企業ブランディングを提供する僕たちトゥモローゲートは「事業会社」ではなく「支援会社」に分類されます。支援会社とは“事業をサポートする事業を提供している会社”という意味合いです。
支援会社として選ばれ続けるために必要なのは、「事業会社への理解」です。
事業を立ち上げる難しさ、成長させる楽しさ、壁にぶつかった時の苦しさ。事業会社にしかわからないアレコレに寄り添い、理解し、同じ視座でモノゴトを捉えられる支援会社は重宝されます。
なぜなら、本質的な課題、強みや弱み、ビジョンなどを解像度高く理解でき、解決策を導き出せる確率が高いからです。僕たちもこの点を重視し、お客様への理解を日々深めています。
今回のブログも、その延長のような内容です。
企業ブランディングの一環で、経営理念の策定や浸透業務を請け負っている立場として、経営理念の事例についてもっと詳しくなっておこうという企画です。
企業調査・分析にかかる時間を削減する企業分析SaaS『バフェットコード』の掲載情報をもとに、SaaS業界で上場している企業の売上高TOP10の経営理念を紹介し、見解も含めてまとめて見ました。
ご興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。日本をリードする企業は、どのような理念のもと成長しているのでしょうか。※売上高ランキングは2024年3月期時点
INDEX
「医療」「介護」「ヘルスケア」「シニアライフ」が事業領域。
看護師・助産師・保健師向けの人材紹介サービス『ナース人材バンク』や、高齢者向け食事宅配紹介サービス『らいふーど』など、従事者、事業者、エンドユーザーをつなぐプラットフォームを多数運営しています。
いちサービス事業者の枠をこえ、今では社会インフラの役割も果たしていると言えるスケール感。
経営理念(普遍的に追い求めるもの)
『永続する企業グループとして成長し続け、社会に貢献し続ける』
バリュー(‐根本的な価値観‐)
社会からの要請を真摯に受けとめ続けること
価値主体であり続けること
変化対応し、成長し続けること
誠実であり続けること
ミッション(‐実現すべき使命‐)
高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける。
中でもバリューにある「社会からの要請を真摯に〜」の箇所が、同社らしく、かつ独自性を感じる理念です。高齢化が進む日本社会に対して巨大な価値提供をしているからこそ掲げられる、壮大な理念ですよね。
また、「人材理念」という概念を定義しているのも特徴的です。働くメンバーはどのような考えを持つべきなのか。第三者の僕でも直感的に理解できる内容で、社内への浸透も相当なものではないかと想像します。
主な事業内容
業務に関するソリューションテクノロジーの開発メーカー。会計、人事、給与等の基幹業務や、それに係る周辺業務を一貫してサポートしています。
またパートナー企業を通して業務効率化をサポートするクラウドサービスを提供したり、関連会社で手形と電子債権管理システム『電債の達人』を運営するなど、企業に対してさまざまなサービスを提供しています。
・OBCのミッション
『業務にイノベーションを お客様に感動を』
わたしたちは業務にイノベーションをおこし、お客様の満足を第一に考え、期待を超える感動をお届けする企業を目指します。
・企業理念
「オープン」「フェア」「フラット」「グローバル」を企業理念としています。同じ目線で向き合い、お互いを認め合う。自由で、平等な、風通しの良い組織で、世界に通じる発想力を育て、サービスの開発・提供を通して、お客様への貢献を目指します。
・OPEN(オープン)
『当事者意識を育てる』
・FAIR(フェア)
『誰にでもチャンスがある』
・FLAT(フラット)
『同じ目標に立ちお互い認め合う』
・GLOBAL(グローバル)
『狭い価値観にとらわれず世界に通じる発想と考え方をもつ』
企業理念を4つの単語に集約しているのがわかりやすいですね。難しい言葉や長い文章で定義されるよりも格段に覚えやすく、社内にも浸透しそうです。
自社や事業に対する思い入れが強ければ強いほど、言いたいことがありすぎる!となり、複雑化しがちなのが経営理念です。SaaS業界TOPクラスの規模を誇る同社がここまでシンプルに表現しているのは秀逸だなと感じました。
▼参考
オービックビジネスコンサルタントの事業内容
オービックビジネスコンサルタントの経営理念
ユニオンソフトの事業内(関連会社)
オービックの事業内容(関連会社)
経費精算システムの「楽楽精算」や、電子請求書発行システム「楽楽明細」など、業務効率化を担うクラウドサービスを展開しているラスク社。
また、それに加えて、Webシステム開発やインフラ構築・運用を得意とするITエンジニアの正社員派遣サービスも提供しています。ITを軸に幅広いサービスを提供するプライム上場企業。
