企業ブランディングに欠かせない「ステートメント」とは?

ブランディングとステートメント

ステートメントとは何なのか

突然ですが、皆さんは『ステートメント』をご存じでしょうか?

スローガン』や『コーポレートメッセージ』などと同じ意味合いで使われるこの言葉。

試しに『ステートメント』と辞書で引いてみると『声明』や『宣言』などの意味が出てきますが、実は『ステートメントとはこういう意味だ!』という厳密な定義はありません。

広告・ブランディング業界でもさまざまな意味合いで『ステートメント』という言葉が使われています。『ブランディング ステートメント』で検索すると企業のスローガンとなる1行を「ステートメント」と称している場合もあれば、新聞広告の文章を「ステートメント」と称しているケースもあります。

今回の記事ではそんなステートメントを「企業のビジョンを宣言する文章」と定義し、実際の企業のステートメントを紹介しながら、企業ブランディングに欠かせないと言われるステートメントの理解を深めていくことを目指します。

写経でステートメントを学んでいく

自分が書いたステートメントを紹介したいのですが、まだまだ僕は実績のない新人(入社したての僕が悪戦苦闘している様子はこちらから)。そのため広告・ブランディング業界で「すごい」と言われているステートメントを事例にあげていきます。

実際に手を動かすことで、なぜこの文章が書かれたのか、どんな想いが込められているのかなどをより深く理解できるため、駆け出しコピーライターの僕はよくステートメントの写経をしています。

今回はその写経を通じて皆さんと一緒にステートメントを学んでいければと思います。

ステートメント事例①サントリー

(出典:https://www.suntory.co.jp/enjoy/inshokuten/ )

サントリーはご存知の通りビールの『プレミアムモルツ』などを販売している飲料メーカーです。当然、飲食店との関わりも深い企業。そんな会社が2022年2月、つまりコロナ禍から立ち直りかている時期に発信したステートメントがこちらです。

「たくさんの人が笑っている愛すべき風景を支え、共に生きていきたいと思います。」という温かくも心強い一文からは『コロナ禍の飲食店に寄り添いたい』というサントリーの決意を感じ取ることができます。

最近このポスターが貼られている飲食店をよく見かけます。経営に苦しんでいる飲食店の経営者の立場になって考えてみると…自分たちの存在意義をSUNTORYは「わかってくれている」と感じるのではないでしょうか。

実際こちらのニュース記事では、このステートメントを表明してから飲食店を経営する家族から長文の感謝メッセージが送られてきたというエピソードが紹介されています。

ちなみにサントリーには「水と生きる」という有名な企業理念がありますが、その中の一つに「社会にとっての水となる」という一節があります。

社会への思い ~社会にとっての水となる~

水があらゆる生命の渇きを癒し、潤いを与えるように、お客様や社会にとって

価値ある商品やサービスを通じて、人々の豊かな生活文化の創造に貢献していく。

出典: https://www.suntory.co.jp/company/philosophy/

サントリーの掲げる「生活文化」に飲食店は含まれているはず。「C.C.レモン」や「プレミアムモルツ」などの製品を製造し続けてきたサントリーだからこそ、コロナ禍の飲食店を想い、このようなステートメントを世の中に発表したのでしょう。

ステートメント事例②ソフトバンク

(出典:https://www.softbank.jp/corp/philosophy/ )

続いてはソフトバンクのステートメントです。添付写真に書いてある文章は僕が「映像のナレーションを文字にしたもの」なので、お時間ある方はリンクから動画を見てみてください。

ソフトバンクのコーポレートサイトにはステートメントと呼べそうな文章がたくさん掲載されています。その中でも自分が一番ぐっときた文章を今回はピックアップしました。

さてこのステートメント。

最初に紹介したサントリーのステートメントとは文章の雰囲気が大きく違うことが分かりますか。「です・ます調」と「だ・である調」の違い?もちろんそこも違いますが、もっと重要なポイントがあると僕は思います。

これまでの「環境破壊」や「いくつもの戦争」を嘆く淡々とした語り。

「何かを改善することが、何かを悪化させることのないように。」という決意。

デジタルの力を信じて社会を作っていく、力強い意志を記した終盤。

どれも、先陣を切ってデジタルで世界を改善し続けているソフトバンクにしか書けないものでしょう。

「どう語るか」と「何を語るか」

両軸でブランドの『人格』はつくられていきます。ステートメントには「その企業らしさ(人格)が現れているか?」がとても大切。人格のない文章はどこか無機質で、感情に訴えかける力がありません。

ちなみにこのムービーは株主総会で初披露されたそう。

「上がりそうな株ではなく、応援できる会社の株を買う」と言う投資家の方が多いと聞きます。その点このステートメントは投資先の未来に期待を抱いてもらえる力を持っていると感じます。

ステートメント事例③大林組

(出典:https://www.obayashi.co.jp/company/brandvision.html )

3つ目は大林組のステートメント。

大林組は建設業界上位の売上高を誇る「スーパーゼネコン」です。先ほど紹介したソフトバンクやサントリーのようなBtoC企業とは異なり、一般的な消費者との関わりが少ないBtoB企業。

それでもステートメントをコーポレートサイトに掲載しているのは採用ブランディングやインナーブランディングにおいてステートメントは欠かせないと感じているからではないでしょうか。

採用ブランディングとは?
インナーブランディングとは?

