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社会問題の解決を目指した屋外広告事例5選

デザイン

こんにちは。

トゥモローゲートの意匠制作部でディレクターをしている山下です。
好きな言葉は「推しは推せる時に推せ」です。推していこう。

社会問題の解決を目指した屋外広告事例5選

今回取り上げるのは「屋外広告」です。

駅の看板に商業ビルのディスプレイ、街には屋外広告だらけですね。渋谷のスクランブル交差点なんか凄いですよね。あそこは広告の魔境。田舎者の山下には刺激が強い。

ところで、屋外広告のことをクリエイティブ界隈では「OOH」と呼ぶこともあります。

「Out Of Home」の頭文字を取って「OOH」です。この言葉を初めて知った時「いや別に屋外広告で良くない?」と思ったのは内緒です。「家の外」もクリエイティブにかかれば、こんなにオシャレになる。

そんな屋外広告をいくつかピックアップしよう!というのが本日のブログ。しかしただオモシロイ広告を取り上げてもナンセンスってもんです。

広告、もといクリエイティブにはすべて「目的」があります。ただ作っただけのクリエイティブなんて存在しません。どんなものでも「お店に人を集めたい」や「商品の売上を増やしたい」といった目的があります。要するに「困りごとを解消するため」にクリエイティブはあるんですね。

社会は困りごとに溢れている

そうなんです、社会って困りごとだらけなんです。紛争や環境、資源といった考えるだけで頭がクラクラするような世界的なものから、今日の夕飯はなににしようかなーみたいな個人的なものまで。

しかし、クリエイティブにはそれらを解決する力がある。世のクリエイターはクリエイティブの力を信じている。なので今日は「社会問題を解決するクリエイティブ」を5つ紹介してみようと思います。

社会問題を解決する屋外広告①究極の悩みは街をキレイにできた

いきなりですが「恐竜のいない白亜紀」と「希望のない25世紀」、タイムスリップするならどっちを選びますか?

こんな究極の二択を問いかけてくるのは、なんと「喫煙所」。これは、ポイ捨てをなくす社会の実現に向けた取り組みとして生まれた「ASK THE TOBACCO」。タバコの吸い殻を好きな答えに「投票」することができるんです。

渋谷センター街に設置した際にはポイ捨ての数が90%も減少したそう。まさに街の美化に大きく貢献した施策は、ポイ捨てをエンタメにグッと昇華させる納得のクリエイティブでした。(吸わない人も投票結果が人目で分かるのでシンプルに楽しい)

さらに吸い殻を回収しやすいような使い勝手にも気を配っている徹底ぶり。どれだけインパクトが強かったりイノベーティブなものでも実際に使う人が気持ち良くなければマイナスですしね。

ちなみに山下は「希望のない25世紀」にいきます。

白亜紀には大きい虫がいるから。希望は自分で掴みとるものだから。

社会問題を解決する屋外広告②環境への優しさは財布にも優しいのかもしれない

2,500,000,000。

またまたいきなりですがこの数字が何を指しているかご存知ですか?

実は世界での食品廃棄量なんです。しかも年間。なんと25億トン。ちょっと想像できない。スケールが大きすぎる。これは世界で生産される食品量の25%を占めるらしいです。由々しき事態。

そんなフードロスを少しでも減らそうという取り組みをご紹介します。

仕組みはいたってシンプルです。スウェーデン・ストックホルムのパン屋さんとフィンテック企業が提携し「閉店1時間前の売れ残り商品」を街中のデジタルサイネージでPRするというもの。

しかも商品の割引額も表示。売り切れ情報もリアルタイムで表示。凄い。

この取り組み、個人的には嬉しいなって。

仕事終わりに安いパンを買えるのは財布に優しいし、それだけで足を運びたくなります。「今日はなにが残ってるのかなー」なんて目で広告を見る自分が想像できちゃいます。

フードロスへの貢献も果たしながらお店のファンも作る、つまり売上にも貢献する。

少しドライかもしれませんが、どれだけ社会問題に貢献してもお金に繋がらなければ、よっぽどのことがないと継続できないですからね。これらをすべて満たすこの取り組みは、まさにクリエイティブの真骨頂です。

社会問題を解決する屋外広告③それは本当に「ゴミ」ですか?

