
今回、ご紹介するのは中古の宝石の買取から販売までを一貫して行う“株式会社貴瞬”の採用ブランディング事例です。
売上を前年比2倍ペースで伸ばし続けてきた急成長企業・貴瞬では、さらなる企業の成長のため、将来的に経営幹部を担う有望な人材の採用が必要不可欠でした。
今回は、そんな課題を解決するために行ったブランディング施策を公開します。
本記事では、
・企業の価値を再定義し、一言で表した『採用コンセプト』
・『採用サイト』に込めた意図と制作過程でのこだわり
の全貌をお届けします。
【依頼の背景】売上1800億円の達成に向けた組織強化
貴瞬のビジネスモデルは、“中古の宝石が持つ本来の価値を見極めて買い取り、正確に鑑別。さらに研磨やリカットを施すことで価値を最大限引き出して、販売する。”というものです。

ダイヤモンドには一律の価値基準があるのに対し、ルビーやサファイアは色や透明度、産地など複数の要素が絡み合って評価されるため、一般的に価値を定めにくいとされています。
そんな“色石”は、市場で安価に取引されており、その価格は本来の価値を大きく下回っていました。
貴瞬はそこに注目し、独自の技術で“色石”に新たな価値を見出すことにしたのです。
さらに、宝石を磨き・加工し、海外市場でより高い評価を得られるように販売するなど、一貫した体制で価値を高め続けています。
このビジネスモデルの中には、多くのプロセスや独自のノウハウが詰まっており、なかでも、代表の辻さんが大切にし続けてきた「リフレーミング」という考え方が色濃く反映されています。
リフレーミングとは、“前提にとらわれず新たな枠組みで物事を見る”ということです。

そんな業界では珍しい「一貫して宝石を扱うビジネスモデル」と「独自の鑑別技術」を強みに、設立からわずか6年の2021年に売上100億円を突破。
「無価値という言葉を世界からなくす」というビジョン達成のため、次なる目標『2027年時点で売上1800億円』に向けて動き出していました。
そのための採用強化として依頼をいただいたのが、今回のプロジェクトのはじまりです。
【課題ヒアリング】“企業の提供価値を理解した”求職者が、集まらない
まずは“どんな課題を抱えられているのか”ヒアリングをします。
このときにポイントとなるのが、表面的な課題を抽出するのではなく本質的な課題を探り出すことです。
今回の採用ブランディングの依頼内容は、“求職者の応募数を増やしたい”というものではありませんでした。
というのもすでに、前年の新卒採用のエントリー数は700人超え。
しかし、応募理由の多くが「急成長中のベンチャー企業で働きたい」というもので、貴瞬の事業内容や提供価値を理解した志望者が少ない状況だったのです。
つまり、採用数以上に課題となっていたのは、貴瞬の提供価値を理解している求職者が集まらないことでした。
“これまで価値が見出されなかった中古の宝石に、新たな価値を生み出す。”という仕事の意義が理解できていないと、“単に、中古宝石の売買をしている”と捉えてしまいます。
その状態で入社すると、業務内で主体性や目的意識を持つのに時間がかかります。
結果として、成果を出すまでのスピードが落ちてしまうのです。
“2027年時点で売上1800億円”という経営目標を達成するには、「成長を加速させる鍵となる、企業の価値を深く理解した求職者」が必要でした。

【ターゲット分析】成長意欲と探究心を持つ人物
そこで、重要になるのが“営業”の採用です。
なぜなら、貴瞬の営業はひとりあたり年間数億円もの売り上げを動かす重要なポジションで、経営目標を達成するために欠かせない存在だからです。
営業といっても、一般的な営業職とは異なります。中古販売店に並ぶ色石の価値を見極め、買い取ることが主な業務内容。“売る”営業ではなく、“買う”営業です。つまり、「宝石を鑑別する目利き」としての役割が求められます。
そのため、特定の分野に強い関心を持ち、人よりも知識や情報を追求することができる“オタク気質”の人が向いている職種。
このように“貴瞬の営業”に求められる要素を分解し、浮かび上がったターゲット像がこちらです。
“成長意欲が強く 決めた事に対してとことん熱中できる 探究心のある求職者”

