【事例アリ】社員が成長する人事評価制度の作り方

人事評価制度のつくり方

年度が変わってふた月。このタイミングではまだ聞きたくないワード。今日のテーマは「評価」についてのお話。評価ってする側もされる側も心身ともに労力を使いますよね。手間もかかりゃ、いろんなことを考えないといけない厄介なやつです。

そもそも、日本企業の中でどれくらいの企業が評価制度を取り入れているのかご存じですか?随分前の情報なので多少変化はあると思いますが、実は全体の50%くらいだそうです。どこの会社でも取り入れているイメージがありますが、実際はそうでもないんですね。

100名以上の企業で7割が導入、300名以上の企業で8割程度導入していて、社員数が多い会社ほど評価制度がある割合も高くなります。逆に社員数が少なかったり、まだまだ出来たばかりの会社では明確な評価基準がなく、それぞれの管理者の基準で評価しているケースも大いにあるかと思います。

評価制度はあった方が良いのか?

なくても良いのか?

そんな疑問をお持ち方に参考にしてもらえる情報を今日はお送りできれば。

そもそも人事評価制度ってなに?

人事評価制度は学生時代で言うと通知表です。その人が決められた期間にどのような成果を出し、どのような能力を持っているのかを可視化し、評価するもの。その通知表にもいろいろあって、テストの得点を重視して成績が付く場合もあれば、授業態度や臨む姿勢を重視して成績が付く場合もあります。

そのため、人事評価制度では何を基準に成績(評価)を判定するのかを取り決めます。その評価に応じて報酬や人事配置を決定していきます。では、なぜわざわざそんな基準を設ける必要があるのか。しっかりと練られた評価制度はどんな効果をもたらすのか。例として以下のようなことが上げられます。

・給与・待遇を決める際、社員が納得感を得られる
・適切な人事配置(部署や役職)を行うための重要な参考情報となる
・目指すべきキャリアに必要な要素が明確になり、モチベーションアップにつながる
・採用基準が明確になり、採用ターゲットへの訴求力があがる
・会社の理念やビジョンの共有を加速させる

・給与・待遇を決める際、社員に納得感を得られる

評価制度を緻密に組み上げている会社もあれば、おおまかな基準だけ設けているという会社もあると思います。その幅はあれど、基準があまりに曖昧すぎると上司によって評価が大きく変わってしまう可能性があります。そうなってしまうと評価を受ける側は本当はどうあるべきなのかがわからなくなりますよね。

評価をつける人によって差が出るというのはある程度は仕方のないことです。誰がつけても完全に同じ基準でつけるというのは難しいものです。しかし、基準を明確にしていくことでそのギャップを小さくはできます。全く同じにはならなくとも、同じ基準で評価を受けて給与や待遇もそれに比例しているようであれば、おのずと納得感は出てきます。

・適切な人事配置(部署や役職)を決定するための参考情報となる

公平な評価によって出た結果は給与・待遇面の決定だけでなく、配属部署や役職などの人事配置の決定にも役立ちます。しっかりとした評価を毎年続けていくと非常に有用なデータが集まります。

単年度の評価をみて人事配置するのもいいですが、データがたまれば過去の傾向からその人の伸びしろを加味した上で人事配置することができるようになるため、やはりしっかりとした評価を続けていくことは大切です。

特に人事配置は会社にとっても社員にとっても今後を左右する重要なもの。どのような評価を受けた人がどのように活躍できているのかのデータは会社にとって非常に有益な情報になるでしょう。

・目指すべきキャリアに必要な要素が明確になり、モチベーションアップにつながる

適切な評価をつけ、それによって給与や人事配置が決まっていき、会社が成長軌道に乗れば、今度はその評価を社員のモチベーションアップにつなげることもできます。社員から「どうやったら部長になれますか?」とか「年収1000万行くにはどんなことをすべきですか」と聞かれて「頑張ればなれるよ」と曖昧な回答しかできないと、モチベーションは上がりませんよね。

一方、「○○のスキルと××の実績を積み上げてAさんは部長になったよ」「△△の成果を出せば1000万を超えるよ」と具体的な事実を伝えられるとその人は明確な目標を設定することができます。それにより自分のキャリアを明確にイメージできるようになります。これはモチベーションを高めることにつながり、成果が上がることはもちろん、間接的に離職率低減にもつながるなど、数多くのメリットが期待できます。

・採用基準が明確になり、採用ターゲットへの訴求力があがる

評価が明確になると採用も強くなります。就職の際、志望している会社の評価制度を直接気にする求職者はそこまで多くはありませんが、給与・昇進を気にする人は多いですよね。その給与・昇進の基準となっているのは評価制度です。ということは、評価制度を説明することで求職者の求める情報を渡すことができるのです。

「そんな形で評価されるのか。僕には合わないな」「私にはピッタリの基準だな」と入社前の時点で分かってもらえるため、入社後のミスマッチを防ぐことができます。「頑張った人が評価されるよ」と曖昧な回答を100回するよりも「ウチの評価制度はこうだよ」と1回伝えた方が、会社にとっても求職者にとっても良い採用にできるということです。

