【コンセプト設計事例】会社を好きなだけでは、もう組織は強くならない。

トゥモローゲート公式

2026.06.15

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「ビジョンや共感はあるけれど、言語化できない」

社員数が増える中でよく耳にする企業課題は、ひとつのコンセプト変更をきっかけに、大きなインパクトをもたらす取り組みとなりました。

理念が浸透していないというよりも、
「自分たちは何者なのか」「自分たちの届けたい価値は何なのか」
その問いに、組織として同じ言葉で答えられない。
理念にも共感しているし、仕事にも誇りを持っているのに——。

今回ご紹介するのはそのような課題感を抱えながら、ブランディングを通して感覚として共有されていた価値観を“伝わる言葉”へと磨き上げていった、株式会社Therapist Infinityの事例です。

この記事では、

・組織の価値を共通言語にするコンセプト設計
・幹部から社員へ会社の遺伝子を受け継ぐ理念浸透のプロセス
・ブランドイメージを可視化するするロゴ・サイト制作

など、ブランディングの裏側を公開します。

【依頼の背景・課題】共感はあるのに伝わらない“言語化”の壁

株式会社Therapist Infinity(以下、Therapist Infinity)は、神奈川県に整体院「trust body」を4店舗展開する企業です。

施術を通して「お客様の身体的な“痛み”だけでなく、それぞれが置かれた環境や心情に寄り添い、人生をより良い方向へサポートしたい」そんな信念のもと、心と体をみる施術家を世界に増やすことを目指して、施術者や整体・整骨・鍼灸院オーナーに向けたセミナー事業にも力を入れています。

当初から社員一人ひとりが、会社としてのミッションやビジョンに共感し、それぞれの現場で自然と体現できている企業でした。

ただ、その想いや価値観は、言葉として整理はされておらず、感覚的に共有されている状態。

特に、上層部では共通認識として浸透していた価値観も、組織が広がるにつれて“なんとなくの理解”にとどまっている部分もありました。

「自分たちは何を大切にしているのか」
「どんな価値を提供しているのか」

組織としてさらに成長していくためには、想いや価値をより分かりやすく、誰もが同じように語れる形にしなくてはならない。

そこで、トゥモローゲートが取り組んだのは、新たに何かを作り出すことよりも、すでに存在している理念や価値観を紐解き、整理すること。

そこから、「自分たちは何者なのか」を定義し、組織の中で一貫して伝わる状態をつくることでした。

本プロジェクトでは、そんな“言語化”を起点に、コンセプト設計・理念浸透・クリエイティブ制作までを一貫して行い、組織・採用・事業すべてに変化をもたらしました。

【ターゲット・競合分析】ファンの声から見えたブランドとしての価値

今回のプロジェクトにおいて、重要なポイントとなったのがターゲットの設定です。

Therapist Infinityが展開する事業は、整体院としてお客様に向けたサービスと、施術者や整骨院オーナーに向けたセミナー事業の大きく2軸。

それぞれに異なるターゲットが存在する中で、「誰に、何を届けるのか」をひとつのコンセプトで定めることが必要でした。

当初は、より多くの人に届けるために間口を広げるべきか、それとも特定の層に深く刺さる設計にするべきか議論を重ねる中で、ターゲットの設定は何度も協議されました。

競合となる整体院や治療院の分析を進めたところ、多くの整骨院が「根本改善」「トータルで診る」「オーダーメイド施術」といった“手段”を打ち出す中で、Therapist Infinityが本当に伝えるべき価値はどこにあるのか。そこから差別化のポイントを探ります。

