こんにちは。
トゥモローゲート意匠制作部のコピーライター小川サトキです。
突然ですがみなさんは「文章力」の正体って何だと思いますか?
スラスラ読める文章?
読んでいてワクワクする文章?
1年と少し前、未経験からコピーライターとしてトゥモローゲートに入社した僕は、その答えが分からないまま日々仕事をしていました。
スラスラ読める文章を書けたと思ったら“ワクワクしない”とフィードバックを受ける。
ワクワクする文章が書けたと思ったら“スラスラ読めない”とフィードバックを受ける…。
それもそのはず。なぜなら文章力の定義はシーンによって変わります。もう少し具体的にいうとその文章が果たしたい目的によって変わります。だからこそ1つの正解はないんです。
しかし、その中でも、どんな文章にも該当する“いい文章の条件”があります。言い換えると“どんな文章にも共通して抑えなければいけないポイント”があります。
悪戦苦闘の日々から抜け出したいと思った僕は、「ライティング虎の巻」という名の独自のシートを作成しました。先輩から頂いたフィードバックをひたすら書き留めるチェックリストです。
入社して1年で膨大なフィードバックをいただきましたが、めげることなくチェックシートと向き合って、脳に叩き込むことで、少しずつ「いい文章の書き方」が見えてきた気がしています。
その「いい文章の書き方」を、「文章力をあげたい」と感じている人に伝えていきたいと思います。僕が1年間学び続けた「文章術」です。合計16個あります。それでは行ってみましょう!
「僕のサッカー人生はとても散々なもので、小学4年生で初めてサッカーボールを蹴ったものの、生まれもっての運動音痴が炸裂し、結局中学を卒業するまで大会に出ることができず、中学のはじめの時に「サッカーか勉強かどちらか選びなさい」と迫られたあの時に何故サッカーを選んでしまったのか…と悔やむばかりです」
音読してみてください。きっと息が切れるはず。それもそのはず。この1文でなんと145字。「1文で80字を超えると黄色信号、100字を超えると赤信号」を目安に一文が長すぎないかチェックしましょう。
僕のサッカー人生はとても散々なものでした。小学4年生で初めてサッカーボールを蹴ったものの、生まれもっての運動音痴が炸裂。結局、中学卒業の最後まで大会に出ることができませんでした。中学入学の時に「サッカーか勉強かどちらか選びなさい」と迫られたのですが、何故サッカーを取ってしまったのか…と悔やむばかりです。
ひとが文章を読むときは、自然と脳内で音読しながら読んでいるそうです。一度自分の書いた文章を読んでみて、一文が長すぎないか?をしっかり確認しましょう。
長すぎ注意なのは一文だけでなく、文章全体にも言えること。
コピーライターという仕事のやりがい。それは、普通に生きていれば知ることのできなかった世界を、仕事を通じて知ることができることだと思っています。たとえば最近は、最先端の人工知能を取り扱う企業に取材を行い「世の中にはこんなにも高いクオリティの絵を描けるAI技術があるのか」と感動したこともありました。大工さんの取材に行ったときは「こんなこだわりで仕事をしているのか」と職人魂に震えたこともありました。取材という名目があればどんな人にも会えるし、どんなことでも知ることができるのです。(253文字)
ダラダラした印象を受けたのではないでしょうか?。同じ意味を保ったまま半分の文字数に削っていきましょう。
コピーライターという仕事のやりがいは、知らない世界を知れること。最先端AIを扱う企業に取材し、絵を生成するAIの技術に感動したことや、大工さんへの取材を通して職人魂に震えたこともありました。取材という名目があれば、どんなことでも知ることができるのです。(125文字)
ここで使用したテクニックは主に3つ。
これらの点に注意して文章を簡潔にまとめましょう。
いい文章の条件の1つに「減点」がないことが挙げられます。誰が読んでも「ん?」と違和感を感じさせないことが大切です。「い抜き言葉」「ら抜き言葉」もそのうちの1つ。
このレストランでの1番のお気に入りはマダイのカルパッチョ。このお店では、店主が大阪・東部市場で直接仕入れてきた新鮮な魚を食べれます。価格帯は少しお高めのため、特別な日のディナーに重宝してます。
大人なお店の紹介をしたいのに文章は子供っぽい…。これでは台無しですよね…。
このレストランでの1番のお気に入りはマダイのカルパッチョ。このお店では、店主が大阪・東部市場で直接仕入れてきた新鮮な魚を食べられます。価格帯は少しお高めのため、特別な日のディナーに重宝しています。
