トゥモローゲートのコピーライターで、このブログの編集長をしているまきぎ周平です。
僕は5歳から大学4年まで17年間野球を続けました。高校は兵庫の明石商業高校。大学は東京の駒沢大学。ありがたいことに高校・大学共にキャプテンを務めさせていただきました。しかしプロ野球選手として食っていけるレベルには至らず、卒業後はスポーツ新聞社で阪神タイガースの担当記者となり、社会人5年目からはコピーライターとしてトゥモローゲートで働いています。
そんな経歴ですから周りには元野球部の社会人がたくさんいます。中には野球に熱中していた学生時代と同じように仕事に熱中し、久々に会うと仕事への誇りや未来への野望を熱く語っている人がいます。僕もどちらかと言えばそういうタイプです(熱中できる仕事に出会うことができました)。しかし、全ての人がそうではありません。久々に会うと会社への不満や上司への愚痴を吐き、最後には「仕事、おもんないわあ」と本音をこぼす人がいます。
2者のモチベーションの違いは何が原因なのか。ここ数年そんなことをずーっと考えていました。業種?上司?会社?もちろんそれらも一因でしょう。でも、それが全てか?と言われると決してそうではないはず。同じ業種でも、同じ会社でも、仕事に熱中できている人とできていない人に分かれている現実があるからです。では、何が原因なのか?
それは“仕事という概念の捉え方の違い”というのが現時点での僕の結論です。
仕事に熱中することが絶対的正義ではありません。仕事にネガティブな発言をしている人でも実際は仕事が好きだったり、仕事は好きじゃないけどプライベートが充実しているから幸せだという人もいるでしょう。そういった方々を否定する気持ちは全くありません。その上で僕は“仕事に熱中できる=幸せ”という考えを持っているので、これから社会で活躍する元野球部の人たちに伝えられることを書いていこうと思いました。
元野球部が仕事に熱中するための“仕事という概念の捉え方”とは。小難しい言葉ですが中身はシンプル。一言でまとめると「仕事は野球ほど難しくない」です。詳しく書いていきますね。このブログが元野球部社会人のキャリアにとって何らかのヒントになればうれしいです。
INDEX
野球は一流と呼ばれるバッターでも10回のうち3回ヒットを打てば上出来でほかの7割は失敗に終わるスポーツです。そこに予期せぬアクシデントだったり、対戦するピッチャーが絶好調だったりといった“自分ではどうしようもない要素”が複雑に絡んでくるため、どれだけ努力をしても成果につながらないことはザラにあります。
そういった厳しい環境を勝ち抜いてプロ野球選手になれるのはほんの一握り。高校・大学の野球部に所属している人でプロ入りできるのはおよそ3000人に1人というデータがあり、その中で現役を10年以上続けられるいわゆる“野球で食っていける人”は3割〜4割しかいません。そんな競争を勝ち抜いた人だけが生き残れる厳しい世界です。
一方の社会はそこまで厳しくありません。なぜなら「1つの道を極めなくても食っていけるから」です。野球選手として食っていくためには「野球」という1つの道を極めなければなりませんが、社会人は営業、コンサル、人事、広報といったたくさんの選択肢から挑戦する道を自分で選ぶことができます。
それに、同じ営業職でも金融業界と建設業界では仕事が違いますし、IT業界の広報と工業メーカーの広報でも道は異なります。また、職種と業界が同じだったとしても所属する会社が違えばやっぱり道は違います。ビジネスには野球と比べて進める道がたくさんある。その中から自分の得意な道を選ぶことができるのです。
「誰もが得意な道を自由に選べるわけじゃない」と考える方もいると思います。たしかにその通りです。始めから自分に合った道を選ぶのは難しい。どんな道なのか、それが自分に合うのかどうか分からないからです。ただここで僕が言いたいのは、一度進んだ道が自分に合っていなかったとしても他の選択肢はいくらでもあるということです。
営業が向いていないと感じれば人事に挑戦してみればいい。人事でスタートしたけれど、お客様と直接やりとりしたい!と思ったら営業にチャレンジしてみればいい。戦う道を変える方法は何も転職だけではありません。社内でボランティア的に他職種を経験させてもらうのも1つの手ですし、それが難しいのであれば知り合いに仕事をもらったり、クライドサービスなどを利用して仕事を受けてみるのも1つ。
そうやって「自分が一流になれる道ドはどこなのか?」を探る姿勢を忘れずにいれば、いつか自分に合った仕事に出会えると僕は思っています。
では、自分に向いている向いていないの判断は何を基準にすればいいのでしょうか。これは至ってシンプルで、「成果を出せるかどうか」だと僕は考えています。もう少し具体的に言うならば「努力がしっかりと報われているかどうか」です。
