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ポートフォリオと新卒デザイナーときんぴらごぼう

新卒デザイナーがつくるべきポートフォリオ

おはようございます。池田リョウです。

2025年までに「大阪で一番オモシロイ会社」を目指すトゥモローゲート株式会社の役員です。

大変僭越ながら、社内の二大部署のひとつ「意匠制作部」のゼネラルマネージャー(以下GM)をしています。ブランディングデザインを担う部署です。

6月になりましたのでオトクな情報を差し上げます。おかげさまで、コロナ禍により僕の人生のスクリーンタイムはYouTubeに占領されています。あまりにも一般的な傾向すぎて焦りと憤りを覚えますが、ぜひ下記をお試しください。

① 本日“新しく”興味を持ったことを毎日3つメモ
② 自宅にてYouTubeで検索して一番スゴそうなのを視聴しながら一杯乾杯

ハイ。これだけで世界線が若干変わります。

結構どんな分野にでもスゴい人はいるもんで、新しく興味を持ったことに「目」と「耳」を2〜3分使うだけでインプットは加速します。これまでの時代では調べたとしても「目」で活字をなぞるだけが多かった。でも今はどんな情報でも映像として得ることができます。文字に比べて映像は5000倍の情報を持っていると言われます。どんだけお得やねん。経験した気になってる“だけ”かもですが、映像は時間の割引率かなり高いです。赤いシール好きですよね。どうせなら人生オトクに生きましょう。生きてるだけで、愛。

さて、今回はデザインを担う部署のマネージャーらしく、ポートフォリオの話題です。

これまでと違ってマジメに、ポートフォリオにおいての僕の価値観をお話してみます。

目次です。

ポートフォリオは見られてなんぼ

僕はこれまでに様々なクリエイターのポートフォリオを1000以上は見てきていると思います。

いつも思うことですが、みんなクソ気合い入れてつくってるものを見て、合格とか不合格とか判断するのってほんと申し訳ないなと。(これが大前提)

でもよく考えてみてください。

…ということは、ポートフォリオってこうして見てる“相手”がいるのです。(しかも人間です)

本気で相手に届けよう、自分を見てもらいたい、と思ったときには普通どうしますか?

相手のことを考えないラブレター(表現古いか?告白メール?)なんて、相手がキュン死するわけないですよね。相手のことを日々思いながらついに溢れ出てしまった想いを、これまでの経緯や自分の強みをまとめながら真摯に愛を伝えるわけですよね。

名前さえ変えれば、誰にでも使えるテンプレートのようなラブレターであなたの好きな子の心はつかめますか?

つかめるとすればその相手は「誰でも付き合う子」なのかもしれません。もしくは「元からあなたのことが好きな子」です。

そうでない場合、あなたは相手の心を意識することが必須なのです。

そういう意味で見てみると、送られてくるポートフォリオの8割は「相手不在」になってしまっています。

ポートフォリオ作成において、まずはこの現状を頭に入れておいてください。

見てもらうが第一関門、時間を使って見てもらうが第二関門

8割が「相手不在」のポートフォリオの中で、残り2割はあたりまえですが採用担当者(企業側)に向けてのメッセージを発信しています。

採用担当者は、メッセージがある/ないによって見始めるときの気持ちが変わります。いわば必須事項なのです。

その次は中身で勝負です。ここでも大事なポイントがあります。

ポートフォリオ冒頭の5ページで大枠を感じとれます。言い換えると、冒頭5ページ見て刺さらないものはそのあとも刺さりません。なぜかと言うと“選考基準に満たない”というマインドセットが入るからです。

リアルな場でも第一印象が良くないと、その後もコミュニケーションは活性化しづらいですよね。一緒です。だからこそ、冒頭5ページで自分の強みを一番“わかりやすい”形でPRすることを心がける必要があるのです。

採用担当者は、ある程度たくさん数を見ている人がほとんどです。確認方法にある程度の「型」がないとたくさんの数をさばくことができません。いわば、送られてくるポートフォリオ全員の全ページを隅々まで読む担当者はそういないということ。悲しきかなこれが現実です。

冒頭5ページで、その後の確認時間が決まると思ってください。ハートを掴めば閲覧時間は長くなり、的を外せばそのまま閉じられるわけです。シビアな世の中ですが実際はそういうものです。

作品を載せるではなく、課題解決を載せる

では冒頭5ページで何を伝えるべきか?これもよく考えてみると簡単なことかもしれません。

僕たちがクライアントに企画提案するときとまったく同じように、企業側にはいま採用をしたい理由があるのです。

・問い合わせ案件が増えてきて人手が足りない
・売上達成するために案件増加と人員強化が必須
・デザイナーの質をあげたい
・新規事業にあたりUIに強いデザイナーがほしい
・自社に初めてデザイナーを採用したい
・急な退職が出て早急にデザイナーが欲しい
・デザインのマネージャー候補が欲しい

などなど。

例えば、新卒採用であればおそらく即戦力というよりも「自社の将来を担う新しい世代のデザイナーを育てたい」という思いや戦略があるはずです。その企業の採用理由に対してのアプローチをするわけですから、ポートフォリオの冒頭ではかんたんな自己紹介のあとに、