よほどカジュアルな雰囲気を出したい場合を除き、「ら抜き言葉」「い抜き言葉」の使用は避けるべき。これらは最低限のルールとして押さえておくことが大切です。
このTVは、かつての世界最高峰の日本の技術の結晶だ。かつて友人の家のリビングで観た際には、その高画質と鮮やかな発色にかなり感動したものだ。
文章中で「の」を連続して使用すると読みづらくなってしまいます。良い文章を書くためには「の」を連続させないことが鉄則。最大でも2回程度にとどめるべきではないかと思います。
このTVは、かつて日本が世界に誇っていた技術の結晶だ。むかし友人の家に訪れたとき、リビングでそれを見て、その高画質と鮮やかな発色にかなり感動したものだ。
似た表現がある場合はそちらを活用することが大切です。
愛知県の高校を卒業後、大阪の大学で経済学を専攻。同時に下宿を開始。大学卒業後は広告会社へ営業として新卒入社。広告運用や顧客折衝を経験した後、現職に広告文筆家として転職。最近の趣味は、飲み屋で隣に座った人と仲良くなる事。
多すぎますよね。漢字が。目がチカチカして途中で読むのをやめたくなります。これでは、もともと誰も興味のない僕のプロフィールからさらに多くの人が離れていってしまいます。
愛知県の高校を卒業したのち、大阪の大学で経済学を専攻。同時にひとり暮らしをはじめる。大学卒業後はデジタル広告会社に新卒で入社。広告運用やクライアントとの調整などを経験したのち、トゥモローゲートにコピーライターとして転職。最近ハマっていることは、飲み屋でとなりに座ったひとと仲良くなること。
文章を読みやすくするためには漢字の使用量に注意することも重要です。
ひらがなで表現できる部分はできる限りひらがなで書きましょう。親切でやわらかい印象を文章に与えることができます。ちなみに適切な漢字の使用量は文章全体の2~3割程度とされています。
文章のリズムは1文の長さや文末の表現によって決まります。
トゥモローゲートのオフィスは心斎橋にあります。心斎橋の中でも特に若者の集まる『アメリカ村』というエリアにオフィスを構えています。昼は古着屋、夜はBARや居酒屋を求める人々でにぎわっています。土日にオフィス近辺を歩いていると混んでいて歩きづらいほどの人気エリアです。ぜひ遊びに来てください。
トゥモローゲートがオフィスを構えるのは、心斎橋の中でも若者人気の強い『アメリカ村』エリア。昼は古着屋、夜はBARや居酒屋と、楽しみを求めて多くの人々で1日中賑わっています。土日は人混みで歩きづらいほど人気のエリア。この活気のある街にぜひ遊びに来てください。
前者の文章は1文がすべて同じ長さです。しかも必ず「です」「ます」で終わっていてリズムが良くありませんよね。
一方、後者の文章は、長い文と短い文を織り交ぜつつ、効果的に「体言止め」など語尾を使い分けており、前者よりもリズムかるに読むことができます。(「オフィスではなくアメ村の宣伝をしてどうするんだ」というような指摘をされるかもしれませんが、そこは目をつむってくださいい)
文章中に「主語」や「時系列」が異なる文を織り交ぜる場合、その違いが明確に伝わるように注意しましょう。
幼い頃、よく近所の海に連れていってくれた私の祖父。クラゲに刺されると「大変だぁ」なんて笑いながら水ぶくれの手当をしていた。水族館でクラゲを見ていると小さい頃を思い出す。
これでは「誰がクラゲに刺されたのか?」「誰がいつ水族館に行ったのか?」がまるでわかりませんよね。
幼い頃、よく近所の海に連れていってくれた私の祖父。私がクラゲに刺されたときは「大変だぁ」なんて笑いながら水ぶくれの手当てをしてくれた。大きくなった今、私は水族館でクラゲを見るたびに小さい頃を思い出す。
主語がはっきりし、「海に行ったのは昔の話で、水族館は今の話」という時系列もわかるようになりました。誰が主語の文章なのか、いつの出来事なのか、しっかりとわかる文章を書きましょう。
ひとつの文章内に言いたいことがいくつも含まれていると読み手は混乱します。
大谷翔平はすごい野球選手だ。足も速くてパワーもある。メジャーリーグの広い球場で何本もホームランを打ちながら、それでいてピッチャーとしても活躍中だ。160キロを超える速球に鋭く落ちるフォークボールが武器。ここまで彼が大きくなれたのは、高校時代から鍛えてきた精神力を武器に、かなりの練習をしてきたからだろう。
