SNS採用の始め方と成功事例|“会社のリアル”が応募者を惹きつけるYouTube戦略とは

浦下歩

2025.11.03

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採用市場が大きく変化するなかで、求人広告やナビサイトだけでは採用がどんどん難しくなってきていませんか?

求人広告・ナビサイトに掲載する企業が年々増えていく一方、学生の就活ツールは多様化。「情報が埋もれやすい」「本当に欲しい人材に届きづらい」時代になっていると感じています。そんな今、多くの企業が注目しているのがSNS採用。トゥモローゲートもこれまで約6年間SNSを活用してきました。中でも一番効果を感じているのが「YouTube」です。

今回のブログが、新たな採用手法を検討されている方にとって少しでも決断の役に立てば嬉しいです。

SNS採用とは?従来の採用手法との違い

SNS採用とは、企業がInstagramやX(旧Twitter)、YouTube、TikTok、Facebook、LinkedInなどのソーシャルメディアを活用して人材を募集・採用する手法のこと。求人媒体や人材紹介会社に頼るのではなく、企業自身が日常的に発信している情報やブランド力を活かし、求職者との接点をつくっていく点が特徴です。

従来の採用手法は、求人広告や就職サイトへの掲載が中心で、応募者が求人情報を見つけて応募する“待ちの姿勢”が基本でした。ただ、年々掲載する企業は増えてきており、マイナビ(新卒)だと約28,000社が掲載されています。この数から見つけてもらうのは難しく、埋もれてしまいやすいもの。そして、求職者にとって広告や就活ナビサイトは「情報を調べる場」だったものも、ここ数年で就職活動・転職活動の方法も多様化し「ナビ離れ」とまで言われています。

その理由は、文字や写真だけでは伝わらない“会社のリアル”を求めて、学生や求職者もSNSでの情報収集を行うことが増えてきたから。実際に、就職活動においてInstagramやTikTok、YouTubeなどを参考にする学生は年々増加しています。SNSであれば、社員の雰囲気や社風、職場の空気感など、ナビサイトの求人票だけでは伝わりにくい部分を、動画や日常的な発信を通じて感じ取ることができるからです。

こうした背景から、従来型の“待ちの採用”に加え、SNSを活用した“攻めの採用”が企業にとってますます重要になってきています。

SNS採用におけるメディア選定

とはいえ、やみくもにSNSを始めても成果にはつながりません。まずは「何のために」「誰に向けて」「どの体制で」発信するのかを整理することが出発点です。以下の初期ステップから整えていくのがおすすめです。

トゥモローゲートの場合、初めにX、その次にYouTubeとTikTokを運用しました。そして冒頭に触れたとおり、採用において一番効果を実感しているのがYouTubeです。ただ、企業の特性や求めるターゲットによって最適なSNSは異なります。各SNSの特徴を下記にまとめたので、どのツールが自社に合っているか確認してみてください。

Instagram:写真・動画で社風を伝えやすい。学生・20代層向け。

TikTok:ショート動画で雰囲気を直感的に発信。Z世代に強い。

YouTube:長尺コンテンツでリアルな社員紹介や仕事紹介に有効。

X:発信のスピード感と拡散力が強み。業界トレンドにも有効。

Facebook:中途・管理職層や海外採用に相性が良い。

LinkedIn:グローバル人材や専門職の採用に有効。

SNS採用の代表ツール「YouTube」の可能性

SNS採用の中でも、YouTubeは特に注目すべきツール。長尺の動画を活用できるため、さまざまな動画コンテンツを通して会社のこと、社員のこと、職場の雰囲気などを「深く・リアルに」伝えることができます。単なる求人広告では表現しきれない企業の姿を映像で可視化することで、求職者に強い印象を残すことが可能です。

動画で伝える“リアルな会社像”

従来の文字や写真中心の求人情報では、仕事内容や待遇といった“条件”は伝えられても、その会社で働くイメージまでは湧きにくいもの。YouTubeであれば、社員の声や現場の様子を映像で届けることで、応募前に会社のリアルな姿を具体的に伝えられます。「どんな環境で働くか」「どんな人たちと働くか」「どんな雰囲気の会社なのか」など、より解像度高く伝わるのがSNSの強い部分です。

応募前に「社風」を可視化する力

求職者にとって重要なのは、「この会社で自分が働くイメージを持てるかどうか」。YouTubeを通して社風を可視化できれば、応募前から自社への理解が深まり、入社後のギャップを減らすことにもつながります。
「この会社のスタンスや考え方が好きだな」というポジティブな印象だけでなく、「自分には合わなそう」と判断してもらうことで、マッチする人だけが集まってくるようになります。