このターゲットの属性をさらに細分化すると、以下のような具体的な人物像が浮かび上がりました。(※一部抜粋)
・負けず嫌いなマインドを持っている。
・積極的な姿勢がある。
・ロジカルな思考力がある。
・現状をとにかく変えたい。人生を一発逆転したいと渇望している。
しかし、設定したターゲット層を獲得するには大きな壁がありました。
【市場調査】“斜陽産業だから選ばれないのか?”その前提を疑う
大きな壁とはジュエリー業界の市場全体が、縮小傾向にある“斜陽産業”であるという事実です。
ターゲットである求職者は、当然ながら他社の選考も並行しています。
そのため、「ターゲットとする“成長意欲をもった求職者”が、将来性の高い業界の企業に奪われているのではないか」という懸念がありました。
ですが、トゥモローゲートはその前提を疑うことにしたのです。
「本当に就活生は“その業界が斜陽産業かどうか”で志望先を決めているのだろうか?」
「“斜陽産業=成長できない環境”という見方をしているのだろうか?」
市場調査をした結果、そもそもジュエリー業界は代表的な斜陽産業として認識されていないことがわかりました。
▼「斜陽産業ランキング」※ジュエリー業界は、斜陽産業としてランクインしていない。

出典元︎:CareerNews. 【データ解説有】斜陽産業一覧をランキング形式で解説!
このことから、「懸念として抱えていた課題は、業界を内側から見すぎていたがゆえの“決めつけ”ではないか?」と仮説を立てました。
つまり、成長意欲が高いターゲットとなる求職者が他社を選ぶ理由。それは、「貴瞬がジュエリー業界という斜陽産業だから」ではなく、「他社の方が成長できる」と感じているから。
課題の本質として、“貴瞬の魅力が伝わりきっていない可能性がある”と考えました。

【コンセプト設計】“ジュエリー”ではなく“資源”を扱う企業と定義
では、貴瞬の魅力とは何か。採用ブランディングの軸となるコンセプトを設計するため、競合他社や採用市場を分析し、貴瞬のポテンシャルと強みを4つの要素に整理しました。
▼分析から見出した「貴瞬の魅力」
①他社が真似できないビジネスモデル
②売上前年比2倍の急成長ベンチャー
③探究心と成果に応じて自己成長ができること
④社会的意義を感じられる企業
まず、①②③に共通するのは“独自性と将来性”です。
誰も注目していなかった“色石”という商材と、高度な鑑別技術による競合優位性。それは、将来性の高さだけでなく、待遇面の期待にもつながります。実際に、他社では実現できないスピードで、給与・地位のキャリアアップが可能で、新卒3年目にして1000万円の給与を受け取る社員もいます。
次に、④の 社会的意義について。
ダイヤモンドや色石は、紛争地域で武装勢力が採掘したり、児童労働を引き起こすこともある資源です。一方で、貴瞬が扱う中古の宝石は環境破壊や過酷な労働を必要としません。というのも、自然環境から発掘する宝石ではなく、皆様のご自宅いわば都市鉱山に眠っている宝石を扱っているからです。つまり、人や社会に配慮した“エシカル資源”であるといえます。
つまり、貴瞬が扱う色石は、経済的にも社会的にも大きな影響を与えている。
直径数ミリの中古の宝石は、とてつもない可能性を持っているんです。
この事実から、私たちは貴瞬という企業の価値を
「“アクセサリーとしてのジュエリーを取り扱う企業”ではなく、経済と社会を動かす新たな資源をこの国で唯一扱える、エネルギー・資源産業の会社」
と、定義しました。

【キャッチコピー設計】まだ何者でもない求職者が貴瞬で社会を動かす
次に「色石は“ジュエリー”ではなく“資源”」ということ、「何者でもない求職者が、社会を動かす力を秘めている」という切り口が伝わるように言葉を選びます。
そのもとで生まれたキャッチコピーが、
『SMALL IS BIG 小さな開拓者よ、社会を動かせ。』です。

キャッチコピー提案時、辻社長は「ずっと私が伝えたかったことはこれだ。」と、
涙を流しながら聞いてくださいました。
“価値を疑うということは、その価値を信じること”
リフレーミングという考えのもと仕事をするうえで大事にしている姿勢であり、まだ価値に気づいていない求職者が自分を信じて成長できる貴瞬だから伝えられることでもあります。
求職者が、貴瞬でキャリアを重ねることで社会を動かすほどの存在になっていく。
そんな可能性が一言に込められています。
【制作の裏側】担当コピーライターに聞いた!言葉が生まれた瞬間
「色石は資源である。」と新たな価値を定義し、キャッチコピーを書いたのはコピーライターの小川。

