Twitterを上手く活用しビジネスに繋げているアカウントに共通していることだ。インプットやアウトプットを通して、自分自身も成長できる。そんな魅力がTwitterにはあると思う。運用の仕方なんて十人十色。目的に合わせて好きなようにやり続けるというのが一番いいことだと思う。
今回のこの体験はあくまで自分がこの4年間でやってきたことをまとめてものにすぎない。正解でもなければ不正解でもない。ただTwitterを運用した結果、自分自身も会社も大きく成長できたことは間違いない。一人でも多くのひとがもっと楽しくSNSを向き合える、そんなきっかけになれば嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。