
おはようございます。池田リョウです。
2025年までに「大阪で一番オモシロイ会社」を目指すトゥモローゲート株式会社の役員です。
社内の二大部署のひとつ「意匠制作部」のゼネラルマネージャー(以下GM)をしています。
今日はAIとコミュニケーションを深めながら、「必要とされるデザイナー」についてまとめてみました。
もちろん細々と加筆はしていますが、そもそもAIがまとめてくれる情報は的を得ているか。
今、デザイナーでありクリエイターの道を真っ直ぐに突き進んでいるあなたこそ、
一度この記事を通して自問自答してみてください。
【デザイナーの大間違い】
「デザインが好き」「デザインでもっと新しい表現をしたい」 ──
その気持ち、本当に素晴らしいと思います。
実は僕自身はそこまでの気持ちをもったことがないんですよね。
何かを愛せることは大変うらやましい。
僕がクリエイティブの世界に入ったのが2010年ごろ。
早や15年ほどが経とうとしていますが、この世界。
決して甘い世界・オシャレな世界・華やかな世界ではありません、ありませんでした。
クリエイターはもうだれでも気づいているはずです。
まるで牛丼の如く、AIを使った手軽で早くて便利なサービスが席巻し、これまでは通用していた「いい感じのデザインできるよ?」のスキルだけでは、生き残ることが到底むずかしい時代へと突入しています。
8〜9割のクライアントは、口を揃えてこう言います。
「私たちは美しいデザインを求めているのではなく、ビジネスに貢献&成果を生み出すデザインを求めています」と。
昭和・平成時代のデザイナーに求められたスキルとは180°変化し、これからデザイナーを目指す方、そして今まさに現場で葛藤している方には、おそらく大きな意識変革が求められるのです。
多くの現場デザイナー、そしてある程度経歴を持ったデザイナーからもよく聞く言葉。
それは、“デザインの価値を理解してもらえない…”という悩みです。
クライアントから、
「デザインの費用が高い」
「もっと派手に、インパクト重視で」
「とりあえず、これ(他社制作物)と同じ感じで」
「なんかわからないけど、もうちょっとどうにかしてほしい」
といった言葉を投げかけられた経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
クライアントが本当に求めているもの。
それは見た目だけのクオリティではなく、その先にある「価値」です。
こうしたクライアントの言葉の裏には、「デザインはコスト」という認識が根強く存在しています。
デザインがビジネスにどのように貢献するのか、具体的なイメージを描けていないのです。
美しいデザインは、もちろん重要です。しかし、それだけでは不十分です。
クライアントが真に求めているのは、売上増加、顧客獲得、ブランド価値向上といった、
ビジネス目標の達成に貢献するデザインなのです。
あなたはその求められる価値に「あなたの作ったデザインがどう繋がっているのか」を伝えられていますか?
【感性を論理で武装しよう】
「デザインは感性」という考え方も一理あるでしょう。
しかし、僕たちが普段関わるクライアントワークでは、
感性だけでクライアントを納得させる、且つプロジェクトを成功に導くことは難しい。
なぜならお客様は、上長に通す理由、納得できるロジック、結果に繋がるイメージが欲しいからです。
これからの時代、デザイナーは「データ」と「数字」を理解・駆使し、デザインの価値を戦略的に論理的に証明できるスキルが必要なのです。
例えばWEBデザインであれば、CVR・直帰率・滞在時間といった細かな指標を分析し、デザインに落とし込む必要があります。
A/Bテストを実施し、どちらのデザインがより効果的なのかを検証する動きだって取れます。
Google Analyticsなどの分析ツールを使いこなしユーザー心理を深めることで、クライアントのビジネス目標達成に貢献できるかもしれない「仮説を持ったデザイン」を生み出すこともできるでしょう。
はたらくクリエイターであれば、ほぼ誰もが毎日の現場やSNSで目にするこの業界の変化と進化。
それでもあなたは日々のタスクをこなし続けるデザイナーでいますか?
