お風呂スーツの社長は、どうして生まれたのか|採用ブランディング事例

みなさん、こんにちは。トゥモローゲート意匠制作部アートディレクターの吉本です。

今回のブログでは、トゥモローゲートで実際に担当したブランディング案件の企画背景を、ちょっとだけご紹介したいと思います。

ご紹介するにあたって、ブログへの事例掲載をご了承してくださったお客様は、越のゆグループの代表である岩下社長。(いつもありがとうございます!)

(越のゆグループのホームページ)

(岩下社長のTwitter)

福井県を中心にコンセプト型の温浴施設を展開し「日本一番ぶろ」というビジョンを掲げる、おふろの総合プロモーションカンパニーを経営されていらっしゃる社長さんです。

Twitterでも「お風呂にスーツで入浴している写真」で反響を呼んだお客様ですが、「お風呂スーツの社長」はどのようにして生まれたのか。

どんな採用ブランディングを展開したのか。

トゥモローゲートの採用ブランディングにおける課題設定や解決のアプローチまでを、インタビュー交えてご紹介できたらと考えています。

いま「企画のスキルを伸ばしていきたい」という人や「クリエイティブを仕事にしていきたい」と考える人にとって、少しでも参考になればと思っていますので、どうぞ最後までお付き合い頂けるとうれしいです。

では、よろしくお願いします!

見積もりだけでいくと、他社の3倍以上だった。でも、提案の熱量と確かな採用成功までの道筋を感じた。

はじまりは、トゥモローゲート戦略企画部のプロデューサー文岡からのTwitterダイレクトメールだった。岩下社長は、日々営業のメールを受ける中、文岡のメッセージは珍しく内容が一方的な売りではないところに興味をもったことがきっかけだったと話します。

岩下社長
「ふだん一方的で売込一辺倒の営業メールはかなり多く受けています。だけど、文岡さんは僕に対して「人として話を聞きたい」という内容でメッセージをしてきた。そして「無理に返信は求めていません」ということも、たしか書いてあったんです。営業の仕方としてはうまいなと思いましたね。そこで気になって、どんな会社かと思ってホームページを見てみると、トゥモローゲートの採用ページが目に入った。当時、うちで新卒の採用を検討していて何社か検討していましたが「独創的」というのと「ブランディングを根本からやってくれる」ということがわかって、面白そうな会社だと思ったのは覚えています。」

越のゆグループとして、ちょうどブランディングを考えていた時期でもあった。温浴業界が厳しい状況を迎える中で「ブランディングによって、更にきちんとした接客やサービスをしていきたい」「(その上で)新卒として、一から会社の大切な理念を理解して働いてくれる人材を育てていきたい」と考えていた時期のことだった。

いくつか競合他社にも見積もりを取っていたが「トゥモローゲートは他社より3倍くらい高かった(笑)。圧倒的に高かった」と岩下社長は話します。でも、価格的にはトゥモローゲートに優位性がない中「どうして依頼してくれたんですか?」という理由を尋ねてみると・・・

岩下社長
「文岡さんのレスポンスの速さから営業の熱量を感じていたのもあります。でも一番の理由は、新卒採用を成功させるまでのロードマップがしっかりと提案に含まれていたこと。私が別事業として展開している製造業とはちがって『お風呂屋』というサービス業の新卒採用をどう成功させたらいいのか。迷っていたこともあります。他の会社は確かに安かったんですが『採用ホームページだけ』とか、点での提案だったので、1番の目的である『新卒採用の成功』というイメージがもてなかったんですよね。」

文岡が新卒1年目だと知ったのは注文を出してから、と岩下社長はその後語ってくれた。

岩下社長
年齢で(見下すような)見方はしないんだけど、純粋に「すごいな」と思った。驚きました。たしか内定者時代だったんじゃないかな。確かに、ぎこちなさはあったよ。でも、新入社員とは思わなかった。チームで上長の福成くんも補ってくれていたんだろうけど、全然気づかなかったね。感心しました。