『ITサービスで企業の成長を継続的に支援します』
ラクスは予算やITリテラシーに課題を抱える中小企業のデジタル化を推進してきました。ただデジタル化が必要なのは中小企業だけではなく、高コストで非効率なレガシーシステムを抱えた大企業も同じです。国内企業で働く5000万人すべてに最新のITによる恩恵をとどけてこそ、日本という国が豊かになります。私たちはITサービスを通じてデジタル化を継続的に推進し、企業の成長と、そこで働く人々の幸せに貢献していきます。
ラクスは「ミッション」と銘打った経営理念をこう定義しています。先ほど紹介した事業内容を知った上で見ると、納得の内容ですね。
まさに「企業の成長を継続的に支援する」サービスばかりを提供されています。言葉として掲げるだけの経営理念ではなく、事業内容や価値提供に落とし込んでいるからこそ、多くの顧客や求職者をひきつけるのでしょう。
お金の課題を解決するサービスを幅広く展開するマネーフォワード社。
ビジネスパーソンであれば一度はその名を聞いたことがあるでしょう。
主軸サービスの『マネーフォワード クラウド』をはじめ、紙証憑(しょうひょう)の自動記帳サービス『STREAMED』や予算管理ツール『Manageboard』など、サービス展開は本当に多彩。解約率が低いのが特徴で、新規獲得とストック収益がほぼイコールになることが強みとされています。
・MISSION(マネーフォワードが追い求め続ける社会への使命)
『お金を前へ。人生をもっと前へ。』
「お金」は、人生においてツールでしかありません。しかし「お金」とは、自身と家族の身を守るため、また夢を実現するために必要不可欠な存在でもあります。私たちは「お金と前向きに向き合い、可能性を広げることができる」サービスを提供することにより、ユーザーの人生を飛躍的に豊かにすることで、より良い社会創りに貢献していきます。
・VISION(MISSIONを達成するために目指すべき未来)
『すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。』
オープンかつ公正な「お金のプラットフォーム」を構築すること、本質的なサービスを提供することにより、個人や法人すべての人のお金の課題を解決します。
先ほどのラクスと同じく、事業内容とマッチしたわかりやすい経営理念です。
違いがあるとするならば、「社名との関係性」。マネーフォワード。社名を見ただけで、何を提供している企業なのかが想像できます。事業内容や経営理念を見ればその“企業像”が誰でもシンプルに理解できます。
サービス内容も含めてここまで一貫していると、企業に対してのイメージと実態がどこから見ても一致し、より強固なブランドにつながっています。
マーケティングやセールスの成果最大化を目的とした、AI関連サービスを提供するAppier Group社。
潜在ユーザーの予測・獲得をサポートする『CrossX』や、ユーザーのエンゲージメント向上を支援するチャットボットサービス『BotBonnie』。さらには購入を迷っているユーザーを予測し、インセンティブを付与することで売上を最大化する『AiDeal』など、AIプラットフォームという枠組みで、さまざまな角度から企業を支援しています。
・理念
『一貫して顧客と歩調を合わせる、顧客中心の精神』
・ビジョン
『AIをもっとシンプルに ソフトウェアはよりスマートに 』
Appier Groupのホームページに理念だけを紹介しているページはありませんでしたが、ホームページ内のニュースコンテンツにて、CEO兼共同創業者チハン・ユー氏はこう語っていました。
『当社の専門チームは革新的なソリューションを提案し、当社独自の技術と拡張機能で強化された、業界最先端のAI技術を提供しています。当社はまた、リアルタイムでデータの可視化を実現し、データ取得から、実用的な顧客インサイト獲得までの時間を大幅に短縮しています。これにより、企業は独自のデータで最先端 AIモデルを設計し、競争力を継続して強化しています。生成AIの技術を活用し、さらに意思決定に関わるAIと専門知識をシームレスに統合することで、広告・マーケティングにおける実績を継続的に向上させ、『AIをもっとシンプルに ソフトウェアはよりスマートに 』という当社のビジョンを実現してまいります。」』
「顧客と歩調を合わせる」「顧客中心の精神」
このあたりのキーワードが、顧客の「数字」を上げるサービスを徹底している同社らしく、強さを感じます。“自社がこうなりたい”方向性の多い経営理念ですが、同社は徹底して“顧客目線”。思想や哲学が一貫されていることがひしひしと伝わってきます。
▼参考
Appier Groupの事業内容
Appier Groupの経営理念