小川に、『SMALL IS BIG 小さな開拓者よ、社会を動かせ。』が生まれた裏話を聞きました。
「貴瞬さんが求めていたのは、ひとりで数億円を動かす営業担当。つまり、勢いやガッツがあって、ひたむきに営業に打ち込める人材です。しかし、一般的にはジュエリー業界と聞くと、ファッションセンスが高くおしゃれな人が働くイメージを持たれがちで、今回のターゲット像と大きなギャップがありました。そこで、そのギャップを埋めるために、貴瞬さんのスケールの大きさをどう伝えるかを考えました。そのとき、色石は単なる宝飾ではなく、石油や天然ガスなどの莫大なお金や人を動かす“資源”と再定義できるのではないか?と気づいたんです。その瞬間に“これだ!”と思いました。」
「色石を鑑別して値付けをし、中古買取店に買取の交渉をする貴瞬の営業では、論理的な説明のもとで、双方にメリットのある取引をする力が求められます。そのために、ロジカルさや知識も必要です。しかし、一般的に営業職というと、ガッツのある印象を持たれることもしばしば。“ロジカルさ”を併せて伝えるとなるとバランスに悩まされました。そこで、“社会を動かすほどの価値がある資源を扱うには、熱意や勢いだけでは足りない。”という切り口によって、ロジカルさの必要性も伝えることにしました。」

「これこそが、コピーライターの仕事だと思っています。ただ言葉の組み合わせや語感だけにこだわるのではなく、新しい方向性を示すための言葉を生み出したこと。今後ますます成長されるする貴瞬さんにおいて、このキャッチコピーが軸となっていくことが、すごく嬉しいです。」
【サイト設計】価値の本質を伝える採用サイト“3つのこだわり”
コンセプトが決まったら、いよいよ採用サイトの設計に移ります。
まずはKPIを設定します。
今回掲げたゴールは“一次選考の通過率を昨年度よりもあげること”。
このKPIを達成するために、どんなコンテンツが必要なのかを精査し、サイトの構成を組み立てていきます。
▼KPI戦略とサイトコンテンツを整理したシート

今回のサイト制作において、企業の本質的な提供価値や事業内容の理解度を高めるという点で特にこだわった3つのポイントをご紹介します。
【①貴瞬の独自性をアピールした事業紹介】
事業紹介のページでは、貴瞬が単なるジュエリー会社ではないことを、伝えられる構成にしています。
例えば、「なぜ、価値をつけるのが難しいとされる色石を扱うことができるのか?」といった問いを切り口に、他社にはない独自の鑑別技術やノウハウを紹介。さらに、宝石の買取から鑑別、販売までの一連のプロセスを段階ごとに解説しています。
こうした流れを紹介することで、ビジネスモデルの独自性や市場での優位性が明確になります。結果として、求職者の疑問を解消し、“ベンチャー企業”ではなく“貴瞬”を志望する理由が浮き彫りになるのです。

【②10職種の紹介】
そして、求職者に知っておいて欲しいのが「職種の多さ」です。
貴瞬には、リサイクルショップなどから宝石を買い取る営業職のほかにも、買い取ったものを詳しく鑑別する営業事務、宝石の研磨やリカットを行う工房など、約10種類以上の職種があります。
業界では珍しい、宝石の仕入れから加工・販売までを一貫して行うビジネスモデル。それぞれが専門性を高めながら連携をとっています。こうした連携により、宝石の価値は磨かれ、他社にはない付加価値が生まれます。
この一連の流れを把握できていないと、貴瞬の提供価値の本質に辿り着くことはできません。したがって、営業職の募集がメインではあるものの、会社全体がどんな仕組みで動いているのかを知ってもらう狙いがありました。


【③美術館の展示のように目を凝らしたくなるデザイン】
美術館で興味のある展示に出会った時、時間をかけて説明を読み込むように
貴瞬の採用サイトにも探究心をくすぐる仕掛けを施しました。
貴瞬に本気で興味を持ってくれた人にこそ、細部まで見てほしい。そんな想いを込めて一つ一つのページを丁寧に作り込んでいます。
例えば、貴瞬のウラバナシというコンテンツ。
サイトを一番下までスクロールすると、ウソのようなホントの話が隠れています。