いろいろなタイミングと、一本のダイレクトメールから、越のゆグループ様とトゥモローゲートの採用ブランディングは始まっていったのです。

課題は、地方のお風呂屋さんに大卒の就活生を呼ぶというミッション。

いよいよ新卒採用のプロジェクトを進行していく中、戦略企画部と意匠制作部では越のゆグループ様にヒアリングをしながら、課題はどこかを探っていった。その中で、採用を成功させる上で一番ハードルとなってくるのは「福井県を中心とした地方のお風呂屋で、大卒の学生にどうやったら働きたいと感じてもらえるか」ということだった。

ここには、ディレクションを担当する僕自身もアタマを悩ませた。けど、何か突破口があるはずと考え続けた。すると、ひとつ、越のゆグループの強みである「コンセプト型の温浴施設を運営している」という事実(FACT)に辿り着く。実際に見てもらえるとわかるのだが、

大津温泉おふろcaféびわこ座

東尋坊三国温泉ゆあぽ~と

サウナタロトヤマ

といった施設は、トレンド感が織り込まれた施設で、実際、若い世代にも人気の施設だった。流行りのインスタ映えがするような工夫もされている。なんとかこの事実を突破口に、大卒の就活生と接点を生めないかと考えていった。すると一気に

「お風呂屋で働くのではなく、新しいお風呂を“つくる”もしくは“企画する”仕事です」

というWHAT(何をターゲットに伝えるか)を伝えれば良いのではないかという仮説まで辿り着いた。そう伝えられると「サービス業」だけではなく「企画職」を就活の選択肢として考える学生も巻き込めるのではないか。プラス、越のゆさんが今後目指していく「またきたい」と思ってもらえるようなお風呂づくりにアイデアを出せる学生に、メッセージを届けていけるのではないかという算段が立った。ここを軸に、企画設計をしていった。

その時の企画書のはじまりがこちら。(一部抜粋)

そして、あとはHOW(どう言うか)を考えていった。このとき、僕は合言葉のようなものをつくれたらと考えていた。採用をする社員の皆さんや面談を受けにくる学生さんの耳に残るような言葉。そして恥ずかしながら、僕は40歳なんですが、次の言葉がアタマに浮かんだ。

「ニューヨークへいきたいかぁ!」

この言葉であるTV番組を想起してもらえる人は、きっと仲良くなれると思います。実際に、このコンセプトワードを考えるきっかけとなった言葉は、越のゆさんにも見事ヒット。笑ってくれました。20代が多い社内ではさっぱりな反応でしたが・・・笑。実際の企画書にいれた一枚もお見せします。

そしてここから、核心にせまる言葉に近づきます。

「無理矢理だろ」なんて言わないでくださいね。さきほどのWHAT「お風呂屋で働くのではなく、新しいお風呂を“つくる”もしくは“企画する”仕事です」に近づいた瞬間だったのです。

ただ、この合言葉をそのままだすと『アメリカ横断ウルトラクイズ』のオマージュになるだけ。ちょっと格好がつかないので、もう一捻りして、今回のコンセプトにやっと辿り着きました。それが、こちら!

『新浴構想』とかいて(ニューヨークコウソウ)と読みます。

この言葉を軸に、今回の採用ブランディングを提案していきましょうと岩下社長に提案したのです。そのときのことを、岩下社長にも感想含めて伺ってみました。

岩下社長
純粋にいいコンセプトだと思った。「この業界は変わっていかないといけないんだ」という強い想いがあったから。ひねりも含めて、洒落の効いた世界観のある言葉なのでいいよねと思ったし、これで新卒採用を進めていこうという気持ちになれました。

「こんな洒落を受け入れてくださるお客様でよかった」と思ったのは、提案した僕の素直な気持ちでした。そして同時に、このコンセプトをもとに表現やツールを展開していかないといけないという、使命感のようなものが沸いたのもこの瞬間だったと記憶しています。

「岩下社長、お風呂にスーツのまま入ってください」

コンセプトが無事に決まり、そこから採用サイト、採用動画の企画を練っていった。余談ではありますが、その2ツールだけじゃ認知をつくっていくことは難しいとも判断し、コンセプトに沿った「風呂桶」も提案させてもらっています。それが、コチラ。

