こんにちは。戦略企画部の水城です。
前回は「有形商材の営業、無形商材の営業で売れる3つのコツ。」というブログを書きました。見ていただけましたでしょうか。それに続いて今回は「値引き」について書いていこうと思います。
「もうちょっと安くならない?」
営業をがんばっている人なら誰もが一度は、というか何度も言われた経験があると思います。この要求に対して皆さんはどんな対応をしていますか。僕は記事のタイトルの通り値引きはしてはいけないと思っている派です。もちろん値引きをして目標を達成できるならそれでいいという考えの人もいるでしょう。僕はそういった考えを否定するつもりはありません。実際、値引きをうまく駆使して目標を達成している営業をたくさん知っているからです。
あくまでこの記事は僕なりの見解をまとめたものになるので「そういう考えの人もいるんだな」と思っていただければ幸いです。とお伝えした上であえて言わせてください。そんなに簡単に値引きに応じる人って営業としてのプライドあるの?僕がそこまで言う理由をこれから書いていきます。ぜひ最後までご覧ください。
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冒頭で偉そうなことを言っておきながら実は僕も営業経験の浅い若手時代には簡単に値引きをしていました。「もう少し安くならない?」「後5万円安かったら契約するよ」甘い言葉を聞くとすぐに頭と値段を下げていました。そのスタイルがダメだなと気が付いたのはそこそこの経験を積んでから。なぜダメだと気が付いたのか解説していきます。
言うまでもなく、値引きをすれば売上は下がり、そのぶん利益も下がります。営業の職責のひとつである利益を簡単に手放してしまう人は仕事が出来ない人というレッテルを貼られてもおかしくありません。またあなたが所属している会社が商品やサービスに対して「妥当だ」と思い設定した値段を下げてしまうと会社の計画がブレることにもつながります。それは結果的にあなたの評価や待遇に影響しますし、その商品やサービスにかける予算も減る可能性も考えられます。会社の命とも言える利益を下げるということは、それくらい重大なことなんだと僕は考えています。
「もうちょっと安くならない?」という要求とセットで言われることが多いのが「競合他社はもうちょっと安いんだよね」です。ここで競合よりも低い価格まで値引きをしてしまうと、短期的な売上を手に入れることができる一方で簡単に値引きしてくれる営業という印象を与えてしまい、今後、もとの価格に戻せなくなります。そうなると価格競争のスタートです。サービスの質や自分の力ではなく価格で競争するようになるのでどちらが安くできるかが争点となり、足の引っ張り合いになり、利益は下がっていく悪循環。精神的にも成績的にも消耗することになるんです。
値引きは短期的な売上が上がる甘い汁なのでクセになってしまいます。値引きを続けることで売上も右肩上がりが続くのならそのクセは良いクセですが、先ほども書いたように値引きはいつか価格競争につながり、消耗戦になってしまいます。つまり値引きは悪いクセと言えるんです。一度ついてしまった悪いクセを治すのはかなり大変です。すでに簡単に値引きしてくれる営業という印象がついてしまっているので価格をもとに戻そうとするとお客様からご意見をいただくことは避けられません。値引きの怖さがなんとなく伝わってきたのではないでしょうか?
