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「オフィスにコストはかけるな」内装費用に1億5400万円かけた会社の実情

みなさんオフィスにコストはかけているだろうか?

このブログを見てくれているということは、少なからず「オフィスにお金を使うとどのようなメリットやデメリットがあるのか?」に興味があるのかもしれない。最近ではオフィスを活用したブランディングに力を入れる会社もあれば、逆にオフィスを縮小しテレワーク主体で経費を抑えるという会社も増えている。

オフィス内装費用にかけた総額1億5400万円

これはトゥモローゲートが現オフィスの内装費にかけてきた総額である。もしもこれが大きな会社や、儲かっている会社であれば、「そんなの大した金額ではないよ」で終わる話だが、弊社がオフィス移転をした2018年当時の社員数はわずか15名で年商は約1億5000万円。つまり移転前の年間売上とほぼ変わらない費用をこれまで投資してきたというわけだ。

まずは結論から伝えたい、
「オフィスにコストはかけるな」と。

たった25坪のオフィスから延べ床面積140坪のオフィスに移転、さらに100坪の増床。これだけの大きな投資をオフィスにしたことでトゥモローゲートが得たものと失ったものは何か?ブラックな企業のオフィスの実情を赤裸々に伝えることでみなさんのオフィス戦略に少しでもお役に立てれば嬉しい。

なぜオフィスにお金をかけたのか?

誤解がないように伝えておくと、最初からオフィス内装費に1億5400万円を使ったわけではない。

今から5年前、2019年にまずは今のビル(心斎橋アニーズビル)の2Fに引っ越し、スケルトン状態から内装を作った。その時にかかった費用が約7000万円。そして去年2023年に同ビルの3Fにオフィスを増床し、そこで約8400万円の内装費がかかっている。当時の自分たちからすると分不相応だと思えるほどオフィスの内装にコスト投資した理由。

それは、
「大阪で一番オモシロイ会社をつくるため」だ。

詳しくは以前に僕が書いたブログ「ビジョンとは?組織が強くなるビジョンマップの作り方」を読んで欲しい。2018年に中期ビジョンを設定し、2025年までに中期ビジョン達成に向けてやり遂げることの一つに「大阪でオフィスが一番オモシロイ」という項目を掲げた。そのために実行したがことの一つがオフィス移転だったのだ。

経営陣だけではなく社員を巻き込みつくろう。そう考えた僕らは当時の社員たちと一泊二日の合宿を行い、自分たちのミッション、ビジョン、バリューを共有した上で、ああでもない、こうでもないと言いながら社員企画で新しいオフィスの内装を設計していくことになった。

(写真は2018年オフサイトミーティングで社員からのオフィス案プレゼンの様子)

オフィスにかけた費用の内訳

では、具体的にどのくらいの費用をオフィス内装にかけてきたのか?

一般的に誰もがイメージするようなオフィス家具やデスクが並び、簡易的なパーテーションで区切られるようなオフィス内装費は坪単価10万円~20万円と言われており、坪単価30万円~50万円かけると造作やオフィス家具などかなりこだわったオフィス内装ができると言われている。

さらにこだわり独自の世界観を作りたい場合は、坪単価60万円~80万円とさらに費用をかける会社はある。ちなみに僕がこれまで知っているオフィスで一番お金を使っていたオフィスは坪200万円を超えていた。オフィスの内装費に相場はあれどお金のかけ方は各社それぞれである。

ではトゥモローゲートはどれほどの費用を使って今のオフィスを作ったのだろうか?

売上高1億5000万円で7000万円かけたオフィス(2018年)

まずは2018年に移転した2Fのメインオフィスから。(オフィスの総面積は約100坪)

・造作、水道、電気、内装全般 約4000万円
・防災設備工事(B工事) 約500万円
・オフィス家具費用 約1500万円
・観葉植物空間プロデュース費用 約300万円
・AV家電費用 約200万円
・音響設備費用 約500万円

オフィス内装費用計 約7000万円(坪単価約70万円)

これは当時社員15名の小さな会社でしかない僕たちからするとかなり勝負した金額だった。当然それだけのお金を払えるキャッシュが会社にあるわけはなく、そのほぼすべてを金融機関からの借り入れでまかなったのだ。

一点注意して欲しい。この金額は現在のような円安前の2018年当時の費用であり、資材価格の高騰などを考えると同じものを今同じ価格で作るのは難しいということを頭に入れたうえで参考にして欲しい。

売上高5億円で8400万円かけたオフィス(2023年)

続いて2024年に増床した3Fオフィスについて。(オフィスの総面積は2Fと同様に約100坪)

