ブランディング会社のクリエイティブディレクターは何をしているのか?

「トゥモローゲートというブランディング会社で、クリエイティブディレクターをしています」と自己紹介すると、ほとんどの方から「具体的には何をしているの?」と聞かれます。そもそもクリエイティブディレクター自体の定義が広い上に、ブランディングという言葉の定義も広いため、イメージがしづらいのだと思います。

まず、トゥモローゲートは企業ブランディングの会社です。企業の経営理念を明文化するところから、ビジョンに向けて一丸となれる組織づくり、目的・ターゲットに合わせたアウトプット制作や、SNSをはじめとする発信のコンサルティング、さらには各施策の効果検証まで一貫してサポートします。それらを通して事業、採用、広報すべての面で濃いファンをつくり、今よりもっとワクワクできる会社づくりのお手伝いをしています。

次に、クリエイティブディレクターの一般的な仕事を無理やり一言にするならば、「広告物や広報物などの制作現場を統括し、クオリティを担保する責任者」になります。しかし、制作する物の種類は1つではありません。テレビCMや新聞広告などの「マス広告」、WebやSNSに出てくる「デジタル広告」、顧客や求職者に向けて情報を発信する「コーポレートサイト」、メディアへお送りする「プレスリリース」など、本当に多岐に渡ります。

上記をまとめて、トゥモローゲートのクリエイティブディレクターの仕事を定義すると、「ワクワクできる会社をつくるために制作するクリエイティブを統括し、クオリティを担保する」になります。その中でに主に担当する制作物は「Webサイト」「パンフレット」「映像」の3つ。今回のブログでは、この3つにおけるクリエイティブディレクターの役割について紹介します。

僕たちに少しでも興味を持ってくださっていて、クリエイティブディレクターとしてジョインしてみたい、今後クリエイティブディレクターとして活躍したい、職種は違うけどトゥモローゲートのクリエイターは何をしているのか知ってみたい、という方に向けて、具体的な仕事内容や、大切にしていることを書いていきます。最後までお読みいただけると幸いです。

クリエイティブディレクター職の募集要項を見る

①クライアント案件

クライアント案件と社内案件、大きく2つに分けて紹介していきます。クライアント案件はその名の通り、お客様から依頼を受けてつくるクリエイティブのこと。

社内案件は、自社のクリエイティブ力を高める研修のような取り組みや、自社の広報物(Webサイト、会社案内、ファクトブック等)の制作プロジェクトを指します。

まずはクライアント案件から。

▼ブランドコンセプト設計フェーズ

冒頭でお伝えした通り、トゥモローゲートのクリエイティブディレクターが関わるクライアント案件は、大きく「Webサイト制作」「パンフレット(紙媒体)制作」「映像制作」の3つに分かれます。ただしその前に、3つに共通する仕事があります。それが「ブランドコンセプト設計」です。

トゥモローゲートはクリエイティブをつくるだけ、という仕事は原則お受けしていません。その企業やサービスが提供する価値を端的に表したコンセプトの策定から担当することがほとんど。短期的な成果だけでなく、中長期的に愛されるブランドをつくるために欠かせないと思っているからです。

【ブログ】企業ブランディングの成功に欠かせないブランドコンセプトとは?事例を交えて解説

ブランドコンセプトを定めるフローと、クリエイティブディレクターの役割はこんな感じ。

▼クリエイティブディレクターの役割
・企業様へのアンケート作成
・企業様へのヒアリング進行
・事業や市場を理解するためのインプット作業
・ユーザーインタビューの対象者選定〜インタビュー進行
・上記で収集した情報のまとめ、ストーリー化
・キャッチコピーの考案、ディレクション
※上記全てにおいてチームをリードし、クオリティを担保しながら完遂に導く

2ヶ月から3ヶ月ほどかけるブランドコンセプト設計。全ての工程でチームをリードし、キャッチコピーのジャッジ、そしてクライアントへの提案まで責任を持って完遂することがクリエイティブディレクターの役割です。それぞれについて、詳しく解説します。

企業様へのアンケート作成

優れたブランドコンセプトを策定し、それを踏襲したクリエイティブを作成するために必要な情報の概要を収集するアンケートです。ブランディングの目的、ユーザーがサービスを利用するまでの流れや心理、クリエイティブで狙う成果、創業者や経営層のバックグラウンドなど、多角的な質問をアンケートで行い、情報を収集します。

