“AIで作れる企業ロゴ”に、ブランドは宿らない。理念と意味が宿る、本質的なロゴの作り方

2026.01.05

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どうも、デザイナー歴9年目のくめがわです。
普段はデザインしたり、デザインチーム全体の教育やマネジメントをしています。

最近のAIの進化はすごいですね。デザイナーとして技術の進化はワクワクしますが、同時に進化が早すぎて怖さも感じますね。AIの進化により、私たちは「答え」をすぐに手に入れられるようになりました。 ロゴ制作もその一つです。キーワードを入力すれば、数秒で美しい形が現れます。デザインの民主化という言葉を最近聞くことがあります。まさに誰でもデザインが作れる時代がやってくるでしょう。複雑ですね。

けれど、AIが作ったそのロゴに「想い」や「信念」は映っているでしょうか。

企業ロゴは、ただのデザインではありません。それは、企業がどう生きたいかを表す「意志のかたち」です。言葉にできない理念や、社員の誇りを、そっと包み込む器のようなもの。

私たちトゥモローゲートは、ロゴを「語る」ものだと考えています。色も形状も、すべてに意味がある。そこに宿るのは、経営者の覚悟と、社員の想いです。

AIは綺麗な形のデザインを作れます。人が作るのは「想い」。 

あえて言わせてください。“AIで作れるロゴ”に、ブランドは宿りません。

今回は、誰でも簡単にロゴが作れる時代だからこそ見つめ直したい、企業ロゴの本質と、ブランドが宿るロゴの作り方についてお話しします。

AIで「ロゴが作れる時代」に、何が失われているのか?

「AI ロゴ」と検索すれば、無数の生成ツールがヒットします。コストをかけず、時間をかけず、それっぽいロゴを作ることは誰にでもできるようになりました。数年前からよくこういった現象は見られますが生成AIの登場により、さらに加速していくでしょう。まさにデザインの民主化です。

しかし、この利便性の裏で、企業ロゴが持つ本来の重みが軽視されつつあります。

「ロゴを変えたのに、会社は何も変わっていない」

こんな話を聞くことがあります。流行りのデザインや、AIが生成した「なんとなくカッコいい」形を採用した企業でよく起こるのがこの現象です。見た目は洗練されているかもしれません。しかし、そこに「なぜその形なのか?」という意図がなければ、それはただの看板です。

中身の伴わないロゴは、顧客にも、そして何より社員にも響きません。「なんか見たことあるロゴだな」「AIでも作れるじゃん」「記憶に残らないな」など…。

結果として、リブランディングしたはずなのに、組織の意識も市場の評価も変わらないという事態を招いてしまいます。

理念が曖昧な企業ほど、ロゴも迷走する

では、意味のある企業ロゴとは何でしょうか。 

ロゴデザインの良し悪しは、デザイナーの腕だけで決まるのではありません。その手前にある「企業の核(理念)」がどれだけ言語化されているかにかかっています。

  • 私たちは何のために存在するのか?
  • 誰に、どんな価値を届けたいのか?
  • 10年後、どんな景色を見ていたいのか?

この問いに対する答えが曖昧なままでは、どんなに優れたAIも、どんなに有名なデザイナーも、正解の形を作ることはできません。トゥモローゲートがデザインを作る前に、徹底的に経営理念やビジョンの策定(理念設計)を行う理由もここにあります。

↑トゥモローゲートの理念を細部まで言語化した「ビジョンマップ」

“AIロゴ”には経営の意志が映らない

AIは、膨大な過去のデータから「最適解」や「トレンド」を導き出すことには長けています。しかし、これから皆さんが作ろうとしている独自の未来や、経営者独自の哲学(思想)までは持ち合わせていません。

決定的に欠けている「背景」

AIで作ったロゴと、理念から生まれたロゴ。その決定的な違いは「背景がないこと」です。

・AIのロゴ: データ上の整合性や美しさから生まれた形

・理念からのロゴ: 「この曲線の角度は、顧客への柔軟性を表している」「この色は、創業時の情熱を忘れないための色だ」という、語れる意味がある形。

経営の意志が映っていないロゴは、困難に直面したときに組織を支える旗印にはなり得ません。「誰が・なぜ・何を伝えるために」その形にしたのか。そのプロセスにこそ、ブランドは宿るのです。

「賛否」を超えて記憶に残る。強烈なストーリーとデザイン

ここ数年で私が響いたロゴを紹介しておきます。

AIが生成するロゴは、整っていて美しい傾向があります。なぜなら、過去の膨大なデータから「多くの人が好む平均点」を導き出すのが得意だからです。 しかし、ブランドとして本当に強いロゴは、時に「違和感」すら味方につけ、独自の世界観を展開します。

「ミャクミャク」が示した、ロゴの可変性と生命力

大阪・関西万博の公式ロゴマーク(ミャクミャク)。発表当初、その奇抜なデザインは世間を騒がせました。しかし、「いのちの輝き」というコンセプト、細胞が繋がり形を変えていくストーリーが浸透するにつれ、それは愛着へと変わっていきました。

あれは単なるマークではありません。「デザインシステム」として設計されています。 ロゴのパーツが自由に動き、形を変え、キャラクターになり、グッズや空間装飾へと無限に増殖していく。静止画のロゴを作るのではなく、「万博という世界観そのもの」を設計しているのです。

「組市松紋」に込められた、多様性と調和の文脈

東京五輪のエンブレムも同様です。3種類の四角形を組み合わせた「組市松紋」は、国や文化・思想の違い(多様性)が繋がり合い、一つの輪になる(調和)というストーリーを、日本の伝統美を用いて表現しました。

