ブランディングとマーケティングの違い

経営者・マーケター・経営企画の方なんかは普段からブランディングとかマーケティングについて考えることもあるかと思います。今では副業をやっている方も多く、自身の仕事をブランディング、マーケティングでもっと拡大させていきたいという個人事業主の方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな皆さんに一つ質問です。

ブランディングとマーケティングの違いって答えることできますか?

「そういや何が違うんだろ?」って思った方、安心してください。かく言う私もブランディングに関わる仕事をするまでは全く答えることが出来ませんでした。ただ、企業ブランディングという仕事に携わるうちに、徐々にではありますが自分なりの境界線が見えてきました。

先に言っておきますが、この問いに正解はありません。様々なマーケティングやブランディングに関する本を見ても解釈の仕方は微妙に違います。「マーケティングの中にブランディングがある」「ブランディングに必要なのがマーケティング」などなど。そのどれも間違いではないと思っています。

ただ、マーケティングやブランディングの知識が豊富でも実践で活かすことができなければただの机上の空論です。あくまで考え方の話なので、自分の中で整理して納得感をもってアウトプットができ、成果に繋げることができるのであればそれが正解と言えるはずです。

今回はブランディングとマーケティングの「成果に繋がった考え方」の事例を紹介するブログです。読んでいただいた方のブランディングやマーケティングの知見を深めるきっかけになれば嬉しいですし、今後その2つを思考したり実践する際の材料になればと思い書いていきます。

ブランディングとは?

まずはブランディング、マーケティングそれぞれの定義を整理するところからはじめます。ブランディングとは企業や商品のブランドをつくるために行う全てのことを指します。

その中でも顧客やその他のターゲットと接点になる全てに関わる部分をアウターブランディングといいます。広告はもちろん、WEBサイト、SNS、電話対応、接客、営業、カスタマーサービス、商品、店、食べ物、雰囲気など、とにかくターゲットと接点になるもの全てです。その全てでブランドイメージは形成されていきます。

そのアウターブランディングに対し、考え方や行動方針を統一させる社内に向けた基礎作りをインナーブランディングといいます。理念設計、理念浸透のための研修、サービスポリシー設計、接客対応マニュアル、研修などがこれに該当します。顧客接点となることに関わる要素の方針策定、その浸透に関わるすべてがインナーブランディングです。

これまでの説明でなぜ顧客だけでなく「顧客やその他のターゲット」という言い方をしているのかというと、ブランディングのターゲットは顧客だけには限らないからです。一般的な事業会社における経営層の悩みは大きく分けて4つ。「顧客に対する悩み」「求職者に対する悩み」「社員に対する悩み」「株主に対する悩み」大まかに分けてこの4つです。顧客はその1つの要素に過ぎないんです。

それらを理解し、整理した上でアウターブランディングとインナーブランディングを行い、意図的に企業のブランドイメージを作り上げること。それが僕たちトゥモローゲートが定義するブランディングです。

マーケティングとは?

マーケティングとは、商品やサービスをより多くの人に届ける(売る、使ってもらう)ために行う施策のことを指します。多くの人に届けるための仕組みなので、営業活動もマーケティングの一環ですし、営業せずに売る仕組みを考えることもマーケティングです。

そのためユーザー視点がものすごく大事になります。この点がブランディングとは少し異なるところです。ユーザー視点を取り入れないマーケティングは存在しません。もしユーザー視点を取り入れずに立案されたマーケティング施策があったとしたら、売れるかどうかが運任せの非常に不安定な施策になってしまいます。

ブランディングとマーケティングの違い(目的の視点)

ブランディングには、一部、ユーザー視点を全く取り入れないエゴで形成される部分があります。それは企業理念構築などの根っこの部分です。「こんなことをしたい」「こんな世の中にしたい」などの根本的な感情。売れるか売れないかは全く関係のない企業の根元です。

逆にこれは「売れたとしてもやらないこと」を定めることにもつながります。ユーザー視点を無視して「自分たちはどんな会社で、どんなサービスを提供して、どういう価値観で動いていくのか」という部分を徹底して抽出していきます。

なぜここにユーザー視点を入れないのか。

それは、ユーザー視点を取り入れて会社のコアとなる部分を考え定義したとしても、本音とズレていたり自分に嘘をつかないといけなくなるため、結局は誰もそこにこだわらない…なんていう事態になってしまいます。

本音とは違う思ってもいない理念を掲げ、聞こえのいい言葉を設定しても、どこかでほころびが発生します。そしてそのほころびはユーザーからすると「言っていることとやってることが違うやんけ」というミスブランディングに繋がります。

そのミスブランディングは悪評となり、口コミなどで急速的に拡散していきます。そうやって離れていったユーザーは二度と戻ってきません。だからこそ根っこは徹底してエゴで作ることをおすすめしています。

そこで固めた根っこを基に、商品やサービスを考えたり、PRを考えたりする際に必要なのがマーケティングです。自分達のエゴとユーザーが求めることが合致する部分を見つけ、しっかり届くように尖らせていく。

