トゥモローゲートが企画・制作をさせていただいた『SUNWOOD(サンウッド)株式会社様』の採用パンフレットが『2022日本BtoB広告賞 入社案内の部』で銅賞を受賞しました。サンウッド株式会社様、選んでいただいたBtoB広告賞関係者の皆様、この場を借りて感謝の言葉を伝えさせてください。ありがとうございました。
今回のブログではサンウッド株式会社様の採用パンフレット制作の裏側をご紹介します。そもそもなぜ採用パンフレットを制作することになったのか。どのようなコンセプトを設定したのか。デザインやライティングにはどのようなこだわりを込めたのか。そのあたりをお伝えしていきます。
サンウッド株式会社は福岡県福岡市で水産仲卸業と飲食事業を行っている会社です。福岡市の長浜鮮魚市場をはじめとする市場から魚を仕入れ、加工し、提携する飲食店へ発送。自社経営の飲食店でもその魚を仕入れて提供することで、多くの人に鮮度の高い魚を届けています。
ただ事業を行っているだけでなく、旧態依然とした側面のある水産業界を変えるため、ビジョンに「日本の水産業界の革命家」を、企業コンセプトに「最高鮮度のIKIGAIを」を策定。それらに沿って事業面や人材面などあらゆる面において業界の常識にはない取り組みに挑戦されています。
そんなサンウッドは“会社の魅力に強く共感してくれる人の採用が思うようにできていない”という採用課題を抱えていらっしゃいました。求職者からの応募は集まり、入社まで至るケースは多くあった一方、すぐに退職してしまうという「離職率の高さ」が悩みの種でした。
その原因は、仕事内容、ビジョン、人などの魅力をしっかりと伝えられていないまま採用活動を行っていたこと。ここを解決するために採用ブランディングプロジェクトをスタート。「求める人物像に適切なアプローチをする」「会社の理念をしっかりと伝える」この2点を軸にブランディングを展開していきました。
今回、BtoB広告賞を受賞した採用パンフレットも、この採用ブランディングプロジェクトの一環で制作しました。ここからはその採用パンフレットの制作の裏側について書いていきます。
採用コンセプトは「つぎは魚で熱くなれ。」
ターゲットは体育会系の人材。そんな方々に向けて、サンウッドの仕事が、かつて熱を注いだスポーツのように熱くなれる仕事であることを伝えるために、このコンセプトを策定しました。
コンセプトに沿った採用パンフレットのカタチを模索する中、サンウッドで働く人の大半がスポーツ経験者だったことが判明。そこで、スポーツの現役時代と現在の姿を織り交ぜたパンフレットを制作する方針に決定しました。また、人の魅力を最大限伝えるための手段として雑誌風の仕様・デザインを採用することもこの段階で確定させました。
サンウッドの本社近くにある陸上競技場、野球場、テニスコートなどをレンタル。陸上のバトンは鯛、野球のバットはサワラなど、それぞれのスポーツの道具を魚にすり替えることでコンセプトの「つぎは魚で熱くなれ。」を表現する写真を撮影していきました。
この撮影にはデザインの知見もある弊社のクリエイティブディレクターも同席。
インパクトのある写真を撮影するだけでなく、コピーライティング、デザインを想定したカットも数多く収めるなど、プロジェクト全体の流れに配慮しながら撮影を進めていきました。
使用する道具や着用するユニフォームの一部はサンウッドの社員様にご用意いただくなど入念な準備のもとで行われたこの撮影。“写真慣れ”しているとは言えないサンウッド様でしたが、奇抜な企画とその場の雰囲気もあって、多彩な表情、ポージングを行っていただきました。
ターゲットは、熱いスピリットを持った体育会系の求職者。
コピーライティングではそんな方々の心に直感的に訴える言葉を選択していきました。コンセプトの「つぎは魚で熱くなれ。」はもちろん、表紙に使用した「熱い自分を見捨てるな」もそう。煽り要素を込めた強いメッセージを意識しました。
社員紹介のエピソードはスポーツ雑誌のインタビューをモチーフにした文体を採用。一人語りではなく発言の合間に情景描写を盛り込むことで臨場感のあるストーリーに仕上げることを目指しました。
インパクトの強いビジュアルだからこそ、デザインでは情報の伝わりやすさを強く意識しました。
どれだけキャッチーな見た目でもどんな情報が載っているのか?が分かりづらくては本末転倒。このページでは何を伝えるのか。伝えたいことが伝えたい通りに伝わるか。“分かりやすさ”を担保した上でキャッチーな見た目に仕上げていくのが本案件におけるデザインの1つのテーマとなりました。
もう1点意識したのは“ファッション雑誌に寄りすぎない”こと。
ファッション雑誌がモチーフではあるものの、サンウッドらしさを忘れずにデザインすることを徹底。「つぎは魚で熱くなれ。」というコンセプト。コーポレートカラーの青。サンウッドで働く人から滲み出る男臭さ。デザイナーはそれらを表現するために思考を重ね、手を動かしていきました。
デザインの大枠が固まったタイミングで、使用する紙質を定めるためにサンプルを数種類印刷。より雑誌に近い質感はどれなのか。実際に手に取りながら議論を重ね、使用する紙質を決定しました。
企業の色。採用コンセプト。伝わりやすさ。
さまざまな工夫を凝らして完成させた採用パンフレットは『2022BtoB広告賞 入社案内の部』で銅賞を受賞。6月2日の表彰式ではサンウッド代表の井手社長(Twitterはこちら)と、本パンフレットのデザインを担当したトゥモローゲート意匠制作部デザイナーの中畑(Twitterはこちら)が参加しました。
国内最大級の企業広告アワードを受賞できたのは、なにより企画・撮影・制作に全面的にご協力いただいたサンウッド様のおかげです。冒頭に続くカタチになりますが、改めて、本当にありがとうございました。
完成したパンフレットは採用説明会、面接、そしてサンウッドが経営している飲食店内にも配置。「とてもかっこいい」「社員同士が自分のページを見せ合っていました」など反響の声をいただいております。つぎは採用課題の解決という成果につなげられるよう、これからもサポートさせていただきます。