そこで重要なヒントとなったのが、既存のお客様の声です。

ヒアリングを通して見えてきたのは、来院される多くのお客様が、単なる一時的な不調ではなく、長年にわたって身体の悩みを抱え続けてきたという共通点です。

そして、その“痛み”の背景には、仕事や家庭環境、人間関係といった、その人自身の思考や生き方が深く関係しているケースが少なくありませんでした。

体の痛みだけに向き合うのではなく、人の心にも向き合う。

「痛みとは人生を変えるサインだ」

スタッフの多くは、自身も痛みや不調に悩み、向き合って克服してきた経験を持っています。

だからこそ、その場しのぎの改善ではなく、その人の背景や思考に目を向けながら、痛みの本質に向き合うという考え方が根付いているのです。

そうした視点で向き合う中で、「痛み=その人の人生」とも言えるほど、症状と思考や生き方が密接に結びついていることが見えてきます。

Therapist Infinityの特徴は、そうした表面的な症状だけを見るのではなく、「なぜその痛みが起きているのか」を紐解いていく点にあります。

痛みの奥にある思考や習慣、これまでの経験に目を向けながら、その人自身の状態を理解していく。そのプロセスを経ることで、結果的に「人生が前向きに変わった」という声が生まれていました。

つまり、この企業の価値が最も発揮されるのは、単なる症状改善を求める層ではなく、長年の不調と向き合い続けてきた人たち。そうした方々にこそ、提供できる価値の本質があると考えました。

そうした分析を踏まえ、身体の不調に悩み続けてきた“慢性的な悩みを抱える人”を主なターゲットとして定義しました。

【コンセプト設計】本質と向き合い続けて導き出した価値

コンセプト設計では、単に伝わりやすい言葉をつくるのではなく、Therapist Infinityが本質的に提供している価値とは何かを、徹底的に掘り下げていきました。

ヒアリングの中で見えてきた、“痛み”をきっかけに、お客様の人生そのものが前向きに変化しているという数々のストーリー。

身体の不調が改善されることはあくまで一つの通過点。その先にある「人生が変わる」という体験こそが、この企業が届けている本質的な価値でした。

「その価値を、どうすればよりまっすぐに伝えられるのか」
「本質をそのままに、誰もが理解できる言葉にできるか」

クライアントと同じ目線に立ち、対話を重ねながら、言葉と向き合い続けました。

ネガティブに捉えられがちな“痛み”を、人生を変えるきっかけとして再定義する。そうして熟考の末に誕生したコンセプトがこちら。

❝「VALUE IN PAIN – 痛みに価値を見出す会社 -」❞

【理念浸透】“理解している”から“語れる”組織へ

Therapist Infinityはもともとエンゲージメントの高い組織であり、理念への共感も強く根付いていました。

ただ、共感しているだけでは、組織が広がるにつれて解釈にズレが生まれたり、現場での判断や行動にばらつきが出てしまうこともあります。

だからこそ重要だったのは、「理解している状態」でとどめるのではなく、「自分の言葉で語れる状態」へと引き上げることでした。

トゥモローゲートが提案したのは、パッケージ化された研修ではなく、企業ごとの課題や目的に合わせたフルカスタムの研修の実施です。

まずは、各店舗の店長や副店長など“教育者層”に対して研修を実施。組織の中核を担うメンバーの理解と解像度を深めることで、理念を現場レベルまで一貫して届けられる状態を目指しました。

その上で取り入れたのが、自身の想いを言語化する「マイビジョン宣言」と、言語化した価値観や実際の施術エピソードを語れるようになることを目的とした「健幸ストーリー」のふたつのオリジナル理念浸透研修の実施です。

理念浸透研修①:マイビジョン宣言

自身の原体験やこれまでの経験と向き合いながら、「なぜこの仕事をしているのか」「どんな価値を届けたいのか」を言語化し、宣言するワーク。

単に理念を理解するだけでなく、自分自身の人生や想いと結びつけることで、“自分ごと”として捉え直すことを目的としました。

理念浸透研修②:健幸ストーリー

自身が大切にしている価値観や想いを、実際のエピソードとともに語れるようにするためのワーク。

施術を通してどのような変化を届けたいのか、その背景にある想いや経験を言葉にしていくことで、理念と日々の行動をつなげていく狙いがあります。

また、自身のストーリーを語れるようになることで、患者様の痛みのプロセスを紐解く際のヒアリング力や、ストーリー設計力、原因を深く追及する力の向上に繋がります。


これらをプレゼン形式で共有することで、個人の想いと企業の理念が重なり合い、“自分自身の行動指針”へと落とし込まれていきました。

また、教育者層の浸透が進んだ段階で、全社員を巻き込んだ研修も実施。コンセプトの共有とともに、組織全体での理解を深めていきました。

その結果、これまで感覚的に共有されていた価値観が、誰もが同じ言葉で語れるものへと変化。理念浸透のスピードと質が大きく向上しました

【ロゴ制作】“語れるロゴ”が生み出すブランドの一体感

コンセプト設計や理念浸透と並行して、その考え方を“カタチ”として表現するロゴデザインのリニューアルも進めていきました。

提案において重視したのは、単に印象に残るデザインにすることではなく、Therapist Infinityが大切にしている価値観や姿勢を、ひと目で伝わる、想いを語りやすいシンボルにすること。

