どんな会社にするのか、どんな事業を展開するのか、具体的なことは何も決めないまま2010年4月にトゥモローゲートを創業しました。いまの主力事業であるブランディング事業も構想にあったわけではありません。ただ一つ決めていたのは、一度きりの人生を面白いものにするために「これまでにない変な会社つくろう」ということだけです。
そのためには「変な人間を採用しないと変な会社はできない」というぼんやりとした想いだけ描いていました。とにかく売上を上げられるひとや、とにかくデザインが上手いひとよりも、「世界一変わった会社をつくる」というビジョンに共感してくれて、実現のために一緒に行動をしてくれるひとを採用しようと。そんな個性豊かな色それぞれなメンバーが集まれば変わった会社をつくれるだろうと。
トゥモローゲートには、戦略企画部、意匠制作部、人事総務部、広報発信部にそれぞれ違う強みを持ったメンバーが揃っていますが「個性的」という点は全員に共通しています。企画営業のスペシャリストがいれば、Webデザインのエキスパートもいる。映像制作からコピーライティングなど自分の色を活かしたメンバーが集まりチームを組み、これまでにないドキドキやワクワクを提案します。
色々な個性が混ざりあった真っ黒な会社、それが私たちの目指す「ブラックな企業」です。
メンバーの具体的な強みをお伝えしたいと思います。まずは営業から企画からコンサルティングまでを担う戦略企画部。この部署の強みはズバリ企画力かなと。これには明確な理由があって。トゥモローゲートはSNS経由やwebサイトのお問い合わせ経由で契約をいただくことが多いので、新規営業にかける時間がすくなく、そのぶん企画考案に長い時間を割くことができます。お客様にとってどんな企画がベストなのか。どんな発信方法がベストなのか。十分な時間をかけて考え抜いた上でご提案ができるのは強みと言っていいかなと思ってます。その過程でメンバーの企画に対する思考は深まりますし、バリエーションは増えていくので、日を追うごとに企画の質が高まっているという実感もあります。
企画力以外でいえば、誠心誠意をもってお客様と向き合えるメンバーばかりということです。これはうちの採用基準が影響していると思ってます。一つの仕事に対してどれだけの責任感を持てるか。お客様の成果にコミットするためにどれだけの努力ができるか。心の底からお客様のことを思い、行動に移せるメンバーだけを採用しているんです。だからか、とにかくいいやつが多いです。ザックリした言葉で申し訳ありませんが(笑)。とにかくみんないいやつです。裏切ったり、嘘をついたりするメンバーは1人もいないことをこの場を借りて約束させてください。社長の自分が言っても手前味噌にしか聞こえないと思いますが...、メンバーのTwitterや出演しているYouTube動画見ていただければ戦略企画部にはどんなメンバーがいるのかを少しは感じていただけると思いますので、よければぜひ。
そんな戦略企画部と接してご契約いただいたお客様に制作物というカタチで価値を提供するのがクリエイティブの部署意匠制作部です。ここの強みはなんといっても「分業制」かなと。たとえば同じデザイナーでも紙媒体のデザインをするグラフィックデザイナーと、webサイトなどのweb媒体をデザインするwebデザイナーは完全に分かれて仕事をしています。ほかにも数年前までは戦略企画部のメンバーがディレクションからコピーライティングまで担っていたところを、いまではクリエイティブディレクターやコピーライターが専門職として担当してくれていたり、数年前まではデザイナーが映像制作やコーディングまで担っていたところを、いまではそれぞれに専門家がいます。おかげで数年前と比べて制作物のクオリティも、納品までのスピードも、格段に上がっていると実感しています。職人気質なエンジニアがいて、若手からベテランまで幅広いキャリアのデザイナーがいて、web制作を行なっている会社では珍しい専属のコピーライターがいて、個性的な動画編集者がいて、それをとりまとめるクリエイティブディレクターがいて。それぞれがそれぞれの強みを最大限発揮できる体制が整ってきているんです。なかには海外在住、海外出身のメンバーもいます。そういう意味では多様な感性をもとにした制作物を提供することもできます。
ここで分業制についてすこし補足をしておくと、トゥモローゲートが目指す分業制は1人につき1種類の仕事しかさせないという状態ではなく、その人自身が得意なことややりたい仕事だけに注力できる状態のことです。たとえば、コピーライターでも映像編集の知識と挑戦したい意思があるなら挑戦できるとか。メンバー全員がそんな状態でいられる組織にしたいと思ってます。業務ベースで分業するというよりも人ベースで分業するという感覚です。
メンバーそれぞれが得意な分野で勝負できる環境があってこそ、お客様に提供する価値を最大化できると思ってます。たとえばイチロー選手が若手時代に「ピッチャーもやってほしい」と言われていたらメジャーリーグの歴史に名を残すプレーヤーにはなれなかったはず。一番バッターとしてたくさん打席に立つことが能力を最大化できる環境だったからこそあれだけの成績を残せたと思うんですよね。数年前までのトゥモローゲートはイチロー選手にピッチャーもキャッチャーもやってもらわないとうまくプロジェクトを進められないような状態でした。それが今では分業制によって改善できてきていて、その流れはこれからも加速するだろうと思ってます。