個人的にこのビジュアルがとても好き。

こんなに哀愁ある写真が撮れるのってすごい。しかし哀愁を感じるのはキャンペーンの中身を知っているからかもしれない。

見ての通り、もはや説明不要の世界的ブランドIKEAが実施したキャンペーンの広告です。

IKEAが実施したのは「まだ使えるのに捨てられてしまう家具を修理して安値で再販売する」というプロジェクト。毎年廃棄される数百万にも及ぶ家具に対する意識を変えようという考えから行われました。

ビジュアルでは他にもビーチ、埋立地といった場所にポツンと佇むIKEA家具を特徴的に映しています。しかも広告に使ったのは本当に捨てられていた家具たち。そりゃ哀愁も生まれる。

ゴミ捨て場から回収された家具は店舗で中古品として販売。「どこで捨てられていて、どうやって修理したのか」も添えてられていたそうです。

さらにキャンペーンを通して分かったのは、家具のほとんどが「ちょっとキレイにしたり、ネジを数本取り換えればまた使える程度のものだった」ということ。うーん、考えさせられる。

ちなみにこのプロジェクトは、動画でも展開されているのでぜひ。

BGMもあいまって哀愁マシマシです。

社会問題を解決する屋外広告④社会を明るくする「種」を

続いてはイギリスの携帯キャリアが仕掛けた屋外広告。

そもそもこの広告の凄いと思うのは実施したタイミング。なんとこの広告、2020年の夏に掲載されたんです。そう、超コロナ禍です。しかも早々にロックダウンを決断したイギリスで。

ロックダウンの時期ではなかったものの、積極的に外に出ようなんて考える人は少なかったこの時期に実施する大胆さ。そんな社会だからこそ、改めて外にでるワクワク感と冒険心を伝えたかったとのこと。感服です。

さて、ここで唱えたのは地球温暖化の防止。広告タイトルは「GO GREEN」。なんと水につけると食物の種に変わる特殊な紙「シードペーパー」を使ってCO2削減への協力を訴えたのです。

シードペーパーで作られたポスターははがして持ち帰り可能。自宅で育てることでCO2削減に貢献できる仕組みです。さらに、心が荒む時期だからこそ「日々に楽しみを」というメッセージも込められていたとか。

なによりこの広告はすべてリサイクル紙と本物の緑で作られていて、広告制作にかかった二酸化炭素の排出量も相殺されているとのこと。すさまじい。ここまで環境に配慮した取り組みは聞いたことがない。

環境問題と社会の空気という2つの課題にアプローチしたGO GREEN。制作者の執念とも思える意志の強さがインパクトの強いビジュアルにも表れています。

社会問題を解決する屋外広告⑤説明不要。心が動かされるってこういうこと

「社会問題の解決」より「啓蒙」に近いかもしれません。

ただ「このテーマを扱うならこれは絶対に紹介しないと」と思った屋外広告。

Yahoo! Japanが2017年に東京・銀座に掲載した大型広告「ちょうどこの高さ。」

2011年に発生した東日本大震災。同じ高さの津波が銀座を襲ったら。

その強烈さ、恐ろしさをシンプルかつストレートに表現した、あまりにも有名な屋外広告です。

Yahoo!の防災・災害情報提供サービスとしての機能を認知してもらうために制作された広告なのですが、それ以上のインパクト。このブログを書きながら「生きているってそれだけで奇跡なんだな」と思えるメッセージ性。多くを語るのは無粋だと感じたのでこの辺で。

しかし、これはきっと屋外広告だからこそ生まれた気持ちなんでしょうね。

いやがおうにも目に飛び込んでくる力強さが屋外広告にはあります。

屋外広告にしかない魅力がある

さて、「社会問題を解決する屋外広告」を5つ紹介してみました。いかがでしたでしょうか?YouTubeやTwitterといったSNS広告、その他ネット広告とは違った面白さがありますよね。

屋外広告の強みは「実際に体験できること」にあります。

直接見て触れてもらうことで、広告に込めたメッセージを感じ取ってもらう、そんな魅力があるんですね。屋外広告ってスキップできないですしね。

だからこそ、独りよがりのメッセージになった瞬間に誰からも相手をされなくなってしまうのが注意点かもしれません。常に相手目線を忘れずに、寄り添いながら伝えるべき時に伝えるべきメッセージを込めるのが大切です。これからの屋外広告が果たすべき役割もご紹介した5つのクリエイティブから少し見えてきた気がしますね。

アフターコロナも当たり前になって、街にも賑わいが戻って、いろんな屋外広告がこれから掲載されるんだと思うとワクワクします。今度街に出る時は、スマホ見ずに周りを見渡しながら歩くのも楽しいかもしれません。家の外だからこそ発見できるなにかがそこにはあるはずです。

今回のブログでみなさんの屋外広告ライフが少しでも潤えば嬉しいです。

それでは、Out Of Home。

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