・会社の理念やビジョンの共有を加速させる

以外と見落とされがちなのがコレ。

実は会社の理念やビジョンの浸透と人事評価制度は密接に関係しています。例えば弊社トゥモローゲートの場合「世界一変わった会社で、世界一変わった社員と、世界一変わった仕事を創る。」というビジョンをかかげていますが、それにもかかわらず売り上げた金額を基準に評価していたらビジョンの実現なんて到底できません。

なぜなら「儲かること」が最優先になり「変わったこと」とか「オモシロイこと」が後回しにされるどころかやらなくなってしまうから。なぜやらないのか。それは当然、評価をされないからです。逆に理念やビジョンにしっかり紐づいた評価基準があれば、社員は自ずとビジョン実現に近づけるアクションをとってくれるようになります。

このように見ていくと人数が多い会社ほど人事評価制度を導入している会社が多いということも頷けます。人数が少ないうちは上記のようなことは直接コミュニケーションをとることで把握できたり、伝えられたりしているもの。例えば社員5人の会社では社長(評価者)は社員(被評価者)と毎日顔をあわせコミュニケーションを取り、目の前でやっている仕事ぶりを把握していることも多いです。

それであればわざわざ細かい基準を設けずともお互いにすり合わせができるかもしれません。しかし、人数が多くなるとそうはいきません。全員を社長が見るなんてことは到底難しくなり、評価者が複数人になります。複数人が評価者となるとズレが生まれやすくなるため、そのタイミングで人事評価基準が必要になってくるということです。

人事評価制度を作るうえでやってはいけないこと

評価制度の導入は労力もお金もかかるのでできれば失敗したくありませんよね。

ということでここでは失敗しやすい要素をいくつかピックアップしました。

結局鉛筆を舐める評価

せっかく一定の基準で評価をつけても最後に好き嫌いで鉛筆を舐めていては社員は納得してくれませんしモチベーションを下げてしまう要因になります。「気持ちよく働いてくれる人とそうでない人を同じ評価にはできない」などがあるとするならば、必ずその要素も評価に入れておくこと。少なくとも納得を得られないことにはならないと思います。

評価と評価報酬が連動していない評価

公平で納得感のある評価制度があってもそれに報酬(給与・待遇・役職など)が連動していなければ、何のための評価だったんだ?となってしまい結局モチベーションが下がってしまいかねません。そうならないように評価制度を作る際には必ずそれに連動する給与制度、役職基準なども設けるようにしましょう。

自己評価に引っ張られること

自己評価をつけるタイプの評価制度は往々にして自己評価に引っ張られるなんてことが起こります。自己評価がB評価の人をC評価にするよりも、自己評価がS評価の人をC評価にする方が心苦しいなんてことも。

ただ、ここは平等にしないとせっかくの評価が台無しになります。むしろその自己評価と会社評価のギャップが本来伝えるべきこと。認識が違う項目なのですから。大きなギャップが生まれた時にはその人を成長させられるチャンスとして公平な評価をしましょう。

人事評価制度運用において大切なこと

フィードバックをしっかりと入れること

評価をしているのにフィードバックしないのは本当にもったいないこと。評価のフィードバックこそ、社員の成長に繋がるチャンスです。「本来こうあるべきだけど、こうじゃなかったからこの評価なんだよ」という気づきこそが今後意識すべきポイントなので、評価が確定したら必ず早い段階でフィードバックを心掛けましょう。

自己評価をつけさせること

フィードバックにも大きく関連するのが自己評価をつけること。自己評価をつけさせてフィードバックを入れることでフィードバックの効果が大きくなります。評価者がフィードバックすべきことって本人も認識している課題より、本人が出来ていると思いこんでいる項目です。

前者は放っておいても自分で認識しているので改善の可能性がありますが、後者は本人が認識していないことなので、放っておくと絶対に改善しない項目です。そのギャップを伝え、埋めるために何をしないといけないかを示すのが効果的なフィードバックになります。

基準をしっかりとすり合わせること

評価制度を作り上げて基準を共有したとしても、実際に付けてみると評価者によって見方の厳しい人と易しい人は必ず出てきます。なので評価をつける前のすり合わせ、付けた後の確認の最低2回すり合わせましょう。その2回のすり合わせだけでも大きなズレは防げるはずです。

対象者のことをしっかり見ている人の意見を吸い上げること

被評価者の仕事ぶりを知らない人が、過去にあった印象だけでなんとなく評価をつけるなんてご法度です。毎年社員は成長・変化します。その様子をしっかり見ている人の意見をしっかりと拾って、テキトウな評価をしないようにしましょう。