【生存のための3つのクリエイターサバイバルスキル】
2025年以降。僕たちがデザイナーとして生き残り、活躍し続けるためには、どのようなスキルを身につけるべきでしょうか?特に重要であろう3つの大きな項目を改めて挙げてみます。
①ビジネス感覚を磨く
デザイナーとしてキャリアを積むほど、上長から耳にする頻度が増える言葉かもしれません。
しかし「ビジネス感覚」とは一体どんな力なのでしょうか?
かんたんに掘り下げてみましょう。
・コストと利益の意識を持つ
「この企画・構成は利益につながるのか?」「外部費と利益のバランスは適切か?」など、
案件における財務・収益構造を考慮して判断できる力。
・市場や競合の理解を深める
「市場のトレンドはどう変化しているのか?」「競合はどのような戦略を取っているのか?」など、
外部環境・マーケットを加味して設計できる力。
・思考を顧客視点に変える
「ユーザーが本当に求めているものは何か?」「ターゲット層にどう価値を提供するか?」など、
顧客のニーズや課題、UXを中心に考える力。
・意思決定が戦略的である
「短期的な成功と長期的な成長、どちらを優先すべきか?」「リスクをどのように管理するべきか?」など、
目的に応じて最適な選択、リスクヘッジをする力。
・判断はデータを活用する
「どのKPIを設定すれば成果を測れるか?」「数字をもとにどのように改善すればよいか?」など、
感覚ではなく事実・データに基づいて意思決定する力。
デザインはビジネスの目的達成のための「手段」です。
クライアントのビジネスを深く理解し、その上でマーケティング、ブランディング、UX、財務などの知識を習得することで、より効果的なデザインを提案できるようになります。
この中でも特に「財務」は意外と見落としがち。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの基本的な財務諸表の理解を強めることは、
意外にデザイナー、クリエイターとして他と差別化できる盲点とも考えられます。
②データ分析力の強化
データ分析は、もはやデザインに説得力を武装させる必須スキルとなろうとしています。
WEBサイトやアプリのアクセス状況、ユーザーの行動履歴などを分析し、デザインに反映することで、より効果的なデザインを生み出すことが可能です。
ピンとこない方は、一度データを誰かに分析依頼し、数字に基づいた現状把握をしてからデザインに入ってみるといいでしょう。
デザインアプローチにおいての意思決定に引き出しが増え、おそらく以後のデザインは変わるはず。
始めるきっかけとして、まずは下記を取り入れてみましょう。
・アクセスログ分析
Google Analyticsなどを用いて、WEBサイトへのアクセス状況を分析します。
日々の訪問者数、ユーザーはどこからの流入が多く、どれくらいの滞在時間で、何が人気コンテンツなのか、どれくらい問い合わせページへの訪問があるかなど。サイト内の細かな情報を得ることで、何を優先的に考えるかの判断基準や、クライアントへのデザイン意図説明が明確になります。
・ユーザー行動分析
ヒートマップやユーザーインタビューなどを用いて、サイト内でのユーザーの行動やニーズを分析します。
分析結果として、どのエリアが最もクリックされているか、どこまでスクロールされているか、途中で離脱するポイントはどこか、どのフォーム入力項目で離脱する人が多いか?など。
単なるアクセス数やセッション数の計測だけでなく、「ユーザーがなぜその行動を取ったのか?」を深掘りし、デザインやマーケティング施策の改善に活かすのが目的です。
・A/Bテスト
2つ以上の異なるバージョン(Aパターン、Bパターン)を用意し、コンバージョンやクリック率の改善において、どちらのデザインがより高い成果を出せるかを比較・検証できる手法です。WEBサイトのボタンでどっちがよりクリックされやすいか、ランディングページのデザインは画像主体とテキスト主体どちらが購入率が高いか、メールの件名はどちらの方が開封率が高いか、など。
明確なテストの目的と期間を決め、検証していきます。
これらはすべてのデータ分析においてのスタンダード。
結果に繋げるためのコツは、テストを1回だけで終わらせず、改善 → 検証 → 改善 のサイクルを続けることです。
継続力はどんな職種においてもやはり重要ですね。
③企業・社会のルールを積極的に摂取する
答えのある回答や、決まったルールを導き出すことはAIの得意分野です。
AIを積極的に活用しながらも、自社ではどうなのか、クライアントでも本当に当てはまるのかなど、
倫理的な問題点についても深く理解し、責任ある選択と行動をとれるクリエイターになることで需要は高まります。
意外とこの辺り、自身の職務外として人任せにしていることが多いのではないでしょうか?
