ミッション、ビジョン、バリュー。それぞれの違い言えますか?

会社経営におけるミッション、ビジョン、バリューの違い

こんにちは。西崎隼平です。

最近はブランディングや経営理念についての講演や取材、執筆を依頼されることも多くなってきました。これも皆様がブログを読んでくれるからこそ。本当にありがたい限りです。なので調子に乗って今日も経営理念について書こうと思います。例のごとく難しい言葉は使わずに、分かりやすく説明することを心掛けますので皆さん、ぜひお付き合いください。

早速ここで問題。皆さん、

経営理念って何ですか?
MISSION、VISION、VALUEってそれぞれ何が違うんですか?

これを聞いてドキッとした方、このブログを読んだあとは自信満々に語れるようになるはずです。

今日はこの企業理念の構造について書いていきます。

経営理念にルールはあるのか?

これ、経営理念を気にしたことがある人は一度は調べたことがあるんじゃないでしょうか。かく言う私も何度もググりました。そこから得た結論。

正直言ってルールなんてありません。

厳密に言えば、いろんな人がいろんなことを言っているので、どれが正解なんてない、というのが正しいですね。経営理念には本当にいろいろな定義が存在します。そもそも、その言い方も様々。「経営理念」「MISSION、VISION、VALUE」「社是・社訓」「ミッションステートメント」「クレド」「フィロソフィ」・・・

他にもたくさん言い方はあります。その中でもまずは「経営理念」について見てみましょう。以下はいろんなサイトで調べてみた一例です。

経営理念とは?

ー経営者の経営哲学や信念、行動指針や目的などを明文化し、その企業が果たすべき使命や、基本姿勢などを社内外に向けて表明するものであるー
<引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>

ー経営者が経営活動を通じて実現しようとして抱懐している信念、信条、理想、イデオロギーなどの価値をいうー
<引用:コトバンク

ー組織の存在意義や使命を、普遍的な形で表した基本的価値観の表明ー
<引用:goo辞書

全部同じことを言っているようにも見えますし、微妙に意味が違うようにも見える。経営理念以外の言葉も似たようなものです。言い方だけでなくその定義も曖昧です。だからわけが分からなくなるんです。なので、私たちは自分たちで勝手に決めました。

「え?」と思われるかもしれませんが、それでいいんです。なぜなら、どこの誰だかわからない人が決めたことに則って、会社にとって重要な経営理念がよくわからないものになるくらいなら、自分たちで勝手に決めてチームみんなで同じ方向に進んでいけた方が100倍いいからです。

ただ、ひとつだけ言っておきます。ハッキリと定義することは忘れないでください。これは絶対に。

定義することの大切さ

なぜ定義しなければならないのかというと、定義があいまいなものに対して人は動けないからです。自分ひとりで自由に動くだけであればあいまいでも結構です。ただ、経営理念をつくるということは仲間がいるはずで、その仲間がしっかりと理解できて動けるものでないと意味がないんです。

社員A「社長、経営理念って何ですか?」
社長「会社が大切にしていることだよ。」
社員A「なるほど!勉強になります!経営理念の中にMISSIONって掲げてますが、それはどういうことですか?」
社長「MISSIONも大切にしていることなんだ。」
社員A「経営理念とMISSIONは何が違うんですか?」
社長「うーん、どちらも大切にしていこうよ。」
社員A「そうですね!」
社長・社員A「わはははははは・・・・」

はい。説得力に欠けますね。

あいまいな定義で経営理念を設計すると、そこから生まれた言葉同士の境界線も必ずあいまいになります。どちらも同じことを言っているように見えて重みがなくなります。

だからこそ、「これは〇〇だよ」としっかり言えることって大切なんです。

MISSION、VISION、VALUEを定義した事例

それではいろいろなものを参考にして決めた私たちトゥモローゲートの経営理念を例にとって、定義について説明します。

弊社では「経営理念」も「企業理念」と同義語として扱っており、MISSION、VISION、VALUE全てを指しています。MISSION、VISION、VALUEをピラミッド型で表記する会社もありますが私たちはすべてを並列させています。「どっちが先か」とか「どっちが重要だ」ということはなく、それぞれ役割が違うんです。

MISSION:存在意義

自社が世の中に存在している意義。果たしていくべき使命。提供し続ける価値を指します。「世の中に存在していい理由なんて人から決められるものではなく、自分で決めろ。」というのも一つの考え方ですが、こと会社においては社会から求められなければいけません。周囲から受け入れられなければ会社は存在し続けることができません。そのために日々の仕事の中で意義や使命を意識し、これを提供し続けることが大事なんです。

VISION:目指す方向性

MISSION を提供し続けた結果どうなりたいかという、追い続けるゴールを指します。このゴールに近づけるかどうかが経営判断の基準になってくるので、すべての業務がこのゴールに繋がっている必要があります。

VALUE:守る価値観

MISSIONとVISIONをどんな姿勢で取り組むのかを指します。MISSIONを全うし、VISIONが達成できればやり方は何でも良い…わけではありません。メンバーそれぞれが個人としてこの価値観を守り、体現した結果、MISSIONを全うし、VISIONを達成すること。これが大事なんです。

MISSION、VISION、VALUEそれぞれの役割が明確になると定める言葉の解像度が上がります。定義が明確になれば分わかりやすくなりますし、考え抜いたからこそ自信満々に言えるので説得力も強いです。ただ、冒頭でも言いましたが、絶対にこの定義でなければならないなんてことは全くありません。良いんです。自分で決めてしまえば。

