
正直に聞かせてください。
AIが一瞬で出したデザインを見て、胸の奥がヒヤッとしたこと、ありませんか。
「あれ?これ、昔に自分が何時間もかけてやってたことだよな」って。
僕はあります。何度もあります。
この記事は、AIの登場で「このままで大丈夫だろうか」と、夜にふと不安になることがあるあなたに向けて書いています。煽るつもりも、慰めるつもりもありません。ただ、同じ景色を見ている一人として、これからの話をさせてください。
申し遅れました。トゥモローゲートでWebデザイナーチームのリーダーをしている久米川です。AIにデザインを奪われる側じゃなく、AIを相棒にする側にどう回るか、それをずっと考えてきた一人として、書きます。
その不安は、正しい
まず、目をそらさずに置いておきます。
世界経済フォーラムが1,000社・55カ国の経営者に聞いた調査で、グラフィックデザイナーは「これから最も速く減っていく職種」に名前が挙がりました。前回まで「ゆるやかに伸びる仕事」だったのに、です。理由は、もちろん生成AI。
だから、不安になるのはおかしいことじゃない。むしろ、ちゃんと現実を見ている証拠だと思います。「自分は大丈夫」と言い聞かせて目を閉じるより、ずっと健全です。
ただその不安、向けている方向が少しだけずれているかもしれません。
消えるのは「作業」であって、「あなた」じゃない
同じ調査の、別のページにこう書いてあります。
UI/UXデザインは、「これから最も速く伸びる職種」のトップ10入り。
おかしいですよね。片方で減って、片方で伸びている。これが何を意味するか。
減っているのは「デザイナー」じゃないんです。
「言われた通りに、きれいに整える作業」が減っている。
そして伸びているのは、「何を、なぜ作るのかを決める仕事」のほう。
Figmaが世界2,500人に聞いた調査でも、78%が「AIで効率が上がった」と答えています。もう、速くなったかどうかは論点じゃない。速いのが当たり前になった世界で、何を作るかを決められる人だけが残っていく。そういう話です。
AIは、きれいな案をいくらでも出してくれます。
10案でも100案でも。
でも、AIには絶対に言えない一言があります。
「これにします」
なぜこれなのかを語れること。クライアントやチームを、言葉で動かせること。Figmaの最新の採用調査でも、「誰でも作れる時代だからこそ、最後に基準を引き上げられる人。目利きと判断を持つ人が一番求められている」と書かれていました。
手を動かす人から、決められる人へ。その椅子は、まだ空いています。
ただ、その椅子は、みんなが目指します。アートディレクターへの道。クリエイティブディレクターへの道。これからは、ある種、ディレクターが増えていく。そう予測することもできます。

では、ディレクターには進まないデザイナーや、他のクリエイターは、どうすればいいのか。
考えて、考えて、僕は一つの答えにたどり着きました。
AI時代のデザイナーの市場価値は「掛け算」で決まる
AIがどれだけ進化しても、成果につながるWebデザインができる人が、まだまだ必要なのは事実です。ただ、その枠に収まっていると、これからのAI時代、戦いづらくなる可能性もあります。
だからこそ今後のデザイナーに必要なのは「複数のスキルを掛け合わせて、自身の価値を高めること」です。
一つの分野で日本一にならなくてもいいんです。
しんどいし、AIがすぐ追いついてくる。
そうじゃなくて、スキルを掛け合わせて「替えのきかない一人」になる。これをスキルスタッキングと言います。各スキルが80点でも、3つ掛ければ「この組み合わせ、他にいない」という状態が作れる。
スキルスタッキングの作り方
やり方はシンプルです。
Webデザインを軸に、そこへあと2つ足すだけ。
足す候補はいくらでもあります。
- マネジメント / 経営
- アート / イラスト /
- サブカル (アニメ、映画、漫画)
- SNS / マーケティング
- 地方
- 特定の業界 (医療、観光、飲食など)
例えば、こんな掛け算です。
「Webデザイン × 経営 × マネジメント」
事業の数字がわかり、チームも動かせる人
「Webデザイン × 地方 × SNS」
地域に深く根ざして、発信で人を集められる人
「Webデザイン × SNS × AI」
自分で発信でき、AIを使い倒して量も速さも出せる人
「デザインが上手い」だけの人は、正直もう飽和しています。でも「デザイン × 〇〇 × 〇〇」まで来ると、ほとんどいない。違いは、才能じゃありません。掛け算をしているかどうか、それだけです。
そして、その2つは、もっと身近なところにあります。あなたが昔から好きだったこと、つい時間を忘れてやってしまう”癖”、アニメやゲームに異常に詳しいとか、人の話を聞くのが好きとか、地元のことなら誰より語れるとか。
そういう「自分のクセ」こそが、他人には真似できない、掛け算の一辺になります。
強みは、探しに行くものじゃなくて、もうあなたの中にあるんです。
たった一行にすると、こうです。
ただのWebデザイナー → Webデザイン × 〇〇 × 〇〇 のデザイナー。
この「〇〇」を、自分の好き・詳しい・得意から決められる人が、これから一番強い。
下記の図のように「自分には何ができるか、今後身につけたいものは何にか」「自分は何が好きか」など一度考えてみるもの自身のキャリアを考えるきっかけになるかと思います。

最後は、あなた自身がブランドになる
もう一つだけ、夢のある話を。
僕たちデザイナーは、ずっと誰かのブランドを作ってきました。企業の、商品の、誰かの「らしさ」を見つけて、形にする仕事です。
その力を、今度は、自分自身に使ってみませんか。
個人が発信できるSNSの時代が来て、AIで発信の質も均質化して、最後に残る差は「誰が言うか」だけになりました。次に来るのは、人格や世界観そのものが価値になる時代です。
ブランドを作れるデザイナーが、自分をブランドにできたら。それはきっと、AI時代のデザイナーにとって、一番おもしろいキャリアになる。少なくとも僕は、本気でそう思っています。

最強の時代は、これからです
ここまで読んでくれたあなたは、もう気づいているはずです。不安の正体は、「AIに奪われること」じゃなくて、「自分がどっちに進むか、まだ決めていないこと」だったって。
決めるための最初の一歩として、よかったら自分の手札を並べてみてください。Webデザインに、自分は何を掛け合わせられるのか、好きなこと、詳しいこと、つい掘ってしまうこと。紙に書き出してみるだけで、何を掛け算すべきかが、驚くほどはっきり見えてきます。
そして、もし「それ、自分のことかもしれない」と少しでも思ったなら一度、話しに来ませんか。
正解を教える場じゃありません。あなたの手札を一緒に並べて、どう掛け算するかを考える。ただ、それだけの時間です。でもその時間が、たぶん、これからのあなたのキャリアを変えます。
あなた自身の個性や強みも掛け合わせた、唯一無二のオモシロイWebデザイナーになりたい人、私はそうだ!と思った人はぜひ一緒に働きませんか?少しでも気になった方は、採用情報を覗いてみてください。
久米川 裕二
トゥモローゲート株式会社 意匠制作部 サブマネージャー。 WEBデザイナー兼アートディレクター。15歳からデザインを学びはじめた自他ともに認めるデザインオタク。企画、構成、コーディング 、ディレクションも手掛ける。大手デザイン会社から2020年にトゥモローゲートに入社。
TEL 06-7167-3950


