
今回ご紹介するのは、大阪を拠点に八百屋業を営む「株式会社 八百鮮」のリブランディング事例です。
この記事では、
・採用課題を解決するリブランディング戦略
・型破りなコンセプト設計
・成果に繋がったクリエイティブ制作
などリブランディングの一部始終を公開。
トゥモローゲートの判断基準「ささる×あがる=ひらく」に基づいて行った、リブランディングの戦略設計と、そこから得られた効果をご紹介します。
リブランディングに踏み切った背景と採用課題
唯一無二の八百屋「八百鮮」とは?
「八百屋を、日本一かっこよく。」
このビジョンを掲げ、大阪の商店街を中心に名古屋・神戸など現在10店舗以上を展開している八百屋が「八百鮮」です。
ごく普通の商店街に立ち並ぶ、ごく普通の八百屋…ではなく。
季節・旬の野菜を仕入れるのはもちろん、インパクトのある商品(鮮魚部門だとカジキ・ハンマーヘッドシャークなど)まで売ってしまう豪快っぷり。
そうしたエンターテインメント性が愛され、2020年時点で年商は28億円超え。型破りな発想と、新鮮な食材を届けることで各地域・商店街を活性化させている、唯一無二の八百屋であり、いま注目の成長企業。
実はトゥモローゲートと八百鮮の関係はもう6年。
6年前にフルブランディングをご依頼いただき、
・理念設計
・ビジョンマップ
・ロゴ・名刺(VI)
・コーポレートサイト
・採用サイト
・採用動画
・採用パンフレット
を設計・制作しました。
一例でいうと…
▼ビジョンマップ
▼ロゴ・名刺(VI)
▼採用動画
▶︎八百鮮の詳しいブランディング事例、トゥモローゲートの想いはコチラ
今回は八百鮮の事業拡大のフェーズにともない、トゥモローゲートが新たに6年の時間を経て採用リブランディングを行うことになりました。今回制作したのは、採用サイトと採用動画です。
社長の市原さんや社員の方々には、前回のブランディングのクオリティや成果を評価いただいていたからこそ、トゥモローゲートのメンバーは「前回を超えるものを作りたい」と、闘志を燃やしながら取り組みました。
新たに求められる2つの「求職者の質」
前回のブランディングでは「八百鮮らしさ」「八百屋のイメージを変える」を追求・体現し、八百屋に馴染みのなかった世代の求職者と採用者の増加につなげました。
しかし、年月を重ねるうちに生まれた新たな課題。それは、八百鮮の核でもある“仕入れ”の本質が伝わりづらくなっていたことです。
では、八百鮮の核である”仕入れの本質”とは何か?
それは、
①“三方良し”の考えを持った上で、
②“戦略的に”常識の逆をいく発想をする
といったポイントでした。
以下に、詳しく解説します。
①“三方良し”の考えを持つ
これは言うまでもありません。
毎日仕入れを行うにあたって、市場をはじめとした周りの人とのつながりをいかに大切にできるかが八百屋としての基本であり核になります。
仕入れにおいて、安く仕入れる方が自分たちにとって良いということは当たり前です。しかし、仕入れ先との今後の関係やお客さんのことを考えた上で、バランスをとってさまざまなジャッジをしていく方が、長い目で見たときに圧倒的にプラスに働くこともあります。
そういった相手軸の意識ができるからこそ、
「ここだけの情報だけど、この前話に出てたトマトが今度入ってくるよ!」
「この前、余りそうな野菜を買ってもらったからね。〇〇君なら安く買ってくれていいよ」
といったコミュニケーションが生まれるのです。
②“戦略的に”常識の逆をいく発想をする
たとえば、地元の商店街には馴染みのない「ロマネスコ(カリフラワーの一種)」を200個以上発注した仕入れ担当がいました。
一見すると、ただおもしろいことをしようとしただけに見えますが、それによって興味を持ったお客さんが店内に入っていき、結果として他のものも購入していきます。
もちろん、持ち前の営業力でロマネスコ自体も完売。
単純に旬のものを仕入れることも当然のことながら、お客さんを楽しませる、いい意味で裏切る、その上で店の売上もあげる。そういった戦略的で感度の高い思考をもった判断ができることが、八百鮮の仕入れ担当者には必須となります。
顧客にも社員にも響く“攻め”のリブランディング戦略
業界や市場の事情は度外視
