おはようございます。池田リョウです。
2025年までに「大阪で一番オモシロイ会社」を目指すトゥモローゲート株式会社の役員です。
社内の二大部署のひとつ「意匠制作部」のゼネラルマネージャー(以下GM)をしています。
今日は「16Personalities」をもとに、僕がクリエイターのマネジメントとして
取り組んできたことやその経緯をお話してみようと思います。
みなさんも数年前からよく耳にしている、
英語4文字(あいえすてぃーぴー?みたいな)のよくわからない英単語?の“アレ”ですね。
それでは、クリエイターを動かす立場のあなたに、少しでも役に立つことを願います。
INDEX
チームとして人を動かす場面で、急なイレギュラーが起こることは珍しくありません。
例えばこんなことが起こった時、上司のあなたは何を考え、何を相手に伝えますか?
部下「すいません。今日病気で体調が悪くて、、休ませてもらえませんか?」
上司「〇〇〇〇〇〇〇〇?」
意外と普通に起こり得る日常のシーンではありますが、
ここでの会話でさえタイプは大きく分かれます。
①上司A「大丈夫?風邪??昨日体調悪そうだったもんね・・◎△$♪×¥●&%#」
②上司B「そうか、案件のスケジュールは大丈夫??たしか、あれがこれで◎△$♪×¥●&%#」
③上司C「休むなんてありえない!今どんな状況だと思ってるんだ◎△$♪×¥●&%#」
いかがでしょうか?
一見すると、上司Cのパワハライメージが目につきますが、実は良い悪いの答えはないかもしれません。
どの対応がどう相手にうまく伝わるかは、お互いの性質・特性がポイントとなります。
・・・言ってることが謎ですよね。抽象的ですよね。
しかし、この話がここから「16Personalities」に紐づいてきます。
今からこの奇妙な謎について、少しづつ解き明かしてみましょう。
5分後読み終えたころには、“少しだけ”部下へのマネジメントスタイルが変化するはずです。
少しだけマインドセットや背景理解として、お堅い話をしましょう。
勘違いされている事実もあるので、重要なポイントでもあります。
「16Personalities」と「MBTI」は混同されがちですが、似て非なるもの(別物)です。
間違えられやすい理由は、MBTIで使われる四文字のアルファベットと同じものが16Personalitiesでも利用されていること。また「MBTI」で検索をかけると、今では「無料性格診断テスト – 16Personalities」が出てきてしまうことが原因とされています。
1960年台、心理学者 ユングの「タイプ論」をもとに、性格傾向を16タイプに分類したもの。
分類した結果を元に、性格分析が始まります。好きなものや嫌いなもの、考えや行動を棚卸しながら自分への洞察を深めていく“過程”そのものを重要視するメソッドです。
MBTIは他の性格検査とは異なります。個人をタイプに分類したり、性格を診断したりすることが目的ではありません。回答した個人一人ひとりが、自分の心を理解するための座標軸として用いることを最大の目的にしています。参考
いわゆる“診断テスト”です。
2010年代初頭に「ビッグファイブ理論」をベースに、NERIS Analytics Limitedによって開発。質問回答の傾向でタイプ分けし、結果を人と比較して楽しむものです。あなたはこんな性格で、他の人と比べてこういう行動が多いです、という診断結果が着地です。
2022年ごろの韓国MZ世代(1981~1995年生まれのミレニアル世代、1996~2012年生まれのZ世代)ブームで火がつきました。
自分自身に当てはめても思いますが、人は気持ちや衝動をストレートに言葉・行動に移すとは限りませんよね。職場ではこうあるべきという姿があれば、家族・友人・家庭ではまた別の姿があります。
これらの様々な「顔」を使い分けながら社会に適応して生きるのが人間。
こういった「顔」をすべて取り払って、本人の深層心理に近づき、本来の自分自身を問診してくれるのがMBTIとすれば、「顔」の傾向を分類・診断してくれるのが16Personalities というイメージです。
あくまで16Personalitiesはただの傾向であり、堅く考えすぎず、“統計結果のひとつ”として頭に入れておくくらいがちょうど良いはずです。
人間、そんなにシンプルではありませんからね。
結果を枠にはめすぎてしまうと、逆に痛い目を見そうです。
かんたんにプロフィールを話すと、僕はトゥモローゲート株式会社の「意匠制作部」という、クリエイター20人程度を受け持つ、マネージャー兼 会社役員です。
20代までは音楽に打ち込み、30代からクリエイター人生が始まりました。30代半ばからは、クリエイターマネジメントをするようになり、今は役員として、会社(経営)とクリエイターたちの架け橋を意識しながら仕事をしています。
日々の業務は、
・会社目標における自部署の戦略設計や意思決定
・組織、チーム、メンバーマネジメント
・プロジェクトアサイン、進行管理
・クリエイティブ品質、クオリティ担保
・社内企画設計、デザイン等
・採用関連
・etc..