一つ一つのテーマにスポットライトが当たり、貴瞬の事実や魅力を発掘していくような演出です。

本気で会社に興味を持った人が、訪れるたびに驚きや発見を得られる。そんなサイトになるよう、随所に仕掛けを施しました。
今回制作した採用サイトはこちら。
【制作の裏側】担当デザイナーが語る!熱い想いを込めたデザイン
表現全体の方向性を定め、デザインを一貫して担当したのが、デザイナーの川﨑。

「求職者の目線で、貴瞬さんの本質的な魅力をどう視覚化するかとことん向き合いました。」
そう語る川﨑に、今回のデザインに込めた思いや、特にこだわったポイントを聞きました。
「今回のデザインテーマは“青いマグマ”です。マグマの熱から宝石が生み出されるように、サイトにも熱いエネルギーを込めました。貴瞬さんのコーポレートカラーは“黒”と“赤”ですが、採用サイトはあえて“青”を基調にしています。その理由は大きく2つ。1つ目は、コンセプトに沿って、“まだ何者でもない求職者の、秘めた可能性”を表現するためです。青を使うことでフレッシュな印象を持たせました。2つ目は、求めるターゲットに必要な要素を表現するためです。貴瞬の営業ならではの、“パッション”だけでなく“知性”の重要性も訴求しました。」
「そして、サイト内では、貴瞬が大事にしている“リフレーミング=新たな枠組みで物事を見る”という考え方を、ビジュアルとして表現しました。リフレーミングの意図を伝えるために、あえて枠線をぼかしてグラデーションを施しています。一つ一つのコンテンツを展示しているような、洗練された美しさにもこだわりました。」
▼青を基調として、リフレーミングを表現。

「TOPページの海辺で撮影したされたビジュアルデザインにも、こだわりがあります。
実はこのアイディアは、実際の一コマをデザインに落とし込みました。“宝石というと煌びやかなイメージを持たれがち。しかし、実際は地道に各地を飛び回って、時にはへんぴな海沿いの道を運転して宝石を買い取ることもある。”とのこと。さらに、宝石を運ぶためにスーツケースを持ち歩くことも珍しくないそうです。そういった日常的な出来事から着想を得ました。」
「撮影当日は天候が不安定で、実はこの1枚も雨が止んだ一瞬を狙って撮影したものなんです。波の動きや光の差し込み方をどう切り取るかにもこだわり、宝石の輝きを思わせる一枚に仕上げました。裏話なんですが、写っているスーツケースは僕の私物で(笑)。本来は、砂浜での撮影だけを予定していたのですが、貴瞬で働く社員の、“型に収まらない”勢いや力強さを感じてもらうために、あえて海の中にも入って撮影しました。」

「トゥモローゲートだけで制作したのではなく、代表の辻さんを含めて貴瞬の皆様とチーム一体となって作り上げたサイトです。この採用サイトを通じて応募してくれる求職者とともに、本気でビジョン達成に向けて、走り続ける。貴瞬さんが大企業に成長してもなお、想いが受け継がれることをイメージして制作しました。」
【成果&お客様の声】採用ブランディングで導く、ビジョン達成への最短ルート
採用ブランディングを含めた継続的な組織づくりの結果、新入社員を含めて社内全体に伝え続けている理念や提供価値が、定着してきています。


実は今回の採用ブランディングには、もうひとつ目的がありました。
それは、採用強化だけでなく「すでに働いている社員の企業理解も高める」ということ。
社員からは、「うちの会社ってこんな会社だったんだ」という声もあったそうです。
「急成長中のベンチャーで働きたい」ではなく、想いに共感し、「貴瞬で働きたい」と思ってくれる社員が増えたことで、2025年の売り上げは700億円超えを達成。
「年間売上1兆円」という目標も確信に変わりつつあります。
【最後に】採用ブランディングのご相談はトゥモローゲートへ
私たちは、デザインやキャッチコピーなど“表現だけ”にこだわることはしません。
市場分析など客観的なデータを用いて前提条件を整理したうえで、その企業でさえ気づいていない本当の魅力を引き出します。
企業の奥に眠る“まだ言語化されていない価値”を、 ロジックとクリエイティブの力でかたちにすることが使命です。
ただ単に応募数を増やすのではなく、「この会社で働きたい」と本気で思っている人を集めるブランディングを。
採用でお悩みの方は、ぜひお気軽にトゥモローゲートへご相談ください。
トゥモローゲート公式
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