大谷選手って結局何がすごいんだ…?ピッチャー?バッター?精神力?と肝心な内容が頭に入ってきませんよね。大谷選手が全部すごいのは置いといて、文章としてはひとつの段落に書く内容はひとつに絞りましょう。
大谷選手はピッチャーとしても活躍中だが、目を見張るべきは野手としての爆発的なパワーだ。あの有名な松井秀喜選手のシーズン記録「34本」を上回るシーズン「46本」の本塁打を記録。彼の丸太のような二の腕を見ると、軽々としたスイングからホームランが量産されることは決して不思議ではない。
書くことをしぼることはとても大切です。「あれもこれも伝えたい!」となる前に「何を一番に伝えたいのか?」を明確にすることで、シンプルかつ伝わりやすい文章になります。
専門用語や聞きなれない言葉を使用するのはできるだけ避けましょう。例えばあなたが自己紹介文を書く場合。
私は一念発起して巨万の富を築き、FIREを達成しました。港区のタワマンで5歳の息子の子育てに没頭する日々。最近はオーダーのValcucineで料理にはまっています。いわゆるスパダリといったところでしょうか(笑)
何が言いたいのかわかりませんよね。むしろ少し鼻についきますよね(笑)それ以外の部分でも改善の余地があります。FIREやValcucineなどの言葉は聞いたこともない人がいるでしょうし、「一念発起」や「巨万の富」という言葉も聞いたことはあるけれど意味までは分からない人が多いはず。
私は仕事で大きな成果を残すことができ、生活に困らないレベルの資産を手に入れることができため、思い切って早期退職し、資産運用のみで生活することを決めました。お金持ちと言えるレベルまで資産を貯めることできため、今は東京港区のタワーマンションで5歳の息子の子育てに没頭する日々を送っています。最近はイタリアのブランド”Valcucine”でつくった、こだわりのオーダーキッチンで料理にはまっています。いわゆる「ハイスペック男」といったところでしょうか(笑)
鼻につくことに変わりはないかもしれませんが(笑)、文章としてはわかりやすくて親切ですよね。「想像の5倍以上かんたんな言葉を使う」くらいの意識を持っておいた方がいいと思います。
この記事の目的は、読者の皆さんに最後まで記事を読んでいただき、記事に記載されている文章テクニックを身につけてもらうことです。そのためにも、私にはこの記事を、読みやすい記事にする責任があります。
なんだか最後まで読みたくならない文章ですよね…。なぜなら「記事」という表現が文中に使われすぎているから。同じ表現が何度も使いそうになったら「別の表現で同じことを伝えられないか?」考えていきましょう。
大切なのは、皆さんに最後までこの記事を読んでもらうこと。そして、ここに書いてある文章テクニックを身につけてもらうことです。だからこそ私には、この記事の読みやすさを追求する責任があります。
「2文を1文にする」「『ここ』『もの』という代名詞を使用する」などのテクニックを活用することで「何度も同じ単語を使ってしまってわかりにくい文章になる」ことを防ぎましょう。
ここまで読んでくださったみなさんは、ストレスなく読める文章を書けるようになっているはず。ここから紹介するのはもう一つ上のステップ「心にささる文章」の書き方です。読みやすいだけでなく、読んでグッとくる文章を目指していきましょう。
大谷選手はピッチャーとして信じられないほどの身体能力を持っており、剛速球を投げることができます。また、バッターとしての能力も認められており、ホームランを量産しています。
人や物のすごさを伝える際、「とても」や「圧倒的な」という単語を使ってしまいがちです。そんなパッと見のインパクトに頼る前に、数字などの事実ですごさを伝える意識を持っておきましょう。
大谷選手はピッチャーとしてメジャーリーガーでも有数の身体能力を持っており、170km/hの剛速球を投げることができます。また、バッターとしても40本以上のホームランを放っています。
具体的にすればするほど、伝えたいことはバシッと伝わります。
例えば、Webサイトを構築するフロントエンドエンジニアの採用を強化するために、募集する文章を書く場合。
私たちの仲間を募集します!私たちの取り組むプロジェクトは世界規模のものが多く、社会に影響を与えられるのが特徴です。ぜひあなたのキャリアを一歩前に進めませんか?
ではなく
私たちの仲間を募集します!私たちの着手するプロジェクトのほとんどは世界規模。あなたのやりたいことを社会に実装できるチャンス。キャリアを構築する新たな一歩を私たちと踏み出しませんか?