企業様へのヒアリング進行

アンケートの回答を整理し、深掘りすべきポイントを洗い出し、ヒアリングに望みます。ブランディングの目的から逆算しながらヒアリングを進め、アンケートでは汲み取りきれない事実やニュアンスを拾い上げていきます。企画の方向性をイメージできる状態がゴール。クリエイティブディレクターは主に司会的な役割を担います。

事業、市場、競合のリサーチ

アンケートやヒアリングでは拾えない客観的な情報をインプットします。所属している業界で何が起きているのか。将来的な市場の展望はどうか。類似したビジネスモデルで成功している企業はあるか。その中でクライアントの立ち位置はどこなのか。Webの記事やyoutube、マスメディア、時には書籍や論文を見ながらインプットしていきます。

ユーザーインタビュー

サービスを提供する企業側だけでなく、サービスを利用するユーザー側の情報収集も重要です。なぜ、そのサービスを利用しようと思ったのか。継続利用している理由は何か。もしくは解約した理由は?実際のユーザーを複数ピックアップしてもらい、アンケートやインタビューをすることで、正確なユーザーの声を収集します。

収集した情報のまとめ&ストーリー設計

ここまで収集した情報を整理していきます。散らばっている膨大な情報を、ブランディングの目的に沿って整理し、ストーリー化していきます。課題設定、強みの整理、ターゲットの分析、競合他社、コンセプトで伝えるべきこと…。メンバーと連携しながら、ロジカルかつエモーショナルなストーリーに落とし込んでいきます。

キャッチコピー考案

そのブランドが一番伝えたいことをユーザーに届けるには、どう表現すればいいのか。キャッチコピーを定めるフェーズです。コピーライター、デザイナー、エンジニアなど、希望したメンバー全員でアイデアを持ち寄ります。

クリエイティブディレクターは、それぞれのアイデアを整理し、ブランディングの目的と照らし合わせながらディレクションし、成果につながる!と確信できるものに昇華していく役割を担います。行き詰まった場合は自らアイデアを考案することも。ここが一番頭を悩ませるフェーズです。そして一番楽しいフェーズです。

▼クリエイティブ制作フェーズ(Webサイトをメインに紹介)

ブランドコンセプトが定まったら、次はそのコンセプトをユーザーに届けるためのクリエイティブ制作フェーズへ突入します。今回は、現状もっとも多い「Webサイト制作」を題材に、仕事内容を紹介していきます。

サイトに関するヒアリング進行

クライアントにとって、今回制作するWebサイトの狙いは何なのか。直接問い合わせを増やすのか、他のコンバージョンを達成するための1つの要素なのか、社内のモチベーションを高めるものなのか?企業によって違うサイトの目的を定めるために、ヒアリングを実施します。加えてコーポレートカラーやその背景といった基本情報も収集します。

サイトコンテンツ企画

定めたコンセプトやヒアリングした情報をもとに、サイトのコンテンツを企画します。ユーザーが求めている情報と、クライアントが伝えたい情報を両睨みしながら、ブランドが正しく伝わるコンテンツを企画していきます。また、ページそれぞれに目的を設定することで、求める成果へ到達する確率を高めていくことも大事です。

ワイヤーフレーム制作(合宿実施)

企画したコンテンツを、どのページで、どんな順番で、どんな見せ方で伝えていくのか。具体的にイメージできるワイヤーフレームを作成します。コピーライターやデザイナーと連携しながら、目的からずれないようリードする役割をクリエイティブディレクターが担います。その中でも特徴的なのが「ワイヤーフレーム合宿」です。

これは、2時間〜4時間ほどまとまった時間プロジェクトメンバーが集結し、作成したワイヤーフレームに対してそれぞれの職種から指摘・提案をし、精度を集中的に高めていく時間です。クリエイティブディレクターは、各職種の意見に耳を傾けながら、目的に沿ったカタチで取捨選択し、方針を決定します。この舵取り次第でクオリティは大きく変わります。

ビジュアルイメージの構築

ブランドが強く正しく伝わるビジュアルとは、どんなものなのか。デザイナーが作成したビジュアルイメージをもとに、議論しながらブラッシュアップしていきます。キャッチコピーとは別で、ビジュアルで表現したいことを言語化。クライアントや自社のクリエイター全員が共通認識を持ってデザインを進めるためのビジュアルの骨子を作成します。

