TCC年鑑を「全文字写経」して深く後悔した話。

コピーライターといえば「写経」。

皆さん、こんにちは。コピーライター歴2年3ヶ月の若造、小川サトキです。

突然ですが、皆さんは休日をどのように過ごしていますか?

僕はだいたい、図書館にこもって、写経をしています。(これを答えると、大体「ハァ?」という顔をされます)

写経とは、他の人が書いたキャッチコピーや文章を書き写すことで、表現や文章力の幅を広げること。

コピーライターにとってはメジャーな特訓方法として知られています。

これを誰よりも濃く深くやってやろうと考えた僕は、「TCC年鑑に書いてある文字を一文字も漏らさず書き写す」というファビュラスな挑戦をしました。

この前、ようやく終わりました。そんな僕から、若手コピーライターに伝言です。

「TCC全文字写経は、まじでやめた方がいい」です。

「全文字写経」ってなんですか?

僕がせっせこ図書館に通いながらやっている「全文字写経」について、もう少し詳しく説明します。

やることはシンプル。TCC年鑑に載っている、グラフィック広告の一行コピーからTVCMのセリフ、ラジオCMの原稿まで「すべての文字を写経」します。本当に「すべて」です。

(例えばこんな感じ)

字コンテの「♪〜(BGMが入ることを示す記号)」まで、もれなく書き写していました(これは本当に意味がないのでやめた方がいいです)。

このチャレンジを始めたきっかけは、純粋に「ヒマだったから」。

もともと、大阪市立中央図書館に蔵書されていた60年分のTCC年鑑を読破し終わったタイミングだったので、「次は何をしようかな〜」と考えて取り組んだのがこの「全文字写経」でした。

大手広告代理店の研修の一つに「TCC年鑑20年分を一文字ももらさず読む」というものがあるらしい、と聞いたのもひとつのきっかけでした。

そのときに「見るだけじゃなくて、実際に書き写したらもっと力になるんじゃない?」と考えたんです。コピーライターにあるまじき脳筋具合です。

で、効果はあったの?

さて、この写経を通じて得られた効果についてお話ししましょう。

①文章のリズム・文体が身についた

まず、当たり前ですが文章力が上がりました(※個人の感想です)。

多種多様な広告コピーを書き写すことで、文章のリズムや異なる文体を自然と身につけることができたと思っています。

例えば、BtoBメーカーの新聞広告とキッチンメーカーのTVCMでは、キャラクターやトーンが異なります。それらを網羅的に吸収することで引き出しが増えたように思います。

②色々なことに感動できるようになった

「新しい感情が増えた」という意外な効果もありました。これは予想外でした。

以前、友人の結婚式の前撮りに同行した際、目の前の光景が美しすぎて、すべてがスローモーションに見えました。

いい人ぶってるわけではありません。日課のランニング中には「俺、いま風になってる…」と本気で思ったことがありました。これも過言ではありません。

あきらかにこれまでは感じなかったささいな感動を味わえるようになったのです。原理はいまだに謎です。

が、あらゆる「感情を動かすための広告」を分析しつづけた結果、今までの自分になかった「新しい感情」が増えたのではないか、と仮説を立てています。

やらなきゃよかった、と思うこともあった

もちろん、辛いこともありました。

TCC年鑑に載っている広告の中には、「文字の多さ」「ボリュームの多さ」で勝負しているようなものもあります。例えばこんな感じ。

それらを一字一句漏らさず書き写す作業はまさに苦行でした。

文章が1万文字に迫るような広告に出会うと、正直途中で辞めたくなりました。

ふつうに全部書き写すのに1時間くらいかかります。「これ意味あんのか?」って5分に1回疑います。

(5分以上あるWebMovieの字コンテを写経するときも、かなりの地獄です)

そんな時は、「疑ったら負けだ」と思うようにしていました。疑ったら、人はやめてしまいます。やめてしまったら、すべてがおしまいです。結局、脳筋になることでしか人は写経を乗り越えられないのかもしれません。

本気の学びは、「コスパ」を放棄した先にしかない。

結論。本当は「全文字写経」をオススメしたいのですが、コスパがかなり悪いです。

今年中に20年分やるつもりではあったのですが、正直心が折れそうです。

ただ、これを始めることで効果が出始めていることは事実。だからこそ、本気でコピーの勉強をしたい!と思って手を出さないと、めちゃくちゃ後悔するのかもしれないな…と思いました。

本気の学びは、「コスパ」を放棄した先にしかない。

そう考えてやりきれる人だけが得られる力があると、ぼくは思っています。

…とはいいつつ、僕は他のコピーライターの皆さんが何をどれくらいインプットしているのか、全く聞いたことがないんですよね。

コピーライターの皆さん、よければ僕のTwitterに「(コピーライターなりたての頃は)こんな勉強してた!」「今はこんなふうに写経してます!」みたいなことを教えてくれませんか?ぜひぜひ、お待ちしております。

(僕のTwitterアカウントは下記にあります)

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