みなさん、こんにちは。
意匠制作部でクリエイティブディレクターとして働いてます、吉本です。
ブログ記事の第二弾は、ちょっと雑談から入らせてください。
いまこの記事を書き始める前、ちょっとキブン転換に映画をみてきました。
2017年に日本テレビのドラマで放送されていた
劇場版『奥様は、取り扱い注意』です。
(クリエイターなのに、なんてミーハーな映画を!?)
心の奥底でこんなこと思ったそこのアナタ!
今度、呑みにいきましょう。
ウザがられても、綾瀬はるかの魅力について2時間くらい語ってやりますから(笑)
<ちょっと身勝手な被害妄想で記事を取り乱しました、話を戻します。>
この映画を見る前、
ブログでどんなことを書くか。決めきれずにいました。
正直、映画を見た後もブログで書く内容は決まりませんでした。
(当たり前です。むしろこの映画をみて決まる方が怖いです。)
けど、ずっと前から
「クリエイター1〜3年目の人材を育てるとき、育成という観点で何を意識しているか」
まとめておきたいと考えていたので
〆切も近いことですし、この内容でいくことを決めました。
ここで、この映画が一役買ってくれます。
育成や教育ということを意識するとき
僕自身はコピーライター出身ということもあり
「言葉」には、かなり意識を払います。
僕自身が好きなスポーツ界でも
名監督と呼ばれる人には言葉の力が備わっていると
なんとなく感じているから、かもしれません。
そんな意識を何となくみた映画のタイトルと重ね合わせ
記事のタイトルとしてマッチしそうだなぁという安易な発想にしがみつき
今回の記事にいたります。
そう。今回のタイトルは『言葉は、取り扱い注意』です。
そして、この映画のキャッチコピーにも合わせられるなぁと
より都合よく、より安易にテーマが雪崩式に決まっていきます。
「私のこと、ホントに愛してる?」ならぬ
「後輩のこと、ホントに愛してる?」です。
「愛してる?」は言い過ぎかもしれないんですが(笑)
「ひとりのクリエイターの人生を考えてる?」
という気持ちで書きたいなと思ったので、
この映画の言葉をそのまま、なぞらせてもらいました。
どうかご理解ください。
ながい雑談でした。お付き合い、本当にありがとうございます。
こいつ、前談なげぇなぁと思った方は
こちらのYouTubeも見て、リアルの場での主導権の握り方を
ぜひ、勉強してみてください。(チャンネル登録も忘れずに!)
では、だいぶ宣伝くさくなったので
本題について書いていきます。
今回の記事が、クリエイティブやものづくりの現場で育成や教育という観点でお悩みの方
もしくはクリエイター1〜3年目の方にとって、少しでも力になれるとうれしいです。
僕の考えるクリエイター育成の心得(第一歩編)を
大きく4つのポイントに絞ってまとめます。
INDEX
上司と部下。もしくは先輩と後輩。この関係性を考えたとき
一番不要なものは「言いたいことが言えない」状況だと考えています。
特に、僕らみたいなモノづくりをする仕事においては
コミュニケーションを欠かすことができません。
その欠かすことができない打ち合わせやアポイントの時間で
「言いたいことを後輩が呑み込む」なんてことが起こったら
それは単純にクライアントにとって損失だと思いますし、
後輩の成長にとっても損失だと考えています。
僕自身は、上司と部下、先輩と後輩というカタチはあれど
モノづくりにおける関係性は対等だといつも思っています。
先輩や上司と呼ばれる人間はちょっと先の時代を生きてきて、
それなりのビジネス経験や知識みたいなものがあるかもしれない。
けど今この時代を幼少期から生きてきた新しい世代は、
僕らが幼いときに感じられなかったことを見て感じて育ってきている世代。
その視点は先輩である僕らにはないものなので、
新人がもつ視点を大切にしたいと思っています。
(事実、後輩と話をしていても発見が多くあります。)
でも実際問題、現場で「遠慮なく言ってね」なんて言ったとしても
遠慮なく意見を言える後輩なんて、そういないものです。
ぼく自身もそんな人間だったと記憶しています。
では、そんな関係にならないためにはどうするか。
僕自身は、日頃から好き嫌いをおたがいで話すことからはじめています。
映画でも、マンガでも、おいしいお店でも、ファッションでも。
正直ネタはなんでもいいのですが、
僕らクリエイティブの仕事と絡めるなら「広告」で話すことが僕の場合は多いです。
好きなモノやコトを語るとき、ひとは口が滑らかになります。
損得勘定なくコミュニケーションが生まれる切り口だと僕自身は考えています。
居酒屋に誘ってお酒の力を借りる必要なんかなく、
本音に近いコミュニケーションが取れると思っています。
好きだけではなく「嫌い」を語ることも大切です。
じぶんが好きだと思っていることを、嫌いと思う人がいるかもしれない。
逆に、じぶんが嫌いだと思っていることを、好きと思う人がいるかもしれない。
