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経営理念を浸透させる方法を事例から解説。

経営理念とは、組織の進むべき道を明確にする重要な指針です。しかし、言葉として定めるだけではあまり意味をなしません。経営者をはじめとする経営層はもちろん、社員一人ひとりが経営理念の意味を理解し、経営理念の中身に共感し、普段の業務や言動に落とし込む。そうしてはじめて意味をなします。つまり「浸透」がゴールなのです。

とはいえ、経営理念を浸透させることは容易ではありません。「社員が経営理念を体現してくれていると感じますか?」という質問に「はい」と即答される経営者の方は、私の感覚ですが、これまでお話しさせていただいた中で1割もいらっしゃいません。それくらい、多くの企業にとって経営理念の浸透は課題になっています。

逆に考えると、社員一人ひとりが経営理念を体現できるまで浸透させることができれば、その企業が掲げる目標の達成やビジョンの実現に近づくことができるもの。ということで今回は「経営理念を浸透させる方法」についてのブログを書いていきます。

弊社トゥモローゲートは経営理念の策定から浸透までを手がけています。自社での実体験をもとに、成果につながった手法をお客様へもご提供しています。企業によってその手段は様々ですが、今回は、トゥモローゲートが経営理念の浸透を担当させていただいた事例をもとに書いていきたいと思います。

経営理念を浸透させるにはどうすればいいのか?

そもそも、多くの企業が経営理念の浸透に悩むのはなぜでしょうか。

それは、企業にとって大切なことなのに、社員にとっては“自分ゴト”にするのが難しいからです。どんなにキャッチーな言葉でも、その企業らしい表現でも、社員が“自分ゴト”ととして捉えていなければ、ただの言葉で終わってしまいます。

そうではなく、社員一人ひとりが日々の業務で意識できる状態をつくること。もうすこしわかりやすく言えば、社員一人ひとりに経営理念を体現する「理由」を感じてもらうことが大切です。体現する「理由」が明確なら、経営理念を習慣的に体現できるようになります。

経営理念を浸透させる4つのステップ

経営理念とは何なのか?を伝えて理解してもらう

自社の経営理念の内容を説明する前に、そもそも経営理念とは何なのか?を伝えるところから始めましょう。冒頭でもお伝えした通り、経営理念とは、組織の進むべき道を明確にする重要な指針です。

会社様によっていろんな定義がありますが、トゥモローゲートでは、その企業の存在意義や世の中に提供する価値を示した「MISSION」、その企業が目指す方向性やゴールを意味する「VISION」、社員一人ひとりが大切にすべき行動基準「VALUE」の3つから経営理念は構築されると考えています。

皆さんの会社が定義する「経営理念とは?」を伝えた次は、経営理念の言葉の意味や言葉が生まれた経緯、込められた想いなどを伝えていきましょう。この時におすすめなのが「経営理念のルーツ」も伝えていくことです。

長い歴史のある企業や大規模な企業では社員が会社のルーツを知る機会が少なくなりがち。しかし、会社のルーツを知ることで自社理解が深まり、上司から受ける指示や目の前の業務に「意味」を見出すことができるため、なぜあなたの会社がその経営理念を掲げているのかしっかりと伝えることが重要なんです。

経営理念の必要性を伝えて理解してもらう

次にすべきことは経営理念の必要性を伝えることです。経営理念の必要性。それは、「経営理念を定めることで、目指すべき場所や、やるべきことの認識が一致し、個人の能力を最大限に引き出すことができるから」です。野球チームに例えるとこんな感じ。

A:甲子園で優勝を目指している強豪校の野球部
B:草野球の地域大会で1勝することを目指しているチーム

このような2つがあった場合、練習内容、練習量、求められるスキルや言動は異なります。にもかかわらず、同じチームにAの部員とBのメンバーが混在していたとしたら、どのようなことが起こるのでしょうか。

Aの部員「もっとしっかり練習しましょうよ」
Bのメンバー「週3日も練習してるのになんでそんなこと言うの?」
Aの部員「週3日なんて練習しているうちに入らないでしょ」

このようなズレが組織内で生じます。これは会社でも全く同じことが言えます。たとえ同じ業界の会社だったとしても目指している場所や大切にする行動基準は違うもの。それを明確にしないまま、ただ「この業務をやってください」「この目標を目指してください」と伝えてもなかなか社員は思い通りの言動をしてくれません。

逆に、目指すべき目標やそれに対する行動基準がしっかりと共有されていれば、「目の前の業務をやるべき理由」や「目標を目指すべき理由」が明確になります。結果として業務のクオリティやスピードが高まります。ひいては会社全体のパフォーマンス向上につながるんです。

説明が少し長くなりましたが、上記のように、経営理念を明確にすることによるメリットは無数にあります。その経営理念を社員に伝えていくことが、社員一人ひとりが経営理念を体現する第一歩になります。