イレギュラーな成果も評価できる幅を取っておくこと

評価制度に完璧はありません。

大切なことは会社が評価すべき人が確実に評価される仕組みであること。被評価者が自分の業務外で大きな成果を残してくれた場合「評価項目にないので」といって評価をしないと、その人は今後そのような”会社のためになる自分の業務外の行動”を取らなくなってしまいます。イレギュラーな項目でも会社の成長に貢献した内容は別枠ででも評価できるような柔軟性は持ち合わせておいた方がよいでしょう。

今まで評価制度を作ることでのメリットを主にお話ししましたが、デメリットがないのかと言うとそういうわけではありません。デメリットとして考えられるものとしては、まず、評価自体に時間がかかるということ。それまでは何となく主観でパパっと付けていた部分もあるかもしれませんが、評価項目が細かくなるとその分評価に掛ける時間もかける必要があります。また被評価者の方も自己評価など提供しなければいけない情報が増える可能性もあります。

他にも評価制度が狭くなれば狭くなるほど、似たような人しか集まらない制度になってしまいます。そうならないためにも、必要となる特性が部門によって異なる場合は評価基準も分けるなどを行う必要があります。

その他の評価制度

360 度評価

通常評価制度は上司が部下を評価するものが多いと思いますが、360 度評価は上司だけじゃなく同僚や部下など様々な人から幅広い目線で複数人の評価をされる制度です。メリットとしては一人の好き嫌いで判断されないところや、同僚、部下の目線でしか見えない部分を評価できるので納得感が得られやすいというところです。

デメリットとしては評価に関わる人が増えるため、単純に工数がかかります。また、多くの人が評価に携わることで基準がその人に依存しやすく、ブレが起きやすいという点もデメリットとして上げられます。

目標管理評価 (MBO 評価)

私も前職でやっていたのがこのMBO評価。メリットは自分で立てた目標に対しての進捗率で評価されるので納得いかないなんて言えないくらい明確なこと。また、目標達成がそのまま評価に直結するため、達成意欲を強く醸成できるのもこの評価のメリット言えます。

デメリットは目標の立て方次第でその人の評価が変わること。同じくらいの成果を上げた人たちでも期初に立てた目標次第で評価が変わるということが起こり得ます。(自分が決めたので仕方がないといえばそれまでなのですが…)

他にも目標を低めに設定して評価を得やすくしようという動きが出てきたり、立てた目標以外のことを蔑ろにする、なんていうことも起こり得ます。これは会社にとっては望ましくない状態なので、そういうことは言わずもがなでわきまえている、という文化が根付いている会社向きかもしれません。

コンピテンシー評価

コンピテンシーとはハイパフォーマーの行動や思考の特性をさすもの。それを基準に評価項目を洗い出して評価したものがコンピテンシー評価です。これまでの能力評価(持続力、積極性、責任感)といった抽象度の高い項目ではなく、「紹介に繋がる信頼関係を構築できる」「自社の強みを伝えることが出来る」など、ハイパフォーマーに必要な具体的な項目に落とし込むことが特徴です。

メリットは具体的な評価項目のため評価者間によるズレの少ない判断がしやすく納得感を得られやすい点や、フィードバックを受けた被評価者が改善行動に取り組みやすいという点が上げられます。デメリットは評価項目が多くなるため、評価に時間を取られてしまう点や、項目の抽出が非常に大変なため導入ハードル・変更ハードルが高いという点が挙げられます。

【事例】トゥモローゲートが取り入れている評価制度

評価の仕方は先の例のように様々あるのですが、その人の“スキル”と“実績”の二軸で評価する制度が多いです。

トゥモローゲートの評価制度は少し変わっていて、“スキル”と“実績”に加えて“マインド”と“ビジョンへの貢献度”の4軸で評価します。形態としてはコンピテンシー評価をさらに4つの軸の視点で分析していく、というものに近いかもしれません。

現在の評価制度を運用しだしたのが3~4年前なのですが、それまで仕事の成果は主に売上で評価する制度になっていました。でも社員から言われたんです。「オモシロイことやっていこうというのにオモシロイことを評価しないのは意味不明」って。ぐうの音も出ないですよね。本当にその通りです。

自己評価を踏まえたフィードバックも明確にできるため、どうやったら次のステップに進めるかという点でモチベーションに繋がります。この評価制度は弊社の3年未満の離職ゼロ、コロナ禍でも130%以上の成長率の維持の礎になっています。

この評価制度はお客様に対しても導入のお手伝いしていますのでご興味あればがぜひ。(営業です。笑)

自社の課題を解決できる評価制度を

どの評価制度が最も優れているのかなんてことは言えません。

企業の目指す先、文化、価値観、業態などによって課題は様々。その課題を解決できる評価制度がその会社にとってのベストな選択です。ただ、共通していることは“会社が最も評価すべき人”がしっかりと評価されている評価制度でないといけないということ。当たり前にも聞こえる部分を忘れないように制度設計していくことが大切です。

この記事が評価制度の導入を考えられる方のヒントの一つにでもなれば非常に嬉しいです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。