皆さん、こんにちは。
トゥモローゲート戦略企画部の水城です。
前回は「営業クロージングの極意」について書きましたが今回は「有形商材と無形商材の営業のコツ」について書きたいと思います。
営業の商材は大きく有形商材と無形商材の二つに分類されます。僕自身は約13年間でどちらの営業も経験してきました。だからか「有形商材と無形商材で売るのが難しいのはどっち?」や「有形商材と無形商材って何が違うの?」と聞かれることがあります。
ということで今回はそんな質問に答える内容にしようと思っています。どちらが難しいのか。提案の仕方や考え方はどう違うのか。その上で「有形商材、無形商材を売るためのコツ」も解説していきます。
営業職に挑戦したいけど、どんな商材を売る会社に進むか悩んでいる学生さんや、今よりもさらにスキルを高めたい現役の営業の皆さんのきっかけになれたらと思っています。
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13年間の営業生活の内訳は有形商材が10年、無形商材が3年です。無形商材の経験はまだまだ短いほうですが、両方を経験したからこそ語れることがあると思うのでご期待ください。ちなみに無形商材を売ることになったのはこのトゥモローゲートに入ってからが初めてです。
読んで字のごとく、形のある物質的な商品のことです。自動車、住宅、日用品、電化製品、家電、食品、衣類などが該当します。
逆に無形商材は形のない商品やサービスのことです。情報、コンサルティング、人材派遣、人材教育、研修などが該当します。
ちなみにトゥモローゲートの営業が売っているのは会社のブランディングを進めるためのコンサルティングやホームページ、動画、広告といった制作物です。これらも無形商材に該当します。
ここからはそれぞれの売り方のコツについて書いていきます。有形商材からいきましょう。
売る商品やそれに類似する商品の情報をどれだけ把握しているかが勝負をわけます。売っている商品はどんなスペックで、お客様が導入したらどんな効果が期待できるのか。競合商品と差別化できるポイントはどこなのか。そういった情報を誰よりも詳しく把握しておくことが大切です。
たとえばあなたが電気屋さんに冷蔵庫を買いにいったとします。最終候補を二つに絞って「二つの違いは何ですか?」と店員さんに質問したとき、パンフレットに書いてあることをひたすら読まれた場合と、何も見ずに堂々と見解も交えながら違いを説明してくれた場合、どちらの店員さんを信頼できますか。言うまでもなく後者ですよね。
前者と後者の違いは「把握している情報の量」です。堂々と話せる理由も、見解を交えながら話せる理由も、コミュニケーション能力が高いからではなく話す内容が完璧に頭に入っているから。つまり「把握している情報の量」は「相手の信頼の厚さ」に比例するんです。
有形商材の営業がまずはじめにやるべきことは、コミュニケーション能力や細かいテクニックを磨くことではなく、自分が売る商品について詳しくなること。それも、徹底的に。「この商品について知らないことはない」と胸を張れるレベルに到達すれば営業の成績は飛躍的に伸びるはずです。
有形商材においてはその商品を購入した後にどんな効果が期待できるのかをお客様に具体的にイメージしてもらうことが大切です。ただ商品の機能を説明して終わりではなく、その機能によって実際にどんな効果が出ているのかのデータを提示したり、購入されたお客様の声を紹介するなど、購入後のイメージを膨らませてあげるんです。
冷蔵庫を例にあげましょう。
「この冷蔵庫の冷凍機能は食材の鮮度を長持ちさせてくれるんです!」
これはただ商品の機能を説明しているだけです。もちろん鮮度の長持ちはお客様にとってありがたい効果ですが、もっと具体的にイメージしてもらうことができればなおいいですよね。
例えば「とれたての野菜と7日間冷凍させた野菜を同時に食べてもらったら半数の人が冷凍させた野菜の方が“新鮮だ”と答えたんです」のようなデータがあれば説得力は増します。「あの有名なレストラン〇〇も実はこの冷蔵庫を導入しています」という事実でもいいでしょう。
このように、自分が売っている商品の効果をより具体的に、より強く感じてもらえる事実やそれにまつわるエピソードを説明する力が有形商材の営業には必要です。①で解説した情報量を十分にインプットした上でそれをお客様にわかりやすく説明する。ここまでできれば売れる可能性はかなり高まります。
モノが溢れる時代なので有形商材には機能が似ている競合商品が多く存在します。その競合商品の数だけ自分と同じような営業の人間も存在しています。そうなったときにお客様はどこを判断基準にして自分の商品を選んでくれるのでしょうか。それはズバリ「人としての付加価値」です。