トゥモローゲートでは、経営理念の必要性をただ伝えるだけでなく、実践しながら理解できるワークを実施することもあります。「もしも経営理念がなかったら?」などを皆さんで考えることで、経営理念の必要性をより本質的に理解できるようになります。

経営理念で掲げる目標と個人の目標を紐づける

経営理念の意味や必要性を伝えていきました。

しかし、それだけで、社員一人ひとりが完全に“自分ゴト”として捉えてくれるかといえばまだ足りません。

「会社にとって重要なのはわかった。でも、自分に関係あるとは思えない」
「目の前の仕事で忙しいのに、経営理念なんて考えている余裕がない」

これが多くの社員にとっての本音でしょう。この状況を乗り越えるために大切なのは「経営理念で掲げる目標と個人の目標を紐づける」ことです。社員の「こんな人生を歩みたい」という個人の考えと、会社が掲げる「こんな未来を実現したい」という想いを紐付けていきます。

トゥモローゲートでは、この紐付けを「マイビジョンマップ」というツールを使って行っていきます。マイビジョンマップとは、トゥモローゲートが自社で導入しているシートのこと。自分の人生のビジョンから逆算し、数年先の目標から今年の目標、それに対するアクションプランまで具体的に決め、明文化していきます。

参考:マイビジョンマップで強い組織を作る|トゥモローゲート株式会社

人生のビジョンというと大それたものに聞こえるかもしれません。でも、はじめはやんわりとした内容でかまいません。

・何不自由なく家族と幸せに過ごしている
・子供から憧れられるお母さんになる
・最期を迎えたときに惜しまれるような人になる

このビジョンに到達するために、数年後にはどんな状態になっていないといけないのか。会社の経営理念と紐づいた目標を定量的に定めていきます。マイビジョンマップのようなツールを活用する場合も、違う方法で個々のビジョンを設定する場合も、2つの紐付きは重要視すべきです。

経営理念の浸透フェーズもお手伝いしているトゥモローゲートでは、求めているスキルや目指しているキャリアなど、その社員が興味のあることと会社の経営理念を紐付けるワークを実施することもあります。

また、このマイビジョンマップを評価制度と紐づけるのも効果的です。自分の目標を達成するために行ったことが、会社のビジョン実現にもつながり、さらには自分の評価として返ってくる。このサイクルをつくることができれば、経営理念の必要性を強く感じてもらうことができ、体現してもらえる可能性が高くなります。(直接的に言うならば、自分のお給料に関係するとなれば体現しない理由はないと思います。)

参考:【事例アリ】社員が成長する人事評価制度の作り方|トゥモローゲート株式会社

経営理念について考える機会を定期的につくる

経営理念が浸透し、社員一人ひとりが体現できるようになっても、そのまま放置していては長続きしません。

経営理念を基にした福利厚生や社内制度を構築したり、マイビジョンマップを振り返る機会を定期的に設けることで、経営理念に対しての意識が薄れないようにしましょう。時間と労力をかけてつくった経営理念やマイビジョンマップ。絵に描いた餅にならないようにしましょう。

経営理念を浸透させるためにやるべきことは、厳密にいえばもっとたくさんありますが、その中でもポイントとなるステップを4つピックアップさせていただきました。

経営理念を浸透させるための研修プログラム事例

ここからは、トゥモローゲートが実際に行っている経営理念の浸透研修プログラムの事例をご紹介します。どのような内容を実施するのかはもちろん、どのフェーズの社員に実施するのかも重要になってきます。

新入社員様向けの経営理念浸透研修

経営理念を浸透させる研修の内容は、企業の特性や対象者の課題感によって変わってきます。トゥモローゲートでは対象者に合わせたオリジナルプログラムを企画し、その企業にマッチした理念浸透研修を実施しています。

その中で最初にご紹介するのは新入社員様向けの理念研修業務。とある企業の新入社員様を担当した際は、社会人としての基本スキルやビジネスマナーなど、最低限もっておくべき知識と経営理念を掛け合わせました。

たとえば、挨拶。

挨拶がしっかりできるかどうかは基本中の基本です。その会社様は経営理念の「行動基準」に挨拶に関する項目を掲げていたため、経営理念に沿って挨拶の重要性を学んでいきました。

「なぜ自社は挨拶を大切にするのか?」を社員様一人ひとりに考えてもらうところから、具体的にどのようなシーンで意識すべきなのかを話し合いを実施。ただ座学でインプットするだけでなく、ディスカッションも交えたワークを通して実践的に学んでいってもらいました。

他にも、これからのキャリアで身につけたいスキルに「プレゼン力」をあげている社員様がいれば、経営理念に関しての取り組みをプレゼンする機会を設けることで、興味のある分野と経営理念を紐づけていった例もあります。

中堅社員様向けの経営理念浸透研修

中堅層といわれる社員の離職に悩む企業が多くいらっしゃいます。中間層は、仕事内容や流れを明確に捉え、自分のできる仕事の幅も増えているため、今後のキャリアについて考え直す人が多いです。

