こんにちは。戦略企画部の水城です。前回は「なぜ営業は値引きをしてはいけないのか。」というブログを書きました。見ていただけましたでしょうか。それに続いて今回は「クレーム対応」について書いていこうと思います。
「どうしてくれるんだ!」
「一体どうなっているんだ!」
こんなことをお客様に言われたらへこみますよね。僕もしっかりへこみます。
営業という職種は、お客様と初めて会う時も、契約に向けて商談を重ねる時も、契約後にプロジェクトを進行する時も、常にお客様とやりとりをする役割を担います。そのおかげで感謝のお言葉をたくさんいただくことが多く、またその感謝の言葉がやりがいになる一方で、お客様からのクレーム対応の当事者にもなるため、先ほどのような厳しい言葉をいただくこともあります。
クレームをいただかないために全力を尽くすことが大前提。しかしそれでもクレームをゼロにすることは難しいため、うまく対応する方法を身につけておくことが大切です。ということで今回は、これまでありがたいことにたくさんのクレームをいただいてきた僕の視点で「クレーム対応術」を解説します。営業として働いている人にとってはもちろん、これから営業を志す人にとっても参考になるかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
INDEX
営業におけるクレームは2つに大別できます。1つは新規営業を行う際に発生するクレーム。もう1つはご契約締結後のプロジェクト進行中に発生するクレームです。
前者のパターンに多いのは飛び込み営業やテレアポを行った際に「何時だと思っているんだ」や「忙しいのに迷惑だ」などの言葉をいただくこと。後者のパターンに多いのはお客様の期待に応えられていない、しかるべき対応ができていない、約束を守らないなどの原因から発生することです。
こういった状況に陥った場合どのように対応すればいいのか。これまで私が実際に経験した事例を交えながら解説していきます。
前職でBtoCの営業をしていた時の話。部下からクレーム対応をしてほしいとの連絡を受けました。内容は「約束の工期内に工事が終わらずお客様がご立腹で“今すぐ工事を終わらせてほしい”と言われている」というもの。もちろん今すぐに工事を終わらせることは工程的に不可能ですから、お客様にその旨を伝えて納得いただく必要がありました。
部下はかなり焦っていました。しかし焦っていても課題の解決にはつながりません。落ち着いて課題を整理することが大切です。①お客様は何に対してお怒りなのか②何を求めていらっしゃるのか。この2点を確認し、整理した上でお客様に謝罪の連絡を入れました。さらにその上で部下から聞いた内容とお客様が主張をされている内容にズレがないかの確認を行い、ズレがないことを確認した上で再度謝罪を行いました。
そういった過程を経ていくと、お客様は工期が長引く以前からストレスを感じられていたことが分かってきました。それらに関してもきちんと謝罪をした上で、最後までやり遂げさせていただきたい旨と今すぐ工事を終わらせることは出来ない旨を伝え、さらには今後の進め方と、工事に関するストレスを緩和するためにできることがないかをご提案し、ご納得いただきました。結果、工事終了後にはとても満足していただきました。
さて。ここまでが僕が実際に経験したクレーム対応ですが、一連の流れからクレーム対応のポイントをいくつかピックアップできます。以下にまとめていきますね。
クレームをいただいたら何よりも優先してすぐに対応する。このスピード感がとても大切です。対応が遅くなればなるほど問題は大きくなっていきます。「嫌だから」という理由で先延ばしにしても、いつかは必ず対応しなければいけません。問題を最小限に抑えるためにもとにかくすぐに対応することを意識してください。もしあなたが普段利用しているサービスに不満を感じて問い合わせた時、カスタマーサポートからの返信が遅かったらストレスは膨れ上がりますよね?それと同じです。とにかくスピード感をもって対応する。クレーム対応における大原則です。
