今回は、僕が担っている職種「クリエイティブディレクター」についてのお話です。といっても、
「クリエイティブディレクターって何?仕事とは?具体的に何してるの?」
のような、基礎的な業務内容や企業によって違う定義ではなく、もっと前提の「クリエイティブディレクターとして持つべき考え方」についてご紹介したいと思います。
企画力、進行管理力、判断力、コミュニケーション力など、クリエイティブディレクターとして磨くべきスキルはたくさんありますが、そのどれもにつながる、いわば行動指針のようなものです。
一般的に、クリエイティブディレクターの仕事内容は多岐にわたるため、制作会社によってその定義は違うことがほとんどです。トゥモローゲートでは、そんな中でも「顧客に提供する価値を高める」という目的は変わらないと考え、プロジェクトを進める中で迷ったときや難しい局面に立たされたときでも、その軸がブレないようにするための8つの指針をつくりました。
トゥモローゲートのプロジェクトをメインで回しているディレクターを集め、合計12時間以上かけてワークを行い、議論を重ねました。さらに方針が決まってからは、言葉としてのクオリティを担保するため、一つ一つの言葉選びやキャッチコピーには自社のコピーライターの力も借りて完成させたものです。
あくまで「トゥモローゲートの」という枕詞はつきますが、
・案件のクオリティ担保を任されている人(WEBに限らず)
・進行管理を担うディレクターの人
・プロジェクトマネージャーとしてメンバーをまとめている人
・トゥモローゲートでクリエイティブディレクターとして成長したい社員(小声)
など、どんな人でも共通して持っておいて損はない考え方かと思うので、ぜひ熟読してもらえると嬉しいです。
INDEX
「行動指針」とは言いましたが、ざっくりトゥモローゲートのクリエイティブディレクターがどんなことをしているのかは前提としてお伝えしておきます。
一言でいうと、ブランディングにおける制作現場の統括、そのクオリティ担保において全責任を担う職種です。
・プロジェクト方針(誰に、何を、どんな風に打ち出していくのか)の決定
・顧客連携
・撮影ディレクション
・進行管理
など、特にトゥモローゲートにおいての業務幅はかなり広いと、他社のクリエイターからも言われることが多いです。
‥とまあこれ以上ここで語り出すとキリがないので、詳しくは以下のブログを見てもらえればと思います。
https://tomorrowgate.co.jp/blog/5510/
https://tomorrowgate.co.jp/blog/3444/
https://tomorrowgate.co.jp/blog/2964/
では、トゥモローゲートのクリエイティブディレクターがどんなことをしているのかわかったところで、本題に入っていきましょう。
いきなり「そんなん当たり前やん。」と思った皆さん。
そうなんです、当たり前です。
しかし、この「感動する」には、単純にココロが動くものをつくるだけではなく、さらに成果“も”担保してこその感動を生み出すという意図が込められています。
僕たちは、ブランディングという、ただでさえ曖昧なサービスを提供しています。だからこそ、しっかり目に見えて判断できる成果を創出しないと、質の高いクリエイティブとはいえません。
僕たちが、すべてのことに対して判断軸として掲げている「オモシロイの方程式」。そこにある【ささる × あがる = ひらく】の考え方は、ひとつひとつの案件にもしっかり落とし込まれています。
何となく「いいものできたね!」で終わるクリエイティブは今日で終わりにしましょう。
目指すのはあくまでブランディングとしての成果。
トゥモローゲートがブランディングをお手伝いし、オモシロイ会社に近づき、その結果として成果に結びつく。そんな「未来にワクワクする戦略とクリエイティブ」を残しましょう。
※「オモシロイの方程式」についてはこちらをご覧ください。
https://tomorrowgate.co.jp/blog/2942/
熱量が人を動かすといっても過言ではありません。
どれだけ筋が通った企画やオモシロイ企画でも、ひとりでは何もできません。ただプロジェクトの方針を決めてメンバーが積極的に動いてくれるなら苦労しません。