ブランディングの方が大事とか、マーケティングは一部に過ぎないとかって話しではなく、ブランディングという大きな枠組みがあり、その中の「ターゲットへ届ける」フェーズにさしかかった時にマーケティングの力を借りるというイメージです。両立して初めて効果を発揮するものです。

ターゲットの調査をして、どういう打ち出し方をすれば刺さるのかを分析し、届けていくことがアウターブランディングであり、その際に必要な考え方がマーケティング。ユーザーにとってのベストを追求するのがマーケティングで、エゴとユーザーの欲求を一致させるのがブランディング、といったところでしょうか。

ブランディングとマーケティングの違い(成果の視点)

ブランディングで求められる成果は、届けたいと思っているブランド価値に対してファンが最大限ついているかどうかです。一方、マーケティングで求められる成果はその市場での最大値の成果が出せているかどうかです。

マーケティングでは自分たちのあり方などの視点は含まず、100人のマーケットで100人に売れたら良い。逆に、自分たちのあり方を考えるブランディングは、ブランドイメージの構築を意識しているため、100人のマーケットで100人に売れたとしても、自分達がイメージしていた届き方じゃなかったら成功したとは言えないという事になります。

そんな言い方したら「ブランディングだけ考えて自分たちの提供したい価値にフィットしている状態がいいに決まっているやんけ」って言われそうですが、実はそうではありません、

エゴだけでブランディングをしたら何が起きるのか

仮にブランディングの“エゴ”の部分だけを意識した時のことを考えてみましょう。それって、ただの博打でしかありませんよね。売れるかどうかわからないし、計画なんて立てられません。売れたとしてもそれはまぐれってことになります。なぜならユーザー視点がひとつも入っていないのですから。

マーケティングだけを意識したら?

自分達らしさ(エゴ)を全く抜きにして、マーケティング目線だけを取り入れた場合、その時々で売れるものを常に追いかけ続けることになります。そうするとブランドの根っこがないまま変化していくため、最終的にそのブランドのイメージを問われても応えられなくなり、長く続くブランドにはなりにくいです。

瞬間的な反響は得られる可能性はあるものの、その分野で数年、数十年と愛され続ける揺るぎないブランドを築いている会社やサービスには中長期の視点で勝てなくなってしまいます。特に昨今は“何を売るか”より“誰が売るか”が重視される時代のため、マーケティングとブランディングをバランス良く整えていくことが非常に大切になります。

ブランディングとマーケティングどちらを先にやるべき?(理想)

まずはインナーブランディングでエゴを固め、自分達らしさを定義した上で、顧客やターゲットとの合致ポイントを探していくこと。それがブレないブランドをつくるための最も早い方法だと考えています。万が一、エゴを固めてからユーザー視点を考えた時に「誰の心にもささらない」となった場合、自分を省みてエゴを根本から見直すことも必要かもしれません。

トゥモローゲートがブランドづくりをお手伝いする際もこの順序をおすすめしています。

企業理念を固めて、ユーザー視点を考えて、アウトプットに落とし込む。それを社内に落とし込んでいく。理念研修などはもちろん、普段のサービス提供においても気になったところは漏れなく指摘するなどして徹底させていきます。

ここに評価制度を連動させることも大切です。どれだけ自分たちのブランド、文化を語っても、そこに則した人が評価されないようでは誰もそれを守りません。制度も含めて徹底してこだわることでメンバーのブランド意識が統一され、ブレないアウトプットができるようになります。

理想を言えばインナーブランディングがしっかりできた後にアウターブランディングを構築する方が良いですが、実際にはそんな悠長な時間がないというのがどこの企業も抱える課題であり本音だと思います。

その場合はインナーブランディングもアウターブランディングも同時進行で行っていきます。例えば、アウターブランディングとして行うWEBサイト制作がインナーブランディングにつながるケースもあります。制作過程で行うインタビューで自分の考えを語ったり、完成したアウトプットを見て改めて自分の意識を高めたりなど、アウターブランディングとインナーブランディングがつながりを見せることも少なくありません。

ブランディングにゴールはない

ブランディングプロジェクトとしてミッション、ビジョン、バリューを固めることや、WEBサイトを制作するなどプロジェクト単位でのゴールはあっても、ブランディングという活動自体には終わりがありません。企業がターゲットと接する限りは常にブランディングが付きまとうからです(ブランドイメージ形成に少なからず影響が出る)。

これはずっと意識し続けなければいけないことです。WEBサイトや動画、パンフレットといったクリエイティブだけに限らず、接客一つ、電話応対一つ、社内での挨拶一つにとっても、これがブランドにつながっていきます。

何気ない社内業務の一つですら、ブランドイメージに影響を与えるんです。それらをちゃんと守っていく。少しでもブレや違和感を覚えたら口酸っぱく指摘して徹底していく。本来どうあるべきなのかを常にすり合わせながら徹底してこだわりぬいていくことが強いブランドをつくっていくのだと思っています。

今日は概念的なお話ですこし想像しづらいこともあったかもしれません。僕の脳ミソの中をバーっとぶちまけたらこんな感じになりました。そんな乱文にもかかわらず最後まで読んでくれてありがとうございます。

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