営業DXサービス「Sansan」
名刺、企業情報、営業履歴を一元管理し全社共有することで、売上拡大とコスト削減を同時に実現するサービスです。「早く言ってよ~」のフレーズが特徴的なCMで覚えている人も多いのではないでしょうか。
他にもクラウド請求書システムの『Bill One』など、DXを軸としたサービスを展開しています。
Mission『出会いからイノベーションを生み出す』
いつの時代も、世界を動かしてきたのは出会いです。人と人、企業と企業、その出会いの連鎖が社会を前進させます。私たちは出会いが持つ可能性を再発見し、未来につなげることでビジネスを変えていきます。イノベーションにつながる新しい出会いを生み出す。出会いの力でビジネスの課題にイノベーションを起こす。して、ビジネスの出会い、そのもののあり方を変えていきます。
Vision『ビジネスインフラになる』
水を通す道、電気やガス、インターネットを通す道。誰もが利用するさまざまな道が、生活のインフラとして人々を支えています。私たちはビジネスという世界において、誰も考えつかなかったような新たな道になろうとしています。これまで行けなかった場所。見たこともない景色。それを現実のものにする。ビジネスの中で誰もが毎日のように通るその道は、人と人、企業と企業をつなぎ、イノベーションを生み出していくのです。
Missionにある「出会い」というワードには、サービスの色がにじんでいますね。
個人的に注目したのは最後の『そして、ビジネスの出会い、そのもののあり方を変えていきます。』という言葉。そしてVisionの『ビジネスインフラになる』です。
イマ提供しているサービスは、理想の未来の実現に向けた、きっかけに過ぎないことが伝わってきますね。未来、どんなサービスを展開されるのか、ユーザーとしてもワクワクする内容ですね。
完全ノーコードの業務改善プラットフォーム『kintone』や、ファイル管理・スケジュール管理を一手に担える『サイボウズ Office 10』など、業務サポートツールを手がけているSaaS企業です。
特に『サイボウズ Office』シリーズは、インターネット黎明期と言われる1990年代後半から提供されている歴史あるサービス。企業の業務効率化を長きにわたって支援してきた歴史がサイボウズにはあるのです。
存在意義(Purpose)
『チームワークあふれる社会を創る』
私たちの考えるチームワークとは、チームのメンバーが共通の理想に向かって役割分担しながら協働し、チームの生産性と働く人の幸福度が高い状態にあること。それを叶えるためには、チーム内での情報共有が欠かせません。
kintone、Garoon、サイボウズ Office、メールワイズなど、サイボウズがこれまで世に送り出してきた製品はすべて、この情報共有にかける想いから生まれました。
私たちのITツールを活用すれば、チームの全員がいつでも・どこでも同じ情報を得られるようになります。あらゆる情報が共有されるチームでは、指示待ちの無駄な時間や情報格差は生まれません。
サイボウズが作るグループウェアとは、個人の主体性を引き出し、チームの生産性も働く人の幸福度も向上させる、チームワークの要なのです。私たちはこれからも、世界中のあらゆるチームに情報共有インフラを提供し、「チームワークあふれる社会」の実現を目指します。
文化 -Culture-
1. 理想への共感
2. 多様な個性を重視
3. 公明正大
4. 自主自律
5. 対話と議論
アップデートされる企業理念
サイボウズは企業理念を大切にするからこそ、言葉や表現を固定するのではなく、そのあり方について全員で議論を重ねています。
これからも、社内の状況や時代の変化にあわせて表現を検討し、メンバー全員が納得できる生きた企業理念へとアップデートを続けていく予定です。
最後の「アップデートされる企業理念」という項目が、サイボウズならではで学びになるなと思いました。
経営理念は、目指すべき未来や果たすべき使命を明確にするものですが、捉え方を変えれば、企業のゆく末を“縛るもの”とも言えます。
しかし経営は、想定通りにいかないケースがほとんど。ビジョンがやってみたら少し違った…となることも少なくありません。そんな時、「経営理念は変わっていいものだという経営理念」を定義しておくことは大切ですよね。
AIで不動産売買価格を査定し、精度の高いデザイン査定書を自動で作成する『AI査定』
不動産の「売買契約書」と「重要事項説明書」の作成時間を大幅削減できる業務効率化ソフト『契約重説クラウド』
不動産業界や金融機関へ向けた、業務支援型クラウドサービスが同社の主な事業です。またもう1つの軸として、アセットマネジメント、不動産コンサルティング、デベロップメント事業を展開する不動産テック領域へも進出中です。
『今の先鋭が10年後の当たり前を造る』