クライアントや外部の人を含め、プロジェクトに関わるメンバーを巻き込んではじめて、プロジェクトに火がつきます。自分が片手間になっていたり、投げやりになっていると、そこについていくメンバーはどうしたらいいのでしょうか。
熱は伝染します。
自分がまず他を圧倒する熱量で、プロジェクトの着火剤になってください。メンバーやクライアントの熱量が足りないと感じるなら、何らかの理由で自分が火をつけれていないからです。
この自覚を持っていないと、なかなかプロジェクトを任されることはないでしょう。
核とは、プロジェクトの心臓。
心臓が動くからカラダに血液が回り、手足の先まで信号が行き渡ります。逆に言えば、心臓さえ動いていれば息絶えることはありません。
各ポジションのメンバーが役割に沿った責任があることは言うまでもないです。が、クリエイティブディレクターである以上、プロジェクトの「最後の砦」であることを忘れてはいけません。
「自分は言いました」
「これはあの人の仕事です」
これらはすべて言い訳です。
極端な話、自分が最後のひとりになっても戦い抜けるほどの気力と戦力を持ちましょう。自分の判断行動すべてがプロジェクトに影響を及ぼすと考えるべきです。
「一人で戦え」なんて言っておきながらですが、これも必要な考えです。
人が最もパフォーマンスを発揮する瞬間は、「楽しんでいるとき」です。
プロジェクトメンバー一人ひとりがその状態になるように采配し、コントロールしていくのもクリエイティブディレクターの仕事です。
職種が違えば性格も違うし、どんなことをしたいかも全然違います。伝え方はもちろん、それぞれがやりがいや達成感を味わえるような案件にしていくことが、結果的に個々のパフォーマンスを高め、プロジェクトとしての質が向上します。
ちなみに、この考えを持っていると「クライアント」や「納期」といったジレンマが必ず襲ってきます。そういった場合の優先度は言うまでもありません。しかし、いざという時のシビアなジャッジを何の弊害もなくできるかは、普段からこういった言動ができているかで変わってきます。
矛盾していると思いますか?
僕は、そうは思いません。
言うなれば、優先度と目的の違いです。「メンバーが楽しむため」ではなく、「プロジェクトのクオリティを向上するため」にメンバーが楽しむことが必要なんです。
メンバーのスキルやビジョン、性質などを考慮した本質的なコミュニケーションをとって、プロジェクトに愛着を持ってもらいましょう。それが、プロジェクトを成功に導く手段のひとつです。
僕の経験上、これがなかなか難しいという人が多いです。
フローや規則通りに進めることや、一つひとつじっくり考え、決めていくことはもちろん大切です。しかし、クライアント都合はもちろん、メンバーのリソースなど、案件には必ずといっていいほどイレギュラーが発生します。
そして哀しいことに、きっちりマニュアル通り進めることよりも、不測の事態にどう対処し、柔軟に進めていけるかの方に力の差が出てしまうものです。
これはビジネスにおいても共通することですが、「100%」や「完璧」という状態になることはありません。常に変化していく状況でバランスをとって進め、それによって起こった結果に対してまた考えて動かしていく。この繰り返しです。
フローや規則・ルールはあくまでベースとなる軸。
正規ルートから出ないようにするんじゃなく、「はみ出ること」が当たり前のなかでどうやって正規ルートに戻すかを考えながら進めていく。といった感覚のほうが近いかもしれません。
「自信を持って判断できる状態」ってどういう状態でしょう?
僕は、
・クライアントについて徹底的に考え、調べ尽くしている状態(理解と共感)
・それが何のためにあるのか、やるのかが明確にわかっている状態(目的)
だと思っています。
案件のこと、クライアントのことについて、プロジェクトの中で一番詳しい人になってください。これはもはや前提条件といっても過言ではありません。
そしてふたつめは、目的を見失わないことです。
プロジェクトの進行中、ワクワクするような新しいアイデアが出てくることもあれば、目を背けたくなるような課題が出てくることもあります。そんなとき、目指すべきゴールと方向がわかっていれば、迷わず判断ができます。
即断即決が基本。
すぐ判断できない場合に「すぐ判断できない」と判断するためにも、結局のところ情報が必要なのです。
突然ですが、クライアントの満足度を高めるために必要なものは何でしょうか?
