採用ブランディングの進め方|採用市場で“勝ち続ける”ための戦略

2023.12.15

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採用市場の競争は年々激しさを増しています。

その背景には、労働人口の減少による採用難、さらにはインターネットやSNSの普及による情報発信の容易化があります。これにより、知名度の低い企業でも戦略次第で採用に成功できる一方、知名度の高い企業でも手を抜けば成果が得られにくくなるという状況が生まれています。

そんな中、企業が採用活動を成功させるために注目されているのが「採用ブランディング」です。

本記事では、トゥモローゲートが2014年に「ようこそ、ブラックな企業へ。」という採用キャッチコピーを掲げて以来、長年取り組んできた採用ブランディングのノウハウを基に、採用市場で勝ち続けるための戦略について解説します。

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採用ブランディングとは?

僕たちトゥモローゲートでは、「ブランディング=ターゲットと結ぶ“約束”」と定義しています。

企業ブランディングが顧客との約束、インナーブランディングが社員との約束であるのと同様に、採用ブランディングは求職者と信頼関係を構築し、企業の価値観や文化を伝える取り組みです。

一般的に、「ブランディング」という言葉を聞くと、

  • スタイリッシュなオフィス
  • 洗練されたWebサイト
  • 魅力的な採用パンフレット

といったものをイメージしがちですが、これらはあくまで手段の一つに過ぎません。

重要なのは、ターゲットに対して企業の魅力を正しく伝え、共感を生むことです

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採用ブランディングの必要性が高まっている背景

少子高齢化の急速な進行

世界的に見ても、日本は少子高齢化が急激に進んでいる国の一つです。年間出生数で見ると、2024年に日本で生まれた子どもは前年比5.0%減少。なんと9年連続で過去最少を更新している状況です(※1)。この少子高齢化、それに伴う人口減少により、採用市場における競争は一層厳しくなっています。

※1:厚生労働省「人口動態統計(概数)」より

採用における情報発信の容易化

インターネットやSNSの普及により、企業が採用情報を発信しやすくなりました。特にスマートフォンの普及に伴い、SNSを活用した採用戦略がどんどん主流に。僕たちトゥモローゲートもSNSを積極的に活用しています。

Z世代の就活生を対象としたアンケートでは、半数以上がSNSを情報収集の場として活用しているというデータも(※2)。企業もSNSマーケティングを活用しなければ競争に勝ち残るのは難しくなってきています。

※2:株式会社No Company「25卒就活生の「情報収集期」と「意思決定期」におけるSNS活用実態を調査」より

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採用ブランディングの進め方

採用の現状や企業の強みを洗い出す

採用ブランディングの第一歩は、自社の採用状況を正しく把握し、企業の強みを明確にすることです。

まず、これまでの採用実績や現在の採用課題を整理し、求職者からどのように見られているのかを分析します。そのうえで、競合他社と比較しながら、自社ならではの強みや魅力を浮き彫りにします。

トゥモローゲートが提供する採用ブランディングでは、情報収集のためのアンケートを実施したり、その背景を詳しく把握するための採用担当者や社員様へのヒアリングを通して、採用状況を正確かつ深く把握していきます。

採用で求めるターゲットを明確にする

どんな人材を採用したいのかを明確にすることも重要です。

例えば、現在活躍している社員の共通点を分析することで、自社に合った人材の特性を導き出すことができます。また、企業の成長戦略に基づき、どのようなスキルや価値観を持つ人材が必要なのかを検討することも重要です。

ターゲットが明確になれば、採用メッセージの方向性が決まり、効果的なアプローチが可能になります。

採用コンセプトをつくる

ターゲットが明確になったら、その人たちに刺さる「採用コンセプト」を策定します。採用コンセプトとは、企業の魅力を端的に伝えるキャッチコピーのようなものです。

【事例】
「地図に残る仕事。」(大成建設)
「とがった丸になれ。」(丸紅)
「ようこそ、ブラックな企業へ。」(トゥモローゲート)

採用コンセプトに求められるのは、求職者の興味を“一瞬で”引きつけること。パッと見ただけでどんな会社なのかが伝わり、しかも「この会社で働いてみたいかも…」と思わせる言葉であれば、採用ブランディングの成功確率は高まります。