野球と同じくビジネスにも“自分ではどうしようもできない状況”があります。例えば僕のように学生時代野球しかしてこなかった人間が医薬品の開発チームに就職したら、どれだけ努力を重ねても報われる可能性は非常に低いでしょう(そもそも医薬品の開発チームになんて入れませんが、わかりやすい例として…)。
それと同じく自分の持っているスキル、自分の好み、生まれ持った性格を磨いていく過程(努力していく過程)で成果につながるのかどうかを見極めていくことが大切。それは数週間、数ヶ月で見極められることではありません。ではどれくらいの期間が必要なのか。僕の感覚では少なくとも2、3年は必要なのではないかと思います。
「とりあえず3年は辞めるな」といった精神論を言うつもりはありません。そんなのは人によって変わるし、仕事の内容によっても変わりますから。ただ一方で考えてほしいのは、「野球をはじめたあの頃、たった数ヶ月で野球に向いているかどうかを見極めることはできたか?」ということ。多くの人が「プロ野球」という舞台を夢見て野球を始め、3年、5年、10年と続けていく中で自分のレベルを知っていったはずです。
そしてそれを知ることができたのは、長い時間をかけて必死に努力してきたからだと思います。仕事も同じです。まずは一定期間、どうなるかわからない中で努力を続けてみることが大切。それはある意味ガマンの時間と言えますし、無駄に終わってしまう可能性だってあります。
でも、その期間を経験しないと自分がどんな仕事に向いているのか把握することは難しいです。新社会人として入社した会社の仕事内容が学生時代の希望と違ったとしても、まずは必死に努力する。野球を始めたあの頃のようにどうなるか分からない暗闇の中でもがいてみる。自分に合った道はその先にやっと見えてくるものだと思います。
もし、今の仕事が向いていないと判断できてしまって、全く違う業種や会社に移ったらまたゼロからのスタートじゃないか!と不安に思う方もいるかもしれません。でも、これだけはハッキリ言えます。転職したからといってそれまで蓄積したスキルや実績がリセットされるわけではありません。
仕事の根本的なポイントはどの業種でもどの会社でも同じです。“課題を解決すること”この1点です。新聞記者時代のソレは担当球団である阪神タイガースが優勝するための課題を言葉で解決すること。コピーライターにとってのソレは企業や商品が抱えている課題を言葉で解決することです。
僕の場合は職種が似ているため説得力に欠けるかもしれませんが、業界、職種、会社が変わっても“課題を解決する”という根本が変わらないのは不動の事実。営業であれば自社の商品の力でお客様の課題を解決することですし、人事であれば自社が抱えている組織的な課題を解決することが仕事の本質。転職したらその業界の知識を覚えるのにそれなりの時間は必要ですが、それさえ覚えてしまえば同じ。前職で学んだ仕事の本質をフルに発揮すればいいのです。
まだ4月なのに転職の話…と思われる方もいると思います。たしかに我ながら夢のない話だと思います。なのになぜブログにしたのかというと“今の会社が社会の全てじゃない”という前提を持って働くことが大事だと考えているからです。僕も社会人になった当初は“途中で道を変えるのは恥ずかしいことだ”と思っていました。でも、そんなことは全然ない。だからこそこのタイミングであえて“道は1つではない”ということを伝えようと思ったんです。
ここまで書いてきた考えのもとで努力を惜しまずキャリアを進めていけば、充実した社会人生活を送れると僕は思います。野球をやっていた時と同じ熱量で仕事ができるし、着実に成果を積み重ねていけるとも思います。繰り返しますがビジネスは野球のような「1つの道を極めなければ食っていけない」わけではありません。
自分に向いているキャリアを常に探し、自分なりのゴールを設定し、そこに向かって突き進んでほしいと思います。そこには苦しくて辛い時間もあります。そこを乗り越えるためには血のにじむような努力が必要です。でも、そんなの、野球で経験した苦しくて辛い時間に比べればへっちゃら。1年間ほとんど休みもなく努力をしたのに成果が出ないなんてことはないし、上司に怒鳴られることも殴られることもありません(一部あるのかもしれませんが)。ぜひ充実した社会人生活を送ってください。いや、充実した社会人生活を自ら作っていってください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。今回は僕が経験から感じたことをありのままお伝えしました。長々と偉そうに書いてきましたが、僕もまだまだひよっこです。読んでくれた皆さんと一緒に成長し、充実した社会人生活を作っていきたいと思います。