社員がキャリアを考え直すこと自体は会社にとってもネガティブなことではありません。大切なのは、キャリアを考え直した上で自社に残る決断をしてくれて、さらなる活躍のために力を注いでくれる未来をつくること。

そのために、先ほど紹介したマイビジョンマップをお客様にも実施していただいたケースがあります。そもそも自分自身はどんな人生を歩みたいのか。そのために数年後どんな姿になっているべきなのか。人生のビジョンと経営理念を紐づけることで、改めて中堅層に日々の業務へ取り組む意義を感じていただき、モチベーションを引き上げることを目指しました。

全社員様向けの経営理念浸透研修

社歴、職種、年齢など関係なく全社員様向けに研修を行うケースもあります。社員様の数が多い場合、グループ分けして実施することもあれば、経営理念に沿って定めた社内制度や福利厚生を通して経営理念を理解してもらうこともあります。

実際の事例として、「社員にもっといきいきして働いてほしい」という企業様がいらっしゃいました。経営理念に関連する研修を自社内で実施していたものの、日々の業務が忙しく、経営理念の自分ゴト化には至っていなかったというケースです。

そこで、まずは「全社員が会社について考える文化をつくる」ことを研修の目的に設定。ゴールとして「参加者が会社の今後の取り組みに関心を持ち、自分の仕事にも自発的に取り組めている状態」と設定しました。

参加者は約1200名。41回のグループに分けて研修を行っていきました。「外部講師を呼んで研修をします」と言われると、社員様が少し構えてしまいます。そのため、告知としてポップなデザインのチラシを制作し、事前に確認いただけるように当日の内容を記載。心理的なハードルを避けることで、研修の効果を高めることを目指しました。

研修ではまずはじめに自己紹介の時間を設けました。単なる自己紹介ではなく「自分が普段から大事にしていること」をテーマにすることで、仕事に対しての価値観や会社について考える土台をつくっていきました。

また、企業のビジョン実現に向けて必要な取り組みを考えてもらうワークも行いました。実現のために自分たちはどんな行動をすべきかを、その行動を促進するための取り組みや制度、イベントまで企画してもらいました。

研修の最後には全グループで発表を行ってもらいました。若手からベテランまで入り混じったチームがそれぞれの案を練り上げ、まとめて、全社員の前で発表。全41グループの研修が終了した後には、経営層の皆さんに持ち帰っていただき、中でもその企業らしい取り組みを実際に取り入れていただくところまで実施しました。

さらに、研修を通して得られた意見や感想を会社に共有することで、社員様の本音を知れたり、組織内でのコミュニケーションが改善される結果にもつながりました。また、経営理念に則った新たな取り組みを導入いただいたことで研修後も継続的に経営理念に触れることができるため、この研修をきっかけに、さらに成長していくことが期待されます。

経営理念を浸透させることで生まれる直接的な効果

大前提、経営理念が浸透したことの成果を数字で測るのは難しくもあります。複合的な要因があるため、研修“だけ”で成果があがりました!とは言い切れません。

それでも、研修を通して社員様の姿勢に変化が見られたり、発言の内容がどんどん本質的になっていったりと、効果を目にしたことは一度や二度じゃありません。

経営理念を浸透させることで生まれる間接的な効果

経営理念を浸透させることで生まれる効果は、何も社員様に対してものだけではありません。社員様に生まれた効果は、結果としてお客さまや求職者様にも間接的な効果を及ぼします。

採用では、経営理念の理解が深まったことで、自社としてあるべき姿で求職者と接することができ、自社の想いやスタンスを正しく伝えることができます。その結果として自社にマッチした人を採用できる可能性が高くなります。

対顧客においてもそう。ただサービスの内容を伝えるだけでなく、サービスの背景やサービスに込められた想い、その根幹にある経営理念まで伝えることができます。そのため、自社に共感してくださるお客様が増え、巡り巡って売り上げの底上げや顧客満足度の向上につながっていきます。

ここで紹介した効果はあくまで一例で、経営理念を浸透させることで生まれる効果はたくさんあります。

経営理念の策定から浸透までトゥモローゲートは担います

今回の記事は「経営理念がしっかりと決まっていない状態」という前提で書いてきましたが、

・そもそも経営理念が決まっていない
・経営理念はあるけれど抽象的
・経営理念はあるけれどしっくりきていない

そんな企業様もいらっしゃると思います。トゥモローゲートでは、経営理念の浸透だけでなく、その企業にしかない経営理念を精査・策定するところからお手伝いすることも可能です。すこしでもご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。

経営理念の策定においても、浸透させる研修においても、自社内で完結できるのがベストです。しかし、第三者との眼を入れることで、みなさまが当たり前すぎて気付いていない魅力を見つけ、引き出すこともできると思っています。

この記事を読んで、経営理念の策定や浸透に興味を持っていただいた方は、ぜひ弊社にご相談ください。最後までお読みいただきありがとうございました。

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