簡単に値引きをしてくれるという印象がついた営業は、厳しい言い方かもしれませんが価値が下がっている状態です。営業の仕事は自社の商品やサービスの価値をお客様に提供して利益を生むこと。この利益を満足に生めなくなってしまう状態は営業として避けなければなりません。どうせやるなら価値の高い仕事がしたいし、価値の高い営業になりたいし、価値の高い人間になりたいですよね。少なくとも僕はそう考えています。
あなたがいま取り扱っている商品や、お客様に提供しているサービスは、ゼロから開発してくれた仲間やブラッシュアップしてくれた仲間、その価値を守ってきた仲間の汗と涙の結晶と言えます。みなさんがそれぞれのプライドを持って仕事をしてきたから今があります。そう考えると、目先の売上が欲しいという理由だけで値引きをすることがどういうことか、ご理解いただけるのではないでしょうか。
同じ会社で誰かひとりでも値引きをして契約をとったという話が流れると他の社員に伝染してしまう恐れがあります。みんな、目先の契約は欲しいもの。僕も欲しいです。だからこそ、ひとたび伝染してしまったらものすごいスピードで広がり、値引きが当たり前という文化が根付いてしまうんです。そうなると、ここまで説明したデメリットが矢継ぎ早に襲ってきます。値引きは商品の価値を下げ、仲間の価値を下げ、ひいては会社の価値までも下げる。たった一度の値引きがここまで大きな話になる可能性があるということを理解しておいた方がいいと僕は考えます。
同じ商品、同じサービスで、あるお客様には500万円、あるお客様には450万で契約をいただいたとします。もしあなたが500万円で契約したお客様ならどう思いますか。いい気持ちはしませんよね。こういった事例が多ければ多いほどお客様の信頼は下がっていきます。一度失った信頼は簡単には取り戻せません。信頼を失うとプロジェクトの進行、リピート受注、他のお客様のご紹介などさまざまなシーンでの悪影響につながっていきます。
値引きによるデメリットをご紹介しました。とはいえ実際の商談の場でお客様から値引きを要求された時にうまく対応するにはノウハウと経験が必要です。ということでここからは、僕が大切にしている値引き対応の5つのポイントを解説していきます。ここで紹介するポイントは全て値引きをしないことを前提としたポイントになります。
値引きを要求された時は最初のリアクションがとても大切です。ファーストリアクションから出来ないという意思をハッキリ伝えてください。ハッキリ伝えることに気が引けてしまい、すこしでも値引きをしてもらえるかもしれないというニュアンスが伝わってしまうと、お客様がそれ前提で話を進めてしまうためもとに戻すのが難しくなってしまいます。こうなってしまうとお客様に失礼です。出来ないなら出来ないとハッキリ伝えてください。
ハッキリ伝えるにしてもその伝え方には注意が必要です。「無理です!」「出来ません!」と一方的にきつく伝えるのはもちろんNG。値引きを求めているということは、お客様にそれ相応の理由があるということ。気持ちとしてはそのままの価格でも契約したいけど予算の関係で出来ないだけかもしれない。その理由をヒアリングした上で、お気持ちに配慮した伝え方を選択してください。
値引きを求められる理由の一つとして商品やサービスの価値が正しく伝わっていないことが考えられます。お客様が価格に見合ったメリットをイメージできていないんです。もういちど商品やサービスの強みを伝え、導入することでどんなメリットが生まれるのかを伝えましょう。別日で時間を取ってくださるお客様であれば日程を組み直して仕切り直すのもアリ。価格に見合った価値があることを理解していただくために力を尽くしてください。
値引きが出来ない代わりに出来ることがないか考えましょう。ほとんどの場合代わりにできることはあるはずです。例えば値段を下げない代わりにプランに組み込むサービスの数を減らすなど。値引きが出来ない=契約できないではありません。手を替え品を替え、あらゆるアプローチでお客様に価値を感じていただけることを目指してください。
上記で紹介したことを徹底して、それでも難しそうならキッパリ諦めることも大切です。別の記事で詳しく解説しましたが、諦めることも立派なクロージングです。「この価格ではできない」と決めているお客様に対して提案を無理やり続けてしまう行為はお客様の貴重な時間を奪っているだけです。やれることを全てやってダメなら潔く諦める。そしてまた次のお客様にベストな提案をする。営業がやるべき仕事はその繰り返しです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。冒頭でも書いたように僕は値引き自体を否定するつもりは一切ありません。そもそも会社の方針で値引き対応をしている方もいらっしゃるでしょうし、値引きをうまく駆使して僕が書いたようなデメリットを避けている方もいらっしゃると思います。値引きに対する考えや対応方法は人それぞれです。この記事はあくまで値引きしない派の一人の意見として受け取っていただけたらと思います。
それでは今日も営業活動をがんばっていきましょう。