これらが大半をしめ、現在50人規模の会社がさらに発展するため、経営、組織、事業、クオリティ、採用の多方面でバリューが必要な状態です。
中でも一番悩むこと。
それは、組織や人のマネジメントなんですよね。
(共感していただけることを願っています)
経営と現場では、なかなか意見のちがいも多いものです。
経営では中長期の未来を見ているし、現場では今その瞬間や近い未来を見ています。
クリエイターが集まる部署でトップダウンでのマネジメントをしたとしても、多種多様な人種・職種模様、そして内省からのアウトプットが好きなクリエイターたちには、肌に合わないだろう空気をヒリヒリ感じます。
だからこそ、クリエイターへの結果につながるマネジメント論には、藁にもすがる思いです。
あまりググっても自社クリエイターたちにフィットする内容もないように感じてしまいます。
そこで取り入れてみたのが 16Personalities でした。
人には人それぞれの思考特性があります。
僕が大勢の前で「Aです」と伝えても「A’」と受け取る人もいれば、真逆の「C」と受け取る人もいる。
これまでは、自分の説明が下手なのでは?と、伝え方の勉強や工夫をしていたこともありました。
自分と相手がわかり合える深い関係性が必要と思い、メンバーとの1on1や会食を増やした時期もあります。
「誰が言うか(経歴や結果)」を気にして、自分のクリエイティブスキルをもっと上げないといけない、と悩んだこともありました。
しかし、果たして本当にそんなことなのか。
上記に挙げた内容が完全に間違っているとも思いませんが、よく考えると普段の案件でも似たようなことしているのでは?
ターゲットはどんなリテラシーで、その瞬間なにを課題に持っていて、サイトを訪れた時にはなにが欲しいのか。そもそも自分自身がどうのこうのではなく、相手がどんな人・特性であるかを知ることが重要、と考え直したのです。
例えば・・
・相手がアガるポイントはなにか(モチベーション)
・どんな伝え方をすると馴染みやすいか(思考特性)
・相手はなにを大切にしているのか(価値観、基準)
・どんな状況、生活や仕事スタイルなのか(行動スタイル)
これらを相手軸で知り、意識して自分の思考回路を変化させることで、
100%を話して30%しか伝わらなかったことが、50%,60%と変化することを実感しました。
ここからは具体的に、どんなことをしたのかをお話しします。
まずは自分を知ることです。
自分の特性を知ることで、日々の「思考回路」や「癖」を把握できます。
また、その特性の基準がなんとなくわかり、他人との差を通して特性を掴みやすくなります。
16Personalitiesでは93の質問に回答します。
診断結果はわかりやすく16種類の性格に分類してくれますが、見方を変えると“自分が選んだ回答の総集編”でしかありません。
-独自のロジックであなたが回答した内容の裏の裏を読み、世界中のデータから分析し結果として反映する-
みたいな、超複雑なものでもないはずです。
きっとあなたの回答の集まりをわかりやすく表現してくれているものです。
(僕はそれくらいシンプルに受け取っているという話です)
僕の診断結果は「ISTP-T(巨匠)」でした。
※ISTPの詳細をもっと知りたい人は検索してみてください。情報はたくさん溢れています。
【5種の英語パラメーターの見方】
①興味・関心:(内向的)I ⇄ E(外向的)
②ものの見方:(現実的)S ⇄ N(直観的)
③判断基準:(論理的)T ⇄ F(感情的)
④戦術・スタイル:(計画的)J ⇄ P(探索的)
⑤神経性:(自己主張型)A ⇄ T(慎重型)
僕はISTP-Tなので、上記①〜⑤のアルファベットの順番でいうと、
①内向的であり、②現実的であり、③論理的であり、④探索的であり、⑤慎重型であるということが見れます。
わかりやすく解説していくと、、
興味やエネルギーの源が「他人や環境」ではなく、「内(自分)」にあるということ。
自分が好きなことに熱中し、一人でいることが好きで物静か。
頭でじっくり考えることを好むので、仕組みや全体像を理解した上でのアイデアなどが得意です。
自分から外部に積極的に関わることはあまり好きではありません。
人との関わりが多いマネージャーとして考えると、正反対のタイプかもしれません。
具体的事実や自分の経験則で思考するタイプです。
これからの可能性や柔軟な考え・勢いというよりも、
現実主義かつ「今」どうなのか、の実現可能性から考えるということです。
部下からすると相談に対して、堅い・広がらないイメージもあるかもしれません。
もちろんこればっかりではないんですけどね。
意思決定も、人の気持ちより事実に基づいた判断が多いタイプらしいです。
まぁそんなこともないのですが、、笑
とはいえ②のものの見方と同様、意思決定も同じように実現可能性やこれまでの経緯上での判断が多いかと思います。
「頑固者・冷淡な人」といった印象を与えることもあるでしょう。参考
たしかに表面的にはそんな印象があるかもしれません。言葉数も多くはないので余計そう見えがちです。
でも、僕をよく知っている人は本当はハートフルなこと気付いてますよね?