①とことん寄り添い、要望を的確に汲み取り実行していく
②クライアントが予想もしない角度で、驚きを与える提案をする
ここまで読んでる方なら大方予想がついてるかと思いますが、、そうなんです。トゥモローゲートにおいてはどちらも必要です。正確に言えば、「どちらも本質的に捉え、実行しようとすれば、自ずと①と②両方満たさないといけないことになる」んです。
「要望を汲み取る」とは、クライアントのお題を表面的に捉えるのではなく、本質的な課題や心理を掬い上げることです。そのために、クライアントに対しすべて頷くのではなく、寄り添いつつも核心に迫るようなことに切り込んでいったり、現実的なことも伝えていかなければなりません。
「予想もしない角度」とは、ただこちらがオモシロイと思うことを提案するのではなく、課題や意向、案件のことなどすべて把握した上で期待を越えることです。そのためには、クライアントにとって「どんなことが期待を越えるのか」のボーダーを把握するために向き合い根幹を知り、まずは輪郭や意向を掴んでいく必要があります。
何れにせよ、クオリティを追求するのであればこういった攻めと守りのバランスが必ず必要です。ときに硬く安定した動きで安心感を与え、ときには飛ばした案や決断で周囲を驚かせ、引っ張り上げていくクリエイティブディレクターになりましょう。
個人的に「これができない人が多いランキング」の上位に位置するのがこれ。かくいう僕もどちらかというとその気がまだ抜けていないのも事実です。
クリエイティブディレクターの本分は「決めること」です。
自分がガンガン動いていると視野が狭くなり、正確な判断ができないことがあります。これはプロジェクトの健康状態としてはあまりよくありません。
方向性を掴んでいる自分がやった方が早いこともあります。
しかし、何でもかんでも自分でやってしまうディレクターは、僕は優秀とは思いません。プロジェクトメンバーも育たないし、何より誰もやりがいを感じないでしょう。
可能な限りそれぞれのプロフェッショナルたちに任せ、自分は指針を示していく。
クライアントにまで影響が及ぼしそうなデッドラインを見極め、どうしても難しくなったときにだけ、巻き取る。もちろん、そのタイミングでもしっかり対応できる自分の戦力を理解したうえで。
このバランス感覚が大切です。
ここまで8つの行動指針(TGではこれらをVALUEとしています)を紹介してきましたが、それらが最終的に何につながるのかを示した言葉があります。最後に、それを紹介したいと思います。
クライアントの満足度を追求するのは当たり前です。
しかし、そのためにはまず自社のチーム、外部の人など、プロジェクトに関わるすべての人の満足度を追求しないと、クライアント満足度の最大化にはつながらないんじゃないかと考えています。
「トゥモローゲートに依頼して良かった。」
「トゥモローゲートと一緒に仕事をして良かった。」
「プロジェクトにアサインされて良かった。」
携わった人の「良かった」を生み出すために、誰よりも思考して、行動して、メンバーを巻き込んでいく。それが、トゥモローゲートのクリエイティブディレクターの行動原則だと考えています。
いかがでしたか?
ずらっと並べるとずいぶん気をつけることが多いなという印象を抱くかもしれません。なかには、矛盾してない?みたいなことも多かったと思います。
しかし、この矛盾ともいえる幅の広さを担い、プロジェクトを進行していくのがトゥモローゲートのクリエイティブディレクターの仕事なんです。
もちろん、僕自身がこれら全てを体現できているわけではありません。意匠制作部もまだまだ発展途上です。もっとたくさんのオモシロイ実績をつくっていくためには、もっとたくさんのクリエイターの力が必要です。
冒頭でもお話しした通り、今回お話しした内容はあくまでトゥモローゲートの制作に対しての考え方や価値観です。これがすべてでは当然ないですが、
・こういったものづくりへの考え方に共感していただけた方
・こういった考えをもって仕事をやってみたい!と思った方
・いや甘いぜ。自分がもっとレベルあげてやるぜって方
ぜひあなたの力を貸してください。エントリー待っています!
ではまた。