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アートディレクター日報『大学中退』

パイロットになりたかった。
航空機のエンジンをつくりたかった。

とりあえず「空」に関する仕事をしたかった。
なんとなく「自由」を感じられそうな仕事がしたかった。

でも、大学受験。

名古屋大学の航空宇宙工学科は不合格となり、
関西大学の機械システム工学科に合格した。

このあたりからガタガタと
若者の「なりたい像」は崩れていった。

「僕は名古屋大学で勉強したかった…」

浪人までしたけど
大学受験でたいした努力もしてなかったくせに

こんなクソみたいなプライドをもちながら
華やかになるはずだった大学生活の3年間を
ずっと惰性で過ごしていた。

なにか真剣に打ち込めるものを探していた。
3歳から19歳までやっていた
水泳のように打ち込めるものを探していた。

その時、ふと出会ったのがポッキーのCM。
新垣結衣が、とてもキュートに踊っていたCMだった。

「こんなCMをつくりたい」

そんな綺麗な思いが芽生えたのではなく

「新垣結衣に出会える仕事をしたい」

と、むくむく思い始めたことが、いま働いている
クリエイティブという領域との出会いだった。

そこからは「空」の自由を捨てて
「表現」の自由にどっぷり誘惑されることになる。

そして、3年間を惰性ですごした
機械システム工学での勉強が無駄に思えてきて
「大学を辞める」と親に言い出す。

もちろん両親は「3年間通ったんだから、あと1年通え」と言う。
当然だ。あと1年ガマンしたら
そこで「大卒」という資格がもらえるんだから。
就活にも、その時代は有利に働いたと思う。

でも、当時の僕はアホで頑固だったから

「タモリさんも、糸井重里さんも中退じゃん!(だから俺もなれる)」

といった何も根拠のない言葉を
両親にぶつけて説得していた。

何者かになれると、自分を信じ切っていた。

こうなるとテコでも動かなくなってくることを父と母は知っていて
1年の休学をはさんだ後、ついに中退を認めてくれた。

いや。きっと認めてなかったね。
高い大学の授業料を払ってまで
「中退」なんて結果を求めてなかったし、認めなかったと思う。

辞めて10年以上経った現在も
正月で母と顔を合わせたときには
「高いお金払って、ほんと腹立つ!」と言われる。

だから今「あのときは本当にごめんなさい」という気持ちがある。
(ブログの場を借りて謝るものじゃないですが、ほんとうにすいません。。。)

大学を中退してからは、飲食のアルバイトで食いつなぎ
広告や心理学の勉強を独学でした。

興味ある企業があったらホームページで探して
お問い合せから「雇ってください」という旨の
熱意しかないメッセージを送っていた。

もちろん、何の成果も残していないド素人に
いい返事を返してくれる企業なんてなかった。

きっと100社以上は余裕で送ったと思う。でも、ダメだった。

新卒しか使えないリクナビやマイナビを
正直恨んだこともある。(俺にも応募させろ!)

でも「この結果を招いているのは自分」というのはわかっていたから
ひたすら、興味ある企業の門を叩き続けていた。

ここまで読んでくれた人。

僕の苦労話的なものに付き合ってくれた
いい人ですよね。

だけど同時に
「この文章をとおして何が言いたいの?」とも
きっと思ってると思う。

決して自己紹介のブログではないので、
最後にそれを書き留めますね。

これは、お願い。

トゥモローゲート意匠制作部、採用面談の話。

みんながどんな実績を残してきたか。
どんな活動を大学でしてきたか。
もちろん僕は知りたい。思う存分、伝えてほしい。

でもね。もっとキミの芯みたいなところを知りたい。
これが、本音です。

「トゥモローゲートってキラキラしている」とよく言われます。

憧れ的な目線でポジティブに言われることもあるし
「眩しすぎる」といったニュアンスで
ネガティブに言われることもある。

でもね。「ギラギラ」もしてるし「ドロドロ」もしてるんです。

そんな環境で働いてもらうってことを
親心みたいなもので考えたとき

「キラキラが無い時、揺るがない芯みたいなものはあるのかな」って
いつも思いながら、みなさんと対話をしています。

僕の場合のそれが
「大学を中退しちゃいました」という事実だった。

世間のことを何も知らないで、
就活のことを何も知らないで、
親のアドバイスも聞かないで、辞めたこと。

でも、中退してしまったから
タモリさんや糸井さんのようになると宣言してしまったから

どれだけ企業に選考を断られても
クリエイティブでダメ出しを受け続けても
今日ここまで、アートディレクターとしていることができています。

「大学中退」という事実は
ある意味、僕にとって宣言して背負った
呪いのようなものかもしれないけど

それが数十年変わらない
働くエンジンとなっているのは自信をもって言えることです。

このとても堅い芯は、
学生時代に得られるかもしれないし
社会人になってから得られるものかもしれない。

タイミングは人それぞれ。

でもね。きっと今キミを動かしている芯はあるはずなんだ。
僕はそれを信じて対面していますよ。

決して、その芯がキラキラしている必要なんてない。
泥にまみれていたっていいし、グチャグチャだっていい。

下手くそでもいいんで、思いの丈ぜんぶ
さらしてくれたら、
僕は受け止めて、全力で肯定したいと思う。

いま新しい環境で「働く」ということを
選択しようとしている人へ。

誰も、キミの歩んできた道を否定なんかしないよ。

もし否定してくる人がいたら、
そんな人は全力で無視しよう。

トゥモローゲートに一度来てください。

こんなこと言いながら、
ポートフォリオ選考で落としてしまったらごめんなさい。
けど、その結果は糧にして欲しい。

いつでもゲートは開かれているからさ。

就活も本格的にスタート。もう春ですね。
意匠制作部アートディレクターの吉本です。

『アートディレクター日報』

こんなタイトルなんだけど
毎日ではなく不定期に、でも頻度は多めで、
日報のように、今年は書くことにしました。

そうだ日報、書こう。

くらいの心意気で。よろしくお願いします。

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