採用担当、人事担当としてトゥモローゲート株式会社で働きはじめて4年が経ちました。
職種柄、社外の人と関わる機会が多く、採用事情や社内体制についてたくさんの質問をもらってきました。
その中でよくいただく質問があります。
・求職者の方々からよくいただく質問
→「入社後に感じた入社前とのギャップはありますか?」
・他社の人事担当者からよくいただく質問
→「離職率を下げるために取り組まれていることはありますか?」
共通するのは「入社後についての質問」だということ。
一般的な人事課題としてよく挙げられるのは「どうすれば応募数が集まるか?」や「内定を辞退されないためにはどうすればいいですか?」といった「入社前」の話です。
しかし、上記のように、現場のリアルな声を聞くと「入社後」にも課題を感じられている人が多いということがわかります。最近ではこの「入社後」に関する問題に「オンボーディング」という名前がつけられています。
今回のブログではその「オンボーディング」について、弊社トゥモローゲートの取り組みも交えながら書いていきたいと思います。採用に携わる人や、社員の教育・育成に携わる人の見ていただけると幸いです。
INDEX
オンボーディングとは「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」という英単語から派生した言葉です。
船や飛行機に新しく乗り込んできたクルーや乗客に対して適切なサポートを行い、船内(機内)で働きやすい(過ごしやすい)環境をご提供するためのプロセスを指します。
そのプロセスを、採用活動や人事業務にあてはめて表現されることが増えてきています。新たに採用した社員が働きやすく、成果を出しやすい環境を整えるために行う施策やそのプロセスを「オンボーディング」と呼ぶのです。
企業がオンボーディングを重視すべき理由は、先ほどの章でも話した通り、新しく入社したメンバーが早く組織に馴染み、活躍し、成果を出しやすい環境づくりに欠かせないからです。
新卒採用、キャリア採用を問わず「早期退職」や「定着率の低さ」がピックアップされがちな昨今。
企業から見ればこれらは「課題」ですが、求職者側から見ればこれは「悩み」。
「自分はこの会社に馴染めるだろうか」と感じている求職者や、「入社してみたら思っていたのと違った」というギャップを感じてしまう人が多いということです。だからこそ「オンボーディング」が注目されているんですね。
トゥモローゲートでは離職率の低下につながる取り組みをたくさん行っており、入社3年以内の正社員離職率0%をキープすることができています(2023年4月7日時点)。
ここからは具体的にどんな取り組みをしているのかを解説しようと思いますが、その前に、トゥモローゲートにおけるオンボーディングの定義を明確にしていきます。
一般的な企業のオンボーディングは「入社後の取り組み」を指し、採用活動と分けて考えられがちですが、トゥモローゲートでは「入社前の取り組み」つまり「採用活動」も含めてオンボーディングだと考えています。
なぜなら、離職率の低下につながる取り組みは採用段階でもできるからです。その点を踏まえてトゥモローゲートが取り組んでいることを伝えていきたいと思います。合計6つです。
説明会や選考で会社の魅力(良いところ)だけを伝えるのではなく、課題(足りないところ)も嘘偽りなく伝えることを徹底しています。会社の魅力も課題もさらけ出した上で「合わないかも?と思った人は入社しない方がいいです」と伝えることすらあります。
どんな会社にも働く上での課題はあります。課題が全くない完璧な会社なんて存在しないと思います。待遇、労働時間、教育制度、人間関係など。少なからず「これから改善しなければいけないポイント」はあるでしょう。
それらを隠し、会社に良いところだけを切り取って伝えたら、入社後に「聞いていたのと違う」というギャップが起こってしまい、早期退職の確率が上がってしまいます。本末転倒ですよね。
トゥモローゲートは説明会や選考だけでなく会社の課題を赤裸々に書いたブログなども配信しています。ご興味のある方は覗いてみてください。(想像以上に大胆に自社の課題を明らかにしています)
【ブログ】トゥモローゲートの選考を受けない方がいい就活生の特徴(戦略企画部の場合)
【ブログ】キラキラした会社だと思って入社したらめちゃくちゃ泥臭い会社だった
①と似た内容ですが、非常に多くの反響をいただいた事例なので別枠で紹介させてください。
新卒でトゥモローゲートに入社し5年間働いてくれたメンバーが退職する際、「絶対に会社を褒めない」ことを条件にブログを書いてもらいました。
社員の退職はポジティブな出来事ではありません。解決すべき課題がある証拠です。その課題を生々しく書いてほしいという代表西崎の想いがきっかけでこのブログは生まれました。
これも、企業におけるオンボーディングの一種と言えるかもしれません。