ものごとは、決まった計画をスピード感を持って遂行するよりも、時間的余裕と臨機応変な対応を前提に進めたいタイプです。決めたことが変わることはもちろん、”正解はない”と思う方なので、進めながら最適解を柔軟に探っていきたいと考えています。
時間もかかることがわかっているので “余裕が欲しい” って感じですね。
最後のハイフン(-)のあとにつくA or T。
これは周囲環境や人の意見・批判などにおけるストレス感度や、感受性や自己信頼度など、神経性の話。
僕はTの慎重型で、Aの自信に満ちて明るいタイプの自己主張型と比べ、周囲が気になりネガティブになりやすく、自分の欠点や失敗に敏感。腰は重めだが、完璧主義で多大な努力をするタイプとのこと。
かんたんにいうと、デリケートなんですね。全くその通りです。
つぎは部署メンバーの診断結果を集めてみましょう。
どんな分布になっているのかの現状を把握し、自分の特性やこれまでのマネジメントスタイルと比較してみます。
トゥモローゲートのクリエイティブ部署「意匠制作部」は現在20名。
デザイナー、ディレクター、エンジニア、ライターなど多くの職種が、男女6:4の割合で在籍しています。
特性としての集計結果は下記でした。
【多かったクリエイター特性】
・ENFP(広報運動家型)×6名
→自由奔放、社交的、目立つ存在、奥深い性格、精神的つながりを強く望む
・ENFJ(主人公型)×3名
→リーダー気質、情熱的、カリスマ性、人のために動く
・ENTJ(指揮官型)×3名
→自信家、群衆を引き付ける、理性的、やる気、意志が強い、鋭い知性
・INFP(仲介者型)×3名
→控えめ、心の中は情熱であふれる、想像力豊か、独創的、共感力、繊細
【その他】
・ESFJ(領事官型)×2名
・ESTP(起業家型)×1名
・INFJ(提唱者型)×1名
・ISTP(巨匠型)×1名
ここから各項目(特性)別で診断結果を振り分けると、少し結果に驚きました。
僕自身がそれまでマネジメントで気を使っていたポイントを見直せる部分があると感じれたのです。
それくらい分布が固まっていたのです。
クリエイターたちの特性には、ある傾向がありました。
どんな風に固まっていたのかは下記の通り。
・I(内向的)×5名
・E(外向的)×15名
部署メンバー75%の興味・関心やエネルギー源は「E(外向的)」という結果でした。
「外部に発信したい」「外部からの承認」に対してモチベーションが上がる傾向です。
クリエイター特性として先入観が多い、「自分の世界を表現する豊かな思いや考え」にエネルギー源がある人よりも、
外部に働きかけ、外部からエネルギーを補給する人が多数ということがわかりました。
疑いもなく世間と同じ先入観を持っていた理由は、自分自身もそのタイプだったからですね。
これから社内でのセミナーや勉強会の頻度に着目する想定でしたが、アワードや外部クリエイター・制作会社との接点も増やす策を追加しました。
たくさんの意見・フィードバックが欲しいのもこのタイプの傾向です。
たしかにクリエイターならではかもしれませんが、採用や選考の際にもトゥモローゲートの「フィードバック文化」を魅力と言ってくれる求職者も少なくありません。
・S(現実的)×4名
・N(直観的)×16名
なんと3/4以上のメンバーが思考基準として「N(直観的)」という結果でした。
これも僕とはまったく逆で、具体的事実よりも洞察やアイデア、型にはまらない考え方が理想。
ただし、ここはしっかりと意識している部分ですし、敢えて”みんなが足りない部分”と思って、自分の特性を伝えていく方が良い結果になると考えています。
ブレストMTGなどを増やして、アイデアの溜まり場を増やすことは早速導入しようと思い、サブマネージャーとも似たような話を展開しています。
https://www.youtube.com/watch?v=D4cw2sfrTxM&t=128s
また、”社長提案”の機会を社内行事として増やしています。
会社でこんなことをしてみたい!という考えを、社長に提案できる場であり、上長との膨大な事前資料作成ブラッシュアップ時間の削減、またアイデアがしっかり供養できる場所として、会社の未来にもつながる貴重な場づくりへとつなげています。