クレームの中にはお客様の勘違いが理由で発生してしまうものもあります。かといって第一声で「何が理由ですか?」と質問をするのはビジネスパーソンとしてマナー違反。理由がお客様の勘違いであったとしても、自社のサービスに関わっていただく中で不快な気持ちになっていらっしゃることは事実。担当者としてその事実をまず謝罪するべきです。お客様の元へ駆けつけたらまずは謝罪。こちらも必ず守るべきクレーム対応の鉄則です。
謝罪をしたら次は①お客様が何に対してお怒りなのか②何を求めていらっしゃるのかの2点を確認して整理してください。整理しないまま話をしてしまうとお互いの意見が食い違い、ちぐはぐな話に終始し、問題の解決につながらないまま終わってしまいます。冒頭に書いたようにこちら側が思っているクレーム内容とお客様が思っているクレーム内容は必ずしもイコールではありません。この認識をイコールにすることが大切です。その上で感情的なご意見なのか、事実に基づいた論理的なご意見なのかを整理してください。そうすることで本質的な問題が見えてきます。
②で解説した謝罪は事実関係を把握できていない中での謝罪でしたがここで解説する謝罪は違います。事実関係を把握し、こちら側の不手際を確認できたのなら、そこに対しての謝罪を改めて行うことも担当者が守るべきマナーです。ただ謝罪の言葉を並べるだけではなく、今後同じミスをしないことを伝えることで、自分に対しても「絶対に同じミスは繰り返さない」と言い聞かせるんです。その覚悟があれば誠意はお客様にも伝わります。
クレームの際にはお客様からさまざまな要望をいただくケースが多いです。ここで注意しなければいけないのはなんでもかんでも引き受けないということ。もちろん、お客様のことを考えた上で、自分たちのリソースで対応できることは全て引き受けるべきですが、自分たちでは対応しきれない要望に対してもその場しのぎで「やります!」と答えてしまっては、結果として対応できなかった時にさらなるクレームに繋がってしまいます。対応できることとできないことをしっかりと見極めてお客様と向き合うことが大切です。
クレーム対応=謝罪ではありません。今後同じような事態が起こらないために、信頼を取り戻していくために、どのように行動していくのかをしっかりとお客様に伝えてください。ここでも自分たちができる範囲のことだけをお伝えすることが大切です。できない範囲のことまで約束してしまうとさらなるクレームにつながりますからね。謝罪で終わるのではなく今後の対策までしっかりと伝える。クレームという貴重な意見を今後に活かすことができるかどうかはここで決まります。
ここまでクレーム対応の方法についてまとめてきました。でも「そもそもクレームが起こらないようにすればいいじゃないか」と思った方もいると思います。おっしゃる通りです。ということでここからは僕が日頃から注意している、クレームを未然に防ぐポイントを解説していきます。
契約欲しさに、お客様の笑顔見たさに、商談の際になんでもかんでも「できます」と言ってしまうと後々のクレームにつながってしまいます。もちろん、自分たちで確実にできることであれば約束を結んで成果を生み出すために徹することが大原則。しかし、できない約束を結んで破ってしまったらクレームにつながり、お客様の信頼を失ってしまいます。目先の利益に目がくらんで自分に、お客様に嘘をつかないこと。商談の際に意識してみてください。
クレームは、何の前触れもなく唐突にいただくケースよりも小さな不満が積み重なって大きなクレームをいただくケースの方が多いです。担当者として大切なのはその小さな不満に敏感になることです。やりとりを重ねる中ですこしでも違和感を感じたり、微妙な空気を察知したら見過ごさず「何かありましたか?」と尋ねるようにしてください。普段からこまめな対応を意識することでクレームの芽を摘んでいくんです。
①と②に共通することを最後に書きます。お客様のことを本気で想い、お客様の求める成果を生み出すために本気で考え、行動していれば大きなクレームにつながることはそうありません。「クレームを起こさないために」と考えるのではなく「お客様に本気で向き合う」という考えのもとで全ての言動を決める。ブレない信念を持っていればお客様の信頼を失うようなクレームが発生することはないでしょう。「責任感を持ってお客様と向き合う」という当たり前に見えて意外とできていない人が多いことをお伝えしたあたりで終わりたいと思います。最後までありがとうございました。