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BtoB広告賞とは、1980年から開催されているBtoB広告作品のコンテスト。BtoB領域の広告コミュニケーションツールを対象に、優れたアウトプットをした広告主と制作社に対して贈られる格式のある賞です。
その賞の2023年度に、トゥモローゲートが制作させていただいた新明工業株式会社様のコーポレートサイトが、ウェブサイトの部(企業PR)で金賞を受賞しました。この場を借りて、新明工業株式会社様に改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。
受賞を記念して、このサイトが生まれた背景、コンセプトやデザインに込めた想いなどを実績紹介としてブログにしたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われています。電動化、自動化、コネクティッド、シェアリングなど、これまでの常識を覆す技術革新が進み、新しいルールの中での競争が強いられている状況です。
そんな時代を生き抜くための一つの手段として、新明工業は経営理念の設計やリブランディングを決断されました。最初に制作したビジョンマップでは、新明工業が目指すべき未来、世の中に提供する価値、大切にすべき行動基準などを明文化しました。
さらに、ビジョンから逆算した中期の定量目標までを定め、その内容を社員様へ伝えていく経営理念の浸透業務を実施しました。自分たちは何者なのか、これからどこへ向かっていくのか、そうした問いを社員全体で共有し、視座を整えた上で、ブランドコンセプト設計およびコーポレートサイトリニューアルを進めていきました。
100年に一度の大変革期。対策し、変化をしなければ、衰退する未来が待っている。そんな時代を生き抜くために、今このタイミングで掲げるべき言葉は何なのか。我々が着目したのは、未来への意気込みや宣言ではなく新明工業のルーツを掘り出すことでした。
老舗企業と言われる新明工業ですが、設立当時は過酷な環境下を生き抜いたベンチャー企業。何もない状況から事業を生み出し、自動車産業を盛り上げてきた事実を現在働く社員様やお客様に知っていただくことを目指し、以下のブランドコンセプトを策定しました。
焼け野原からの再出発。
1949年、挙母(ころも)自動車という
社名で誕生した新明工業は、
敗戦から立ち上がる日本と伴走してきた。
販売する部品がないと知れば、
戦争で海に沈んだ部品を引き上げて、
修理して売ってみせた。
整備する車がないと聞けば、
生産中止となっていた乗用車を
トラックに改造して販売し、
整備事業を立て直した。
70年以上、
時代に先駆けた無謀にも見える挑戦を、
事業に昇華し続けてきた。
さあ。これから先はどうする。
遠くない未来、
ガソリン車は確実に姿を消すだろう。
いつか、クルマという概念すら
なくなるかもしれない。
そんな苦境でこそ奮い立つのが新明工業だ。
電気⾃動⾞の部品開発や、⾃動運転システムの構築。
新時代の技術で新時代のクルマを支えていく。
人とロボットが共存できる
次世代生産ラインシステムの開発で、
クルマづくりの枠までも超えていく
私たちは、時代に置いていかれない。
創業時から受け継がれてきた
モノづくりへの執念があるから
100年に1度の⼤変⾰期がどうした。
時代より前を走れ、新明工業。
この会社はなぜ始まったのか?
なぜこの事業をやっているのか?
背景にはどんな物語があるのか?
1,000人を超える社員の皆様に、会社のルーツやDNAを知っていただき、日々の業務や未来への取り組みを自分ごと化していただくために、未来への意気込みだけではなく、ルーツを元にしたブランドコンセプトを策定しました。
「読んでいて心が熱くなる」を目指して構成したボディコピーには、新明工業の社史に書かれていた設立当時の実際のエピソードを盛り込んでいます。
厳しい時代だからこそ、創業時のベンチャースピリットを思い起こそう。
あのスピリットがあれば、これからの時代でも乗り越えられるはず。
そんな気持ちの醸成を目指していきました。
「時代より前を走れ」というコンセプトに沿って、コーポレートサイトはルーツを知っていただくことを中心に構築していきました。事業の詳細を紹介するページでは、「ROOTS」と題し、その事業が始まった経緯をページの冒頭で紹介しています。
また、「もっと知るシンメイ」というスペシャルコンテンツでは、新明工業が戦前から成長してきた軌跡を伝えるコンテンツや、関係性の深いトヨタ自動車との関わりを年代別に伝えるコンテンツなど、時代を乗り越えてきた事実を強く訴求しています。
歴史のある企業であることだけが伝わってしまうと、新明工業が目指す未来や、それに沿った革新的な取り組みが伝わりにくくなってしまいます。そこで、サイトに使用する写真やデザインでは伝統的なイメージに加えて先進的なイメージも伝わるように意識しました。
メインカラーは、新明工業のコーポレートカラーであり先進的なイメージを想起させる「青」を使用。写真にも青みがかった加工を施すことで、伝えたいメッセージや、感じていただきたい印象を、そのまま受け取っていただくことを目指しました。
また、トップページのメインビジュアルには、スクロールすることで新明工業の軌跡を疑似体験できるような仕掛けを用意。歴史を感じる写真を使用するだけだと堅苦しさが出てしまうため、特殊な動きを加えることで先進的なイメージを醸成していきました。
他にも細部にまでこだわりを施して新明工業らしさが伝わるサイトを制作していきました。その結果、BtoB広告賞で金賞という素晴らしい結果をいただけたこと、本当に嬉しく思います。これも、新明工業様のご協力があってこそ。本当にありがとうございました。