みなさんの会社には、観葉植物はあるだろうか?
オフィスをリフレッシュしたい、働く環境を変えたい、雰囲気を変えたい、そんな時にすばやく、予算もかけずに取り組める手段のひとつが「観葉植物」である。移転をするには莫大なコストがかかるし、内装をリニューアルするにも時間がかかる。その点、観葉植物であれば1本1万円程度から、早ければ即日導入が可能である。
ただ、同時にこんな疑問も浮かんでこないだろうか?
「観葉植物って本当に意味あんのか?」と。
たしかに振り返ると、自分も創業当時からオフィスに”なんとなく”観葉植物を入れてきた経営者だ。まず見た目がよくなるし、オフィスの雰囲気も良くなったように感じる。でも、ちょっと待てよ。本当に観葉植物が経営へプラスに働いているのかなんて一度も計算したことないじゃないか。
数少ない周りの社長仲間たちからも「うちの会社、観賞植物を置いてこんだけ儲かったぜ!」なんて話も聞いたことがない。「誰もわからない、それなら調べてみよう!」ということで、
検証① 観葉植物を置くと売上アップにつながるのか?
検証② 観葉植物を置くと採用力アップにつながるのか?
検証③ 適正な観葉植物の量とコストはいくらなのか?
この3つを弊社の数字と照らし合わせながら、ちょっとだけ紐解いていきたい。オフィスに観葉植物を置くことは会社の成長に直結するのか?これからのオフィスリニューアルの参考まで、ぜひ最後までお付き合いください。
INDEX
そもそも論、「なんでオフィスに観葉植物が必要なん?」という人のために、まずはオフィスに観葉植物を置くことで、企業が期待するであろう基本的なメリットをおさらいしてみよう。
・企業イメージ向上 ・デザイン訴求強化
・リフレッシュ効果 ・空気清浄効果
・湿度効果 ・ストレス軽減 ・目の疲労軽減
まあざっと挙げるとこんなところだろう。たしかに色彩心理学的にも「緑(グリーン)は落ち着きや安心を促す効果がある」らしい。会社紹介の写真を出すときにも社員の日常業務や来客対応はもちろん、企業ホームページや求人広告などでの写真を使った会社紹介などでも、これらの効果を見越して観葉植物を導入する会社は多いはずだ。
下記にとてもわかりやすい参考画像があったので引用してみた。
(画像引用:株式会社オリバー コラム「緑視率によるオフィスの印象の違いについて」より)
なるほど、これはわかりやすい!
左と右のオフィス、「どちらで仕事してみたいか?」と言われると、「右だ!」と答える人が多いんじゃないかと予想できる。ちょっと殺風景だったオフィスが、観葉植物を置くだけで、なんとも素敵な空間に早変わりする。移転や内装リニューアルなどにかかるコストや時間を考えれば、観葉植物の費用対効果がデカいことはイメージできたのではないだろうか。
観葉植物を置くと「オフィスの雰囲気がいい感じになる」ことはわかった。
凄そうな経営者が教えてくれますが、「経営者たるもの大切なのは過程ではなく結果!」である。いい感じになったとところで、会社の利益につながらなければ意味がないわけだ。ここからは弊社の売上成長推移と観葉植物にかけた費用から効果を見ていきたい。
(※スマホで見ているひとはお手数だが拡大してほしい)
これは創業から(厳密に言えば、創業時はオフィス兼自宅のマンションだったので初めて単独オフィスを借りた2013年から)これまでの売上推移とオフィスの観葉植物にかけた費用のグラフである。(棒グラフ「観葉植物費用」のみ金額が小さくグラフ表示されないため比較できるよう単位を変更)
棒グラフ緑がオフィスに投資した金額、棒グラフ赤が売上高、棒グラフ黄が経常利益だ。
おおおお!たしかに観葉植物へお金をかけ出した2019年以降、売上高がグンっと上がっているじゃないか!!これまでほとんどなかった利益も目に見えて増えている!!!どこの会社も観葉植物を今すぐ置くべきだアア!!!!!!!