AIは「システム」と「違和感」を作れない

これらに共通するのは、「マーク単体」ではなく「ストーリーと展開の仕組み(システム)」を作っているという点です。 「なぜその形なのか」という深い文脈と、Web・動画・空間へと展開できる緻密な計算。そして、見る人の心に爪痕を残す強い個性。これらは、過去のデータの平均値を出すAIには決して作れません。

「綺麗だけど記憶に残らないAIロゴ」と「賛否はあるが、世界観を持ったロゴ」。 どちらが企業の永続的な資産になるかは、明白ではないでしょうか。

企業ロゴにブランドを宿す「3つの条件」

では、単なるマークではなく、ブランドとして機能する「強い企業ロゴ」を作るにはどうすればよいのでしょうか。抑えるべき条件は3つあります。

① 理念が明確に言語化されていること

前述の通り、すべてはここから始まります。曖昧な想いを、誰にでも伝わる「言葉」に落とし込むこと。ロゴ制作は、見た目のデザインの打ち合わせではなく、経営の深掘りからスタートするこが大切です。

② 社員がロゴの意味を理解し、誇りを持てること

完成したロゴを見て、社員が「これは自分たちの会社だ」と胸を張れるかどうか。意味が共有されていないロゴは、ただの飾りにすぎません。ロゴに込めた意味を社内に浸透させ、全員が自分の言葉でその意味を語れる状態こそが、ブランディングの成功です。

③ 10年経っても色褪せない“軸”があること

トレンドを追っただけのデザインは、数年で古くなります。しかし、企業の普遍的な価値観(軸)に基づいたデザインは、時代が変わってもその輝きを失いません。これはストーリーの部分だけでも、ロゴの形(ビジュアル)も非常に大切で、このブランドだからできる形状を考えることで、AIが提示する「綺麗すぎるデザイン」や「今っぽいデザイン」ではなく、企業の「不変の価値」を形にすることが重要です。

トゥモローゲートのロゴ制作の流れ

意味のあるロゴをつくるには「ストーリー」が欠かせません。
では、私たちは実際にどのようにして、その“ストーリー”を形にしているのか。

ロゴを作る前に、企業そのものを深く理解する。

これが、私たちが大切にしている姿勢です。
ここからは、トゥモローゲートが実際に行っている“ロゴ制作のプロセス”をお伝えします。

STEP1:ヒアリング

お客様自身も気づいていない“本質的な課題や強み”を見出します。ビジネスモデルや強み、独自性、課題、事業への想いやビジョンまで深く掘り下げ、理解を深めます。

STEP2:プランニング

ヒアリングで得た情報を、独自の「プランニングシート」に集約させます。企業の強みとターゲットニーズを接続させ、ブランディングによる成果達成までのストーリーを設計します。

STEP3:ブランドコンセプト策定

ターゲットに伝えたいメッセージの核となる「コンセプト」を策定します。言葉のインパクトだけでなく、方向性やニュアンスを包括することが大切にしています。

STEP4:ロゴの方向性のすり合わせ

作成したコンセプトを軸に、お客様とロゴの形状の方向性やモチーフのすり合わせを行います。
競合会社との差別化やコンセプトの落とし込みを重要視しています。

STEP5:デザイン制作

1案だけはなく、コンセプトを軸にモチーフや見せ方の違うデザインを3案ほど作成します。

STEP6:ロゴマニュアル作成

ブランドイメージを統一するために、ロゴを使用する際のNG項目やカラーバリエーションを作成します。

STEP7:ブランド展開

ロゴ単体では終わらせない。
名刺・Web・動画・空間など、世界観としての広がりまで設計する。

ロゴとは“完成物”ではなく、企業の物語や文化が広がっていく“出発点”。
これがトゥモローゲートのロゴ制作の基本姿勢です。

想いを宿したロゴ制作事例

ネクスウェイブ株式会社 様 コーポレートロゴ

「ホンネまるだし不動産」

社名の頭文字をシンボルとする「N」でロゴを作成。そのカタチを形成する左右
の直線 は「足」を表現しています。左足はネクスウェイブ、右足はお客さんの象徴です。
投資で失敗する人を生まない世の中に、ふたつの足が向かい合うのは
「出会い」「対等」「添い遂げること」「ホンネで語り合うこと 」「 長い時間 共に歩むこと 」 を表現 しています。

※制作実績の詳細はこちら

株式会社Therapist Infinity 様 コーポレートロゴ

『関わる全ての人たちの命を輝かせていく』

Therapist Infinity の想いを訴求するために、
ロゴマークでは、その人自身を表す「たましい」をモチーフにしています。
3 つのアプローチ方法を通してお客様を健幸へと導く
Therapist Infinity の取り組みを 3 本のラインで表現しています。

※制作実績の詳細はこちら

ロゴづくりとは、会社の生き方を形にする行為

企業ロゴは、会社の顔でありお客様に最初に目に止まるデザインでもあります。

AI技術は素晴らしいツールであり、否定するものではありません。しかし、皆さんの会社が歩んできた泥臭い歴史や、これから描こうとする壮大なビジョン、そして経営者の腹の底にある覚悟までは、AIは生成してくれません。

AIで作れるロゴに、ブランドは宿らない。

だからこそ、トゥモローゲートでは、単なるロゴ制作だけでなく、経営理念の設計からビジュアル開発まで一貫したブランディングを行っています。「何から手をつければいいかわからない」という段階でも構いません。まずはあなたの会社の想いをお聞かせください。

ご相談はこちらでお待ちしています。

久米川 裕二

トゥモローゲート株式会社 意匠制作部 サブマネージャー。 WEBデザイナー兼アートディレクター。15歳からデザインを学びはじめた自他ともに認めるデザインオタク。企画、構成、コーディング 、ディレクションも手掛ける。大手デザイン会社から2020年にトゥモローゲートに入社。

TEL 06-7167-3950

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