コンセプトを軸にプロモーションをかける

採用コンセプトが決まったら、それを軸に採用プロモーションを展開します。なんとなくプロモーションをして認知を拡大するだけでは不十分です。定めたコンセプトに沿って認知を拡大していきましょう。

【具体的な施策例】
SNSを活用したブランディング施策
採用サイトや採用動画の制作
採用説明会の企画・実施

僕たちがプロモーションを実施する際も、「コンセプトに沿っているかどうか」を何よりも重視します。例えば今までにない採用説明会で話題になったとしても、実際の企業の魅力と違うと内定に至らない・すぐに離職してしまうなど、理想の効果を得られない可能性が高いです。

求人媒体を戦略的に活用する

求人媒体はたくさんありますが、「採用ブランディングを通してどの層を獲得していきたいのか?」そこから逆算して選定することが媒体活用成功のカギです。企業の特性や目的に沿って選定し、戦略的に活用していきましょう。

幅広い層にアプローチできる総合型の求人媒体と、特定の業界や職種に特化した専門媒体を組み合わせて活用することで、採用の成功確率を高めることができます。

また、数百、数千とライバルがいる中から見つけてもらえるよう、企業の魅力が伝わる情報を掲載することも重要です。

ターゲットに刺さるデザインを制作する

採用サイト、採用パンフレット、採用動画など、視覚的に伝えるデザインも採用ブランディングの重要な要素です。デザインは単なる装飾ではなく、ターゲットの心に響くものを作ることが求められます。

【事例】
・採用サイト:企業の理念や文化を直感的に伝える
【事例紹介】株式会社イヴレスの採用サイト

・採用パンフレット:説明会後のフォローアップツール
【事例紹介】SUNWOOD株式会社の採用パンフレット

採用動画 :SNSやWebでの認知拡大
【事例紹介】越のゆグループの採用動画

採用コンサルティングで成果まで並走する

採用ブランディングは、ターゲットに興味を持ってもらうだけでなく、内定から入社までのフォローも重要です。トゥモローゲートが提供している取り組みをいくつか抜粋してご紹介します。

【主な取り組み】

人事レクチャー
説明会でのプレゼンテーションや電話対応・メール対応など、あらゆるフェーズで求職者の入社意欲を高めるノウハウをレクチャーします。人事担当者の対応でマイナスイメージを与えてしまい選考辞退につながる、ということを防ぎます。

インターンシップ&選考フローの構築
選考を通じて、求職者がその企業のことをより好きになること。これが、インターンシップを含めた選考の目的の1つです。時にはゲーム形式や実務形式など、自社にマッチする人材を見極められる選考フロー構築を提案します。

内定者フォロー
内定辞退で入社に至らない…という結末は避けたいですよね。内定者フォローでは、入社までの期間を活用したインターンシップの導入や、内定式をはじめとするイベントの企画など、入社意欲をさらに高める取り組みを提供します。

採用活動は短期的な成果だけでなく、中長期的な戦略として実施することで、より質の高い採用が可能になります。

採用ブランディングの成功事例

越しのゆグループ

福井県で温浴施設を展開する『越しのゆグループ』。立地的なハードルや、人気職種・人気業界とは決して言えない状況を、どうやって打破するのか。たどり着いた解決策が「お風呂屋で働くのではなく、新しいお風呂を“つくる”もしくは“企画する”仕事です」というメッセージを打ち出すことでした。

『新浴構想』(にゅーよーくこうそう)というコンセプトを策定し、“お風呂をつくる”“お風呂を企画する”という仕事の魅力をWebサイトや動画を通して発信。採用コンサルティングと同時進行し、成果まで伴走しました。

【ブログ】お風呂スーツの社長は、どうして生まれたのか|採用ブランディング事例

オフィスナビ株式会社

大阪に本社を構え、オフィス仲介や内装デザインを手掛けるオフィスナビ株式会社は、成果に貪欲に、粘り強く挑戦できる人材を求めて採用ブランディングを実施しました。

ヒアリングやリサーチを通して浮かび上がった情報と導き出したターゲット像を整理し、「TRY TRY TRY 挑み、考え、決めろ。」をコンセプトに採用ブランディングを実施。