これが各温浴施設のお風呂場においてあったら、求人広告のように機能するのではないかと思っての提案でした。そして、この提案も「オモシロイ!やってみよう」と受け入れてくださったのは岩下社長です。

コンセプト「新浴構想」という言葉は立てど、経営陣がその言葉と違う行動をとり、ブランディングがうまくいかないことはよくある事例です。でも、岩下社長はそんなコンセプト通りを体現する人でした。この提案を通して、うまくいく予感を感じたのは事実としてあります。

そして僕たちはWEBサイトで「新しいことを取り入れ挑戦する姿勢」をどう表現したらいいか悩んだあげく、次の衝撃的な提案を岩下社長に持ちかけます。

「岩下社長、採用サイトの代表挨拶の写真では、お風呂にスーツのまま入ってください」

結果はこちら

ホームページの代表あいさつページです

トゥモローゲートとしても新しい提案で、受け入れられるかどうか、ちょっと心配な面もありました。だけど「新しい常識をつくる社長」「挑戦する姿勢」を表現するのは、この手しかないと考え、提案をぶつけさせてもらいました。だから、その時の岩下社長の反応もしっかり覚えています。

岩下社長
提案された時に「(ターゲットにささるか)感覚がわからない」と、たぶん言ったと思うんだよね。僕自身は、そういうキャラじゃない。どちらかというとカッコイイ方にいきたいキャラだから(笑)。でも、ターゲットとなる学生に届けていくという目的を考えるなら「そういう出し方もある」と正直に思った。20代にどうやって伝えるかが大事だと思っていたからね。そこからズレてはいけないと思った。僕らの年代からすると「なにそれ?!」みたいな見方になると思うけど、誰もやったことがないから、やってからしか答えが出ない。だから、目的に沿った年齢層がどう思うか。文岡さんとかにも聞いたと思うんです。すると意匠制作部の小原さんも「これは若い人には結構刺さると思います!」ということを言ってくださったから。「賭けてみよう。やってみよう!」という判断にいたりました。うちの社員も正直30代、40代が多いので聞いても分わからなかったんです(笑)。

実際、世の中のリアクションがわかったのは、Twitterで投稿していった時だと岩下社長は振り返ります。

岩下社長
びっくりしました(笑)。反応はいろいろ。「尖ってる」とか「斬新」とか。ネガティブなコメントももちろんありました。でも既成概念を打ち破ろうという感じがあるので、バッチリ合った気はするし、すごく反応が良かったと思います。びっくりするくらいです。そして、Twitterのフォロワー数が増えたのも新鮮な体験でした。一番多い時で、1200から1700くらいまで増えた。アンチコメントした人もフォローしてくるくらいでした(笑)。「またネタをつくってくれるんじゃないか」と思ったんですかね。

「お風呂にスーツで入る社長」を皮切りに「役員も挑戦する姿勢があります」と表現していくことを、採用動画でも提案。全12話のショート動画で「福利厚生」や「経営陣の思考やスタンス」を切り口に映像表現をしていった。その事例は、ぜひ下記よりご覧ください!

越のゆグループの採用サイト

詳しくはこちら

越のゆグループの採用動画

(第1話より抜粋)

(第4話より抜粋)

(第6話より抜粋)

※YouTubeにあがっていない特別動画はWEBサイトにも!

採用サイトや採用動画を無事リリースした後、実際はどうだったのか。

岩下社長
「サービス業をやりたい」と言ってエントリーして来てくれている学生はいる。東京で、僕の母校からエントリーしてくれた人もいた。その点は純粋に収穫だったと思っています。じゃあ、もっとこれからどう良くするかを考えてみると「同じサービス業の中で、他の業種、例えばホテルとかとどう差別化するか?」ということを考えるときに、どうしたら、もっと魅力を強化できるのかを考えなければいけないところですよね。僕自身も就職のときは氷河期だったので、業種バラバラで20社くらい受けていた。全部営業職でしたけど、どの業種にしようかを考えていたなって思い出します。きっと今の学生もいろいろ考えている。その中でトータル的に判断すると思うので、その判断基準となる魅力をもっと強化していきたいですね。

