RYO IKEDA 池田亮

トゥモローゲートに初めて専属社員として入社したのが今では意匠制作部の役員の池田です。それまでは2人体制でしたが、もう1人は他の会社を経営している人で、業務委託のような形で一緒に仕事をしていたので、専属としては池田が1人目。それまでの事業は採用コンサル一本。このままだと差別化もできないし、「大阪で一番面白い会社になる」というビジョンを実現することはできないな...と悩んでいました。そこで思いついたのが「採用に特化した制作会社になろう」という方向性で、その方向に進むためにデザイナーを採用することにしたんです。

とはいっても、デザインの知識がなければ、採用にかけられる潤沢な費用もありません。手探りでクリエイターに特化した転職サービスに登録して、5万円を捻出して募集情報を掲載しました。すると、すぐに募集がきました。「お!」と思ってプロフィールを確認したら、60歳のおじいちゃんデザイナー...。さすがにこの人は難しいと判断しましたね...。募集を待っているだけではダメだと思い、スカウトメールを送ることにしました。送る相手を探していた時にビビッ!とくるポートフォリオを載せている人がいたんです。そう。それが池田です。たしか音楽ライブの告知フライヤーが載せてあって、それが、自分が「こんなデザインができる会社になりたい」とイメージしていた通りのデザインだったんです。

すぐにスカウトメールを送信。そしたら数日後に返事が返ってきたのですぐさま面接を設定しました。たったの6坪しかないオフィスに来てもらって、どんな事業をして、どんな会社をつくりたいのかなど、面接というよりも池田を口説くつもりで未来についての思いを伝えたら、首を縦に振ってくれたんです。後から入社の決め手を聞くと、池田はこう答えてくれました。「いろんな会社を転々としてきましたが、会社やデザインのルールがガッチリ決まっている環境ばかりで長続きしなかった。でもトゥモローゲートならおカタイ縛りを受けることなく面白いことにチャレンジできるんじゃないかと思ったんです」って。当時はまだビジョンマップなんてありませんし、会社のビジョンの言語化すらできていませんでした。そんな状況にもかかわらず共感して入社してくれたのは嬉しかったですね。先ほど採用にかけた金額は5万円と話しましたが、いわゆる大手の求人広告サービスなんかを利用すると1人採用するまでに7、80万円かかるのが相場と言われています。と考えると、たった5万円で池田というデザイナーを採用できたのは奇跡としか言いようがありません(笑)

池田は採用コンサル一本だった会社にデザインという強力な武器を与えてくれました。入社当時は本当に大変だったと思います。デザインの「デ」の字もわからない営業畑の自分から「とにかくかっこいいやつ」「おしゃれなやつ」「スタイリッシュなやつ」なんていう抽象的な依頼に応えてくれていたので。しかも専門のデザインだけではなくコーディングや映像制作までやってくれていました。今思えば、本当に大変だっただろうなと。

池田が入社してしばらく経った時、会社にとって大きなターニングポイントがやってきます。当時はありがたいことに新しい案件の依頼が増えてきた一方で社員数は少ないままで、このままではパンクしてしまうと思ったことから、初めて新卒採用に挑戦したんです。とはいえ誰にも知られていない小さな会社が他の会社と同じようなPRをしても振り向いてくれる学生さんはいないだろう...。そんな不安から生まれたのが『ブラック“な”企業』という打ち出し方と『ようこそ、ブラックな企業へ。』のキャッチコピー。今では多くの人に知っていただいているフレーズはこの時に誕生したんです。起業した当時からコーポレートカラーは黒でしたが対外的にアピールしたのはこの時が初めて。それに沿った採用サイトを池田がつくってくれて、結果はなんと7000人のエントリーを集めることになりました。そこから会社史上初めての新卒社員が誕生しましたし、何より『ブラック“な”企業』というコンセプトが定まったことで、その以降の経営判断や制作物にも一本の筋が通るようになりました。それもこれも池田が入社してくれていなかったら起きなかった変化です。

そんな池田がここまで順調に会社を支えてくれた...わけではありません。実は一度退職しているんです。2015年のことでした。池田は当時35歳。そろそろ安定したキャリアを探っていきたい時期でしたが、当時のトゥモローゲートでは一プレイヤーとしてデザインを続けていく以外の未来が想像できなかったそうで、他の会社に転職したんです。いくら社員の意思を尊重すると決めていても、初期から支えてくれていた池田の退職にはかなりショックを受けました。人としての関係が切れたわけではなく、転職後しばらくして食事に出かけると、転職先の会社のこんなところが素晴らしい、こんなところが大好き、という話をしてくれました。「へぇー。そうなん!」と冷静なフリをしていましたが、内心は悔しくて悔しくて仕方がなかった。それと同時に自分も社員からこんなことを言われる会社をつくらなきゃいけないと一層身が引き締まりました。ただ、池田は時間が経つにつれて比較的自由にものづくりができるトゥモローゲートの良さを再認識してくれたみたいで「戻りたい」と言ってくれました。自分としては毎日のように「戻ってきてほしい」と思っていたので大歓迎。2016年2月に再びトゥモローゲートのデザイナーに復帰してくれました。そのタイミングで企画やデザインに特化した部署『意匠制作部』を設立。池田がマネージャーに就任しました。それからの活躍や貢献は言うまでもありません。クリエイティブの立場から会社の成長を支えてくれましたし、会社の成長スピードを飛躍的に上げてくれたと思っています。

他のメンバーに対してはこの場を借りて今後の期待を伝えていますが、池田に関しては何も言うことがありません。期待というよりも改めて感謝を伝えたいです。コンサルしかできなかった会社にデザインという武器を与えてくれてありがとう。一度離れ離れになったけど戻ってきてくれてありがとう。決して楽ではない仕事に文句を言わないどころか新しい提案を次々にしてくれてありがとう。部下の育成にも全力を尽くしてくれてありがとう。これ以上求めることはありません。あ、強いて言うなら今後もずっと一緒に働き続けてほしいなと。肉親の隼平と同じくらい信頼できる池田が役員としていてくれる心強さはハンパじゃありません。離れるのはあの一回だけで十分(笑)。これからも、末長くよろしく。

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