・造作、水道、電気、内装全般 約4500万円
・防災設備工事(B工事) 約400万円
・オフィス家具費用 約1500万円
・グリーンアート費用 約700万円
・AV家電費用 約200万円
・音響設備費用 約400万円
・キッチン設備費用 約700万円

オフィス内装費用計 約8400万円(坪単価約84万円)

「THE SHOWROOM」というコンセプトで、上記にあるオフィス家具費用(Baum Order Furniture監修)とグリーンアート費用(アネラ マミ山本監修)はコラボレーションとして無償提供してもらい、代わりに大阪ショールームとしてそれぞれ活用してもらっている。

オフィスのど真ん中にはキッチンを置いた。無料の社員食堂を運営することで、社員の健康とコミュニケーションが生まれる場を仕組みとして作ることで、顧客にとってさらに良い提案が生まれる環境を作ることが目的だ。

正直に言うと、3Fオフィスを増床するころには年商が5億円を超えるところまで拡大しており、前回のような大きな勝負という感覚はなかった。この5年間で貯めた会社の利益から全額支払い、金融機関の借り入れをすることもなかったからだ。とはいえ、これまでの利益をさらなるオモシロイ会社づくりに向けた投資であることに変わりはなかった。

オフィスブランディングによるメリット

オフィス戦略は「オモシロイ会社づくり」に向けた数々の施策の中の一つの手段にしか過ぎない。これから伝えるメリットはオフィス戦略だけによって生まれたものではない。ただその中でも、特にオフィスブランディングによる成果が大きかったなと感じた3つのメリットをピックアップしてみた。

売上と利益が伸びた(売上アップ)

得られたメリットの最も大きな成果に売上と利益の伸びがある。

2018年当時の売上が約1億5000万円、そこから2023年度の売上が約5億円と売上は3倍、営業利益に至ってはオフィス移転前と比較して7倍にまで跳ね上がった。なぜオフィスブランディングによってこれほど売上と利益が伸びたのか?そこにはオフィスがもたらしてくれた2つの理由が存在する。

①ホームで営業ができるようになった
②社員のエンゲージメントがアップした

オフィスを移転してからは、商談する場面でも「オフィスを一度見学してみたい」という要望が増えた。移転前はほぼ100%の確率で先方のオフィスに訪問していたが、直接顔を合わせる商談では、オフィス移転後の先方のオフィス訪問率は2割ほどで、約8割が弊社オフィスでの商談となった。営業経験のある人ならわかると思うが、自社オフィスでの商談決定率は圧倒的に高い。

さらに訪問の時間や移動にかかる交通費が削減され、営業効率は飛躍的に高くなった。

またフリーアドレスの導入や、18時以降のバーの無料開放(アルコール含めて無料で飲める)、さらには専属シェフを採用しての無料の社員食堂の運営など、意図的に社員同士のコミュニケーションが活性化する仕組みを作ることで、情報共有や社員同士の思考の伝達が円滑になり、結果顧客に提案する企画やデザインの質が高くなった。

サービス品質が上がるということは単価も上げることができる。移転後の2019年から2023年まで年平均約110%で価格を引き上げていったが、受注は減ることなく増え続けていったのだ。

人材を採用し易くなった(採用力アップ)

採用力がアップしたこともオフィス移転の大きなメリットの一つだろう。

移転前、2018年当時の社員数が15名ほどだった社員数は5年間で48名と3倍にまで増えた。2010年の創業から15名に到達するまでに8年間かかっているという過去の数字からすると大きく人材が増えていることがわかる。

当時広告媒体や人材紹介会社を活用しての採用がほぼすべてだったものが、直近の採用割合ではYouTubeやXなどのSNSでの採用が約6割、リファラルでの採用が3割、求人広告・人材紹介会社からの採用が1割にまで変わった。

採用活動において、会社のアイコン的な存在となったのがオフィスである。

働く場所というのは採用訴求としては目に見えてわかりやすい。Webサイトでも積極的にオフィスを発信し、さらにはそこで働く社員の仕事密着動画などをSNSなどで配信することで、より会社の中身や仕事を理解してもらえるようになった。もしも現オフィスがなければ、今ほどトゥモローゲートのことを知ってもらえることはなかっただろう。

会社の認知が拡大した(広報力アップ)

会社のアイコンとしてのオフィス活用は採用にとどまらず広報的な側面でもメリットとなった。

2023年に開催されたワールドカップやWBC開催時には、会社を休みにしたり、一部時間を短縮し大型スクリーンで食事をしながら社内パブリックビューイングを実施することで10社以上のメディアに取材されることとなった。(以前のオフィスであればそもそもパブリックビューイングをすることすらできなかった)