そんな視点の可能性を考慮しながら、対話を進めていくことによって
一方的ではない「やさしい」視点も育つと思っています。
だから僕自身は、その人の好きに忖度することなく苦手だったら苦手と伝えますし
理解できなかったら「どうして好きなの?」と質問します。
この繰り返しで好き嫌いに関するモノサシを一緒につくっていくものだと考えているからです。
好き嫌いに正解はありません。
議論した分だけ、なんでも言い合える関係になっていくと感じています。
新人のときには、作業より「考える時間」を大切にしてあげたいと考えています。
その時間をつくるために「ムダ」とまでは言いませんが
「キレイな資料をつくる」時間はいらないと思っています。
体裁にアタマを悩ませるくらいなら、
芯のあるアイデアを手書きで生める方が価値は高いからです。
(先輩のみなさんは、体裁にもこだわった資料を出しましょうね。)
これは僕自身が、2〜3年目くらいのときに先輩に怒られた体験が強く根付いています。
あるメディアの表4(背表紙)の広告案を考える打ち合わせの場。
僕は準備のために、イラストレーターである程度デザインを組んだものを数案もっていきました。
それなりに頑張ったので充実感もありました。
けど打ち合わせでその資料を当時のクリエイティブディレクターに提出するなり
「この資料つくるのに何時間かかったの?」と聞かれました。
そして、続けて
「こんなに完成させてしまったら、打ち合わせという場でこれ以上には広げにくいよね」
とダメ出しされたことがあります。
まさに、体裁なんか気にするなというメッセージでした。
打ち合わせという場においては、
ほとんどの場合、自分のアイデアを決めにいく場ではありません。
どちらかというと、いろんなアイデアを、いろんな切り口で検証して
目標達成のために適切なアイデアを選ぶことが目的となります。
その当時の感情はうる覚えですが、
僕にはキレイな資料、デザインをつくって褒めてもらいたいという感情があったと思います。
確かに褒められると気持ちいいかもしれません。
でもそれは「クライアントのため」といった点でいくと
関係のないことだったと振り返ってみて思います。
ひとりでするモノづくりには限界があります。
最初にも話しましたが、
僕らは色々な人とのコミュニケーションを通じて、モノづくりをしていきます。
キャッチボールをしながらモノをつくっていく段階で、
いきなり豪速球を投げなくたっていい。
そんなことを、この時間から教わりました。
だから打ち合わせの場では、できるだけ多くの案(切り口)を考えることを優先させ
資料づくりは時間に余裕があったらくらいで教えていることが多いです。
だけど!!先輩は、案も資料づくりも頑張ってください(笑)
両方できてこそ、理想であることに間違いはないので。
企画の打ち合わせするときは
「ダメ」「悪い」といった言葉を使ってアイデアを切り捨てないように意識しています。
余談ですが、僕の口グセは「いいんじゃないっすか」だそうです(笑)
本来、誰かのために何かを企んで考えてきたアイデアに、良し悪しなんてない。
そんな考えが根っこにあるので、きっとそんな言葉が出るんだと自己分析しています。
わかりやすいのは、誕生日のサプライズだと思っていて
誰かを「お祝いしよう」と考えた企画に間違いなんてありませんよね、きっと。
(誕生日の人を茶化したりして傷つけてしまう可能性があるものはのぞいて。)
けど現場では、選ばれる企画と選ばれない企画が現実にはある。
その違いは何か。良し悪しという表現でいいのか。
僕は違うと思っていて
企画を立てる前に設定された目的・ゴールを達成できるかどうか。
考えた企画が、目的地へと到達できるような道筋ができているものかどうか。
それだけだと思っています。
イメージでいくとこんな感じです。
最初に設定したゴール(目的地)は沖縄でした。
だけど、その企画はどう考えても鹿児島までしか到達できない。
海を超えるための手段がないのです。
こういったイメージは企画をチェックするときにものすごく意識しています。
後輩の考えた企画は、確かに誰かを喜ばせようとしているし、大なり小なり良い提案がある。
だけど、目的地に到達するために足りていないことがある。準備不足なものがある。
それをできるかぎり具体的に伝えられるように意識しています。
ただダイレクトに答えは与えないようにもフィードバックの中では意識しています。
僕の話すことが100%正解ではないからです。
「こんな選択肢もありそうだけど、考えてみた?」
「ペルソナ以外の人がみたら、どう感じるだろう?」
こんな感じで考える余白を残して質問をします。
(こんな問いすら合っているのか手探りです。)
すると、僕が考えていたような解決策を用意してくる場合もあるんですが
僕自身が考えてもいなかったような解決策をもってくる場合も出てきます。
もちろん、後者の方がうれしかったりもするんですが、