2022年3月に採用サイトをリリースして現在にいたるまで、入社は2名という結果で終わり、次年度への採用に向けた動き出しをしている真っ最中。

越のゆグループは、この一年だけの採用活動でもちろん終わらず、これからも『新浴構想』というコンセプトに沿って「新しいお風呂づくり」を企んでいける人を新卒・中途に関わらず一年中募集しようと計画しています。このブログをきっかけに、もし越のゆグループへ興味を持ってくださる人がいたら、ぜひ下記よりエントリーしてくだされば幸いです。

募集要項はこちら

【就活生へメッセージ】バイトでも、スポーツでも、極めていく時間がある。それが学生時代の醍醐味。

最後に、岩下社長に「就活生へむけて、何かメッセージを送るとしたらどんなことを伝えますか?」という質問を投げかけてみた。

岩下社長
興味を持っていることがあったら、とことんやったほうがいいよね。キャンプに興味があったら突き詰めるといいし、料理好きだったら研究してみたらいい。その過程で自分に何が合うかとか、可能性が広がっていく。アルバイトなんかも本当に社会の勉強になる。僕は大学時代に150職種くらい経験しました(笑)。すごくアルバイト代を稼いでいたんですよ。基本はファミレスでホールスタッフをやっていたんですが、それを軸にしながらテレビ局での仕事を手伝ったり、交通量調査をしたりもした。ブラックな祭りでしか言えないような仕事もたくさんしています(笑)。「遊ぶお金が欲しかった」がきっかけですけど、いろんな業界のことを知れたり、社会人としてのコミュニケーション術を学ぶこともできた。冬の交通量調査で寒がって毛布にくるまっていたら誰かがホッカイロをもってきてくれて…という温かい経験もしました。勉強はまったくしていなかったけど、かけがえのない経験です。(言えた身ではないんですが、学生の皆さんはちゃんと勉強もしてくださいね!)

越のゆグループさんは、福井県を中心としてコンセプト型の温浴施設を運営しています。

「お風呂」✖️「●●」という方程式で新しい温浴の価値をつくれるとしたら、学生のときに皆さんが経験した「●●」が、きっとヒントになる。そんなことを感じさせてくれるメッセージでした。月並みですが、どんな経験もアイデアの糧になる。このブログが「就職活動」や「働くこと」を考える、ひとつのきっかけになればうれしいです。

ここまで読んでくださって、どうもありがとうございました!また気まぐれなブログ投稿のタイミングでお会いしましょう。

【最後と言っておきながら・・・おまけ】

取材の最後に、もうひとつだけ岩下社長に聞いてみました。

「ぶっちゃけて担当させてもらっている文岡のどこが好きですか?」

岩下社長
なんだろう。キャラがいいんだろうね。まわりをパッと明るくさせる才能がある。良い風に言えばそうだけど、ミスをしても許されやすいタイプだよね(笑)。思い出すのは、採用サイトや動画の撮影のとき。スタッフみんな長丁場だし、疲れたりもすることがある現場の中、いい声をかけていたと記憶しています。きっと自分がこのプロジェクトの「責任者」という意識もあるんだろうと思う。明るく盛り上がった中で、いいものが撮れました。

岩下社長
あとは、採用イベント。マイナビのセミナーに初めて出店したとき。あの時もすごかった。手伝いにきてくれたんだけど、現場ですごい集客をしてくれた。うち含めて10数社くらい出ていたが、うちだけだよ、6席あって5セットあったのがほぼ満席になったのって。その後、内定が決まる決まらないはあったけど、とりあえずまずはうちを知ってもらうという集客という課題をクリアしてくれた。うちの社員もそれをみて、むちゃくちゃ刺激を受けていたし。パワーあるよね。すごいなと思います。もちろん、まだ若いし、たまに気になるところがあったら、チクッと言うこともあるけど。そんな課題も含めて乗り越えてやっていくことが営業は大事ですからね。でも、すごいです。

「こういう話をご飯の場とかで文岡と話すこともあるんですか?」という質問も岩下社長にぶつけてみた。すると・・・

岩下社長
いや、ないですね。褒めると鼻が高くなっちゃうでしょ(笑)

その顔は、どこか若手を育てる、お父さんのような顔だった。

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