文字と写真では伝わらない“空気感”の武器

オフィスの雰囲気や人間関係の温度感は、求人票や静止画だけでは伝えにくい部分です。動画なら、会話のテンポや声のトーン、背景の雰囲気まで含めて自然に伝わるため、求職者が「こんな人たちと働きたい」と思えるきっかけになります。例えばこれまでYouTubeで社内の研修やフィードバックを公開したことで、「上司と部下の関係性がとても良い」といったコメントをもらったことも。

視覚で訴える文化・空気感の発信力

企業文化や職場の空気感は、文字や写真だけではどうしても伝わりづらいものです。その点、動画は“視覚と聴覚”の両方からアプローチできるので、会社のリアルな雰囲気を求職者に直感的に届けることができます。
オフィスの雰囲気や社員同士の距離感、会議の進め方やイベントの様子など、日常的なシーンを切り取るだけでも「ここは自分に合いそうだ」と感じることにも繋がる。企業文化そのものを視覚的に表現できる有効なツールです。

「社員の表情」や「雑談」こそが応募動機になる

採用動画で最も影響力を持つのは、実は凝った演出や華やかな編集ではありません。社員が笑顔で話している姿や、仕事をしている真剣な表情、ふとした雑談のやり取りなど、“素の表情や会話”こそが求職者の心に響きます。そうした自然な場面から伝わる「安心感」や「親近感」が、応募動機につながるケースは少なくありません。

求職者は仕事内容だけでなく、「どんな人と働くのか」を重視しているため、リアルな人間関係や仕事への向き合い方が垣間見える映像は、他社との差別化にも直結します。

編集しすぎない“素のリアル”が刺さる理由

採用動画というと、つい「きれいに仕上げなければ」と考えてしまいがちです。けど、実際に求職者が知りたいのは、作り込まれたイメージ映像ではなく「入社後に自分が働く姿を想像できるかどうか」です。

過度に編集された動画は企業PRとしては華やかでも、リアルさに欠けると感じられてしまうことがあります。そして、求職者はそんな華やかな映像をそのまま信じることはなくなってきているはず。多少ぎこちなくても社員同士の自然なやり取りなど“素の姿”のほうが、求職者には親しみやすく映ります。

飾らない姿だからこそ信頼感が生まれ、「ここでなら自分らしく働けそうだ」と思ってもらえるのです。

YouTubeでリアルを見せることが、結果的に応募者の共感を呼び、強い動機形成につながります

6年運用して感じるYouTube採用のメリット・デメリット

これまで運用してきて感じる本音として、SNS採用はメリットだけではありません。
「SNS採用がいい!」という話ばかりだとリアル感がないので、あえて課題も伝えます

YouTube採用のメリット

まずはメリットから。

・親近感が湧きやすい
・自社の雰囲気・社風が伝わりやすい
・母集団の質が向上(会社の文化に共感した人材が応募してくれる)
・求職者が応募前や入社前から自社に対する理解度が高い
・潜在層にアプローチできる

・マッチした求職者が集まる

トゥモローゲートの採用は8割がリファラルとSNSなので、とても強い採用ツールになっていることは間違いありません。

YouTube採用のデメリット

ここからが、デメリットです。

・動画の撮影・編集に工数やコストがかかる
SNSを伸ばすうえで必要不可欠なのが、継続的な発信です。人事が採用業務の片手間で出来るものではなく、会社全体で取り組まないと長期的継続、工数ともに難しいかもしれません。

・時間がかかる
正直に言うと、今すぐ結果が欲しい場合、求人媒体に掲載したほうが「応募が来る速さ」は圧倒的に早いです。SNSはチャンネルを育ててファンを作っていくまでに時間がかかります。

・成果が見えにくい
「何本出せば応募が来るのか」「どのくらいで効果が出るのか」という答えはありません。短期的に成果を出すなら媒体、長期的にコストを下げていくならSNSというスタンスで考えると現実的です。

・ギャップリスク
SNSで「楽しそう!」「華やか!」と感じて応募してきた人が、入社後に「思っていたのと違う」とギャップを感じる可能性もあります。だからこそ動画でいつもと違う姿を見せることなく“リアル”を出すことがギャップ防止策に繋がるんです。そして、ギャップを生まないためにもSNSだけではなく、説明会・選考からギャップを生まない仕組が必要です。

YouTube採用動画の企画パターン5選

すべてのSNSにおいて、「これを出せばバズる」みたいなものはありません。では、どんな企画が有効なのか?求職者の声として反響の高かったものをご紹介します。

社員の一日に密着

本音で語るクロストーク

会社の日常に潜入(総会・会議・イベントなど)

研修動画

社長が語る創業理由や会社の沿革・ビジョン

いずれも「リアル感」を軸に企画することが、共感を生み志望度を上げるポイントです。
また、これはどの企業でも取り入れられるものではないかもしれませんが、退職する社員に「会社の悪いところを全部話してくれ」とお願いして出した退職動画を見て、トゥモローゲートを知り応募してくれた社員も居ました。

