
今回ご紹介するのは、設立間もないレーシングチーム“TGM Grand Prix”が、YouTubeを通じて認知を広げ、スポンサー獲得まで実現したプロジェクトの舞台裏です。
私たちトゥモローゲートが戦略立案から企画・撮影までを担当し、手がけた動画は公開からわずか2週間で50万回再生を突破。公開から11ヶ月経った2025年7月時点でも視聴され続けており、再生数は96万回を記録しています。
これまでモータースポーツに関心のなかった層、特に若年層にも届くYouTubeチャンネルへと成長し、チームのファン層が一気に広がりました。
本記事では、YouTubeを軸にしたファン獲得の戦略、実際の企画・撮影のプロセス、そして成果に至るまでの過程をご紹介します。
【依頼の背景】「表舞台で競争の面白さを伝えたい」設立2年目のレーシングチーム

ご相談をいただいたのは、チームの設立から2年目を迎えた頃。
「これからチームを本格的に強くしていきたい。」
そんなタイミングで、“TGM Grand Prix”を運営するセルブスジャパンさんが声をかけてくださったのがきっかけです。
セルブスジャパンさんは、もともとレーシングカーのメンテナンスやエンジニアリングを手がけていた企業。モータースポーツ業界を舞台裏から支えてこられました。
そんな会社の代表である池田さんは、勝ちにこだわって競い合うチームを支援する中で、こんな想いを抱くようになったと言います。
競争には価値がある。どんな世界でも、競争があるからこそ人は成長する。
自分自身も表舞台で“競争の面白さ”を世の中に伝えたい!
この想いから立ち上がったのが、“TGM Grand Prix”というレーシングチームでした。とはいえ、設立2年目のチームにはまだ十分な資金も環境も揃っていません。
そこで重要になるのが、スポンサーの獲得です。しかし、そこにはある矛盾が立ちはだかっていました。
【課題】「勝てばスポンサーがつく」は本当か? 常識を疑うことから始まったYouTube戦略
その矛盾とは、「スポンサーを得るには、まず勝たなければならない」でも「勝つためにはスポンサーが必要」という構図です。
レースに勝てばメディアに取り上げられ、スポンサーのロゴや社名も世の中に広く露出されます。その結果、資金が集まり、トレーニング環境やマシンの性能強化もできるようになります。
つまり、「勝つ」ためにスポンサーが必要でありながら、「スポンサーを得る」ためには、まず勝たなければならない。池田さんはこの矛盾に頭を抱えておられました。
トゥモローゲートはまずその前提を疑うところからスタートしました。
「勝てるチームだからスポンサーがつく」のではなく、「ファンがいるチームだからスポンサーがつく」のではないか?
スポンサーが支援したくなるのは、多くの人に応援されているチームです。ファンの存在は、スポンサーにとって「投資」する明確な根拠になります。だからこそ、目指すべきは「勝つこと」だけではなく、「ファンを増やすこと」。
そのための第一歩として、SNSで最も認知拡大の可能性があるYouTube戦略をご提案させていただきました。こうして、無名のレーシングチームの魅力を世の中に届けるプロジェクトがスタートしたのです。
【ターゲット選定】モータースポーツファンは狙わない。YouTubeの配信内容を大きく転換
とはいえ“TGM Grand Prix”はすでに自社でYouTube運用を行っており、レース結果や会場の様子を配信していました。
こうした情報が届くのは、元々モータースポーツに興味がある層が中心です。視聴者には自チームだけでなく、他チームのファンもいましたが、設立2年目で勝利実績の少ない“TGM Grand Prix”にとって、ファンを奪うのは困難な状況だったのです。
そこで鍵を握るのが、モータースポーツに興味のない人たちです。
このターゲット層は、これまで動画で配信をしていたレースの勝敗や専門的なテクニックには興味がありません。そのため、配信内容の方針を転換する必要がありました。
そこでトゥモローゲートからご提案したのが、日常生活とモータースポーツを掛け合わせた企画でした。
【コンテンツ企画】新たな視聴者の獲得を加速させた2本の動画企画
まず初めにご提案したのが、「プロが本気で〇〇してみたシリーズ」です。
その動画がこちら。『レースのプロがミニ四駆を始めます(入門編)』
プロのレーシングチームが、本気で“ミニ四駆”の世界に挑戦した動画です。
実際のレースで培った知識を活かしてスピードや安定性を予測し、数種類の車体を徹底的にカスタマイズ。ミニ四駆の公式ルールに則って、どの車体が最速かを繰り返し検証しています。それぞれのパーツについて夢中で議論するあまり、なかなかレースが始まらない場面も(笑)。
本気と遊びの絶妙なバランスで、視聴者の興味を惹きつける企画です。公開から2週間で50万回再生を記録し、チャンネル登録の勢いを加速させました。
次に配信したのがこちら。『かかる費用は年間4億円 | お金のない元メカニックがレーシングチームをつくった』
視聴者にチームの原点を知ってもらうと同時に、「レーシングチーム立ち上げはどのくらいお金がかかるの?」という素朴な疑問にも答える構成に。池田さんの人柄や夢を伝えることで、ファンを集める狙いで制作しました。
【動画制作と分析】緻密な動画構成とデータ分析でYouTube運用を攻略
ここで、私たちが撮影から運用まで一貫してこだわっているポイントをご紹介します。
まず撮影前には、シーンごとの構成を細かく設計。現場ではその構成に沿って「どんなストーリーなら伝わるか」「視聴者が理解しやすいか」を意識しながら、計画的に撮影を進めていきます。
特に今回の場合は、モータースポーツを知らない層にも伝わるよう、専門用語には注釈を入れるなどの配慮をしました。
編集フェーズでは、テンポと視認性を重視しています。不要な間や言葉の詰まりをカットし、テンポ感を調整。話の要点にはテロップや図解を差し込み、視覚的にも伝わるように仕上げていきます。
また、公開して終わりではありません。YouTubeのアルゴリズムに乗せるために、サムネイルは複数パターンを用意。訴求軸やデザインごとにクリック率・視聴維持率をA/Bテストし、最も反応の良いものを選定します。
加えて、公開後の分析も欠かせません。再生数や平均視聴時間に加え、離脱ポイントや高評価数、コメント内容をチェック。視聴者が何に興味を持ち、どんな反応を示したかを細かく読み取り、次の企画に活かしていきます。
実際に、今回の『ミニ四駆』動画ではこれまでにない成果が見られました。視聴者の7割がチャンネル未登録者で、これまで接点のなかった層にリーチすることができたのです。特に若年層からの反応が顕著で、チームの認知が大きく広がりました。
▼公開後に動画分析を行った資料(視聴者層の割合の変化)
(左)これまで配信していた動画 (右)ミニ四駆の動画