自分で答えを決めるということが大きなことなので、どちらでも結果はOKととらえます。
まとめると、企画がダメなんじゃなくて、足りていないだけ。
旅行なら、足りないものを買いに行き、準備すればいいだけ。
その足りないものは、準備できるようにサポートをしていく。
企画を打ち合わせるとき、フィードバックするときに意識していることです。
どれだけパソコンの前にいても
いいデザインをすることやキャッチコピーを書くなんてことはできません。
いきなりですが、この心得4の結論です。
外にでて、美味しいものを食べにいくことでもいい。
恋人とデートに行くのもいい。家族との時間を大切にするのもいい。
その時間で体験したこと、日常の中で動いた感情をもって
その人らしいアウトプットが出てくるものだと僕自身は考えています。
僕、個人の体験を少しだけ書くと、書く言葉が劇的に変わったという瞬間が2回ほどあります。
そのうちの一つが、こどもが生まれた10年前。
この時をさかいに、まったく仕事で書く言葉が変わっていきました。
こどもという存在に、僕の大人びてしまった言葉や価値観を伝えても
まったく通じないということを子育ての中で経験をしていくことが増えたからです。
もっとわかりやすく、シンプルに、伝わりやすく、噛み砕いていくことが劇的に求められました。
こんな試行錯誤を365日していると、仕事にも活きてくるようになります。
難解なことを、できるだけ咀嚼しやすいように伝える訓練ができていったのです。
あ、少し話が「伝え方」の話に論点ズレました。ごめんなさい。軌道修正します。
子育てをする中で、こどもが一人でトイレができるようになったり、歩くようになったり、
怪我をしてものすごく心配や不安になったり
感情を動かされることが日常の中で増えました。
365日、心に爪痕が残るような思いをすることが人生に増えた感覚です。
そんな心動かす体験が蓄積されていくと、言葉も変わり、表現が豊かになっていった感覚があります。
“キャッチコピーが上手くなりたければ、いろいろな世代の人と飲みに行け”
僕自身はこんな言葉で育ちました。
お酒が好きだからのアドバイスでありますが、この言葉は今も大切に実践しています。
同じ世代とのコミュニケーションは楽でもあり、楽しくもあります。
けど、まったく異なる世代とのコミュニケーションは、僕が体験していないことや価値観をもった世代なので
コミュニケーションがちょっとだけ難しくなります。
だけど、価値観のすり合わせによって、僕自身の考え・価値観の更新もできます。
それが何より大きなことだと思うのです。
僕の尖った偏見を、少しずつ、少しずつ丸くしていく。そんなイメージでとらえています。
あと、私用を大切にすることによるメリットはもう一つあります。
私用を平日に設定するなら、
その私用にむけて、しっかりスケジュール調整・管理をする力がつくようになります。
〆切あるものが色々交錯するスケジュールの中で、私用に間に合わせるためにどうするか。
自然と考える力がついていくと僕は思います。
(正直、僕はこの力が弱いです。仕事が趣味みたいなものなので境がありません。)
だから私用があるなら「すいません」なんて気持ちを持たず
時間になったら、堂々と出ていったらいいと僕は思ってます。
「私用は大切なインプット」と思って欲しいのです。
(※言葉が変わった瞬間2回目は、またいつか語ります。)
70点、80点の取りやすい時代になりました。
ネットでググったら、たくさん事例が出てくるし
ピンタレストでデザインを探したら、いい感じのデザインもたくさん出てくる。
参考にあふれた時代です。参考に添えば及第点は比較的苦労なく取ることができます。
けど、僕らクリエイターと呼ばれる人たちがしたいモノづくりは
70点や80点のモノづくりではなく、
テンプレート感のないオーダーメイドです。
誰かの涙を誘うような映像がつくってみたいし
誰かを驚かせるようなWEBサイトをつくってみたい。
そんな感情が根っこにはあると思うんです。
僕自身もテンプレートに染まらないよう
日常の体験を貯蓄しながら、日々言葉をアップデートする毎日です。
誰かの体験やデザインを模倣したり、コピーするのではなく
じぶんの内側から湧き出るもので、何かを表現できる人でありたいと思っています。
それは育成、教育する後輩に対しても同じく願うことです。(勝手ながら)
僕自身、企画やキャッチコピーを褒めるとき
「その言葉はボクには書けない」という言葉を使います。
つまり「キミらしいね」ということです。
僕自身、もっともっと、後輩から刺激受けたいし(もちろん先輩からも)
僕以外の誰かがつくったものを見て、嫉妬したいと思っています。
そんな刺激し合えるチームにできたらと願うし、会社にできたらと願います。
ドMかもしれませんが、毎日嫉妬して、その感情でモノづくりに突き動かされたいです。
嫉妬させてくれる次世代、待ってます。