例えば、以下のような倫理的なトピックについてあなたは理解を強く持てていますか?
・著作権
「知らなかった…」では済まされない問題に発展することも珍しくありません。
成果物の著作権は誰にあるのか、画像やフォントはどこまで自由に使える?二次創作とは?など、
世のクリエイターを守るためにもある「著作権」を知ることで、より安全なクリエイティブ活動に従事できます。
著作財産権(経済的な権利)、著作者人格権(創作者の権利)の二つくらいは、大枠でも理解しておいて損はないかと思います。
あなたは契約書の内容をしっかり把握できていますか?
・個人情報の取り扱い
WEBサイトやアプリ内で個人情報を扱う設計をした場合、お問い合わせ、会員登録、資料請求、cookieなど、適切な対策は必須となります。
クライアントから預かる顧客リストやユーザー調査結果、クレジットカード情報など、プログラムによる情報漏洩の危険性や、情報取扱明記などでのリスクヘッジは必ず意識する必要があります。
意外と見落としがちなのが、AIによる個人情報の「蓄積」と「流出」です。
機密情報(顧客リスト、従業員情報)を入力すると、AIの学習データとして保持される可能性があったり、個人の写真をアップロードすると、予期せず他のユーザーにも類似画像が提供されることがあります。
特に、クラウド上で動作するAIは、ハッキングのターゲットになりやすく、仮にAIサービスのデータベースが攻撃を受けると、企業の機密情報や個人情報が流出する可能性も。
安全な運用ルールを作り、慎重に活用することが重要なことを覚えておきましょう。
・採用、外部連携
組織で仕事をしているクリエイターに限りますが、「採用」は企業やチームの成長に直結する重要なプロセス。
スムーズ且つクオリティを上げ、満足度の高い案件を進めるために、今どんな人員が必要なのかを俯瞰して把握し、
チームに繋げる力を持ったクリエイターは非常に重宝されます。
また、外部クリエイターとのつながりを多く持つことで、情報感度やトレンド感が増すことがあります。
また、困った時にそのつながり同士で助け合い、紹介し合える仕事でのつながりは、プロジェクト内で意外と重宝される隠れたスキルとも言えます。そういったコミュニケーションを増やすことで、外部業者のハンドリングにも役立ったりしますよね。
【終わりに】
ここまで読んで、自分には難しい、まだまだ縁がない世界かもしれない…と感じた方もいるかもしれません。
しかし、その考えではこれからの時代に淘汰される可能性もあります。
デザインの力で、未来を拓く。
デザインの世界は、厳しい競争社会です。
しかし、変化を恐れず、常に学び続けることで、未来を切り拓くことができます。
「デザインが好き」という情熱を忘れずに、ビジネススキルを磨き、新しい時代を生き抜きましょう。
最後に、この記事が、デザイナーとしてのキャリアを考える上で、少しでも参考になれば幸いです。
困難に立ち向かい、未来を創造していくみなさんを、心から応援しています。
※トゥモローゲートの「デザイナー職」に関する詳細はこちら
・Webデザイナー
・グラフィックデザイナー

池田 亮
トゥモローゲート株式会社常務取締役。ブラックな企業のクリエイティブを統括する最高意匠制作責任者。バンドマンを経て30歳で上京し専門学校へ入学。WEBデザインを習得して帰阪し、2013年にトゥモローゲートに入社した。現在は意匠制作部の売上、スケジュール、工数管理、クリエイティブに対する意思決定を担当している。
TEL 06-7167-3950