伝えたいことを淡々と書くだけでなく、エンジニアに身近な「実装」や「構築」という単語を使うことで、伝えたいことは同じでもよりターゲットの世界観に沿った文章に仕上げることが可能です。ちょっとしたこだわりが文章のクオリティを左右します。
「コピーライターになりたい」。衝撃的な広告を駅で目にし、そんな決意を抱いた小川サトキ。それ以来、コピーライターの講座に通ったりキャッチコピーの賞に応募したりと様々な取り組みをしたが、そんな努力もむなしく、最後までその夢はかなわなかった。
「それ」「そんな」が多い文章。読んでいるうちに“その指示語は何を指しているんだ?”とと思ってしまいます。
コピーライターになりたい。小川サトキの決意のきっかけは、衝撃的な広告を駅で目にしたことだった。以来、コピーライターの講座に通ったりキャッチコピーの賞に応募したりと様々なことに挑戦。しかし、努力むなしく最後まで彼の夢はかなわなかった。
「それ」「そんな」を使わなくても意外と伝わる。という意識をもって文章を書くことが大切かもしれません。
過酷だった部活動での体験談を伝えたいとき。
毎朝15キロのランニングや、1000回の素振りや、真夜中まで続く筋トレ。極寒の中僕たちは、地獄の練習に耐え抜いてきた。
これだけでも過酷さは伝わるかもしれません。でも、
毎朝15キロのランニング。1000回の素振り。真夜中まで続く筋トレ。極寒の中僕たちは、地獄の練習に耐え抜いてきた。
体言止めで細かく区切った方が過酷さが伝わるのではないでしょうか。接続詞や並列の「や」を使うと文章にやわらかさが出るため、使いどころにご注意を。
部活動での経験を武勇伝風に語りたいとき。
絶対に試合に出たいという想いがあったからこそ、何度失敗しても、どれだけ練習が辛くても諦められなかった。ずっと前を向き続けていたら、初めて公式戦で背番号がもらえた。「このチャンスは無駄にしてはいけない」という想いを抱えて臨んだ初打席でバットを振り抜くと、ボールはスタンドに吸い込まれていった。ホームランだった。
文章の意味は通じますが、もっとふさわしい語り口があります。
絶対に試合に出たかった。何度も失敗した。練習が辛くて吐きそうだった。でも、諦められなかった。ずっと前を向き続けていたら、初めて背番号がもらえた。迎えた初打席。絶対に無駄にできないチャンス。想いを胸にバットを振り抜いた。ボールはスタンドに吸い込まれていった。
1文を短くすることで緊迫感がより伝わります。初級編では「1文80字以内」とお伝えしましたが、こういったシリアスな語り口だと「1文40字以内」が適しているケースもあります。文章のテイストによって1文の長さを変えることも大切です。
部長から会議室に招集を受けた僕。「君、明日からニューヨーク行ける?」告げられたのは突然の異動依頼だった。「これも出世のためか…」ため息をつきながら、ひとり荷造りをするのだった。
サラリーマンの悲哀なエピソードを語るこの文章。少し順番を変えるだけで読者をぐっと引き込むことができます。
「君、明日からニューヨーク行ける?」部長から会議室に招集を受けた僕。告げられたのは突然の異動依頼だった。「これも出世のためか…」ため息をつきながら、ひとり荷造りをするのだった。
世の中の読者は基本的に時間がありません。少しでもあなたの文章に興味を持ってもらえるように冒頭から引き込む意識を持ちましょう。今回のように「セリフから始める」というテクニックはおすすめです。
文章を書く上で役立つ16のテクニックを紹介しました。中には「知らなかった」というものもあったかもしれません。これらを意識して文章を書けば、あなたの文章はきっと上がっていくはず。
僕自身、入社当時はこれらのテクニックを知らないまま、壊滅的に読みづらい文章を書いていました。しかし、先輩方の的確なフィードバックのおかげで少しずつ文章力を上げることができました。読むにたえない文章を提出しても、僕の成長を信じてフィードバックしつづけてくれた先輩方には感謝しかありません。
そんなトゥモローゲートでは現在コピーライターを募集しています。僕のように実務未経験でも入社するチャンスのある環境です。ぜひ挑戦してみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。次は「文章力を上げる方法1000選」というブログを書けるほどに進化したいと思いますので、一緒に文章力を上げていきましょう。それではまた!