
「どうすればYouTubeでバズれますか?」
YouTubeを運営していると、よく聞かれる質問です。
企業のSNS担当者やマーケティング担当者なら、一度は 「バズる動画を作りたい」と思ったことがあるはず。
でも、正直に言うとバズなんて狙ってできるものじゃない。
トゥモローゲートのYouTubeチャンネルは “バズらせよう”と思ってバズった動画は数少ないです。「これは絶対伸びる!」と思った動画が伸びず撃沈したことが何度もあります。逆に「これは伸びないかな?」と不安になりながらも出してみた動画が、伸びることもある。
だからこそ、これからYouTubeを始める人、企業アカウントを伸ばしたい人に伝えたいのは「まずは続けることがすべて」 ということ。
では、どうすれば続けられるのか?
そして、続けた先にどうやってチャンネルを成長させるのか?
私たちの経験を赤裸々に まとめました。
企業がYouTubeを運用する意味とは?
トゥモローゲートがチャンネルを立ち上げた5年前に比べ、今ではYouTubeを始める企業も増えてきたように感じます。
運用の目的は企業によって様々ですが
・認知拡大(ブランドの露出を増やす)
・商品・サービスのPR(売上につなげる)
・採用・ブランディング(企業の魅力を伝える)
・既存顧客のファン化(エンゲージメントを高める)
・ 競合との差別化・業界内での権威性を確立する
など、「売上向上」「採用強化」「ブランド力アップ」 のどれかに集約されます。YouTubeを始めることによって得られる効果を誰もが期待するはずです。
正直、YouTubeは甘くない。
明確な統計データは少ないですが、以下の傾向がよく言われています。
YouTubeを始めた企業の約50%が1年以内に更新をやめる
3年以上継続できる企業は10〜20%程度
5年以上継続し、かつ成長し続けている企業チャンネルは5%未満
なぜ企業はYouTubeを続けられないのか?企業がYouTubeを辞めてしまう理由は、大きく分けて以下の5つなのではと考えました。
①「思ったより伸びない」問題
「3ヶ月で1万登録者!」みたいな夢を見ていたが、現実は数百人…
期待値が高すぎて、すぐにモチベーションが下がる人も多いのではないでしょうか
②「続けるのがしんどい」問題
撮影・編集・企画に時間がかかりすぎる
片手間でできると思っていたら、めちゃくちゃ大変だった
③「社内での理解がない」問題
上層部が短期で結果を求めすぎて「成果が出ないならやめよう」となる
社員のリソース不足で「他の業務が忙しいからYouTubeどころじゃない」
④「担当者が辞めると終わる」問題
YouTubeを担当していた人が異動・退職すると、誰も引き継げず更新停止
⑤「ネタ切れ&マンネリ化」問題
最初は楽しくやれても、半年くらいするとネタが尽きる
視聴者が飽きて、再生数が伸びなくなる
結論:企業YouTubeは「スタートより継続が難しい」
YouTube運営は「始めたらゴール」じゃなく、むしろ「続ける仕組みを作る」ことが成功のカギになると感じています。
1本目で伸びることはほぼありません。頑張って作った動画が100回も再生されないことなんて最初はザラにあります。企業チャンネルで成果を出すためには 「3ヶ月で伸びなかったら撤退する」 みたいな短期思考を捨てることも大切ではないでしょうか。
YouTubeを見たこともない未経験者がディレクターに
ここで、私の経験を少しお話しします。
トゥモローゲートがYouTubeを始めたのが2020年。当時、業務委託として一緒に働いていたYouTubeの運用責任者が別にいたんです。私はInstagramを運用しており、その一環でYouTubeの数字も一緒にまとめる役割でした。
運用を開始して1年が経った頃、その子が別の夢を叶えるため抜けることに。YouTubeのディレクターが不在になります。編集者は居る。YouTubeは今後も続ける。けど、撮影や編集のディレクション・確認をする人がいない状態に。
「私でよければやりましょうか?」
今となっては、ディレクターが何をするのかも、何も分かっていませんでした。笑
ただ本当に「やれるかは分からないけど、私でよければやりますよ。」くらいの気持ちで担当に。引継ぎを受け、編集者の動画を確認するところからディレクションを開始、初めてディレクターとして動画を見た時の感情は今でも覚えてます。
「え、何も修正指示することなくない?」と。
けど、前任者はちゃんと細かくフィードバックを編集者にしてるんです。私にディレクションは無理かもしれないと思いました。
まず、最初にやったことは、YouTubeをたくさん見るということ。関わるまで私はYouTubeやテレビに興味がなく、映像を見る習慣はまったくありませんでした。そんな状態では企画を立てることも、編集指示を出すこともできません。
そして企画をたくさん出しバックを受けながら社長とすり合わせを重ねる。そして編集動画を確認しまたすり合わせる。公開した動画を分析する。この繰り返しです。
(SNS運用において、経営陣がSNSに力を入れていて、すり合わせに時間を割いてくれる環境があることが心強いです。)
今では、会社が出したい方向性も、YouTubeのトレンドや編集のポイントなど、お客さまにもYouTubeのコンサルティングができる状態にまで、知見・経験が広がりました。
ここであえて私の話をしたのは、知識や経験がなくても努力次第で伸ばせるということを伝えたかったからです。
正直、簡単ではありません。企業がYouTubeを始める時は、他にメインの業務を持ちながら、兼務で始める人も多いはず。私も業務はYouTubeだけでなく、人事やクライアントの採用コンサル、今では経理や広報にも関わらせてもらっています。他の業務をしながら、YouTubeを止めずに配信しつづけることは、とても難しい。それでも、YouTubeの優先順位を他の業務と同じくらい高く考え、向き合い続けた4年間でした。
YouTubeを続けられる企業・続けられない企業の違い
「YouTubeは甘くない」と言いましたが、それでも私はYouTubeを運用することで得られる効果・メリットを強く感じています。
続けられる企業と、途中で挫折する企業の違いは何なのか?
私なりの答えではありますが、大きな違いは 「目的と継続の仕組みがあるかどうか」だと思います。
「とりあえずYouTubeを始めてみよう!」 と勢いでスタートすると、ほぼ確実に途中で息切れします。逆に、最初の段階で 「どんな目的で運用するのか」「どうやって継続するのか」 をしっかり考えておけば、長期的に成長するチャンネルを作ることができます。
そこで、YouTube運用を始める前に必ず考えておくべきことを整理しました。YouTubeコンサルティングの中で、必ずお客様と最初に考えることでもあります。
運用を始める前に考えるべきこと
目的を明確にする(企業アカウントが迷走しないために)
何事においても頭で考えすぎずに「とりあえずやってみよう」という気持ちが大事ですが、それだけでは絶対に続きません。最初に 「何のためにやるのか?」を明確にすることが重要です。
どんな視聴者に何を伝えたいのか?目標設定(チャンネル登録者数?問い合わせ数?採用エントリー数?)
・ブランディング重視型(企業文化・働く人を発信)
・商品・サービスPR型(使い方やベネフィットを伝える)
・専門家ポジション型(業界の知識やノウハウを発信)