このような成果と分析結果は、すべて月一回の定例ミーティングで共有し、今後の運用方針や施策立案の判断材料として活用しています。
【成果と反響】念願のスポンサー獲得。YouTube継続運用のためのノウハウも伝授
6ヶ月にわたるYouTubeコンサルを経て、チャンネル登録者数は3倍以上に増加。レース会場でも「動画を見ました!」と声をかけられることが増え、ファンの存在を肌で感じられるまでになりました。
そして、ついには動画による認知拡大をきっかけに、スポンサー1社の獲得にもつながったのです。
これほどの成果につながった背景には、1本目に公開をした「ミニ四駆」という親しみやすいテーマが、一般層の関心を捉えたことがあります。
YouTubeのおすすめ欄に掲載されるなどにより、再生回数は50万回に。800件を超えるコメントには「レースは詳しくないけど面白かった」といった声も多く、これまで届いていなかった層にも確実に響いていることが分かりました。


動画制作は、初回のみトゥモローゲートが企画・撮影・編集まで一貫して担当。この制作を通じて、YouTube運用の基本的なノウハウを習得していただきながら、チャンネルの方向性に対する認識を統一します。
2本目以降の動画制作は、“TGM Grand Prix”自身が企画から編集までを主導し、トゥモローゲートは適宜フィードバックを提供する形で伴走。結果として、「ミニ四駆」シリーズの第2回・第3回動画は、いずれも40万回再生を記録する成果をあげています。
【まとめ】単なる動画制作で終わらせない。クライアントの一歩先を行くYouTube戦略
YouTube運用の成功には、投稿の“質”だけでなく、“頻度”と“タイミング”が欠かせません。だからこそトゥモローゲートは、クライアントと同じ目線に立ちながらも、常に少し先を見据えて伴走することを大切にしています。
たとえば今回のプロジェクトでは、レースシーズン中の多忙な時期に「投稿が難しいかもしれない」というご相談をいただきました。そこで私たちは、投稿頻度が成果にどう影響するかをお伝えしつつ、限られた時間で実現可能な撮影方法や、無理のない運用フローを複数ご提案。
ただ「やりましょう」と声かけするのではなく、現実的な解決策まで考えて伴走してきました。
トゥモローゲートでは、今回のようにターゲットの選定・企画立案から、撮影・編集、公開後の分析まで、クライアントの目的に合わせたYouTube活用を一貫してご支援しています。
単発で終わらず、成果につながる運用体制を一緒につくる。それが私たちのスタンスです。
「認知拡大のためにYouTubeをはじめたいが、やり方がわからない・・・」「再生数や登録者数が伸びない・・・」
など、YouTube運用でお悩みの方はお気軽にぜひトゥモローゲートへご相談ください。

トゥモローゲート公式
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