YouTubeが採用以外でもたらす効果

YouTubeの活用は採用活動だけにとどまりません。発信を継続することで、企業全体のブランド力向上や顧客との関係構築にもつながる効果があります。

企業ブランディングの強化

YouTubeは世界的に利用者が多く、検索エンジンとしても機能しています。会社紹介や働き方を発信する動画は、そのまま企業の“顔”となり、求職者だけでなく顧客や取引先にも信頼感を与え、結果として、採用以外の場面でも「この会社はオープンで誠実だ」というイメージを築きやすくなります。実際にトゥモローゲートは、YouTubeを通して認知が高まり、営業でも弊社のことを知っていただいている状態からスタートすることが増えました。

顧客への情報発信・認知拡大

YouTubeは採用動画という括りを超え、YouTubeを視聴しているビジネスユーザー全体に届けることができるツールです。トゥモローゲートもこれまで「採用」という括りを縛らず色んな動画を出してきましたが、認知拡大の相乗効果に繋がりました。また、契約前に社員の密着をご覧になり「御社と仕事がしたい」と言っていただくケースも増えています。

社員のモチベーション向上

動画で会社の考え、自社の魅力や日常を発信した結果、視聴者やお客様から良い感想をいただくことも増え、社員自身にとっても誇りや、やりがいの再確認につながっています。自分が働く職場や仲間が社会に向けて発信されることで、帰属意識やモチベーションを高める効果も生まれます。また、社員の家族がYouTubeを見て「良い会社だね」と言ってもらうなど、始めた時には想像していなかったような範囲まで動画が届いているように感じます。

新入社員への教育研修

新入社員の研修動画としてもトゥモローゲートでは活用しています。社内で実際に行っている研修をそのまま公開しているので、入社した社員もその動画を視聴することで学習できたりと、教育ツールとしての役割も担っています。
動画を使用した研修は自社の社員だけでなく、社外の企業様からも「研修ツールとして動画を使わせてほしい」というお問い合わせをいただくまで、YouTube内にナレッジが溜まるようになりました。

長期的な資産化

一度アップした動画は、採用や広報、マーケティングなど、複数の場面で繰り返し使える“資産”になります。SNSや自社HPに二次利用すれば、発信コストを抑えつつ長期的に成果を生み出すことが可能です。ただ動画を公開するという一時的な発信にとどまらず、選考に進んでいる求職者に見てもらう動画、顧客向けの動画、こうやってブログで紹介できる事例など活躍する場面は多岐にわたります。

KPIは本当に必要?

「再生回数」「高評価数」「コメント数」などをKPIに設定すべき、という話がありますが、正直なところ前例がないなかで、いきなり立てるのは難しいかと思います。

まずは「自社らしい発信ができているか」「社内で協力体制が広がっているか」といった定性的な指標を重視するのも一つの方法です。数字のKPIは、運用を半年〜1年続けてから見えてくるケースが多いので、「最初から正解の指標を求めすぎない」ことが継続のコツではないでしょうか。

まとめ

採用手法は時代とともに変わっていきます。だからこそ大切なのは、変化に合わせて“会社のリアル”をどう伝えるか。見せかけではなく、魅力的かつ本質的な会社づくりと、それをどのようにターゲットに届けるか。この掛け合わせです。

SNS採用は「魔法の採用手法」ではありません。

媒体のように即効性があるわけではなく、時間も手間もかかります。ただし、一度仕組みを育ててしまえば、将来的に広告費をかけずに応募が集まる、という大きなリターンがあるのも事実です。学生も「ナビサイトに書かれている魅力」をそのまま信じてはいない、という認識をもっているのが現実。だからこそ“リアル”を見せられるSNSの価値が増しているんじゃないでしょうか。

即効性を求めるなら媒体。長期的な採用強化、ブランドづくりをするならSNS。両輪で考えるのが今の時代の正解かもしれません。

魅力的に作りこまれた原稿や映像よりも、等身大の姿が心を動かします。応募者に「ここで働きたい」と思ってもらえる瞬間は、意外にも社員の笑顔や日常の会話に宿るもの。長期的に育てる覚悟さえあれば、SNS採用は企業にとって大きな財産になるはずです。

今回の内容が、自社らしい採用の第一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しく思います。

YouTubeをスタートする際に考えるフレームワークシートをLINEからお送りしているので、興味のある方はぜひダウンロードしご活用ください!

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

浦下 歩

トゥモローゲート株式会社人事総務部メンバー。化粧品会社から採用コンサルティング会社に転職し、18年にトゥモローゲートに入社。新卒・中途問わずブラックな企業の採用のすべてを担当。採用コンサルティングやアウトソーシング業務にも携わっている。

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