八百屋のリブランディングを考えようとすると、普通は“小売業界”を調べるかと思いますが、今回は市場調査を全くしていません。(厳密に言うと、あえて市場調査の情報を分析に加えていないと言う方が正しいかもしれません)
八百鮮とその他のスーパーマーケットの圧倒的な違い。
それは、超属人的な仕入れ方針です。
通常、スーパーマーケットでは仕入れの内容や個数など全て決められており、社員はそれをその日もしくは期限までに売り切ることを基本的なミッションとしています。
しかし八百鮮は、各店舗ごとの仕入れ担当に億単位の予算が渡され、それを1年間かけて1.5〜2倍にしていきます。そして、そのために今日、何を何個、いくらで仕入れて、いくらで売るのか。全ての裁量権が与えられているのです。
こういった背景に加え、次で記述するターゲット特性もあり、八百鮮が求める人物像と、小売業界に関心を持つ学生とでは、そもそもターゲットが異なるのではないかと考えました。
このようにブランディングにおいては、その会社独自のブランド・明確な強みがあり、業態そのもので差別化されている場合、あえて市場情報を分析に加えないという選択もします。
ターゲット分析とコンセプト設計の裏側
前回の採用ブランディングにおいての目的は、“八百屋らしくない”独自の八百屋イメージをつけること。そのため、八百鮮の仕事内容にはそこまでフォーカスしておらず、どちらかというとその遊び心や面白さを前面に出すブランディングを行いました。
しかし今回は、より八百鮮の核を担う“仕入れ”という業務に焦点を当て、採用に繋げることが目的のリブランディング。なので、前回のブランディングから変化した現状を整理し、ターゲット層をより手厚く定める必要がありました。
こうしてリブランディングにおけるターゲットを定めると、八百鮮の仕入れ担当者として「なぜやるのか」「何をやるのか」が明確になり、スタンスへの理解・共感が不可欠であることが浮かび上がりました。
その上で「八百鮮の仕入れ担当とは何か・そのために必要な要件」を再整理します。
・億を動かすほどの裁量のある仕事であること
・それと同じくらいの責任と、八百鮮の核を背負うポジションであること
・戦略的でありながらも、普通じゃない発想が必要なこと
・そのためには、自分軸ではなく周りに目を配る姿勢がいること
上記が浮き彫りになったのです。この情報から、アプローチ方法もチューニングする必要がありました。
以上を踏まえて、本質的な軸を守りながら、トゥモローゲートが打ち出したコンセプトコピー。
それが、
SHOWTIME
億を動かす仕⼊れのプロが集う、型破りな⼋百屋
でした。
“型破りな八百屋”を表現する採用サイト
まずは、今回のリブランディングで撮影された写真から。
えっ、八百屋の仕入れ担当者ってこんな感じなの…?
と思うビジュアルですよね。
八百鮮ではそれぞれの店舗の仕入れ担当に億単位の予算があたえられ「その中でどんなものでも売っていい」。その裁量があるからこそ、各仕入れ担当者独自のキャラクターや戦略が生まれ、普通の八百屋ではないブランドができています。
ありのままのブランドを表現するため、前回のブランディングで重視されていた「八百屋のイメージを変えること」だけではなく、より戦略的な挑戦ができることを表現する「クリエイティブ」を設計。デザインフレームワークである“ブランドアーキタイプ”に落とし込みました。
※ブランドアーキタイプとは・・・ブランドの人格を視覚化し、ビジュアル・メッセージ・感情や世間の印象を分析し、8つの型に分類したもの。
これでリブランディングの方向性が確定しました。ここからは、このアーキタイプに沿ったクリエイティブ制作に移ります。
まず「採用サイト」制作時にトゥモローゲートが定めたゴールはこちら。
これを体現する視覚的な要素として採用されたのが、他社の採用サイトでは表すことのない強烈なグラデーション。
トゥモローゲートが描いた「SHOWTIME」のイメージは、サーカス団のような賑やかさと、バットマンのジョーカーのような怪しげな雰囲気。社員一人ひとりの独自の尖った価値観でぶっ飛んだことをやっているけれども、その中にどこか知性があったり、人間味が滲みでているイメージです。