・T(論理的)×5名
・F(感情的)×15名
これもびっくりするくらい偏っていますね。しかもまた僕とは逆です。
とてもわかりやすい傾向なのに、この事実を知っているか知らないかで、マネジメントスタイルも少し変わるのではないでしょうか。
今回の結果からすると「結果より過程」という言葉が最適。
T(論理的)として、結果や事実が判断基準の僕からすると、この診断結果を意識しない限りはいつもと同じ思考です。
クリエイターは制作過程やこだわりへの”気づき・会話・評価”に喜びを感じるものです。意思決定は変わらずとも、そこに至るまでのコミュニケーションの変化でお互いの信頼関係が変わるかもしれませんね。
本ブログ冒頭にあった、
部下「すいません。今日病気で体調が悪くて、、休ませてもらえませんか?」
上司「〇〇〇〇〇〇〇〇?」
この報告に対しての答え方も、この辺りが顕著に対策として考えられます。
体調不良報告の最終目的は「事情において予定していた仕事ができないから対策して欲しい(したい)です。」
報告に対して、T(論理的)に「業務対応策を教えて欲しい」人がいれば、F(感情的)に「体調や状況を気にして欲しい」人もいます。
ここで間違ったコミュニケーションをとると、自分への気遣い・存在感のなさに落ち込まれたり、プロジェクトにおいての責任感などに疑問を持たれたりする事例もあります。
もちろん普段からの信頼関係が関わってくる話だと思います。
しかし、伝わり方は「そもそも千差万別」であり「思考の癖」があることを理解しておくと、自身の”伝える”テクニックだけではなく、相手基準の”伝わる”アプローチができるかなと感じます。
・J(計画的)×9名
・P(探索的)×11名
ここまでで、はじめて分布として数字がキレイに分かれました。
「計画的に準備を行い、スピード感を上げて完遂したい人」
「新しい情報を元に、流れに合わせて臨機応変に進めたい人」
バランスよく分かれてはいますが、ここは特にそれぞれの特性理解が重要と感じています。
J(計画的)の「準備した内容に沿って進めたい」クリエイターに、仕様やスケジュールの変更を当然とした、意思のないディレクション・進行管理をしているとクリエイターとの間に見えない軋轢が生まれます。
ただし、プロジェクトは時世や関係者などから当然のように日々変化していくもの。
P(探索的)の「流れに合わせながら最適解を目指したい」クリエイターに対して、予定と違う!といって頑なに融通の効かないディレクションをしていると、大きくやる気を削いでしまう可能性もあります。
クライアントに向けた対外的なスタンスはポリシーとして必要ではありますが、社内のマネジメント、進行管理にあたってはこういったデータを元に、フレキシブルに考えることも一つの策かなと感じています。
この特性はわかりやすくいうと、さまざまな情報を見る限り、
・A(自己主張型)の「鈍感だが前向きなポジティブタイプ」
・T(慎重型)の「繊細だが感性が強めのネガティブタイプ」
という考え方が近いと感じます。
社内状況は非公開としますが、これらのイメージは普段から見えている部分と大きく変わらない気はしています。
ぐいぐいと前に出て進めてくれるA(自己主張型)と、非常に敏感な視野・感情を持っているT(慎重型)の強みを活かしたマネジメントスタイルを心がけています。
いかがでしたでしょうか。
今回は自分自身とチームを比較した「16Personalities」の活用方法例をお伝えしました。
同じ考え方で、相手個人とのあたらしいコミュニケーションアプローチもできるはずです。
しかし人の心は、深く複雑なものです。
単純にタイプと行動を結びつけて思考停止してしまうと、知らず知らずに相手を勝手な解釈で決めつけてしまったり、なんでも枠にあてはめたコミュニケーションで、逆に相手を傷つけることもありえます。
あくまでこれはためになる参考データでしかありません。
ムダな対立やすれ違いを未然に防ぐための情報、さらに健全な人間関係構築のために参考になる情報として、
あなたのひとつの知恵として活用してくださいね。
※16Personalitiesの性格診断は、こちらから誰でも気軽に無料で診断可能です