経営理念は何から生まれるのか

企業において、経営理念の多くは会社の意思決定に大きな影響力を持つ人(多くの場合は経営者 になるかと思います。)の原体験から生まれてきます。「原体験」とはその人の過去の経験の中で特に”現在の思想形成に大きな影響を与えたもの “です。これがその人の価値観の源泉となります。この原体験から、自分たちはどんな価値を提供し、どこを目指すのか。そのためにはどうあるべきで、何にこだわり、何をやるのか。これを明確にしていきます。

これを、原体験を無視して思ってもいない綺麗ごとを並べてしまうとどうなるでしょうか。人は思ってもいないことを心から体現することはできません。パフォーマンスとして意図的にできたとしても、すこしでも無意識の領域に入ったときに必ずズレた行動をしてしまいます。「いまある自然を後世に残す」と言っている人が、退勤後にゴミをポイ捨てする。そんなハリボテな会社の経営理念に社員は共感しませんし、お客様もついていきません。

そんなことについて過去のブログで詳しく書いているのでお時間があればぜひ。

【過去ブログ】理念で嘘はやめた方がいい

経営理念を作る手順

手順についてもルールが決まっているわけではありません。原体験から自分たちの価値観(VALUE)が決まっていて、その価値観から世の中に何を提供していくのか(MISSION)、どこを目指すのか(VISION)を考えていったケースもあれば、VISIONが明確にあって、そのためにMISSIONを定め、自分たちらしくやるためにはどうするのかということをVALUEにまとめていくケースもあります。それ以外にも、全く何も定まっていない状態からMISSION、VISION、VALUE を明文化していくというのも多分にあります。

ただ、必ず意識していただきたいのが、何を明文化しているのかという意識(MISSIONなのか、VISIONなのか、VALUEなのか)と、本気で思っていることを形(こだわれるもの、普段からこだわっているもの)にするということ。この二点を抑えるだけで理念は分かりやすくなり、説得力は増し、アクションとして体現されやすくなります。

理念の言葉自体は非常に定性的である場合が多いです。例えばうちの場合「世界一変わった会社で、世界一変わった社員と、世界一変わった仕事をつくる」というビジョンを掲げています。ここで使われる「変わった」という言葉は「オモシロイ」と同義語で使っているのですが、「世界一変わった」がどういうことか次第で、目指す方向性が大きく異なります。そのため「変わった(オモシロイ)」とは何かを方程式にして補足し、より理解を深めています。

この「変わった(オモシロイ)」をハッキリ定義しておかないと、同じビジョンを掲げていてもメンバーそれぞれが違う方向を向いてしまっている、ということもあり得るのです。

そのうえでもう一つ大切になるのが”キャッチー”であること。自社の方向性がある程度固まったら、内容はそのままに、言葉を差別化していきましょう。差別化されていない言葉は覚えにくく、忘れられがちで、定着するまでに時間がかかります。下手したら定着せずに消えていってしまう可能性もあります。

「社会に貢献する仕事をする」

悪くはありません。ただ、ほかの会社も言ってそうな言葉ですよね。このように、どこにでもあるような言葉を設定してしまうと、普段の会話の中で使いづらくなったり、使ったとしても相手に刺さりにくくなります。刺さりにくいからこそあまり言わなくなり、言わなくなるからこそ意識が薄くなるという悪循環を生み出してしまいます。

例えば生活用品のメーカーの場合。「社会に貢献する仕事をする」「家事を今より一歩楽しく」だとどうでしょうか?より具体的にターゲットがイメージしやすくなりませんか?そのイメージが具体的なアクションにつながり、新たな商品を作る際にも「家事が今より楽しくなっているか」を基準にアイデアを練ることができます。

もちろん言葉のインパクトが強ければそれでいい、というわけではありません。ただ、経営理念を定めることのゴールは、チームメンバー全員が意識して同じ方向に進めるようになること。そのためにキャッチーな言葉が一役買うのであれば徹底して意識すべきです。言うべきことが決まった後にはぜひ”キャッチー”にすることも意識してみてくださいね。

まとめ

今日は経営理念の定義~構築手順について書きました。最後に今日の書いたポイントについてまとめます。

■ルールにとらわれず、チームが体現できる理念を目指す
■定めた言葉が何なのか、位置づけを明確にする
■原体験に則って、絶対にやっていくと思えるものを明文化する
■補足を入れるなどして捉え方に差が生まれないようにする
■キャッチーにすることでより活かせる経営理念に

調べれば調べるほど何が正解なのか分からなくなるのがこの分野です。いろいろと書きましたが、自分にフィットしそうなものを取り入れて試してみる、くらいの感覚で見てもらえるだけで十分です。世間で「正解」と言われる経営理念を定めるのが目的ではなく、自社で一番しっくりくるものを見つけて「これだ」と覚悟を決める。その覚悟が理念を推し進める原動力になります。

ウチの会社も理念は創業当時からありましたが、誰もが迷わないように明文化しようと再定義したのはたった4年前。そこから会社が大きく変わりました。求職者のエンゲージメントが高まり、顧客からのブランド認知も強くなり、新規のご依頼も増え、リピート率も向上し、売り上げも大きく増加しました。もちろん、すべて理念のおかげとは言いませんが、会社の成長につながったすべての判断は理念をもとに下されたものだとは言い切れます。

このブログが皆さんの何かしらの「きっかけ」になることができたのだとしたら、嬉しすぎてまた頑張ってブログ書けます。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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