採用動画やWebサイトで企業の仕事内容や価値観を発信し、ターゲットに響く戦略を展開しました。

【ブログ】粘り強く成果を出す人を採用したい|採用ブランディング事例

ライソン株式会社

「焼きペヤングメーカー」や「秒速トースター」など、話題の家電製品を開発するライソン株式会社。採用ブランディングのテーマは“商品の幅を広げるために新卒採用を強化する”ことでした。

経営理念に沿って、これからのライソンを発展させ支えていくターゲット像を具体化。今までにない製品を生み出せる人を採用するために『令和の発明家』というコンセプトを策定し、Webサイト制作をはじめとする採用ブランディングを展開していきました。

【ブログ】採用ブランディング事例|ライソン株式会社採用サイト

採用ブランディングのメリット

採用市場における認知度が向上する

企業の知名度が低い場合でも、採用ブランディングを実施することで求職者の目に留まりやすくなります。企業の独自性や魅力を発信することで、「この会社で働いてみたい」と思わせる機会を増やすことができます。

採用エントリー数が増加する

採用ブランディングを実施することで、自社の採用活動がより広範囲に認知されるため、エントリー数の増加が期待できます。求人媒体だけに頼らず、SNSやWebサイトを活用して企業の魅力を伝えることで、より多くの求職者を引き付けることが可能です。

採用応募者の質が向上する

ただ多くの応募を集めるだけではなく、企業の理念や価値観に共感する人材が集まりやすくなります。結果として、採用後のミスマッチが減少し、長期的に活躍できる人材の確保につながります。

採用応募者の志望度が向上する

採用ブランディングを行うことで、求職者は入社前から企業の文化や理念を理解しやすくなります。これにより、「この企業で働きたい」という気持ちが強まり、内定後の辞退率の低下にも寄与します。

今いる社員のモチベーションが上がる

採用ブランディングの発信内容は、求職者だけでなく、現在の社員にも影響を与えます。企業の理念やビジョンが明確になることで、社員のエンゲージメントが向上し、「この会社で働くことが誇らしい」と感じるようになります。

採用ブランディングを成功させる方法

一貫したブランディングを構築する

採用ブランディングは、企業ブランディングやインナーブランディングと連携して取り組むことが重要です。求職者に向けたメッセージが、企業のビジョンや社内文化と矛盾しないように設計しましょう。

企業の強みを明確にし、ターゲットに伝える

自社の魅力や強みを明確にし、それが求職者にどう響くかを考えることが重要です。単に「働きやすい環境」や「成長できる会社」といった抽象的なメッセージではなく、具体的な事例やデータを活用しながら伝えましょう。

SNSやWebを活用して求職者との接点を増やす

現代の求職者は、企業の公式サイトだけでなく、SNSや口コミサイトを通じて情報を得ることが多くなっています。企業のリアルな雰囲気や社員の声を発信することで、求職者との接点を増やし、関心を引くことができます。

採用プロセス全体でブランド体験を提供する

採用説明会や面接、インターンシップの段階から、企業のブランドを意識した体験を提供しましょう。求職者が企業の価値観や文化を肌で感じられる機会を増やすことで、より深い共感を生むことができます。

採用後のフォローアップを徹底する

採用活動は、内定を出して終わりではありません。内定者フォローをしっかり行い、入社後の定着をサポートすることも採用ブランディングの一環です。入社前のイベントや研修、メンター制度の導入など、フォローアップ体制を強化することで、企業と求職者の信頼関係を築きましょう。

採用ブランディングを成功させるためには、単なる採用活動の枠を超え、企業全体のブランド戦略と一体化させることが求められます。トゥモローゲートでは、戦略立案から実行、成果の創出までを一貫してサポートしています

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巻木 周平

トゥモローゲート株式会社意匠制作部ライター。スポーツ新聞社でプロ野球の担当記者を4年半つとめた後、2020年に入社した。企業のキーパーソンへの取材をもとにしたインタビュー記事の作成や、企業のコンセプトコピー、商品のキャッチコピー考案などを担当している。

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