僕は有形商材の営業時代、ここにもっとも強く力を入れていました。不具合があったときの対応の速さ・臨機応変さでお客様に安心してもらうことや、自分と接している時間を楽しく過ごしてもらうためにお客様の人柄や趣味について詳しくなることなど。
商品に頼らず、自分という人間に付加価値をつけることがお客様に選んでもらうためには必要不可欠です。ここは意外と盲点です。目の前のモノを売るためにスキルを磨く熱心な営業は多い一方で、自分自身の付加価値について深く考えている営業は意外と少ない。ぜひ意識してみてください。
形のないモノを売る無形商材の営業はサービスの中身をお客様に合わせてカスタマイズすることが基本です。同じコンサルティングを提供するにしてもAという会社には採用コンサルのみを提供、Bという会社には採用コンサルと経営コンサルを提供、といった具合です。そんな無形商材はどうすれば買っていただけるのでしょうか。
提供するサービスの中身が決まっていないということは、お客様が解決したい課題がわかっていないということです。冷蔵庫を買いにきたお客様の課題は「冷蔵庫を買い替えたい」とシンプルなので提案も「おすすめの冷蔵庫を紹介する」とシンプルですが、無形商材はそもそも課題が何なのか発見するところがスタートになります。
たとえばお客様から「ホームページを作りたいです」という依頼があったとします。そこで「わかりました。どんなデザインのホームページにしましょうか?」といきなり話を進めるのはNGです。
なぜならホームページの作成は目的ではなく手段に過ぎないからです。目的はあくまで「そのホームページをつくることで何かしらの課題を解決すること」。問い合わせを増やしたいのか。採用のエントリーを増やしたいのか。その課題を発見するために営業は「なぜホームページをつくりたいと思ったのか」を深掘りしていきます。
その結果「こんな課題を解決するためにこんなコンテンツをホームページに用意しましょう」という提案につながります。もしかしたら「ホームページではなくテレビCMを放映しましょう」と当初とは違う提案になるかもしれません。そうなったとしても本質的な課題を発見でき、お客様に納得してもらえていたら通る可能性は高いです。
この課題発見力が、無形商材の営業にはなにより大切です。
発見した課題を解決できる確率を高めるためにこんどは企画力が必要になってきます。同じホームページをつくるにしてもコンセプトはどうするのか、コンセプトにそってどんなコンテンツを掲載するのか、どんなデザインを採用するのかを考えなければいけません。
僕自身、有形商材から無形商材に変わってもっとも苦労したのがこの企画力です。どうやって乗り越えたかというと、それはもう情報収集しかありません。ネットやSNSで検索すれば過去に世の中で評価されたいい企画がたくさん見つかります。それを見て、分析して、今の自分のお客様の企画に応用できないかを考えました。
この企画力は無形商材を売る営業が避けては通れない道です。
有形商材と違ってお客様が導入してくださってからもブラッシュアップできるのが無形商材の特徴です。当初のやり方で成果が出ていないとなればテコ入れが必要ですし、成果が出ているのであればさらに伸ばせないかを考える必要があります。その際に大事になってくるのがフォロー力です。
買ってもらって終わり。導入してもらって終わり。無形商材の営業でそんなことはほとんどありません。「導入したその後はいかがでしょうか」「何か困っていることはありませんか」とこまめに連絡をとり、アクションを起こす必要があると判断したらすぐに動く行動力が求められます。
そういった姿勢をつらぬけている営業はお客様の満足度も自然と高まりますし、その後の仕事にもつながっていきます。導入する前も大事ですが、導入した後のフォローも同じぐらい大事。それが無形商材の営業です。
結論「こっちの方が難しい!と言い切ることはできません」
有形商材は売るモノが決まっていて差別化が難しいので、競合他社の営業との人としての差別化が必要。
無形商材は売るモノが決まっておらず差別化はしやすい一方で、課題発見力やフォロー力など有形商材では必要のなかった力が求められる。
それぞれに難しさがあるということです。
ただ、これだけは言えます。「どちらもおもしろい」ということです。やるべきことをやり抜けば必ず成果はついてきます。成果が出るということはお客様から感謝される機会が増えるということです。そうなったらもう楽しくてやめられなくなりますよ。
「有形商材と無形商材の違い」という観点で書いてきましたが、本質的な部分に違いはありません。それは、お客様の立場になって、お客様のためになる提案が出来るかどうかということです。そもそもこの姿勢のない営業が売れることはありません。決して忘れることなく、今日も営業活動をいっしょに頑張りましょう。
次回のブログもよろしくお願いします。