…なんて、なるわけがない(笑)。
というのも、経営の成果は、事業戦略や採用戦略、オフィス戦略(観葉植物はこの中の一つ)など、様々な経営判断からの結果なので、どれか一つの要素を切り抜いて、具体的な成果を測るというのは容易なことではないからだ。
ただ、観葉植物にかけた費用が増えた時期に、売上と同時に利益も増加しているという事実はある。
もちろん、これは観葉植物だけの効果とは言えないが、オフィス環境の改善が社員のモチベーションや生産性にポジティブな影響を与え、その結果として売上が伸びた可能性が考えられる。また、訪問者や取引先に与える印象が良くなったことが、新規顧客の獲得や取引の増加に寄与したとも考えられるだろう。
つまり、観葉植物の導入は、直接的な売上や利益の伸びに貢献するというよりも、全体的な経営戦略の一つとして、会社の成長を後押しする要素になり得るというのは予測できる。
観葉植物を置き、働く環境や顧客を迎える環境に投資をすれば、会社の売上に繋がる”可能性”があるということは理解できた。では採用面においてはどうだろうか?こちらの表はこれまでのオフィスにかけた観葉植物費用と社員数の推移である。
(※こちらもスマホユーザーは拡大お願いします)
表をじっくり見て欲しい。観葉植物に対する投資が増えるタイミングで、社員数が増加していることがわかるだろう。特に2018年以降、観葉植物への投資額が飛躍的に増加しており、それに比例して社員数も着実に増えている。2018年から2020年にかけては、観葉植物費用が20万円から300万円に増加し、社員数も15人から28人へと2年間でほぼ倍増している。
この結果から考えられるのは、売上と同じく観葉植物を含めたオフィス環境の整備が、採用活動にもプラスの影響を与えている可能性が高いということだ。オフィス環境が整っている企業は、求職者にとっても魅力的に映ることが多いということは言うまでもない。
観葉植物が配置されたオフィスは、リラックスできる空間を提供するだけでなく、企業の姿勢や社員への配慮として捉えられることが多いからだ。これらが求職者へプラスの印象を与え、最終的に採用数の増加に繋がっているとも考えられる。
「緑視率」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは視界に入る範囲内で緑(主に植物や草花、フェイクグリーン)が占める面積の割合のことである。一般的には、10%から20%程度の緑視率がオフィスにおける快適な環境を提供するとされている。これは視覚的に緑が程よく配置され、従業員にリラックス効果をもたらすための目安の数字として覚えておいて欲しい。
これまでのオフィスを見てみると、2012年の四ツ橋中央ビルや2014年の関西心斎橋ビルでは、緑視率はわずか1%程度で、予算もほとんどかけていない。当時はお金がなかったというのが最大の理由だが、デザインよりも機能性重視で最低限の観葉植物しか入れていなかった。
こちらが2019年から入居するアニーズビルだ。ここから本格的にオフィス環境をさらに快適なものにするため、緑視率を高める戦略に取り組み約10%にまで増やした。緑が増えたことで、オフィス全体がかなり柔らかく落ち着いた空間に変わることができた。では、いったい観葉植物にいくら投資するのが適正なのだろうか?
