
制作人生。
自分にとって都合のいい教え、
ずっと守り続けている教えがある。
「私欲を10%は持ち続けること」
私欲とは、どんなものか。
いつか、アニメをつくりたい。
いつか、CGやテクノロジーを駆使した仕事がしたい。
いつか、好きな芸能人と仕事がしたい。
例えば、そんな「いつか」と思い描いていることだ。
僕の場合は、新垣結衣さんと仕事がしたい。
その思いは、この仕事に就いたときからずっと変わらない。
とても一途です。
でも哀しいかな、いまだ叶ってはいない。
そんな気持ちを忘れるなって教えです。
現在、制作歴17年。
とてもじゃないけど
声を大にして、新人の研修では教えられないことだ。
僕らの仕事は、基本お客さんあってこそ。
(どんな仕事も一緒ですね。)
お客さんが、事業で果たしたい目的に沿って
課題解決につながるモノづくりをしていく制作仕事。
だけど、この仕事を少々続けていると
制作することの楽しさや意義みたいなことを
忘れてしまうような瞬間がある。
そんな瞬間を迎えている後輩には、そっと教えるんです。
どんな仕事をしたくて、デザイナーになったのか。
どんな仕事をしたくて、コピーライターになったのか。
一度、原点を問う。
そうすると前述したような私欲が湧いてくる。
「いいじゃん。やろう。」
応援したくなる。
だけど、いきなり仕事で
私欲が実現するほど社会は甘くありません。
お客さんからお金をいただいて
私欲を制作で叶えようなんて、もってのほか。
だからアタマを使って考えないといけない。
その私欲は、お客さんのビジネスにどう役立つのか。
今回の制作表現は、どう役立つのか。
シュミレーションをしておかないといけない。
僕の場合、私欲が見つかったら下記のことを整理して
心の引き出しにそっと閉まっておく。
・どんなお客さんと相性が合うか
・どんなビジネス課題に役立ちそうか
・どんな制作上の課題を解決しそうか
・表現を届けたい人にどう映るのか(どう心を動かすのか)
・(最後に)必要な予算
私欲を、お客さんが買いやすいプロダクトにすることだと思ってます。
そして、これらの条件を満たしそうな
千載一遇のチャンスがきたとき、
ここぞとばかりに提案をしてみる。
もちろん100%受け入れられることなんてない。
でも、楽しいのだ。
お客さんの課題解決を真剣に考えながら
自然と仕事にも腰がはいる。
飛距離の出そうなクリエイティブにもなっていく。
自分がワクワクしているようなとき
誰かを巻き込めるような仕事に自然となっていく。
そんな仕事の鉄則と同じようなことだと思ってる。
誰かの頼まれごとを、期待以上でお返して
初めてお金がもらえる。それが仕事だ。
でも、忘れてはいけないのは
お金以外の報酬もちゃんと自分で考えないといけない。
制作の見積もりを考えるとき、
「お金以外」のことも設計して、見積もれていますか?
お金だけ、工数だけ。ちょっともったいない。
僕的には乏しい仕事になってしまう。
だからこそ、10%だけ
私欲を忘れちゃいけないってこと。
自分自身の報酬は、ちゃんと自分の意思をのっけて決めるのだ。
*
トゥモローゲートの社員は、それぞれ
マイビジョンマップというものをつくってます。
会社のビジョンと、自分自身のビジョンを重ね合わせて
キャリアを考えています。
それと似たような感覚です。
会社のビジョン実現を目指すことは社員として大切。
その中で、自分自身のマイビジョンも決して忘れないこと。
夢物語で終わらせない。そんなしたたかさを持ち続けること。
叶いそうにないことを叶えるからこそ
仕事ってオモシロイ。
僕はそう思う。
新垣結衣さんとの仕事、お待ちしています。

吉本 圭輔
トゥモローゲート株式会社意匠制作部サブマネージャー。広告制作会社から独立後、個人事業主を経て2019年にトゥモローゲートに入社した。クリエイティブディレクターとして制作物の企画からディレクション、クライアントへのプレゼンまでを担当している。
TEL 06-7167-3950