コンセプトである「VALUE IN PAIN(痛みに価値を)」を起点に、「“痛み”をきっかけに人生が変わっていく」「命を輝かせていく」といった、目に見えない想いを視覚的にどうやって表現するのかを一番のテーマにロゴ制作はスタートしました。

ロゴのモチーフには、「関わるすべての人の命を輝かせていく」という想いを表現するため、“たましい”をイメージしたシルエットが採用されています。

さらに、痛みを紐解いていくために用いられる3つのアプローチを、3本のラインで表現しています。それらが重なり合うことで、お客様を包み込みながら健幸へと導いていく姿勢と、無限に向き合い続ける意志を象徴しています。

アウターアプローチ(身体構造)

身体に直接触れる施術や評価を通して、症状がどのような条件で生じるのか、どのように変化するのかを見極めるアプローチ。身体構造から痛みの原因を捉えていきます。

インナーアプローチ(栄養・習慣)

食事や睡眠、日々の生活習慣といった内側の要因に着目し、心身に影響を与える要素を整えていくアプローチ。継続的な改善につなげていきます。

メンタルアプローチ(感情ストレス)

コミュニケーションを通じて、感情やストレスといった内面に向き合うアプローチ。信頼関係を築きながら、行動や思考の変化を促していきます。


これら3つのアプローチを掛け合わせることで、症状の表面だけでなく、その人の背景まで含めて紐解いていく。その姿勢をロゴマークとして表現しています。

ブランドカラーにも意味が込められており、エメラルドグリーンは安心感、水色は熱量、紺色は真の強さや誠実さを表現。企業の人柄そのものを、色彩として落とし込んでいます。

また、本プロジェクトでは“社員が語れるロゴ”であることも重要な要素でした。

ロゴに込められた意味やストーリーを、自分の言葉で説明できる状態をつくることで、ブランドへの理解と誇りを高める。その結果、ロゴは単なる視覚的なアイコンではなく、組織の価値観を伝えるツールとして機能していきます。

実際に、ロゴのリニューアル後は「Therapist Infinityらしい」という声が社内外から上がり、ブランドへの共感を深めるきっかけになりました。

制作の裏側:デザイナーに聞いたロゴデザイン“誕生秘話”

ロゴを制作するにあたって、“痛み”や“想い”といった形のない抽象的なワードを、どう視覚的に表現するかという点に難しさを感じました。

体の痛みだけに向き合うのではなく、人の心にも向き合う。そして、その人の痛みには必ず背景がある。そう考えたときに、「痛み=その人の人生」と捉えられるのではないかと思ったんです。

そこから、“その人自身”を表現できるものは何かを考えた結果、「たましい」というモチーフにたどり着きました。

色の設計は、比較的初期の段階から方向性を定めていました。

グラデーションに込めたのは、安心感・熱量・誠実さという3つの要素。このどれか一つではなく、すべてが重なり合っていることこそが、Therapist Infinityらしさだと考えています。

だからこそ単色ではなく、それぞれの要素が混ざり合うグラデーションで表現しました。

Therapist Infinityの印象として、赤く燃え上がるような熱さというよりも、ふつふつと内側で燃えているような“青い熱”を感じました。そうした“静かだけど強い芯”の部分を、青色で表現しています。

制作の過程では関わる人数が多い分、それぞれの想いも強く、全員が「Therapist Infinityらしい」と思える形に仕上げていくために、何度も議論を重ねました。