(※拡大推奨)
こちらは観葉植物に対する弊社の社員単価と坪単価である。社員単価は観葉植物にかけた費用を社員数で割ったもの。坪単価は観葉植物にかけた費用をオフィス坪数で割ったものだ。お金をかけていなかった時(2012年~2018年)の単価は千円前後に対して、投資を始めた2019年以降の坪単価は3万円以上と跳ね上がっている。(弊社現オフィスの写真や動画はこちらより)
いくつかの専門業者に相談したことがある過去の経験から、オフィス緑視率10%以上を確保しようと思った場合、オフィスの坪数に対して2万円~5万円程度のコストが必要になってくる。これはあくまで目安で、費用についてはどんな実績、強みを持つ業者に依頼するかで大きく変動するものである。
観葉植物を導入しようと決めたとき、次に考えるのが「自分で選ぶか、それともプロに任せるか?」という選択だ。特に、創業間もないスタートアップならオフィスの規模もそれほど大きくない。まずは「自分たちで選んで買いそろえる」という方法でも十分だろう。規模が大きくなってくるとそういうわけにもいかなくなってくる。
このように、自分で選ぶかプロに任せるかは、目的や予算に応じて最適な方法を選ぶことが重要だ。さまざまな会社を見てきたが、選択するときに一番カギにとなるのは予算だった。とはいえ、業界・業種によってもメリットやデメリットが変わると思うので、規模や目指す効果に合わせて判断してほしい。
説明の通り、僕らも創業当時は自分たちで観葉植物を選んで置いていた。ただし、オフィスが50坪を超えてくるとデザイン性と緑視率を兼ね備えた空間を作るのが難しくなってきた。
2023年、増床のタイミングで依頼をしたのが「アネラ」という会社だ。
アネラは、グリーンアートを使って会社の理念を表現する「コミュニケーションオフィスアート」を提案している会社だった。初めて彼らの作品に触れた時、なぜだか僕は無性に心を動かされた。これまで「なんとなくオフィスをいい感じにするもの」だった観葉植物が、「会社を表現するアート」になるということを突きつけられた感覚だった。
アネラ https://anela.jp/
神奈川県鎌倉市今泉台3-1-9
TEL 0467-73-8252
https://www.instagram.com/anelamami/
ここまで観葉植物がオフィス環境に与える効果や、その導入方法について考えてきた。最終的にオフィスに観葉植物は必要なのだろうか?その答えはシンプルだ。
観葉植物は、「オフィス環境を良くするために必要な手段である」ということ。
社員が快適に働ける環境、そしてお客様が訪れた際にリラックスできる空間を提供することは、結果として売上や採用に繋がる可能性が高い。視覚的な快適さだけでなく、会社の姿勢やポリシーを伝える手段としてもメッセージを伝えることができる。
しかし、観葉植物の導入は目的ではなく、あくまで手段の一つだ。それが観葉植物の導入でもいいし、OA機器環境の改善でもいい、もしかしたら社内のレイアウト変更かもしれないし、生産性の上がるオフィスツールの導入かもしれない。オフィス環境を今よりも改善し、働きやすい空間を作ることに投資するという考え方が大切ではないだろうか。
金額の大小に関わらず、まずは今のオフィス環境からさらに変化させよう。
その手段として観葉植物を導入することであるならば、検討し取り入れてみて欲しい。働くひとがワクワクできる「オモシロイ」会社創りへ。僕たちの体験が一人でも多くの企業の、少しだけでも参考になれば嬉しいです。
ーーー
トゥモローゲートでは、企業理念をオフィスに落とし込む「オフィスブランディング事業」を展開しています。コンセプト設計、レイアウト企画、内装デザインまで、「自分たちを表現した世界に一つだけのオフィスを創りたい」という企業様はお気軽に下記よりご相談ください。
TOMORROWGATE
https://tomorrowgate.co.jp
TEL 06-7167-3950
トゥモローゲートのブランディング実績について
トゥモローゲートにオフィス内装の相談をする
このブログを書こうと思ったのには、”きっかけ”がある。
先ほども書いた通り、これまで観葉植物は、今回伝えたような効果を見越して、快適なオフィスを作るためのものという感覚が強かったし、重要だという認識はあれど、観葉植物にそこまで強い想いがあったわけではなかった。
そんな時にたまたま出会ったのがアネラだった。
アネラは、グリーンアートを使って会社の想いや理念を表現する企業。トゥモローゲートは、理念を切り口に永く愛されるブランドをつくる会社。やっていることや背景にある想いがリンクする。だからコミュニケーションアートオフィスを依頼したし、このブログを書くことにもつながった。
これから、アネラと一緒に、もっと多くの企業が自分たちの想いを表現できるよう、オフィスアートも含めた企業ブランディング支援に取り組んでいきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。(アネラマミ山本さんのInstagram と 代表の鈴木さんのX はこちら)