また、八百鮮の仕入れ担当者だからこそ、ひとつの色に縛られず個性を出したかったため、グラデーションをメインに制作しました。
各メンバーのページでは、そうした表現とともに八百鮮社員としての仕事に対する熱意を語っていただき、社員の人柄や本質的な姿勢も伝わるよう工夫を凝らしました。
成果を生み出す戦略的な採用動画
また、“八百鮮ならではの仕入れ担当者”として魅せるため、トゥモローゲートが新たな採用動画の制作で意識したことは、八百鮮の人や仕事、雰囲気に興味を持ち、もっと詳しく知りたいと思える状態に持っていくこと。
動画は制作して終わりではなく、説明会や店舗での活用はもちろん、若者との接点が強いSNS拡散も重要になってきます。
動画完成後に「八百屋」というくくりで見てみると、このような採用動画を打ち出しているのは八百鮮だけ。実際に検索をしてみても、その独自性が伺えます。
普通の八百屋ではないーそんな八百鮮の魅力を強く押し出すことで、コメントでも好評の声をいただくことができました。
そして、これは裏話ですが…、
出演してくださった社員の方々はトゥモローゲートが特に細かい指示を出さずともクオリティの高い演技を披露してくれたんです。名俳優揃いでした。
その中で、たったひとつだけお願いしたことが、それぞれが「俺が一番の仕入れ担当だ」という気持ちで、自分の世界に入り込んでほしいということ。
このシンプルな言葉だけでしたが、それぞれの価値観を体現し、仕入れに取り組む“八百鮮らしさ”をさらに浮き彫りにすることに成功しました。
採用エントリー数に現れたリブランディング効果
この結果、採用サイトからのエントリー数に変化が。
ブランディング前のエントリー数から8倍まで伸ばすことができました。
八百鮮が求める“質”の高さを表すコンセプトを開拓し、採用サイトの魅せ方を変えたことで、より八百鮮への強い共感や「挑戦したい」という想いをもつ求職者の増加に繋げられました。
八百鮮“らしさ”は、日々の「SHOWTIME」から生まれる。
八百鮮の仕入れ担当者は、ただ単純に売ればいい訳じゃない。お客様の生活の中にワクワクや楽しみ、新たな価値を提供すること。
それを、八百鮮は「仕入れ」という手段で実現しているのです。
これこそまさに、
これを体現するには、おのずと“質”のいいコミュニケーションが求められ、“質”のいい戦略が求められる。
そうした手前の型を知り、型を極め、型を破る八百鮮ならではの仕入れだからこそ、八百屋という切り口からエンターテインメントをつくり出せるのです。
前回のブランディング時と同じく、非常に協力的に撮影やインタビューを行ってくださった八百鮮。
今回のように新たな施策が動く場合、なんといってもクライアントのご協力が必要不可欠。これがあるからこそ、多くの人々の熱意がふんだんに詰まったブランディングになるのです。
日々の業務で忙しい中、ときにノリノリで、そして八百鮮社員としてのプライドと熱量が込もった誠意を見せてくださったからこそ、今回のリブランディングを成功させることができました。
リブランディング成功の本質とは
「SHOWTIME」というコンセプトを、トゥモローゲートが提案したすぐ後。市原社長はXアカウントでこのような投稿をしてくださいました。
リブランディング提案の際も、深く頷いてくださっていた市原社長。こんなに熱いメッセージをいただけるのは感無量です。
ブランディングとは、単に“見せ方”を変えるものではない。上辺だけの変革で終わらせない信念と熱意が共鳴し合ったからこそ、新たな課題を乗り越えられたのだと信じています。今後も八百鮮の“かっこいい”を、トゥモローゲートもご一緒に極めてまいります。
▶︎八百鮮のブランディング・リブランディング実績はコチラ
ブランディングに取り組むべきタイミング
「ブランドをもっとよく見せたいけど、どうしたらいいの?」
「会社に心から共感してくれる人材がほしい」
「会社のビジョンを社員たちに浸透させたい」
そんな思いが少しでも浮かんでいる方は、ぜひ、トゥモローゲートとオモシロイブランディングをしていきましょう。
今よりも強いブランド力をもつ企業へ成長できること。
私たちは、かならず約束します。
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