当社は「10年後の当たり前」を造るべく、『リアルビジネスを内包した実務有用性の高いテクノロジー』の普及を通じて、不動産/金融をはじめIT/ヘルスケア領域など様々な業界へソリューションを提供しています。
代表挨拶の一文
「今は先鋭であっても10年後には当たり前のものとなり、10年後の人々にとって必要で当たり前なものになっている、そのようなものを私たちは先んじて造り、提供していきたいと考えています。」
経営理念の中心に掲げられた「今の先鋭が10年後の当たり前を造る」。
“未来の当たり前をつくる”といったニュアンスの経営理念はあちこちで目にします。そんな中、同社のそれには「先鋭」「10年後」「造る」といった、未来を鮮明にイメージできるフレーズが並んでいるんです。
メッセージがわかりやすく、読んでいてワクワクするのもこのフレーズのおかげでしょう。経営理念を定める際、大いに参考になるなと思いました。
薬局向けのシステム開発・販売・メンテナンスサービスや、医療機関向けの医療事務処理コンピュータシステム開発・販売等を行うイーエムシステムズ社。
関連会社では統計情報分析サービスや人材派遣事業も展開するなど、医療業界やそれに付随する業界へのソリューションを幅広く提供し、東証プライム市場に名を連ねている大企業です。
「感謝」 「感動」 「共感」
・私達は、人と地球の健康に貢献し続けます。
・私達は、お客様から信頼され、感動を提供し続けます。
・私達は、明るく元気で、あたたかい会社づくりに挑戦し続けます。
・私達は、適正な利益の確保、健全な経営を維持し続けます。
・私達は、「ありがとう」を合言葉に、互いを認め、成長し続けます。
「人と地球の健康に貢献し続けます」
シンプルかつ壮大な言葉が瞬時に目に飛び込んできました。その事業内容から「人の健康」は想像できます。しかし「地球の健康」にはどんな意図が込められているのでしょうか。
EMシステムズは、「人と地球の健康に貢献し続ける」という経営理念のもと、「事業を通じた持続可能な社会の実現」を目指します。サステナビリティについての本格的な取組みにあたっては、2021年に社内組織としてSDGs推進委員会を社内で発足させ、当社が取り組むSDGsや社内課題・社外課題を見つめなおし、「今より一歩、よりよい明日へ」を合言葉に、SDGsを経営にしっかり取り入れる活動にフォーカスしました。
持続可能な社会の実現を見据えた、サステナビリティへの思いです。
ただシステムを提供するのではない。その先にある社会貢献を視野に入れて事業を展開していく。同社のそんな決意が込められています。
取引先や求職者など、多くのステークホルダーが関心を強めている社会貢献の文脈。それを経営の軸である理念にも組み込むことは、これからの時代に欠かせないのかもしれません。
経理業務を効率化する『freee会計』、給与計算や労務管理を効率化する『freee人事労務』、税務申告書作成業務などを効率化する『freee申告』など、“お金”にまつわるさまざまな業務を効率化するソフトを提供しています。
スモールビジネスを、世界の主役に。
freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、統合型経営プラットフォームを開発・提供し、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくっていきます。
起業やビジネスを育てていくことを、もっと魅力的で気軽な行為に。個人事業や中小企業などのスモールビジネスに携わるすべての人が、じぶんらしく自信をもって経営できるように。
大胆にスピード感をもってアイデアを具現化できるスモールビジネスは、今までにない多様な価値観や生き方、新しいイノベーションを生み出す起爆剤だと私たちは考えています。スモールビジネスが大企業を刺激し、社会をさらにオモシロク、世の中全体をより良くする流れを後押ししていきます。
経営理念に事業領域を明記すると、“何の会社なのか”がすぐに伝わります。
何の会社なのかが伝わると、自社への理解を深める社員が増えたり、入社前から理解の深い求職者が増えるなど、組織面でのメリットが見込めます。その上で「世界の主役に」というキャッチーな言葉が続くフリーの経営理念。秀逸だと思います。
1業界10社の分析だけでも経営理念への理解がうんと深まった気がします。
経営理念をサービスを提供する立場として、もっともっと、経営理念について詳しくならないといけない。そんな自覚を持って、今後も学び、このブログでみなさまにもシェアしていけたらと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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