撮影構図の作成

Webサイトに掲載する写真撮影の準備フェーズです。

ブランドイメージを的確に表現するためには、どんなシチュエーションで、どんな写真を撮ればいいのか。ページによって違う目的を頭におきながら、適した撮影構図を作成します。デザイナーが作成したものを軸に、議論しながら仕上げていきます。どのページの、どのコンテンツに、どの写真を使うのか?全て言語化できる状態がゴールです。

撮影

オフィスで撮影することもあれば、スタジオを借りたり、飲食店やホテルを借りて撮影することもあります。撮影場所の選定、カメラマンや俳優のキャスティングなど、全ての最終ジャッジを下すのもクリエイティブディレクターの仕事です。実際に撮影に同行し、撮影対象者のケアや場の空気作りまでに担うこともあります。

インタビュー&テキストライティング

サイトに掲載する情報を収集するインタビューと、それをもとにしたテキストライティングを行います。コピーライターが主体となって事前のアンケート作成から実際のインタビュー、そしてライティングまで行う一連のフローを、クオリティ担保や進行管理役として、ディレクションしていきます。

デザイン&コーディング

定めたコンセプトやビジュアルイメージ、撮影した写真やテキストを軸に、ブランドコンセプトに沿っているか?メッセージが伝わるか?成果につながるか?など多数の基準を持ちながら、デザイナー、エンジニアと何度もやりとりを繰り返し、1つのサイトをつくりあげていきます。

たとえ、自分にデザイン経験がなくても、目的達成に近づけるようディレクションする最低限の知識や言語化能力が求められます。ここで大切なのは「共通認識」を持つこと。今回のクライアントにとって「成果につながるデザインとは何なのか?」の基準を、同じ解像度でメンバー全員が持てるよう進行していく重要な役割を担います。

各種提案業務

ここまで紹介したそれぞれのフェーズで、クライアントへ提案するという仕事もあります。提案したものに対してお客様から質問をいただいたり、修正依頼をいただくこともあります。それに対して、なぜこの企画にしたのか?デザインにしたのか?を説明するのもクリエイティブディレクターの大事な仕事です。

②社内案件

クライアント案件に加えて、社内のクオリティアップを図る取り組みも担うケースがあります。クリエイティブディレクターだけの役割ではありませんが、他の職種と比べて担うことが多いので、ここで紹介します。

案件横断ノウハウ共有

クライアント案件で感じた課題、改善策、クオリティアップのアイデアなどを共有しあうミーティングを、定例会議として実施しています。直接関わっていない案件であったことや学びをシェアすることで、会社全体としてクリエイティブのクオリティを上げることが目的。実際の案件に落とし込み、トライアンドエラーを繰り返します。

職種間コミュニケーションの改善

複数の職種が混じり合い、1つのものをつくりあげるには、職種間の連携がとても大切です。プロジェクトの目的を共有できているか、クライアント理解は同じ解像度でできているか、“もっとこうしてほしいああしてほしい”というコミュニケーションが、遠慮なくできているかどうか。よりよいコミュニケーションを取れる組織づくりの一翼を担います。

企画力アップのための社内研修

クライアント案件で提案した企画や、外部コンペに応募する企画に対し、フィードバックしたり、一緒に考えたりすることで、企画力を底上げする研修を実施しています。

体系化されたものはまだ少ないですが、コピーライター出身の僕の場合、コピーライターのメンバーが考えたキャッチコピーや文章に対してフィードバックをしたり、過去の事例や世の中で話題になっている事例を共有することで、企画力・コピー力の向上を狙っています。

他にもデザイナー同士、エンジニア同士など、さまざまな職種同士でこのよう⁨⁩な取り組みを行っています。

ブランディング会社におけるクリエイティブディレクターの仕事

クリエイティブディレクターとは、「広告物や広報物などの制作現場を統括し、クオリティを担保する責任者」です。しかし、その定義はとても広く、会社によっても違えば、案件によっても違うのが現実です。その中でトゥモローゲートのクリエイティブディレクターについて、Webサイトプロジェクトを軸に解説しました。

他にもパンフレット(紙媒体)制作、映像制作、屋外広告制作など、制作物は多岐にわたります。それぞれで求められる役割や能力は微妙に違いますが、大きな流れは同じ。クリエイティブディレクターの働き次第でアウトプットのクオリティが変わってくる。それくらい責任もやりがいも大きな職種なのです。

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