課題が全くないわけじゃない。むしろ、解決しなければいけない課題がたくさんある。その事実をありのまま知ってもらうことで、弊社にとっても求職者にとっても「入社後のズレ」を減らすことができると思っています。
選考は「企業が求職者を選ぶ場所」であり「求職者が企業を選ぶ場所」でもあります。お互いが自社にとって、自分にとってこの選択がベストなのかどうかをチェックする場所でないといけません。どちらかだけで終わってしまうと入社後のギャップが生まれてしまう可能性があります。
トゥモローゲートでは、そんなギャップを回避することを目的に、さまざまな選考フローを構築しています。中でもギャップを回避するために重要な役割を果たすのが「インターン選考」です。
インターン選考とは業務を1日体験してもらうというもの。実際に来社いただくことで社内の環境、メンバーの雰囲気、仕事内容を肌で感じていただきます。1日を通して「本当にこの会社でいいのか?」を選んでいただくんです。
このインターン選考でいい成績を残したものの、他の道へ進む選択をとった方も過去にたくさんいらっしゃいます。もし、インターン選考のような選考がなく、会社の雰囲気を知る機会を用意しなかった場合、弊社の離職率はもっと高くなっているのではないかと思います。
スキルも実績も十分で即戦力として活躍してくれそう。選考でそう感じたとしても、トゥモローゲートが内定を出すことはありません。正確に言うと、スキルと実績が十分な“だけ”では内定を出すことはありません。
他に何が必要かというと「マインド」です。
会社が目指す未来、果たすべき使命、守るべき価値観や行動基準に共感してくれるかどうか。共感した上で言動に移してくれるかどうか。トゥモローゲートはそういった「マインド面」をスキルや実績と同等と考えます。
これは、トゥモローゲートの経営理念を明文化し、A3用紙1枚にまとめたビジョンマップというもの。会社が目指す未来や果たすべき使命、守るべき価値観や行動基準、明確なゴール設定などが細かく記されています。
ここに書かれてある内容も重要な選考基準の1つです。なぜなら理念に共感できない、共感はできても体現ができないという人が入社すると、働く中で方向性の違いが生まれ、結果、離職という結果につながりかねないからです。
スキルや実績に加えてマインド面まで重視すべきなのは、このような理由があるからです。ビジョンマップについては他のブログでも詳しく開設しているので、興味のある方は覗いてみてください。
【ブログ】ビジョンとは?組織が強くなるビジョンマップの作り方
先ほど紹介したビジョンマップの個人版「マイビジョンマップ」という取り組みもオンボーディングの1種です。
会社や上司に指定された目標ではなく、自分自身のやりたいことや将来なりたい像から逆算して目標を設定し、名文化する「マイビジョンマップ」
このマイビジョンマップを定期的に見返すことで、自分自身で設定した目標の達成進捗や達成に向けたアクションをチェックし、目指す理想の未来への“現在地”を把握することで仕事のモチベーションが高まります。
また、マイビジョンマップの達成度合いを評価の一部に組み込むことも、モチベーションUPを狙った取り組みです。
決められた目標を追うのではなく、自分で設定した目標と、「なぜこの目標を追うのか」の理由となる未来を定めることが大事だと考えています。
退職理由ランキングの上位にくるのが「評価」に関する項目です。何をすれば評価されるのか分からない。自分よりも彼が評価されている理由がわからない。といった感じ。
そのような事態を防ぐためにトゥモローゲートは独自で細かな評価制度を設計しています。年齢や社歴は関係なし。実績・スキル・マインド主に3つの軸で評価される制度です。
各項目ごとにさらに細かい項目が設定されており、なぜこの部分が評価されたのか、なぜこの部分は評価されなかったのかを論理的に説明することができます。
また評価に対して適切に昇給、昇進する仕組みがあるため、社員にとって納得感のあるものとなっています。
何か1つの取り組みだけで入社後のギャップが無くなり社員が定着する。そんな甘い考えは捨てるべきだと、実体験を通して感じています。採用を成功させるのは簡単ではありません。社員に定着してもらうのも簡単ではありません。
このブログで紹介したように「入社前」と「入社後」でさまざまな取り組みを継続的に行うことで少しずつ成果は出るものですし、成果を分析した上で自分たちにマッチした取り組みを見定めていくことが大切だと思います。
そうすることで、人が辞めない会社づくりが実現するのだと思います。
採用や人事に携わっていて、まだまだ課題を感じている方にとって、このブログが少しでもヒントになれば嬉しいです。最後に、このブログで紹介した取り組みが評価された事例を添付して終わりたいと思います。いずれも、組織に関する外部機関のアワードです。
・Best Motivation Company Award 2022|リンクアンドモチベーション