会社の公式な発信の多くにオフィスが映り込み、採用活動でも得られた「こんなオモシロイ会社あるんだ」が採用だけではなく幅広い認知向上に寄与したことは言うまでもない。XやYouTube、Tiktokで発信したオフィス紹介動画は200万回再生を超え、採用面だけではなく広報面においても大きな成果を残してくれた。

オフィスブランディングによるデメリット

ここまでメリットについて伝えてきたが、逆にデメリットについても伝えておきたい。こちらもメリット同様にオフィス戦略を考える上で大切な項目であるので参考にしてみて欲しい。

お金がかかる(月々の固定費が増えた)

オフィスブランディングにおいて最もハードルが高いのがコストだろう。

当然ながら、オフィス内装にこだわればこだわるほどお金がかかる。さらに大きく内装に手を加える時というのは、弊社のように移転のタイミングであることが多い。内装費用だけではなく、新しいオフィスの敷金や礼金、オフィス面積を拡大したことによる家賃の上昇など、オフィス戦略による成果を得るより前に先立つお金が必要になる。

以前にいた僕らのオフィスの家賃は25坪で月間約30万円ほど。それが今では10倍近い家賃が必要となっている。

利益を出すためには、「売上を上げるか」「経費を下げるか」このどちらかが求められる中で、オフィス移転やオフィス内装費は月々の固定費にダイレクトに反映される。広告投資や設備投資、仕入れ原価を除けば、次に経費としてかかるのは人件費や家賃(オフィス内装費の減価償却含む)となるからだ。

ポリシーやデザインに比重を置くほど機能性がなくなる

自分たちのポリシーを体現してもらえる環境を作るために、とにかくオフィスの細部に至るまでこだわり抜いた。実はそこで生まれた弊害もあった。それが「オフィスの機能性」である。一般的なオフィス家具は、仕事がやりやすいことを前提に考え抜かれて作られている。オフィスチェアは当たり前のように昇降するし、デスクも十分な広さと収納の多さなど快適に仕事が進められる工夫が随所にちりばめられている。

トゥモローゲートには既製品のオフィス家具はほぼない。

例外があるとすれば、アーロンチェアを15台ほど置いていることくらいだろう。それ以外はすべて造作で設計している。サイズはぴったりだし、空間と調和するデザインになっている。ただ昇降しない椅子もあるし、キャスターがついていないものもある。仕事をするうえで必要な数は揃えているが、OAフロアではないため一般的な会社と比べて電源の数にも限りがある。

オフィス家具の快適性を保ちながら独創的なオフィスを作る。これは一見相反する内容となるため、仕事の生産性が落ちることのないようバランスよく注意しながら内装設計をしていく必要があることを頭に入れておいて欲しい。

結論、「オフィスにコストはかけるな」

ここまでトゥモローゲートのオフィス戦略の実情について伝えてきた。

もしかするとデメリットもあるが、それ以上のメリットがあったように映ったかもしれない。では冒頭に伝えた「オフィスにコストをかけるな」の意味とはなんだろうか?

コストとは必要なものを生み出すために必要な費用のことだ。自動車を作るためには部品や組み立てるための工具など絶対に欠かすことのできないコストが発生する。一般的には今回のオフィスもコストとして捉えられることが多いだろう。そこで視点を少しだけ変えてみて欲しい。

オフィス戦略はコストではなく、
未来への攻めるべき投資である、と。

事業を継続するために必要な費用がコストであるならば、オフィス戦略は将来の売上や採用を生みだすことを目的とした攻める投資なのである。ただコストを抑えればいいとか、ただコストを使えばいいとかそんな簡単な話ではない。目的のない見た目だけのオフィスこそ、ただのコストにしかならないからだ。

ここで伝えたオフィス戦略は、「オフィスを持つこと」も「オフィスを持たないこと」も含めてのオフィス戦略だ。すべての会社がオフィスに投資すべきという話がしたいわけではない。オフィスは最低限に抑えてリモートワークでいつでもどこからでも働く環境をつくる、この考え方も経営の一つの選択肢だろう。

大切なことは自分たちのビジョンと働く環境がフィットしてるかどうか。

実はまだオフィス戦略について伝えきれていないことが沢山ある。直接質問してみたいこともあるかもしれない。もし興味があれば、4月25日にオフィス戦略について考えるオフラインイベントを予定しているのでぜひ参加してみて欲しい(定員になり次第締切)。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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