戦略企画部と意匠制作部。トゥモローゲートでは部署関係なくプロジェクトメンバー全員でお客様との打ち合わせに参加して、全員で企画を考えるという方針をとっています。戦略企画部のメンバーだけでなく、デザイナーも、エンジニアも、コピーライターも、映像編集者も、全員です。そうすることでお客様を深く理解したうえで企画を立てられますし、1つの脳みそではなく複数の、多いときには10以上の脳みそで企画を立てることができるので高いクオリティを担保できると思ってます。また認識のずれを抑えることもできます。お客様と直接やりとりするのが戦略企画部のメンバーだけだと、お客様の思いや意図を聞いたあとに他のプロジェクトメンバーに伝える工程が発生します。その際に全く同じニュアンスで伝えられれば問題ありませんが、そう簡単にはいきません。又聞きの数が多いほどズレていく伝言ゲームのようにニュアンスがズレ、認識がズレてしまいます。全員で打ち合わせて、企画を考えるのは、そういったズレを防止するためでもあるんです。それだけ多くのメンバーが企画を考えるぶん時間はかかります。正直非効率だと思います。ただ、トゥモローゲートが目指すのはお客様の本質をとらえたブランド戦略を提案すること。その本質をとらえるためには、効率が悪くなったとしても全員で企画を考える方針がベストだと考えています。
そんなメンバーを支えるのが人事総務部。一般的な人事総務部はバックオフィスと呼ばれるように「守り」のイメージがありますがトゥモローゲートの場合は「攻め」かなと。象徴的なのが、トイレが汚れていたときや、ゴミが落ちているのにそのままになっているときや、挨拶が疎かになっているときなど、トゥモローゲートの価値観への意識が薄れているときに社員に向けて口酸っぱくアナウンスしてくれることです。価値観が文化として定着するように、役員の代わりに周知してくれているんです。それが結果的に売り上げにつながり利益につながるので、「守り」という表現は当てはまらないんじゃないかと思います。
と、ここまで自社の強みをアピールするばかりになってしまいましたが、弱みがないわけではありません。むしろ、弱みだらけだと思っているのでここからすべてをさらけ出しますね(笑)。まず一つ目は、こまかいデザインの技術や映像表現、コピーライティングスキルといった、個々のクリエイティブのスキルはまだまだ上昇の余地があるということ。誰もが知るトップクリエイティブの会社と比べれば劣っているということです。トゥモローゲートには、その道10年以上、国内の大手企業のデザインをメインで引っ張ってきました、みたいなメンバーはいません。未経験から転職した叩き上げや、新卒で入ってまだ数年しか経っていない若手が多い。つまり、個人としても会社としても実績が足りないんです。事業にデザインを取り入れ始めたのが6、7年前ですから経験したプロジェクトの数がまだまだ少ないんです。これから経験値を積み重ねてレベルアップしていかなければいけません。
もうひとつの課題は企画の精度です。現時点でもエッジが効いている本質的な企画を立てる自信はありますが、これまでは、その企画がいいのかどうか、つまり、成果が上がるのかどうかの判断を感覚的に下していたところがありました。それを解決するためにつくったのが『TGキカク』です。独自の項目に沿って、具体的な数字で企画の良し悪しを採点できるシステムです。これによって、その企画でどのような成果が上がるのかまでを含めた提案ができるようになりました。『TGキカク』は運用する過程でブラッシュアップを重ねていく予定なので、これからさらに具体的な成果を見越した企画を提案できるようになるはずです。最後の課題はスピードです。仕事の依頼をいただいてから実際に動き出せるのが半年後、特に遅いときには1年近く先なんてことが起きてしまうのが現状です。ただでさえ会社のブランド作りには時間がかかるので、依頼いただいてから動き出すまでをもっとスピーディーにしたいと思っています。
ここまであげたトゥモローゲートの課題はすべて「人手不足」が根元になっています。そうです。とにかく人が足りないんです。TwitterやYouTubeでもさんざん言っているのですが、すべての職種において本当に人が足りません...。今回コーポレートサイトをリニューアルした理由の一つにも採用強化が含まれています。「トゥモローゲートは何をやっている会社なのか分からない」と思っているひとに対して具体的な事業内容や働いているメンバーの情報の発信することで、「この会社で働きたい」と思ってくれるひとを増やしたいんです。
すでにいま在籍している職種だけじゃなく、たとえば広報業務に特化したひとや、SNS運用の専門家や、マーケティングのプロフェッショナルなど、これまでいなかった職種の採用も強化していきます。ただ、そのなかでもマインドありきの採用方針がブレることはありません。どんなに高い技術があっても、どれだけ大きな案件を手がけた経験があっても、トゥモローゲートの価値基準やビジョンといったマインド面にフィットしないひとは採用しません。逆に、スキルはまだまだでもマインド面がフィットして、伸びしろを感じることができれば採用する可能性は大いにあります。その傾向は新卒のほうが強くなりますが、中途であってもマインド面のフィットが最も重要な採用基準であることに変わりはありません。その基準をクリアしたうえでプロフェッショナルなスキルを持っているひとがベストですね。そういった採用を続けていくことで、さらに高いクオリティで、速いスピードで、お客様に価値を提供できる組織をつくりあげていきたいと思っています。
『世界一変わった会社で、世界一変わった社員と、世界一変わった仕事を創る』というビジョンの実現度をあえて数値で表すとまだ1%ぐらいです。やるべきことは数えきれないくらい残っていて、もちろんメンバーの採用もそこに含まれます。創業当時の「変な人間を採用しないと変な会社はできない」という構想を忘れず、とにかく変な人間を採用し続けて、ビジョンの実現度を1%ずつでも0.1%ずつでも上げていければいいなと。そのために、変わらない採用方針のもとでビジョンに共感してくれるメンバーを集めて、みんなで同じ方向を向いて、世界一変わった会社をつくりあげていきます。