ただ、話し合うたびに「これも表現したいよね」と新たな視点が加わり、少しずつイメージが整理されていった感覚があります。

最終的にロゴを提案したときには、皆さんの表情から「これだ!」という確信がにじみ出ていたのを覚えています。

ロゴは会社の顔になるものであり、簡単に変えられるものではありません。

だからこそ、お客様の想いがしっかり乗っていて、「これでやっていこう」と思ってもらえるかどうかを一番大切にしています。

【サイト制作】“体験”が共感と行動を生むブランドサイト設計

価値観を言語化するコンセプト設計、そしてそれを可視化するロゴ制作。その次のフェーズとして、共感を生み、行動へと導くためのサイト制作へと展開していきます。

サイト制作において重視したのは、コンセプトである「VALUE IN PAIN(痛みに価値を)」を、言葉だけでなく“体験”として伝えること。

本質をよりまっすぐに届けるためには、抽象的な表現にとどまらず、正しく受け取ってもらうためにも、実際の変化を具体的に伝えることが重要になります。

そこで提案したのが、お客様の実体験をリアルな声として届けるコンテンツ、「PAIN STORY」です。

実際に施術を受けた方のストーリーを通して、どのような痛みを抱え、どのように向き合い、どんな変化が生まれたのかを丁寧に描く。それにより、「施術で人生が変わるなんて本当?」という、ユーザーの不安や疑問を解消するためのコンテンツとして設計しました。

デザイン面では、湘南・茅ヶ崎というロケーションを活かし、青空や自然光を取り入れたビジュアルを採用。明るく開放的な印象を与えることで、直感的な安心感を印象づけられます。

また、色味や光の使い方においても、過度な演出は避けながら、あくまで“リアルな変化”を感じられるトーンに調整。コンセプトの持つ力を損なわないバランスを提案。

さらに、施術者自身のストーリーも掲載。どのような想いでお客様と向き合っているのかを背景含めて言葉にすることで、ブランドとしての価値をより深める狙いがあります。

これらのコンテンツやデザインを通じて、Therapist Infinityの価値観や姿勢を“体験”として伝えるブランドサイトが誕生。共感を起点に、来院やセミナー参加へとつながる導線を設計しました。

【成果と変化】“価値の言語化”が組織と事業を動かす

これまで感覚的に共有されていた価値観が、コンセプトとして明確に言語化されたことで、Therapist Infinityでは社員一人ひとりが同じ方向を向き、自分の言葉で理念を語れる状態へと変化していきました。

その結果、日々の施術やコミュニケーションの質にも変化が生まれ、より一貫性のある価値提供が実現。

さらに、セミナー事業においても変化が見られました。

サイトやコンテンツを通して価値観が伝わるようになったことで、単なる技術習得ではなく、「考え方や姿勢に共感した」という動機での参加が増加。結果として、より熱量の高い受講者の中から採用へと繋がるケースも

その変化は、サイト上でのユーザー行動にも表れています。

リニューアル前の2023年と、リニューアル後の2025年を比較すると、ページ内での行動を示すイベント数は約2.9万から約5.5万へと増加し、約1.9倍に伸長しました。

こうした変化は、事業の方向性にも影響を与えています。

これまでの店舗拡大だけでなく、セミナー事業を軸とした展開へシフト。コンセプトを起点に、競争ではなく独自のポジションを確立するフェーズに進み始めています。

【最後に】数字だけでは測れない、ブランディングが生み出す本質的な変化と価値

数値として見える成果だけでなく、組織の空気感や社員一人ひとりの言葉にも変化をもたらした今回のリブランディング。

Therapist Infinityの皆さまが、自分たちの想いと真剣に向き合い、言葉にし形にしていく。その一つひとつのプロセスに、常に高い熱量と誠意がありました。

だからこそ、表面的な変化にとどまらず、組織の内側から変化をもたらすことができたのだと思います。一緒に悩み考え“伝わる形、伝えられる形”を探し続けた時間そのものが、このプロジェクトの価値でした。

「理念はあるのに、うまく伝わっていない」
「社員の共感はあるが、言葉として定義されていない」
「自分たちの価値をもっと明確にしたい」

“何をしている会社か”ではなく、“何者なのか”を改めて定義する。
それが、組織・採用・事業すべてを前に進める原動力になります。

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