競合・市場分析を行う
・企業アカウントの成功事例を分析(なぜ伸びているのか?)
・競合チャンネルの動画内容・投稿頻度・編集スタイルを研究
・差別化ポイントを決める(他社とどう違うのか?)
※ただ、ここはまずやり始めながら確立させていく流れでいいと思います
動画を伸ばすための戦略
もし動画が伸び悩んでいるとしたら、再生されない一番の理由は「視聴者が求めていない動画を出してるから」 かもしれません。
例えば…
「会社紹介をします!」 → そもそも会社を知らない人は興味がない
「社長が語る経営論」 → そもそも社長のことを知らない
視聴者が知りたいのは 「自分にとって役立つ情報」 なんです。

ここで紹介しているフレームワーク(スタートアップシート)をLINEプレミアム登録者限定でダウンロード可能です。※プレミアム登録も無料
視聴者が見たいコンテンツ設計
・「企業の伝えたいこと」ではなく「視聴者が求めること」を考える
・企画の考え方(視聴者が思わずクリックしたくなるテーマを意識)
問題解決型(例:◯◯のやり方)
ストーリー型(例:社員が1週間挑戦してみた)
裏側公開型(例:社内会議に潜入・1日密着)
・サムネイル・タイトルの工夫(クリック率を上げる)
YouTubeのアルゴリズムを意識する
・視聴維持率が重要(平均視聴時間を伸ばす工夫)
・クリック率を高める(タイトル・サムネイルのA/Bテスト)
・投稿頻度も大事、それ以上に「安定的な配信」を
運用体制を整える(チーム運営のポイント)
・誰が何を担当するのか?(撮影、編集、企画、分析)
・属人化を防ぐための仕組み(マニュアル・ルール作り)
・コスト管理(内製化 or 外注の判断基準)
YouTubeを続けるうえで苦労するのが企画
企画を生み出し続けることが何より大変です。
視聴者が興味のあること、そして自分たちが発信できること、魅力に感じてもらえるポイントとは何か。YouTubeを立て直そうと今後の方向性を探るため、当時まとめたのがこちらです。