さて大林組についてもう少し深く調べてみましょう。

大林組は1892年『阿部製紙所』の工場建築の受託を皮切りに、大林芳五郎が「大林店」を設立したことで誕生します。130年以上の歴史がある建設会社という事になりますね。

それ以来、阪神電車甲子園大運動場(現在の阪神甲子園球場)から六本木ヒルズまで、革新的な建築物を多く手掛けてきました。

そう考えてみると『次の、大林組へ』という締めの一節も、ずいぶん深い言葉に見えてくるのではないでしょうか。

建設業界の雄が掲げるものづくりの『次』とは何なのでしょう。

コーポレートサイトによると大林組は再生可能エネルギーやアグリ・バイオビジネスなど新領域のビジネスへの進出をはじめているそうです。

このステートメントは「これまでの歴史にとらわれないぞ」という大林組ならではの意志を社員や求職者、株主に強く示した宣言なのかもしれません。

僕は就活時代、「歴史のある会社は挑戦に否定的なのではないか?」という偏見を持っていました。そんな中で大林組のようなステートメントを目にしたら、偏見を持っていた自分が恥ずかしくなると思います。

強烈な宣言文を出すことであらゆるイメージを変えていく。ステートメントにはそんな力もあるのだと、この記事を書いていて思いました。

ステートメント事例④ファーストリテイリング

(出典:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/ )

株式会社ファーストリテイリングの『サステナビリティステートメント』。

株式会社ユニクロなどを傘下に持つファーストリテイリングが、持続可能な開発に向けてどのような取り組みをしていくのかを宣言した文章です。

「環境」という1つの分野にターゲットを絞ったステートメントのため、これまで紹介したものとは毛色が違うように見えます。しかし『企業の(環境に対する)ビジョン表明』という点では共通しています。

大林組やソフトバンクとは違って「ですます調」で構成されているファーストリテイリングのステートメント。日常生活に身近な商品を提供している企業だからこそ、やさしくて丁寧な人格形成を意識されているのかもしれません。

自分たちの信じるものを、飾らず、まっすぐに語る言葉が印象的。

シンプルで、上質で、長く使える性能を持ち、あらゆる人の暮らしを豊かにできる服。」という一節には、安くて品質のいい服を提供し続けているユニクロのプライドが表れています。

このステートメントは、「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」というミッションを掲げるファーストリテイリングにしかできない宣言と言えるでしょう。

ステートメント事例⑤Honda

(出典:https://www.honda.co.jp/HondaHeart/about/carbon-neutral/ )

最後はHondaのステートメント。キャッチコピーが「2050年、Hondaは全活動のCO2排出量を実質ゼロにする。」とは、また堂々たる宣言です。

少し前、HondaのF1撤退が話題になっていましたが、これがまさに「脱炭素」を目的としたもの。いかにHondaが「CO2排出量ゼロ」の目標と真摯に向き合っているのかが分かります。

読み進めていくとこのステートメントには随所から「Hondaらしさ」を感じ取ることができます。

「無理だと言われたら、チャンスだ。」
「手に負えないことにチャレンジしろ。」
「人類のために難しい事をやるのが、Honda だ。」

畳みかけてくるような意思の連続にHondaらしさを感じます。

「自転車にエンジンを取り付ける」事でスタートした町工場から、数々の不可能を可能にし、ここまで登り詰めたHonda。「難問を愛そう。」というキャッチコピーには、Hondaがこれまで挑んできた難問の歴史、そして「CO2排出量ゼロ」というこれからの難問への決意が刻まれているわけですね。

もし僕がHondaの社員さんだとして、これを読んだら。

明日からの仕事を、もう少しだけ頑張ってみようかな。

そう思わせる力がこのステートメントにあると思います。

ステートメント事例⑥トゥモローゲート

最後は弊社トゥモローゲートのステートメントを紹介したいと思います。

人はストーリーに弱い生き物です。強豪校よりも、狭い練習場から勝ち上がってきた地域の公立高校に応援したり。最年長でM-1決勝に挑んだ錦鯉を応援したり。

そんなストーリーの力を活かしたのがこのステートメントではないかと感じます。

“自社自賛”になってしまいますが、初めてこのステートメントを読んだ時、トゥモローゲートの社員としてテンションが上がった事を覚えています。

「世界一変わった会社をつくる」歴史の途中に自分という存在が含まれているという実感、という表現が一番正しいかもしれません。

「そこまで考えてるのはお前だけだろ」と言われそうですが、自分の勤めている会社のストーリーに自分が含まれていることは嬉しいことだと当事者として思います。

もちろん、トゥモローゲートのコーポレートサイトに訪れていただいたお客様に、弊社の目指す場所やストーリーを語ることで、興味を持ってもらえるという効果もあるでしょう。

Hondaのケースもそうでしたが、ビジョンを宣言することで社内外の様々な側面からメリットを得ることができる。そんな力がステートメントにはあると身をもって思っています。

ステートメントは難しい。だから心に響く

企業に人格を与え、読む人に語りかけることで、これまで伝えられていなかった部分を魅力的に伝えていく。コーポレートサイトやパンフレット、新聞広告など発表する場所はどこでも構いません。

自社のビジョンを「ステートメント」として伝えることで社内外のファンを増やすことができるはず。現にこの記事で紹介した企業様にはたくさんのファンがいらっしゃいます。

自社のブランディングに興味を持っている方にとってこの記事がなんらかのきっかけになれば幸いです。この世に魅力的なステートメント、魅力的なブランドが一つでも増えますように。コピーライター見習いの僕も頑張ります。