「私ができること」
「貴社へのご提案」
「私の強み」

のような形で入るとベターです。

さて、このようなまっとうな形での提案もいいですが、実は伝え方も大切。ここからちょっとコピーを考えるだけでももっと採用担当者に刺さりやすくなります。

「私だからこそ貴社に貢献できること」
「実は今の貴社に足りていないポイント」
「他の誰でもなく、私を採用するべき理由」

と、このような導入で来られると、きっと採用担当者はアナタのポートフォリオに興味を持つはずです。

新卒採用におけるデザインクオリティ

企業の採用において「新進精鋭のアーティスト」を求めているケースはあまりありません。

しかし、多くのポートフォリオを見ていると、まるで歌のオーディションの資料なのかというくらいに「自己顕示」と「わたしの作品見てくれ」の訴求が大半。

実際のところですが、学生さんの場合はこれまでの経験上“作品”においてこちらの想像レベルを超えてくることはほとんどありません。

でもショックを受ける必要はありません。そういうものです。

デザイナーとしての技術はクライアント仕事を通じて、企業が持つ課題や要件とその解決策を学ぶなかで身についていくものです。たとえ学校で上位クラスだったとしても、あくまで校内での成績。外から見るとレベルはある程度一律(これも現実)なのです。デザインという名の剣を片手に選考へ攻め入ることに強さは感じないんです。

たまにいますけど。すごい人。そういった人はフリーランスの道に進んだり、すでにSNS等を通じて仕事をされていることが多いです。

しかし、デザイナーなのに作品で攻めたらダメってどういうこと?って思いますよね。

では新卒デザイナー志望のアプローチとして、どういったポートフォリオが刺さりやすいのかを最後に紐解きます。

内定へ近づく2ステップ

内定を勝ち取るための正解はありません。ただし、デザインクオリティが並行線になりがちな新卒採用でのポートフォリオでは、ここを強化すると“高評価に近づきやすい”ポイントがあります。

まずは2つの大きな工程を踏みましょう。

①想定しているポートフォリオの“ページ構成”を目的から見直すこと
②各ページでの“目的”を達成するための情報を集め、整理すること

【自己紹介ページ】求める人材とのマッチングを含め、自分のどの経歴・特徴・思いを重点的に伝えるべきか。

【作品ページ】事業内容・ワークスタイルや実績と照らし合わせ、自分ができることをどう伝えるべきか。

【その他】自分の強みがマッチングする内容で伝え漏れはないか、違った側面からのPRはできないか。

WHYを伝える

デザインだけでは大きい差別化が難しい。ならば、表向きのアウトプットだけではなく、その思いやプロセスの伝達にこだわることで、デザインにおいての地盤がしっかり身についていることをアピールしよう。

デザインは自己表現ではなく課題解決。思考プロセスのないアウトプットはLV99から始まるRPGのようなものです。出来上がったデザインをただ掲載するのではなく、WHY(なんのために・なぜそうしたか?)とHOW(どうやって作ったか?)を簡潔に伝えましょう。

WHY例
・プロジェクトの概要
・現状課題
・デザインの意図
・意図にたどり着くまでの思考 etc…

HOW例
・期間
・制作体制、規模感
・自分の役割
・工夫したポイント etc…

除外する勇気

見せる目的が曖昧なページは載せない、ということもひとつの考え方です。学校でのあらゆる課題実績を載せて幅の広さを見せようとする人をよく見ますが、そういったものほどデザインの粗さが目立ち、逆にマイナス評価につながることがあります。

これはあくまで僕の場合ですが、この段階のポートフォリオとしては、平均点を着実に取りにいける人材なのかを見ています。せっかく考え方がいいなと感じ、いいないいなとページをめくっていても、妙にこれまでのテイストと違ったものや、とりあえずやった、みたいな内容が目に入ってくると少し冷めてしまう感覚があります。

よくある例でいうとデッサンやキャラクターデザインなどがそれに当たることが多いです。企業側が求めるスキルであれば載せるべき、あまり必要としないだろうと判断すれば潔く除外しておくべき。あくまで企業に合わせた作品掲載にしましょう。

デザインは副菜なのかもしれない

いかがでしたでしょうか。

僕なりにまとめたものなので、すこしナナメから攻めている部分もあるかもしれません。ただ「新卒採用」というタイミングはみんなが学んできた時間も似ているので、ライバル同士、横並びなのが特徴的です。

一般的にポートフォリオにおける実デザインは「ハンバーグ」のような主菜になりますが、この際

「きんぴらごぼう」くらいの副菜にしてあげて、プロセスや想いを主菜に展開するという手法も悪くはないかと思います。

また、基本的にポートフォリオは独り歩きをします。

データが基本の今の時代では「まずはポートフォリオを送ってください」が定番。親のように一緒に手をつないで現地で支えてあげる機会は少ないのです。生まれたてでヨチヨチなのに、すぐに独り歩きをしないといけない可愛いポートフォリオちゃんに、ぜひ外見と知性をバランス良く分け与えてあげてください。

そしてポートフォリオが認められた「その後」が本番なのも忘れずに。

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