いきなり企画を考えるのではなく、まずはターゲットの心情を理解すること。
YouTubeでファンを作るためには、「興味を惹く」「学びになる」「共感する」「応援したい」「この人好きだな」と心を動かす動画であることが必要不可欠です。視聴者の心情を想像しながら企画や動画の構成を立てる方法が、内容の濃い動画にする近道だと私は感じました。
そして1人で企画を出し続けるのではなく、いろんな人からアイデアをもらいながら進めていくのもオススメです。トゥモローゲートではブレストシートをつくり、運営以外のメンバーからも企画案を募集しています。

他のチャンネルを見ずにYouTubeを伸ばすことは不可能?
YouTubeを続けるうえで私が一番大事だなと思うのは、YouTubeを好きでいることだと個人的に感じています。YouTubeを義務に感じるのではなく、YouTubeを好きになり楽しめるかどうか。運営者目線でYouTubeに興味を持てないと、自らトレンドの移り変わりをキャッチしたり、分析することは難しいからです。(調べたらいくらでも拾うことはできますが、どれだけ深く分析できるかは、興味がないと難しいと感じています。)
そして、自分のチャンネルをより良いものにするためにも、他のチャンネルを見ていろんな企画や編集に触れること。見た動画の数が自分の引き出しになります。引き出しが少ないと、企画を出し続けることも、「こんな編集にしたい」というリクエストに対して「こんなイメージですか?」と応えることもできません。
私は通勤時間を利用して色んな動画を視聴し、分析をしています。

YouTubeを「続ける」ために意識すべきこと
短期間で結果を求めすぎない(最低1〜2年の継続が必要)
PDCAを回し続ける(伸びる動画の傾向を分析し、改善)
社内の理解を得ることも重要(企業としてSNS運用の価値を共有)
ぶっちゃけ、YouTube運営って「やってることが正解なのか分からない」時期がめっちゃ長いです。
でも、それを乗り越えて続けた企業だけが 「あれ?なんか最近伸びてきたな…」 って実感できるんだと思います。
企業チャンネルが6年間止まらず続いている理由
ここまでいろいろと話してきましたが、「続けられている理由」「伸ばすためにやったこと」を最後にまとめます。
続けられた理由
“短期で結果を出そう”としすぎない、諦めない
「半年や1年で成果が出なかったら撤退する」というスタンスではなく、最初から“長期戦”だと考え、長期的目線で続けること
“続けるための仕組み”を作った
・投稿のハードルを下げる(完璧を求めず、まずは出す)
・チーム体制を整える(1人の属人化を防ぐ)
・再生回数だけで判断しない(エンゲージメントやコミュニティの成長を重視)
YouTubeを伸ばすためにやったこと
伸びる動画の型を見つける
・最も視聴維持率が高い動画の特徴を分析
・タイトルとサムネイルのパターンをテストする
競合のチャンネルを徹底分析する
・同じジャンルの成功しているチャンネルの特徴を分析
・視聴者が興味を持つテーマをリサーチ
YouTubeのアルゴリズムを理解する
・出した動画をすべて数字で残し分析
・クリック率(CTR)が高い動画が伸びやすい
・コメント数・共有数・グッドボタンが多いほど評価は上がる
トゥモローゲートがここまで伸ばしてこれたのは、
「数」を出し「数字を分析」して「改善」のサイクルを繰り返したからだと思います。

YouTube運営に「絶対に成功する方法」なんてものはありません。
でも、「工夫しながら」「続けること」こそが唯一の正解 だと、6年YouTubeを運営してきて実感しています。
どれだけいい企画を考えても、どれだけ気合を入れて編集しても、出してみないと結果はわからない。だからこそ、試して、改善して、続ける というサイクルを止めないことが大切です。
「バズる動画を作りたい」という気持ちはもちろん大事ですが、バズにこだわりすぎると「伸びなかったら終わり」 になってしまう。大切なのは「1本のバズ」ではなく、「長く愛されるチャンネル」を作ることではないでしょうか。
トゥモローゲートのYouTubeも、決して順風満帆に伸びてきたわけではありません。むしろ、試行錯誤しながら地道に積み上げた結果、やっと20万人のチャンネルになりました。
YouTube運営にゴールはないからこそ、今後も視聴者と向き合い、試行錯誤を続けながら成長していきたいと思います。
「YouTubeを続けることができるかどうか」
それが、企業の未来を大きく変えるかもしれません。
これからも、トゥモローゲートのYouTubeチャンネルをよろしくお願いします!
YouTubeコンサルティングに興味をお持ちいただける方はこちらからぜひお問い合わせください

浦下 歩
TEL 06-7167-3950